・タイマンバトル
夜にアカリと夕飯を食べながら翌日以降の予定を話し合い、取り合えずジム戦をしようということになったので翌日早速クチバジムへとやってくる。
昨日の騒動の件もあって、ポケモンジムが開いているのか、という疑問はあったのだがどうやら騒動自体は解決していることもあって午後からなら大丈夫とのこと。
今回は進化したライチュウを使ってバトルをしてみようと思うので通常のジム戦で行くことにする。
アカリも公式戦でサイホーンの使用感を試すためにも同様に通常のジム戦にするらしい。
クチバジムのジム戦だが、特殊なルールがあって1対1のバトルになるらしい。
ニビジムもハナダジムも使用するポケモンの数に制限は無かったので少し驚きながらも了承する。
さらに午後のジム戦までジムの設備を使っても良いと言われたのでジム戦に差し障りの無い程度にウォームアップを済ませ、さらにジム戦時の動きなども念入りに確認しておく。
クチバジムは『でんき』タイプが専門のジムだ。
当然ながらボクのライチュウのメイン技となる『でんき』技は威力半減で効果が薄い。
だがライチュウはもう1つ『エスパー』タイプを持つ、こちらをメインにしてのバトルとなるだろう。
それからピチューだった時と比べていきなりの急な2段階進化で使える技が一気に増えた分をまだ消化しきれていないところがある。
使える技は絞って特訓させたが付け焼刃感は否めない。
もう1日、2日待ってジム戦をやるという考えもあったが、別にジム戦で負けてどうなるというわけでも無いのとライチュウ自身のやる気もあって即日挑むことにした。
そうして調整に数時間かけているとクチバジムのジムトレーナーからジム戦の準備が終わったと告げられたので早速挑戦することにする。
前回はボクが先に挑戦したので今回はアカリが先に挑戦するわけだが、それほど時間も経たずにジム戦が終わる。
というのもマチスの使用ポケモンは通常のライチュウだったのだがサイホーンは『じめん』タイプなのでライチュウのメイン技である『でんき』タイプを無効化できる。
さらに本気ではない通常のジム戦なので『くさむすび』などの技マシンで覚えることのできる技は覚えていない……つまりライチュウの側にまともにサイホーンを攻撃できる技が『アイアンテール』くらいしか無かった。
だが足の遅いサイホーンにとっては向こうから攻撃に近づいてくれる状況は願ったり叶ったりだ。
『じならし』で足場を揺らし、避けようとジャンプしたところを『ロックブラスト』で撃ち落とし、ダメージで怯んだところに『こわいかお』で足を削ぎ、トドメとばかりに『ドリルライナー』でライチュウに大ダメージ。
反撃とばかりにライチュウも『アイアンテール』でサイホーンを叩くがそもそもサイホーン自体物理技にめっぽう強い上にオヤブン個体なだけあって非常にタフだ。
『急所』に当たっただろうその一撃に、けれどサイホーンはぴんぴんした様子で追撃に『ドリルライナー』を放ち、ライチュウを一気に『ひんし』へと追いやった。
これが本気のバトルならもっとやりようはあったのだろうが、未だ制限のあるジム戦というだけあって残念ながら相性の差がもろに出てしまった結果となった。
そういうわけでライチュウが回復するまで小休止を取っていよいよボクの番である。
最近ボクの頭の上がお気に入りなイーブイを一端後ろに下げてからフィールドの端に立つ。
互いにボールを投げればボールからは互いにライチュウが飛び出すが、カントーでは見ないリージョンフォームのライチュウの姿にマチスが驚く。
うん、なんでアローラの姿になってるんだろうね、ボク自身分からない。
とはいえ同じライチュウ同士のミラーマッチではあるが、厳密にはリージョンフォームの分だけ、ボクのほうが有利とも言える。
何故なら互いに『でんき』技は半減、となるとタイプ一致で等倍の『エスパー』技を撃てる分だけ火力勝負に分がある。
そして特性。通常ライチュウの特性は『せいでんき』か『ひらいしん』だが『でんき』タイプのライチュウが『マヒ』することはないし、『でんき』技が決定打にならないこの状況で『ひらいしん』は腐りやすい。
逆にこちらの特性『サーフテール』は『すばやさ』2倍という明確なメリットがある。
まあ代わりに『エレキフィールド』を撃たなければならないので技枠を1つ潰すデメリットもあるのだが。
だが互いに『すばやさ』の種族値は同じ、そして『こうそくいどう』が使えるとなると特性分確実にこちらが速くなることができるというのはかなり大きい。
「ライチュウ! 『でんこうせっか』だ!」
「『こうそくいどう』で避けて!」
直線的に迫って来るマチスのライチュウをボクのライチュウが速度を上げて大きく円を描くように動きながら回避する。
速度差をつけられると厄介だと即座に理解したマチスが『こうそくいどう』を指示し―――。
「『アンコール』!」
「む! しまった!」
それをボクのライチュウが手を叩いて『アンコール』する。
『アンコール』は3ターンの間同じ技しか使えなくなるという効果だが、この3ターンというのがリアルポケモンバトルにおいてかなり分かりづらい。
ターンというのが明確に何秒と決まっているわけはなく、効果時間が使用ポケモンの技量に影響するのだ。
だから上手いポケモンが使えば30秒くらいは縛ることができるが、下手なポケモンなら10秒くらいで解除されたりもする。
だが効果時間が決まっていないからこそかけられたほうもどこで解除されるのか分からない。
これでマチスのライチュウはしばらくの間『こうそくいどう』しか使うことができない。
「ライチュウ! 『わるだくみ』だよ!」
その間にライチュウの火力を上げる。
これでこちらの技は3つ。公式戦において使用して良い技は4つなので残り1つを攻撃に割り振るならもう『エレキフィールド』は使えないな、と頭の中でいくつか考えていた戦法を切り捨てる。
これがガチのほうのバトルなら多分エレキフィールドを使っていただろうが……。
さらにもう一度『わるだくみ』を積むと同時にマチスのライチュウのアンコールが切れる。
それを察した途端に待っていたとばかりにマチスが指示を出す。
「ライチュウ! 『メガトンパンチ』!」
『すばやさ』を最大まで上げたマチスのライチュウが猛スピードで突っ込んできて、こちらのライチュウへと拳を振り上げる。
「逃げずに受け止めて!」
「ライ!」
多分避けようとしたら態勢を崩して追撃をもらう、なら正面から受け止めたほうが良い。
なにより『こうそくいどう』は『すばやさ』を上昇させても直接的な火力の上昇には繋がらない。
スピードが乗る分多少威力が盛られる部分はあっても、一撃でこちらのライチュウを撃ち落とすような威力にはならないはずだ。
そうして振り下ろされた拳をライチュウを両の拳を交差させてガードする。
拳に収束していた『ノーマル』タイプのエネルギーが弾け、激しく発光するがそれでもボクのライチュウはそれを受けきり、耐える。
「反撃だ! 『サイコキネシス』! 目の前にぶちかまして!」
「ライラーイ!」
攻撃を放った直後の反動で動けないマチスのライチュウに、『わるだくみ』を2回積んで『とくこう』を大きく上げたタイプ一致の『サイコキネシス』が放たれる。
スピード勝負も考えたのだが『サイコキネシス』は文字通り念動力で相手を捕らえて拘束する技だ。
つまり速度を上げてスピード勝負をするより、火力を上げて相手の上がったスピードを生かせない状況にしたほうがダメージも大きいしこちらが圧倒的に有利になる。
ゲームなら一度攻撃して終わり、だが現実にはサイコパワーを強引に破られない限りは相手を拘束し続けることができる。
そしてこのサイコパワーによる拘束力は『とくこう』の高さに依存するのだから『わるだくみ』を積み上げた今のライチュウの『サイコキネシス』はマチスのライチュウを完全に捕らえて離さない。
つまり、詰みである。
凄まじい力と勢いでジムの床に叩きつけられたライチュウがあっという間に『ひんし』となって目を回す。
審判は『ひんし』の判定を降すと同時にマチスがガシガシと頭を抱えながら『オーマイガッ!』と叫ぶがすぐに冷静になりライチュウをボールに戻す。
ボクのライチュウはまだ多少余力があったので自分の力でこちらへと戻ってくる。
「ライチュウ、頑張ったね……お疲れさま」
「ライライ!」
「イブ! イブイ!」
よしよし、と頭を撫でてやれば嬉しそうに抱き着いてくる。
柔らかな毛並みと共にモチモチのホッペから甘い香りした。
それからライチュウが勝ったことが分かったのか、イーブイがはしゃぎながらこれまたボクに飛び掛かって来る。
それをよしよしといなしながら、脳裏でバトル後なのに怯えた様子が無いことに気づいた。
ちょっとずつイーブイも成長しているのかな、なんて思いながらもライチュウをボールに戻し、イーブイがまたボクの頭の上に乗っかって来る。
そうしてバトルの始末が終わればアカリと2人でバッジを受け取り、ジムを出る。
「思ったより苦戦しなかったね」
「うん」
帰り道、そんなことをアカリと話していると。
「それはジム側がトレーナーの育成能力を見ているからですわね!」
そんな声が聞こえ、振り返ってみれば―――。
「え? なんで?」
「……ローザ?」
赤い髪の少女がそこにいた。
楚々とした白のチューブトップワンピースを着たお嬢様染みた外見の少女。
ああ、うん……久々だけれど間違いない。
「なんでいるのローザ姉さん」
「おーっほっほっほ! 久しぶりですわね、リンドウ!」
「……知り合い?」
少し不思議そうにアカリがこちらへと視線を向けてくるので、それに頷いて。
「えーっとね。ボクの母さんの姉の子……まあつまり」
有体に言えば。
「従姉だね」
え、とアカリが珍しく目を丸くした。
* * *
・超お嬢様風転生者系従妹ちゃん
ローザ。
ボクの母親の姉の子供。
イッシュに住んでいるはずのボクの従姉。
その出会いはまだボクが
以前も言ったが母さんは元はイッシュのトレーナーだったわけだが、そもそもの出身地がヒオウギシティになる。
つまり元々はイッシュに住んでいたのだがカントーにやってきて、それから父さんと結婚してマサラタウンに住むようになった。
だから母さんの実家というのはイッシュにあって、そこにボクにとっての祖父母などもいたりする。
そして母さんの実家というのが結構良いところで母さんの姉……つまり叔母にあたり人が今はその家を継いでいる。
ローザはその叔母の娘であり、昔母さんが里帰りする時に連れていかれて出会ったのが最初だ。
ボクより2歳くらい年上の子であり、まだ記憶が戻る前のただの子供でしかなかったボクも世話になった記憶がある。
仲は……まあ良かったはずだ。
血縁ということもあって歳の近い姉弟みたいに可愛がられた覚えがある。
アカリと出会ってからは……サマーキャンプの時の一件で父さんの仕事が忙しくなり*1戻っていなかったのだが、電話で何度か話したことはある。
そのイッシュにいるはずのボクの従姉が何故か目の前にいる事実に首を傾げる。
「え、本当になんでいるの?」
「おーほっほっほ! この度わたくしこのカントーでジムリーダーに就任することになったのですわよ!」
「えっ、ええぇぇ!? そもそも姉さんトレーナーだったの!?」
「あら、言ってませんでしたかしら? まあ最近ご無沙汰だったから言ってなかったかもしれませんわね!」
確かにここ3年ほどイッシュの実家に行ってなかったけど。
それにボクより2個上ということは最長で2年くらいはトレーナーやっているのだからあり得るのかもしれないけれど。
まさかよりによってボクが旅に出た年にカントーのジムリーダーに就任するなんて。
「ていうかどこのジムでジムリーダーやるの?」
「タマムシですわね! お嬢様といえばタマムシですわ!」
「……ん?」
「ああ、でもどうせなら和装が必要ですわね。着物の着付けなんてできるかしら?」
「んん??」
「あとはトレーナーネームも『エリカ』に変えませんと」
「ちょっと待って! ちょ、ちょって待って??」
一人でぽんぽんと話を進めていくローザを制止する。
過去の記憶を思い出してみれば、確かにそれらしい言動はあった気がする。
そうだ、まだあの時は『記憶』が戻っていなかったから違和感を持たなかったが、確かに言動の端々にそれはあった。
「あの、一応聞いておくんだけど」
周囲に声が届かないようにローザの耳もとで、そっと尋ねる。
「姉さんって……転生者だったりする?」
そんなボクの問いにローザが目を丸くし。
「あら、
随分とあっさりと返した。
ジム戦短かったなあって自分でも思うけど多分マチスに会話させたら英語の誤用や違和感まみれになりそうだったのでさっさと次に行く(
ところでイナズマアメリカンってピカブイからライトニングタフガイに変更されてたんですね。
ピカブイやったけど多分気づいてなかった……。
手持ちポケモンの現在レベルとかあとがきに欲しい?
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いる
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いらない