さてはオリ主だなオメー???   作:水代

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現実的に考えればまあ当然の話

 ・ゆうべはおたのしみでしたね

 

 

 アカリを救出して翌朝。

 気絶するように寝てしまったためアカリ共々起きた時には夜中の3時とかそんな時間だったせいで寝るに寝れず結局夜更かししてしまった。

 アカリの様子を気に掛けるが、どうやら初っ端から『さいみんじゅつ』で眠らされていた影響か、それほど精神的に苦痛を受けた様子も無くそこは一安心といったところか。

 でもなんだか少し気が抜けている……というか、いつもより呆けているというか……普段から言葉数が多いわけではないので分かりづらいが、どこか考え事に没頭しているような様子だった。

 

 まあトラウマになっているような感じではないのでいいの……かな?

 

 それはそれとして、夜の間やることも無かったのでアカリと2人で大会優勝の商品一覧の載ったカタログを開いていた。

 中には多種多様な品々が載っていたが、どれもこれも普通に買おうとしても中々手が出ないような高級品ばかりであり、さすがタマムシシティ主催の大会であると思わず唸った。

 でもまあボクは最初から目当てとする品があり、アカリも少し考えていたが同じもので良いとのことだったので本当にただ眺めるだけでしかなかったのだがそれでも目にすることすら難しいような品が写真付きでずらりと並べられたカタログを読んでいるだけであっという間に時間は過ぎ、気づけば夜が更けていた。

 

 朝になってすぐにジュンサーさんのところへと赴く。

 なにせ昨日はアカリを助けに行く直前に通報しており、しかもその後の全てを投げっぱなしにしてポケモンセンターに戻ったため事情を話さないといけないことが多い。

 まあ案の定子供が危ないことをするなと怒られたが、同時に人質を取られていて危険な状況だったことも理解はしてくれているようだったので大まかな事情だけ話してそれで解放される。

 犯人たちも無事に逮捕されたらしい。シャンデラに聞いたら気力が尽きるくらいまで魂を燃やしておいた、みたいなことを夢の中で言っていたので逃げる元気も無かったらしい。

 

 魂を燃やすってそれ大丈夫なの? という疑問は当然あるわけだが、シャンデラ曰く精神が壊れるくらいまでやりすぎなければまた元気になる、らしいので大丈夫だそうだ。

 

 ただのポケモンならともかく、薄々気づいていたがシャンデラはそういう意味では()()()()()()()なのでそういう人の倫理的な気づかいはあるらしい。

 同時にもうちょっと危機感は持ったほうが良いと怒られもしたが。

 一応同じようなことを起こさないためにもミュウの姿を簡単に人に見せないようにした。

 といってもただボールの中で大人しくしろじゃミュウだって退屈だろう。

 なので『へんしん』でメタモンに化けさせた。

 

 本人に聞いてもずっと『へんしん』を維持することは別に苦でも無いらしいので基本的には常時メタモンの姿でいてもらうことにした。

 これならバトルの時に別のポケモンに『へんしん』してもメタモンだからという言い訳がたつし、メタモンは多少珍しさはあるがいるとことにはいる、くらいのレア度なので人から奪ってでも欲しいというほどのものでも無い。

 

 すでにポケッターに流出した動画や先日の大会のことがあるのでしばらくは変装も必要だろうがそれも別の街に行ったりすればいずれ記憶からも風化していくだろう。

 

 これでバレて問題になるようならもうオーキド博士に頼るしかなくなる。

 幸いにしてミュウの観察記録という名目でミュウと遊んでいる写真たくさん送ったら激賞されたので多分なんとかしてくれる。

 いや、それでいいのだろうか? とは思うのだが、まずもってミュウが普段どんなことをしているとかだけでも誰も知らないし、何を楽しいと感じているのか、何が嫌なのかそういうパーソナリティ部分だってよく分かっていない……というより分かっている事実からの推測しか無かった。

 それに毛繕いしてあげた時の抜け毛とかは希少(ガチ)なサンプルとして博士が研究のため買い上げている。

 この抜け毛という名の生体サンプルの入手がミュウの研究者の間では激震が走るレベルのことらしく、そのミュウのためならばいくらでも協力してくれそうな感じはする。

 

 まあそういうわけで保険もかけつつ対策もしつつで次はスタジアムへと向かう。

 先日のこともあるのでアカリはピカチュウを出したまま、ボクも頭の上のイーブイはそのままに足元の影にシャンデラを潜ませながら受付へと向かい、カタログを出して商品の交換を行う。

 

「優勝おめでとうございます! お二人様のご希望の品をお持ちしましたのでこちらをお渡しいたします!」

 

 そんな受付の人の言葉と共に渡されたのはケースに入った透明な石のつけられた指輪が2つ。

 そして指輪の下に置かれたのは多色の模様の入った丸い石が複数。

 

「ご希望の『メガリング』2組と『メガストーン』のセットになります」

 

 それがこの大会に出ると決めた最大の決め手……ボクが何よりも欲しかった優勝商品だった。

 

 

 * * *

 

 

 ・挑戦! タマムシジム!

 

 

 新しい戦力を手に入れたら試してみたくなるのがトレーナーの性というものだが、残念ながらアカリの手持ちに現在メガシンカできるポケモンは存在しない。

 正確にはヒトカゲが進化してリザードンまで育てばメガシンカできるのだがアカリはまだ進化させるつもりはないらしい。

 

 以前も言ったがアカリはトレーナーとしてはガチ勢なのでどういう風に育てたいのか、ちゃんと計画を立て、理想値をヒトカゲと共有し、相互理解を深めながらじっくりと育てている。

 ガチバトルするならピカチュウという最強の戦力がいるからこそできる贅沢だが、そのお陰で推定レベルとしては30近いだろうヒトカゲは未だに進化せず基礎を積み重ね続けている。

 ゲームのようにただバトルさせ続けてレベルを上げ……みたいなトレーナーもいるがこちらは正直あまり大成しない。

 

 旅パと対戦パの違いとでもいうのか。

 

 努力値……正式にいえば基礎ポイントというものを明確に認識しているわけではないが、育て方一つでポケモンの能力値の方向性もまた変わるのがこの世界である。

 多分アカリはピカチュウを初手から暴れ回る先発エースに、ヒトカゲ……リザードンを最後に出す切り札的エースに育てたいんだろうな、というのは伝わって来る。

 そのための火力、タフネス、何より技術をまだしっかりと体ができていない未進化の今に叩き込むように育てていた。

 

 対してボクは現在の手持ちでいえばシャンデラがメガシンカできる……のだが、大会の商品として肝心のシャンデラナイト(シャンデラのメガストーン)が無かった。

 

 だからボクのほうもメガシンカできるポケモンがいない……。

 

「と思ってたんだけどなあ」

 

 シャンデラが影からゆらゆらとアピールをしてくるので何かと問えば『もう持っている』みたいなニュアンスが返って来る。

 首を傾げ、はてそんなもの持っていたかと荷物を探ってみる。

 

「……もしかして、これ?」

 

 そうして荷物の奥の奥、自分でも入れたことを忘れていたソレを……旅に出る日の朝、夢と共にベッドに転がっていた黒ずんだような丸い石を見つけた。

 それを手に取った瞬間、はらり、と黒ずみが剥がれ落ちるように抜けていき……残ったのは黒や白の混じった模様のついた紫色の珠。

 

「キミ、こういう演出好きだね」

「シャシャシャ」

 

 ゲームでも同じような演出があったのを思い出し、多分シャンデラの仕業だと予想する。

 だって自分自身だし……こういうの好きだなって分かっちゃう。

 あとはこれをシャンデラに持たせて……。

 

「どうやって持たせるんだろう?」

 

 ゲームなら持ち物で設定すれば所持できたがアニメとかだと確かスカーフとかアクセにして持たせてたけど……と思っているとシャンデラに影を伸ばしシャンデラナイトを掴むと。

 

「えっ」

 

 ひょい、とそのまま口に……口? なんか顔の下のほうに持って行ったらそのままメガストーンがシャンデラの中に消えたので多分食べたのだと思う。

 

「それってアリなの?! え、大丈夫?」

「シャシャシャ」

 

 問題無い、とでも言いたげなその様子に唖然としながらも紐を通して首から下げたキーストーンのついた指輪(メガリング)を掴む、と同時にキーストーンが反応したので問題無いのだろう、本当に?

 まあ行けそうならやるか、とアカリとタマムシジムに向かう。

 道中で話したがどうやらアカリは今回は普通にジム戦をするらしい。

 

「ヒトカゲ、そろそろ、進化……させたい」

 

 タイプ相性の良いタマムシジムで進化前の最終調整といくらしい。

 逆にこちらはメガシンカを試したい……となるとシャンデラを出すしかないのでガチバトルで頼みたいところ。

 問題はジムリーダーが今どちらなのかということだが。

 

「お~ほっほっほ! よく来ましたわチャレンジャー! 私がこのジムのジムリーダーローザですことよ!」

 

 普通にローザ姉だった。

 

 

 * * *

 

 

「ジムの役割というものをご存知かしら?」

 

 最初にアカリが挑む、という段になりローザ姉が語りかけてくる。

 すでにフィールドの準備はできており、いつでもバトルができるという状態。

 そんなフィールドの端で、ボールを片手にローザ姉が滔々と語りだす。

 

「公認ジムとはただバッジを渡せば良いというものではありませんわ。それを渡すに相応しいかを試すための場所、そしてトレーナーがより成長していくための場。それがジム」

 

 だから。

 

「ジム戦とは常に挑戦者に問うのですわ」

 

 いうなればそれはジムごとのテーマと言ってよい。

 

 例えばニビジムならば『トレーナーの知識』を試してくる。

 イシツブテやサイホーン、イワークといった4倍弱点を持ったポケモンを出すことでタイプ相性を把握しているか、または『ぼうぎょ』の高さに反比例するかのような『とくぼう』の低さを突けるかの種族についての知識を持つか。

 そういうトレーナーとしての基礎的な知識を試すためのバトルをしている。

 

 例えばハナダジムならば『トレーナー戦術への対策』を試す。

 『フラッシュ』を起点とした視覚を封じてくるヒトデマンや水中で猛スピードで泳ぐアズマオウなどあえて一芸に特化させたポケモンたちとバトルし、バトル中に或いは再戦時に対策を打てるか。

 そういうトレーナーとしての応用力、或いはメタを張る力を試してくる。

 

 例えばクチバジムならば『トレーナーの育成能力』を試してくる。

 同じバッジ数で比較するなら全ジムで一番レベルの高いポケモンを出す反面バトル自体は癖も無く普通に戦って来る。

 相性など工夫の余地はあれど1対1のバトルを要求される以上それで覆せるだけの基礎能力が必要となる。

 そういうトレーナーとしての最低限の育成能力を試してくる。

 

 そしてタマムシジムは。

 

(わたくし)が挑戦者に問うのは『トレーナーとしての対応力』! 最初に宣言しておきますが、このジムにおけるバトルにおいて『技の数に制限はありません』わ」

 

 ボールを持った手を突き上げ、高らかに宣言する。

 

「さあ、『くさ』タイプのポケモンの持つ多彩な技の数々、味わってみなさいな!」

 

 そんなローザ姉の言葉と同時にバトルの開始が告げられ。

 

 互いがボールを投げた。

 

 

 * * *

 

 

 アカリの初手は最初から言っている通りのヒトカゲ。

 対してローザ姉の初手はフシギダネだった。

 互いのポケモンがフィールドに登場し、いざ指示を……とその直後にフシギダネがその背のつぼみから『しびれごな』を飛ばす。

 

「っ……ヒトカゲ」

 

 即座にアカリが一声かければヒトカゲが『かえんほうしゃ』をまき散らし、飛来する粉塵を全て焼き払う。

 どうやら場に出た瞬間に『こな』技を使うようにローザ姉が予め指示していたらしい、それならトレーナーの指示が出るより一瞬早く動ける。

 

「あら、防がれましたのね、なら次ですわ!」

「ダネ!」

 

 次いでフシギダネがその背から『タネマシンガン』を飛ばす。

 アカリがヒトカゲに回避を指示し、ヒトカゲが動くがしっかりと狙い定められたせいか、回避しきれず数発受ける。

 ダメージ的には『いまひとつ』だが命中した種が直後にヒトカゲの体に根を張り始める。

 

「……『やどりぎのタネ』、飛ばした」

「お~ほっほ! 正解ですわ、さあどうします? これで耐久レースは私の有利ですわよ」

「問題ない、ヒトカゲ」

「カゲ!」

 

 ヒトカゲが『ニトロチャージ』を発動し、全身に炎を纏って巻き付いた『やどりぎのタネ』を燃やし尽くす。

 ゲームだと絶対にあり得ない処理だが、まあ現実的に考えて体に巻き付いた植物なんて全身が炎に包まれれば一緒に燃やされるのは自明の理だ。

 そう考えると不可思議ではない……のだろう、ボクはこの辺りちょっとまだゲーム脳というか固定概念みたいなものがあるせいで受け入れ難いが。

 

「今度は、こっちの番」

 

 呟きと共にヒトカゲがモクモクと『えんまく』を吐き出し、フィールド一帯が煙で覆われる。

 視界が塞がれ、フシギダネが一瞬戸惑うが……。

 

「『あまいかおり』で誘いだしなさい」

「……ダネ!」

 

 即座に飛んで来たローザ姉のフォローで動き出し、『あまりかおり』を放てばヒトカゲの足が僅かに鈍る。

 大きく息を吸って『かえんほうしゃ』を狙っていたはずのヒトカゲの動きが一瞬止まったのと同時に煙の中で僅かに見えたシルエットから即座にヒトカゲの位置を見つけ出し。

 

「今ですわ! 『どくどく』!」

「ダネ!」

「っ……ヒトカゲ」

「カゲ!」

 

 『どく』タイプが使うと必中になるのが『どくどく』という技の特徴だが、現実的になぜ必中化するのかと言われれば『どく』タイプが使うと毒霧のような気体状で散布できるからだ。

 通常の『どくどく』が液体を相手に飛ばすのだとすれば、スモッグのように毒の霧をフィールド一帯に引き延ばすのが『どく』タイプの使う『どくどく』だ。

 当然ながらフィールド状にいるかぎり避けられるものではない。

 

 故にヒトカゲに迎撃を命じる。

 

 『かえんほうしゃ』で毒の霧を焼却することで必中のはずの『どくどく』を回避する。

 同時にアカリはこのまま遠距離で撃ち合っていると相手の技の迎撃しかできないことを察したのか、ヒトカゲに『でんこうせっか』を指示すると瞬く間にヒトカゲが間を詰めていく。

 

「なっ!?」

 

 普通は覚えることのないその技にローザ姉の意表が突かれたのか一瞬指示が止まる。

 当然その時にはすでにヒトカゲはフシギダネの目の前で。

 

「燃やせ」

「カゲェェ!」

 

 全力の『かえんほうしゃ』が防ぐことも避けることもできない距離で、タイミングで放たれフシギダネが炎に包まれ―――。

 

「ダネェ……」

 

 目を回した。

 

 




通常ヒトカゲは『でんこうせっか』を覚えませんが、なんかウィキで調べたところ配布限定か何かの特別なヒトカゲは覚えてるみたいです。
このことから少なくとも種族的には覚えないが覚えることは不可能ではない、ということにしました。
簡単にいえばドラゴンタイプなら覚えれるけど教え技以外では絶対に覚えない「りゅうせいぐん」的な扱いですね。

作者の他のポケモン二次でも共通する思想というか設定ですが、ポケモンの覚えることのできる技というのは『能力的資質』と『身体的資質』の2つで決まると思ってます。

能力的資質というのは簡単にいえば『そのタイプの技を扱う才能』で、例えば特定タイプの技をレベルアップやわざマシンでは覚えないが遺伝では覚える。みたいな感じ。
例えば作者の好きなボーマンダだと遺伝技で『ハイドロポンプ』覚えますが、遺伝以外では覚えません。それはそのタイプの技を扱う才能を遺伝した、という解釈にしてます。

身体的資質はもっと簡単で『技を発動できる部位があるか否か』です。
すっごい雑にいいますがカイリューとかボーマンダが「ドリルくちばし」使えるかってそういう話。
使えたら安定のひこう技打点もらえてうれしいかもしれないが現実にはクチバシが無いのに使えるわけないだろ、という話です。

羽の無いポケモンが『はねやすめ』や『そらをとぶ』を覚えるか、とか(一部ゴルーグみたいな例外あり)。
発動する部位が限られている技はその部位を持つポケモンしか覚えられない、ということです。

手持ちポケモンの現在レベルとかあとがきに欲しい?

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