・これがゲームなら出禁になるところだった
アカリと友達になってから1年近く経ったが未だにボクたちの仲は良好だ。
この1年で分かったことだがアカリはクラスでは無口で無表情で他人に興味なんて無い人、なんて言われてるがそれは間違いで基本的にただのオタク気質のコミュ障だった。
オタク気質というと悪い意味みたいに思われるかもしれないが、要するに興味を持つ範囲が狭く深いのだ。
それはまあクラスに溶け込めないはずだ、アカリは自分の興味の持てることしか会話しようとしないコミュ障だが、同時に興味を持てる範囲というのがひどく狭いオタクなのだから。
ところでぼそっと言っていた宇宙人って何のことだろう……?
だからこそというべきか、一度興味を持った相手に対してアカリは距離感がガバい。
その対象にボクが入っているという事実に未だに戸惑うくらいだ。
まだ子供だから良いのだが、この子成長したらどうなっちゃうんだろうって友達として心配になるくらいに距離感がガバガバだった。
アカリには情操教育が必要である。
一緒に過ごしている中でそれを何度も感じた。
それを育むための学校では? と思うかもしれないが、アカリは基本的に学校でもボク以外のクラスメートに関わろうとしないため何の情操教育にもなってない。
そういうわけでまずはクラスメートと会話するところからと思うのだが、これが本当に難しい。
ゲットしたピカチュウを学校に連れて来たアカリは一瞬でクラス全員に囲まれた。ボクの時より興味を持った子が多いのはピカチュウとヒトモシの人気の差だとでもいうのか……ぐぬぬ。
だがあろうことかアカリは興味津々に自分の元へとやってきたクラスメートに一言。
―――じゃま。
そんな『ぜったいれいど』の温度感にクラスメートはすごすごと引き下がる。
だがそれでもなんとかピカチュウを撫でまわしたいというクラスメートが多く、それが鬱陶しかったのか学校から帰るまでの間、ピカチュウを教室の後ろのロッカーの上に立たせてそちらにクラスメートが引き寄せられている間にボクのところにやって来ていた。
まあピカチュウもピカチュウというか目を輝かせてみんなが自分に殺到してくるというアイドル状態に気分を良くしたのかふんす、と仰け反りながら得意げな表情で殿様気分を味わっていた、可愛いね。
そんなわけでどうにかこうにかアカリのコミュニケーション能力を向上させようと試行錯誤してみたわけだがどうにも上手く行かないままに早一年が経とうとしていた。
学年が1つ上がったわけだが、ボクたちの生活に特に大きな変化は無い。
毎日一緒に学校に行って、授業を受けて、一緒に帰って遊んだり、休日にはたまにバトルしたり。
アカリにトレーナーとしての知識を詰め込むごとに徐々にトレーナーとして強さを増していき、半年くらい前についに初めての敗北を喫した。
珍しくアカリが分かりやすく表情を変化させて笑っていたのでよく覚えている。
まあボクとしてはアカリの才能については分かっていたのでついに来たか、という感じだが。
とはいえボクだって負けっぱなしじゃない。
次のバトルではきっちりリベンジしたし、それからは勝ったり負けたりを繰り返している。
何度もバトルする中でボクもまたこの世界におけるポケモンバトルというものに慣れてきたのは大きな収穫だろう。
……因みに『ちいさくなる』と『あやしいひかり』でリアルで害悪戦法かまして勝った時はさすがにぽかぽか叩かれた。
そしてその次のバトルで『ちいさくなる』で親指よりも縮小したはずのヒトモシに勘だけで攻撃を当てられて負けた時はさすがにびびった。
そんな最近のボクたちのブームは技の開発だ。
ゲームならレベルを上げていくと自然と技を覚えたりするのだが、そもそもリアルだとレベルってなんだよ、という話なので自然と覚えるに任せるとかなり時間がかかったりするらしい。
母さん曰くそういう時はトレーナーの側で習得補助をしていくのが育成の一環らしく、知識の中にあるヒトモシが覚えそうな技を片っ端から試している。
一番難易度が低いのは既存の技からの改修らしく、実際ボクが一番最初に成功したのは『ひのこ』から始めていった『はじけるほのお』だ。
やはり使いやすい『ほのお』技として『かえんほうしゃ』あたりが欲しいというのは元プレイヤーとしての感想だが、まだ未進化状態の今『はじけるほのお』は十分な威力を持った技ではある。
ただし母さんの見立てではまだ技として完全ではないらしい。
分かりやすく言えば元威力70のところが威力60くらいしか出ていないのだとか。
じゃあどうやったら完成するのか、といえば何度も使って慣れていく。或いは強敵と戦って強さを磨く。
そして確実なのが進化すること。
ゲームだと無かったことが、ポケモンの技というのはそれなりに反動がある。
反動というのはつまり技を撃つことによる体への負担のようなものだ。
『すてみ』対象の技による反動ダメージとはまた別で、あれはHP回復すれば治るがこちらは体の芯へ蓄積する。
人間が激しい運動をするようなもので、要するに無茶し過ぎるとポケモンの頑丈な肉体ですら壊れかねないからこそ強制的にセーブがかかっているのだ。
だから使いまくって無理矢理に体を慣らすか、強さを磨いて反動に耐える体を作るか、進化してもっと強靭になるか。
この3つに絞られるのだとか。
まあ技マシンを使えば一瞬で完成系を習得できるらしいが、例えば『だいもんじ』の技マシンとかヒトモシに使えば今すぐにでも覚えることはできる。
ただし体に慣らさない状態でそんな大技使いまくると肉体が致命的なダメージを負うことになり、最悪の場合は後遺症で以降戦闘ができない体になったりするのだとか。
まあゲームじゃないのだし、現実的に考えれば納得できる話ではある。
でもアカリのピカチュウは自力習得した『10まんボルト』を平然とした顔で連発しているが……あのピカチュウやっぱおかしくない?
ヒトモシは『はじけるほのお』を使うのに少しの間とはいえ溜めがいるので使いどころを考えさせられるのに、アカリのピカチュウは通常攻撃みたいなペースで『10まんボルト』を連発してくる。
いくらピチューの進化系とはいえ種族値的に考えればピカチュウってそんな強いポケモンじゃなかったと思うのだが。
でもサトシくんのピカチュウもピカチュウなのにやたら強かったし、この世界における『レッド』もまたピカチュウをエースにしているらしいのでやっぱりゲーム知識もそんなにはアテにならないのだろう。
そんなピカチュウの相手もそろそろヒトモシのままでは厳しくなってきたが……ゲームにおいてヒトモシの進化レベルは結構高かったはずなので、まだまだ先の話だろう。
それと最近になって気づいたことがある。
発動する機会が無さ過ぎて本当に最近まで気づかなかったのだが、ヒトモシの特性のことだ。
アカリが遊びに来ない日に、母さんの手持ちの遊び相手をヒトモシで務めたことがあった。
それで母さんがそろそろ終わりにしようと手持ちをボールに戻そうとして……戻らなかった。
ボールの機能は発揮されているはずなのに、レーザーが母さんのポケモンに当たっても収納機能が発動しないのだ。
なんでだろう、と首を傾げるボクと母さん。
だがボクがヒトモシをボールに戻した途端に、ボールが機能を取り戻しポケモンを収納した。
一瞬の沈黙。
母さんもそれに気づいたのか、もう一度手持ちを呼び出し、ボクにヒトモシを出すように告げる。
まさか、と思いながらヒトモシを出してみればやはりポケモンが戻せなくなっていた。
そう、まさかのまさか。
このヒトモシ。
ゲームだと終ぞ実装されることの無かった第五世代の幻の存在。
特性『かげふみ』のヒトモシだった。
* * *
『かげふみ』持ちのヒトモシ系統はゲーム時代、データの中にだけあることが許された存在だった。
後投げ*1からの対面固定ができるサイクル戦*2というものを否定する極悪な特性なので隠れ特性持ちのヒトモシが正式に実装された6世代には『すりぬけ』に変更されてしまったある意味で幻*3のポケモンだろう。
ただしデータとして存在した以上は現実でも存在する可能性はある……というのはこじつけだろうか?
だがまあどうこう言っても今現実に存在するのだから仕方ない話だ。
『かげふみ』のゲーム的な効果としては『相手が交代できなくなる』という一点に尽きる。
ただそれだけと言えばそれだけだが、これがあまりにも猛威を振るったのは6世代のメガゲンガーを見れば明らかだろうし、なんだったらゴチルゼルというのもありだ。
対策できなければたった一手で詰む可能性があるのが『かげふみ』持ちの恐ろしいところであり、サイクル戦を前提として組まれたゲーム時代の通信対戦において交代を封じる効果はあまりも強かった。
で、それを現実に置き換えるとどうなるのか。
一言で言えばチートだった。
まだヒトモシにはできないが、母さんが『かげふみ』持ちのポケモンと戦ったことがあり、その経験からどんなことができるのかおおよそ知っていたのだ。
交代ができなくなる。
これの解釈があまりにもガバ過ぎて、馬鹿じゃないのかと言いたくなった。
ボールの収納機能が使えなくなるなんてほんのさわりくらいの効果だ。
その本質は『影伝いに間接的に相手の動きを止める』ことにある。
例えば『つるのムチ』などで相手を拘束して動きを封じるようなことはバトルでもよくあるが、それを『相手の影』に対して『自分の影』を使って行えるのだ。
これがどういうことか、と言えば。
技も使わず、しかも『かげふみ』持ちや『ゴースト』タイプ以外には防御不可の拘束効果を与えることができるということだ。
勿論技を使った場合と比べて拘束力は低いらしく、一瞬の足止めくらいにしかならないらしいが。
ゲームで簡単に例えるならば『相手の技の優先度をー1する』という効果だと思えば良い。
相手の動きが一瞬止まる、つまり一手遅れる。ヒトモシが最終進化まで行っても決して高速アタッカーとはいえないポケモンだ、だが相手が止まってくれるのならばその上からその圧倒的火力を叩きつけることができる。
いや、馬鹿では???
と思ったボクは正常だろう。
そう思うわけだが、実際にはポケモンの特性とはゲーム時代の効果を持ちつつ、それを上手く生かせばさらに別の効果が得られるということであり『かげふみ』だけが異常なのかと思えば別の特性だって使い方次第でとんでもない効果を発揮することがあるのだとか。
いや、リアルポケモンバトル怖すぎない???
もはやプレイヤー知識なんてどれほどアテになるのか分かったものじゃない。
それでもあっちこっちの地方で高位のトレーナーとして数えられている転生者らしき人たちが数人いるが、ちょっと本気で尊敬する。
こんな魔境世界でよくそこまでたどり着いたものだと感心すらする。
そしてそんな魔境世界で天才と評するしかない子がいる……そうアカリである。
『かげふみ』が悪用できるようになって高速アタッカーのピカチュウの動きを制限して火力で押し切るという戦法を取った次のバトル。
具体的には前々回のバトルでついにアカリはやらかした。
実機効果で『でんき』タイプ。物理技。威力50、命中100。特筆事項優先度+2、確定急所。
これ何だ?
答え、前々回ボクのヒトモシがアカリのピカチュウにぶちかまされた技。
―――ばちばちアクセルじゃねえか!!!
って叫びたくなったボクは悪くない。
なんか強すぎない? あのピカチュウ。と思っていたボクの感覚は正しかったらしい。
アカリのピカチュウはただのピカチュウではない。
相棒ピカチュウだった。
お前やっぱ主人公じゃねえか!!!
というツッコミはさておき相棒ピカチュウについて説明すると、ゲーム『Let's Go! ピカチュウ』で最初にゲットするピカチュウのことだが、通常ピカチュウより種族値が全体的に高い上に個体値6Ⅴ固定*4とかいう頭のおかしい設定をしており、一番の特徴として『相棒わざ』が使えることにある。
他のポケモンには使えない『相棒ポケモン』にだけ許された技なのだがランクマッチの無い外伝環境だったせいか、或いはピカチュウやイーブイという決して種族値的に強いとはいえないポケモンを相棒枠とするせいかそれを補うかのように技の性能がぶっ飛んでいる。
『ばちばちアクセル』はその中の1つであり、確定急所とかいう強い効果の割に威力50という『でんこうせっか』に足の生えた程度の、でも『でんき』技だからピカチュウが使うならまあタイプ補正*5で『でんこうせっか』より強いかなくらいの威力なのだが、優先度+2というあまりにもぶっ飛んだ性能のせいで大半の物理技を必要無くしたピカチュウのぶっ壊れ相棒技の1つだ。
優先度というのは要するに『技の出の早さ』だ。高ければ高いほど先に技が出せる。
大半の技は優先度0で、これが基準にされているのだが例えば『10まんボルト』と『ばちばちアクセル』を同時に撃つと1秒くらい先に『ばちばちアクセル』が発動してまだ『10まんボルト』をチャージしている相手に対して攻撃が当てれる。
『でんこうせっか』もまたゲームだと優先度+1、つまり大半の技よりは早く出せる技であり、例えば強い攻撃で相手のHPを削っていき、あと1発で倒せるけど相手のほうが素早さが高く先制される。という状況で優先技で相手より先に攻撃することで攻撃順の逆転が起こり勝てる、ということがゲームでもよくあった。
ただしゲームだと優先技というのは往々にして早く出せる代わりに威力が低い、という欠点があった。
なので基本的に威力40の『でんこうせっか』を1ターンかけて撃つよりも威力90でタイプ補正で威力135で撃てる『10まんボルト』のほうが1ターンかけて撃ったほうが圧倒的に強い。
だが現実にはターンなんてものは無い。優先技というのは相手の出鼻を挫くのにも使えるし、足の速いポケモンが優先技を連打すると相手が1手行動する間に2度も3度も当てれる、なんてこともあり得た。
その上で、優先度+2というのは破格だ。
大半の優先技というのは+1まで、+2以上となると大半が変化技*6であり、+2以上の攻撃技となると『しんそく』『フェイント』『であいがしら』『ねこだまし』『はやてがえし』の5種類くらいしか存在しない。
ただし優先度3の『ねこだまし』は場に出たターンしか使えないという制約があり、『はやてがえし』はいつでも使えるが相手が優先技を使ってこないと失敗する。『であいがしら』は高威力の優先度+2だが『ねこだまし』と同じく場に出たターンのみ。
つまり無条件で敵を攻撃できるのは優先度+2が限度であり、『しんそく』は威力80と強いがどのタイプにも弱点がつけない『ノーマル』タイプ。『フェイント』は『まもる』状態を解除できるが威力30とダメージに期待ができない。
その上で『みず』『ひこう』に抜群をつける『でんき』タイプ、しかもタイプ補正と確定急所により実質威力112で優先度2、しかも急所を突くので相手の能力ランクを無視できる『ばちばちアクセル』はピカチュウが使うという点を除けば性能が壊れている。というかピカチュウだから許された性能と言える。
問題はこの世界どうもアニポケっぽいというか、ある程度ゲーム時代の能力値は参照になるのだがポケモンの調子一つで能力は増減するし、テンションが上がると技の威力まで上がる無法バトルが基本なのでピカチュウだからと舐めると普通にワンパンされかねない。
で、そんな世界で高速アタッカーのピカチュウがさらに『しんそく』クラスの超スピードぶん回しながらテンション増し増し技威力も増し増しにかっとんで来るのだ。
実質ノーデメの神速ボルテッカー乱発されてるのと何が違うのか。
しかもこのピカチュウ特性が『せいでんき』なのだが特性の使い方がちょっとおかしい。いや寧ろ正しい気もするのだが。
ゲーム時代『せいでんき』の効果は相手から直接攻撃(接触技)を受けると30%の確率で相手を『まひ』状態にする。という効果だったわけだ。
同じような効果に『ほのおのからだ』や『メロメロボディ』『のろわれボディ』なんかもあったわけだが、あれ見て一度は思わなかっただろうか。
―――なんでこっちから接触技撃った時には反応しないんだよ。
A.現実仕様だと反応します。
しかも『でんき』技を使っている時は活性化でもしているのか発動確率が上がっているぽく、多分確率2倍くらいになっている。
さてこの特性を先ほどの技と合わせて使うとこうなる。
『ばちばちアクセル』
タイプ『でんき』
技威力50
命中100
優先度+2
必ず急所に当たる。
60%の確率で相手を『まひ』にする。
―――馬鹿では???
この世から出禁にしろと言いたくなる。
なんせ一番アカリとバトルをするのはどう考えてもボクなのだ。
こんなのと戦いたくない。なんだこのチートモンスター。強すぎるというかもう反則だろこんなの。
一度『まひ』すれば最後、どうにもならない圧倒的速度差でなぶり殺しにされ続けるとかいう悲惨すぎる末路が待っている。
これまでアカリのピカチュウが使える接触技が大半『ノーマル』タイプだったせいでヒトモシに通らず発動しなかった特性だが、『ばちばちアクセル』という強力過ぎる接触技を使えるようになったせいで特性で能動的に『まひ』させられるようになってしまった。
しかも『ばちばちアクセル』自体がとんでも無く速い上に攻撃を受けて吹っ飛ばされている間に2発目の準備が整っているので実質的に一度攻撃を受けたらそのまま確実に『まひ』まで持っていかれるし、なんだったらそのまま動けない間に倒される。
どうしろとこんなもの???
と思ったのだが、まだ技自体が未完成なのか『でんこうせっか』で加速をつけながらでないとうまく発動させられないし、使う直前に強く足に力を溜めるのに気づいたので前回のバトルではその瞬間に『かげふみ』で片足だけ拘束したらそのまま転倒して技が失敗したのでそのままフルボッコにして勝った。
―――でも多分次にやる時はそれも対策されるんだろうなあ。
そんなことを考えて気が重くなる。
アカリの相手をするのは日に日に難易度が上がっていく。
特に相手が相棒ピカチュウとあってはさすがにヒトモシのままでは根本的能力が足りない。
―――そろそろ進化してくれないかなあ。
最近切にそんなことを願い始めた今日この頃だった。
* * *
・キャンプシーズン到来
今年の夏にオーキド博士がポケモンキャンプをやるらしい。
そんな噂が聞こえたと思ったら学校ではその話題で持ち切りだった。
オーキド博士はポケモン研究で有名な博士だが、同時にラジオなどを通してのポケモンの情報の発布、それに子供たちへのポケモン教育が熱心でもあることをマサラタウンの子供ならみんな知っている。
ゲームではあまり物語に関わらないし、アニメでもいまいちギャグキャラみたいな扱いをされる人だが現実では偉大な研究者であると同時にポケモン広報の第一人者、他にも色々な分野に関わりを持つ二足どころか五足六足の草鞋を履いている歴史に名が残るレベルの偉人だ。
先も言ったが子供たちへのポケモン教育に熱心な人であり、ポケモントレーナーにならずともポケモンに興味を持ち、関ることは人生を豊かにしてくれるという理念の元に地域の子供たちに積極的にポケモンを知る機会を与えてくれる。
マサラパークとの提携もその一環であり、また今回のようなイベント事を時々やるのもその一つだ。
ポケモンキャンプは簡単に言えば野生のポケモンの生態をみんなで観察してみようぜ、ということであり自然の中でポケモンがどのように過ごしているのかを知り、ポケモンにもっと興味を持ってもらおうという企画だそうだ。
結構規模の大きいイベントらしく、今回はマサラタウンの子供だけでなく周辺の街からも子供たちがやってくるらしい。
そんなに人数集めて大丈夫? マサラタウンド田舎だよ? とも思ったがどうやら日程をずらしながらグループ分けしてやるらしい。
1泊2日でマサラタウン周辺を巡りながら途中のキャンプ場で1泊してその後マサラパークの研究所区画を見学して夕方には終了らしい。
というわけでボクとアカリも参加である。
アカリは他の子供もいるしどうかな、と思ったらポケモン関連のイベントだったので参加するらしい。
母さんに参加申請を頼んでこれで良しと一安心。
キャンプ用品などは研究所側で用意、設置するらしいので心配は無いとして、あとは……。
ヒトモシって連れていって良いのかな?
という疑問があったので母さんに確認を取ってもらうとボールに入ってれば良いよ、とのことだった。
ただし勝手に動かれると見てる側が大変だから出す時は夜のキャンプの時だけにしといてね、とのこと。
そういうわけで必要なものは着換えくらいであり、特別用意するものも無く日々が過ぎて行き……。
学校が夏休みになるとキャンプの日ももうすぐに迫っていた。
「アカリさ」
「……?」
「夏休みになってから毎日来てるけど宿題やってる?」
「…………」
「こっち向きなさい。あのさ、休み明けに困るのアカリなんだからね?」
「……ん」
「全く……去年はどうしたのさ」
学校の夏休みには当然ながら夏休みの宿題というものが出る。
そりゃもうどっさりと。
ただまあボクは前世の記憶を思い出したお陰で小学生レベルの問題なんてイージーなのでせっせと終わらせている。
そうなると気になるのは夏休みになってから毎日朝から夕方までうちに入り浸っているアカリなわけだが、案の定というべきか手を付けていないらしい。
去年はどうだったのだろう? 友達になったのが2学期の初め頃、携帯獣学の授業があった日以降なのでアカリが夏休みどうだったのか知らないのだが先生に怒られていた様子は無かったので多分ちゃんとやっていたと思うのだが……。
「だって……」
責められているような気なのかちょっとだけ不機嫌オーラを発するアカリがぷい、と顔を背けて。
「リンくんと一緒に遊ぶの、楽しい……」
そんなことを真っすぐに言ってくるので思わず言葉に詰まる。
「去年は……やること、無かったし」
唇を尖らせて呟くアカリに、はぁと深く溜め息を吐く。
「じゃあ、一緒にやろうよ」
「……ん?」
「明日来る時は宿題持ってくること。そしたら一緒にできるから、ね?」
「……うん」
1年近い付き合いの中でアカリの扱い方も分かって来たお陰か、ボクの言葉に素直に頷く。
「取り合えず今日はボクが宿題持ってアカリの家に行こうか」
「いいの?」
「良いよ。もうすぐポケモンキャンプだし、ある程度目途を付けて気分良く遊びたいしね」
「……ん、分かった」
そういうわけでその日はアカリの家に行き、2時間ほど夏休みの宿題をやる。
人の集中力は基本的に1時間も持たないので課題1つにつき30分の制限時間を設けて30分勉強したら30分お茶やお菓子を摘まみながら休憩し、そうしてまた30分勉強をしてのサイクルを作る。
子供だともっと集中が短くなりがちなのだが、アカリは集中しようとすればしっかりできるらしく、30分しっかりと集中して宿題を解いていた。
横から見ていたが比較的淀みなく手が動いており、別に勉強ができないというわけではないらしい。
まあ何だかんだ1か月もしないうちのあのタイプ相性表を完璧に記憶していたのだから座学も苦手ではないのは察していたが。
そうしてポケモンキャンプの日まで毎日アカリと2人で宿題を片付けていく。
ボクは最初からやっていたのもあって余裕をもって終わったが、アカリはスタートダッシュが遅かったのもあってどっさり残っていたがどうやら夕方以降に家でもコツコツやっていたらしくキャンプ前日にはほとんど終わっていた。
残りは前世と同じように自由研究課題みたいなのもあるがこれはポケモンキャンプのことでも書けばいいかなとアカリと話しているので問題無いだろう。
そういうわけでキャンプ前にほとんどの課題を片付けたので何の憂いも無くポケモンキャンプを謳歌できるというものである。
そうして迎えたキャンプ当日。
「ボクはトキワシティから来ましたヒマワリって言います。一緒のグループですよね? よろしくお願いしますね」
!?
「オレはシゲル様だ。取り合えずおれさまの邪魔だけはすんじゃねえぞ」
?!?!?!
「あ……私フタバっていうんだ、よろしくね?」
????!!?!????
…………。
……………………。
………………………………なんで???
せいでんき系の特性の説明文見て、なんでこっちの攻撃じゃ付与されないんだよ???って思った人は多いはず。
まあバランス調整ですって言われたらそら当然だよなってなる。
バランス投げ捨てたら? そらこの小説みたいになるんだよ。