サメメイドと極悪殺し屋ちゃん 作:─────
バレエツインズの中でのみ仲間として行動することになったヴィルトゥオーザ。
プロキシことリンが軽く彼女に状況を説明し、一同は再び目標へと歩き始めた。
「──止まって」
突然、彼女が一同の動きを阻む。
その直後、先頭だったライカンが今まさに足を踏み入れようとしていた床から大量の釘が天井目掛けて射出された。
「ここはしばらく私の狩場だったから、ここの罠は私が全部知ってる……だって私が仕掛けたからね!」
「ここを、狩場に?」
「そうそう、ターゲットをここまで誘い込んで、罠に嵌めて殺すの。ホロウに置いとけば死体は結晶化して消えるし、楽なんだよね〜」
彼女の発言に、周囲の仲間から非難の目線が集まる。
しかし、彼女はあまり気にしていない様子で、半笑いで
「そんな睨まないでよ〜、私の生活がかかったライフワークなんだからさ」
「……失礼ですが、その年齢でなぜ殺し屋を?」
彼女の言動と背丈からエレンと同い年程度の人物だと推察したライカンが思わず問うと、ヴィルトゥオーザは首を傾げる。
「お金が貰えて、楽しいから。……育ての親も殺して、今更止まると思う?」
彼女の声には、後悔や懐古のような感情は一切感じられない。
彼女はどこからか取り出したバタフライナイフを手慰みに弄びながら歩き、所々でしゃがんで進路上のトラップを無効化していく。
リンがボンプの体を利用してこっそりと覗き見ると、トラップには錆びた釘、エーテル爆薬や雑多な刃物など、場所によって様々な種類の殺傷能力のある物が仕込まれていたようだ。
「……うん、これでこのあたりのトラップは全部解除できた。次は制御室だっけ?」
「制御室と発電室、二手に分かれて作業を行う手筈です」
「ん〜、じゃあ発電室でいい?私、ここのシステムの使い方とかわかんないから」
──────────
そうして、彼女はエレンとカリンの二人と共に発電室へと向かうこととなった。
「それで、どうしてこっち来たの?」
「制御室じゃ役に立てそうにないってさっき──」
「ココ、あんたの狩場なんでしょ?それじゃあ、知ってるはず」
「……ん〜、やっぱり頭いいねえ」
彼女は面倒くさそうにマスクに手を当ててため息を吐き、説明のために口を開こうとした時、3人の後方から大声が響く。
「全員、その場で手を上げろ!」
反乱軍の兵士が物陰からぞろぞろと姿を表して三人を取り囲む。
「は、はわわわ……」
「こーゆーこと、さっきからチョロチョロ付き纏っててさぁ。人数減らしたら食いつくとと思ってたから、メインのプロキシちゃんから離れたかったワケ」
「年貢の納め時だな、ヴィルトゥオーザ。お前の悪趣味な演奏も今日で終演だ」
「アハハ、本当にそうだと思う?」
兵士の頂上に、ヴィルトゥオーザは乾いた笑いで返答した。
「最後に言い残すことはあるか?」
銃器を持った兵士で取り囲んだからか、彼らを率いるリーダー格の男は彼女を侮った態度を隠さず、挑発的な言葉を投げかける。
「ん〜?じゃあ、一つ質問。お前たち、私を殺すためだけに来たの?」
「二部隊だ。お前の始末と、もう一つ」
「それじゃあ、そうだねぇ」
彼女はエレンの方を向いて
「いい感じのタイミングで、カリンちゃん抱えて逃げてね」
「…は?」
この状態からどのように逃げろと言うのかと聞こうとした直後、ピピピっという電子音が響く。
そして、壁から飛び出した釘が隊長格の男のヘルメットを貫いた。