サメメイドと極悪殺し屋ちゃん   作:─────

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隊長格の男の体がバタリと地面に倒れ伏す。

兵士たちに戸惑いが生まれた次の瞬間、エレンはカリンを抱えるとシリオンの膂力を活かして兵士の上を飛び越えて本来の目的地の方向へと走る。

 

「──ふ、ふふふ……アっははははは!!!」

 

走るエレンの後方から悪魔のような高笑いがこだました。

 

────────────

 

兵士に囲まれた中心で背をのけ反らせて大声で笑うヴィルトゥオーザ。

数秒の間呆気に取られた兵士たちだったが、最初に我に帰った一人が叫んだ

 

「奴を撃ち殺せ!」

 

その声に全員が我に返って銃を構える。

銃を構え、引き金に指を置いたその時、ヴィルトゥオーザが駆け出し一人の隊員の首に取り付いた。

取り付かれた隊員はパニックになり彼女を振り落とそうとするが、その過程で銃を振り回し、引き金を引いてしまい流れ弾で三人の兵士が命を落とした上、取り付かれた兵士もまた首を掻き切られて死んだ。

この四人の死によって部隊は完全な恐慌状態に陥り、兵士の一人が仲間の死体ごと彼女を貫く覚悟で引き金を引いた。

しかし、死体の後ろに彼女はいなかった。

 

「こっちだよ?」

 

背後から兵士の背をナイフを伸ばしたような形状の長い刃物が刺し貫き、刃が胸まで貫通した。

 

「はははっ……あっははははは!!ねぇ、なんで反乱軍ってのはこうも馬鹿ばっかなんだろうねぇ?ねぇ兵士くん!なんでだと思う!?」

 

彼女は笑いながら別の兵士に問いを投げかける。

兵士は面白い回答をすれば見逃されるかもしれないと思い込み必死に回答を考えた。

しかし、兵士が回答を思いつくよりも、投げナイフが兵士に突き刺さる方が早かった。

 

「あはっ、ははは、はははっははははは!!!」

 

飛び散る鮮血と響く笑い声を前に、部隊で最も仲の良かった三人の兵士が同時に攻撃を仕掛けた。三人は息のあった連携で彼女に迫る。

正面の一人に振り上げられたナイフを、左の兵士が近接武器ではたき落とし右の兵士が銃を撃つ、それが三人の作戦だった。

予定通り、ヴィルトゥオーザは右手に握ったナイフを正面の兵士へと振りかぶって、左側の兵士がそれをはたき落とした。

 

「今だ!」

「おう!」

「それは──どうかなぁ?」

 

しかし、パーカーに突っ込んだままだった左手が銃を握っているとは誰も予想できなかった。銃を撃つはずだった右側の兵士が撃ち殺され、残り二人もほぼ同時に撃ち抜かれる。

あり得ない速度の早撃ちに生き残った全員が怖気付いて逃げ出そうとする。

しかし、一人が頭を撃ち抜かれ、もう一人が足を撃ち抜かれた時点でそれを見ていたその他の兵士たちは立ち向かう他に生きる道がないと理解した。

本当のところは勝ち目などないのだが、戦うことで可能性が広がると信じたかった兵士たちは武器を握り直した。

 

「やっと遊ぶ気になった?ほら、先手ど〜ぞ」

 

それを見た彼女は楽しげに両手を広げて動きを止める。

兵士たちは息を合わせ一斉に発砲したが、ヴィルトゥオーザはその直前に素早く兵士達の頭上へと飛び上がって頭上から数人の頭を撃ち抜き、着地と同時にナイフを取り出した。

彼女たちを囲んだ兵士たちは、一人また一人と数を減らしていく。

流血と怒号、銃声と悲鳴が音楽のように絶え間なく鳴り響く。

 

最後、並んだ四人はそのヘルメットの下で恐怖に目を見開く。

逃げることすらできない様子の四人を前に、彼女はとてつもない速度で駆け出し、その速度のままほぼ同時に四人の頸動脈に切り傷を刻み込む。

吹き出した鮮血のシャワーが、彼女の演奏のカーテンコールだった。

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