GATE×HUNTER   作:でかすぎ史郎

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 逆張りしてみました。


No.01◆クラピ化

 私が『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』の世界に転生した事実に気づいたのは1人の男と出会った時のことだ。

 彼の名前は伊丹(いたみ)耀司(ヨウジ)、自他ともに認めるオタクにして怠け者。

 そして銀座事件を皮切りに八面六臂の活躍をする英雄だ。

 

「よし、回る予定のサークルチェックOK! そっちはどうだ?」

 

「もちろん完璧だ」

 

 今は耀司と共に夏の同人誌即売会へと向かっている。

 まあ今年は銀座事件のせいでコミケは中止になるわけだが。

 

「それにしても銀座なのにやけに人が少ないな。やっぱ例の噂を信じているのかねぇ?」

 

「だろうな。そのおかげで人が少なくて丁度いい」

 

 この世界は政治家の人名などを筆頭に前世とは微妙に異なっているが、東日本大震災やコロナやウクライナ侵攻などのビッグイベントは共通だ。

 故に私はSNSで未来の知識を活かした予言者ごっこを行った。

 

 投稿した内容が次々と的中する様子を見た世論は次第に私を信じてくれるようになった。

 そして私は数日前に『異世界の軍勢が銀座に侵攻してくる』とSNSに投稿している。

 このような経緯で予言を信じた人達は銀座に近寄らないようになったわけだ。

 まあ同接目当ての動画配信者や予言を信じていない人達は銀座にいるわけだが、それでも出歩いている人数は普段よりも少ない。

 つまり銀座事件で死ぬ人間は最小限で済む。

 

「災害や戦闘ならともかく今回は突拍子もない予言だし流石に外れるでしょ」

 

「……フラグが立ったな」

 

「このイベントが終わったら結婚するんだ!」

 

「既に結婚してるだろう」

 

 耀司みたいな思考の人は割と多いわけだが問題ない。

 なぜなら私の転生特典を活かして可能な限り助けるからだ。

 

「なにアレ?」

「さっきまであんな門なかったぜ?」

「もしかして予言のヤツか!?」

 

 周りの人達が私達の後ろに向けてスマホを構えている。

 何だろうかと思い後ろを振り向くと、そこには道路を横断するかのように鎮座している巨大な『(ゲート)』があった。

 ……遂に来たか。

 

 すると『(ゲート)』の向こうから空を飛ぶトカゲ、つまりワイバーンが現れ近くに居た通行人の上半身を喰いちぎった。

 一瞬の静寂が流れた次の瞬間、何が起こったのかを理解した人々は堰を切ったように悲鳴を上げながら逃げようとする。

 しかし『(ゲート)』から現れた脅威はソレだけではない。

 ゴブリンやオークなどの怪物が逃げ惑う人々を殺戮し始めた。

 

「耀司、お前は避難誘導を行え。私は奴らを足止めする」

 

「……任された。俺は皇居で防衛線を敷く。お前も頃合いを見てそこに避難しろよ!」

 

 そう言って伊丹と別れた私は鎖を具現化する。

 私の転生特典、それは『HUNTER×HUNTER』の念能力だ。

 

「くらえっ!」

 

 鎖を鞭のように振りかぶり近くに居たゴブリンを両断した。

 あの程度の相手なら問題なく一撃で倒せるな。

 すると近くに居る怪物達は私を警戒して動きを止める。

 

何をしているか! 怪異ども!

 

 ワイバーンに騎乗した兵士が何かを叫びながら此方に突撃してくる。

 兵士はともかくとしてワイバーンを殺し切れるかは怪しいな。

 

 念で攻撃すると強制的に精孔が開き念能力に目覚める。

 つまり下手に攻撃して生き延びられると念能力者のワイバーンという厄介な存在が生まれてしまう。

 なので奴らを鎖で縛りあげることでコントロールを失わせ墜落させる。

 これは攻撃ではないので精孔が開く心配もないな。

 

「さあ、かかってこい!」

 

 こうして異世界の軍隊との戦いが本格化する。

 此方は念能力という強力な武器を持っているが相手も数の暴力というソレ(念能力)以上に強力な武器を持っている。

 それに私の念能力は戦闘向きではない。

 なので徐々に押されていった。

 

導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)

 

 鎖に付与されたダウジング能力で飛んでくる矢を受け止める。

 私の念能力は『クラピ化』、その名の通りクラピカになる能力だ。

 つまり()の発が使える。

 

 水見式によると私の系統は具現化系、要するにオーラを物質化するのが得意なタイプだ。

 この系統は非常にカスタマイズ性に溢れた能力を作り出すことが可能だが、かなりピーキーな性能でもある。

 頭の悪い人間では便利なオリジナル念能力を考え付くのは難しいだろう。

 

 ということで『HUNTER×HUNTER』に出てくる既存の念能力、具体的にはクラピカの発をパクることにした。

 だが再現は難しくすぐに行き詰まる。

 なので髪を金髪に染め、緋色のカラコンを付けて、クラピカと名乗るようにした。

 

 やはりクラピカの能力を再現するには出来る限りクラピカに近づいた方が良いからな。

 要するに形から入るというヤツである。

 もちろん周囲(主に伊丹と梨紗)からはドン引きされたが関係ない。

 ひたすらクラピカになることを渇望し修行を続けた。

 

 すると鎖の具現化は面白いほどトントン拍子で進む。

 それと比例するかのように肉体も徐々に変化していき、染めなくても自然と金髪が生えてくるようになり、顔もクラピカのような美形に変化し、眼球は美しい緋色に変わった。

 もちろん5本の鎖に付与する能力は原作の(クラピカ)と同じである。

 こうして『クラピ化』という発が完成した。

 

たった1人に何を手こずっている!

 

 目の前には横一列に並んだ騎馬兵が槍を構えている。

 流石に数が多すぎるな。

 ……既に耀司は皇居に防衛線を築いているだろう。

 ならば足止めをする必要性も薄いな。

 

「こっちに来い!」

 

 ということで脱兎の如く逃げることにした。

 (クラピカ)は試しの『(ゲート)』、つまりは4トンの扉を開けることの出来るフィジカルエリートだ。

 そこに念能力による強化が加われば馬やワイバーンだろうと追い付くことは出来ない。

 なので何事もなく皇居へ到着することが出来た。

 

「クラピカ! 無事だったか!」

 

「なんとかな。そちらは大丈夫だったか?」

 

「俺だって念能力者だからな。特に問題は無い」

 

 耀司と梨紗には念能力を教えている。

 なので本来よりスムーズに避難誘導が出来ただろう。

 

「私は怪我人を癒す親指の鎖(ホーリーチェーン)で治癒しに行く」

 

「ああ、皇居の防衛は任せろ」

 

 こうして私は怪我人を治癒しつつ事態が終息するのを待つことにした。

 するとカメラを構えた配信者が近づいてくる。

 察するに私が異世界の兵士相手に無双するシーンを見ていたのだろう。

 

「貴方は何者なんですか?」

 

「クラピカと言うものだ」

 

「クラ……ピカ? 外国の方ですか?」

 

 この世界に『HUNTER×HUNTER』という漫画は存在しない。

 もしも存在していたら悪い人が『作者を脅して設定を変更させ都合の良い世界を作る』と考えるかもしれないから無い方がマシだろう。

 ちなみに『幽☆遊☆白書』や『レベルE』は存在している。

 

「私は純日本人だ。そして念能力者でもある」

 

「念能力?」

 

「身体からあふれ出す生命エネルギー、『オーラ』を使いこなす力だ。そして念能力は鍛えることで誰でも使うことができる」

 

 今までは社会の混乱を考慮して一部の人間にのみ教えていた。

 しかし、この状況では隠し通すのは難しいだろう。

 ならば自分から積極的に情報発信をした方が良いはず。

 

「あの『(ゲート)』は念能力と関係しているのですか?」

 

「分からない。恐らく念能力とは別の力だろう」

 

 これは陰謀論者から『クラピカのせいで異世界の『(ゲート)』が開かれたんだ!』とか疑われそうだ。

 所詮、獣の戯言は心に響かないからどうでもいいな(ボノレノフ並感)。

 

「クラピカ~!」

 

「どうした耀司?」

 

「警察の人が事情を聴きたいって」

 

「了解した。それでは失礼」

 

 


 

 

「なんなんだコレは!?」

 

 それは率直な感想であった。

 銀座事件が終息して半日、政府は緊急事態大臣会合を開き情報収集にあたっていた。

 壁際へ並べられたモニターには自称クラピカが異世界の軍勢と戦っている様子が映っている。

 

「……デマじゃないんだよな?」

 

「複数の配信者や記者がこの映像を撮影している。そもそも正体不明の暴徒が銀座で虐殺を行った時点で今更だろう」

 

「頭と胃が痛い話だ」

 

「とても現実の光景を見ているとは思えん」

 

「まるで映画でも見ている気分だな」

 

 ただでさえ異世界の軍隊が攻めてくるという意味不明な状況に加えて、それを念能力者を名乗る少年?が喰い止めたのだ。

 海千山千の大物政治家やエリート官僚であっても情報を咀嚼するのには時間がかかる。

 

「しかし例の予言者は本物だったんだな。あのアカウントの所有者には連絡が取れているのか?」

 

「警視庁によると暴徒を喰い止めた金髪の男性、クラピカ氏と同一人物とのことです」

 

「……やはりか」

 

 大臣達は特に驚く様子を見せない。

 事件を予言していた人物とそれを間近で喰い止めた人物、それらに何かしらの関係があるのは想定済みだ。

 そして映像は皇居の中でクラピカが配信者から質問されている場面に切り替わる。

 

「ネンノウリョク、おそらく未来予知と鎖の操作の事だろうな」

 

「我らが知らない未知の力か……」

 

「スターゲイト・プロジェクトもビックリだな」

 

「もしかしたら日本国内にも異能力者がいるかもしれんな」

 

「一度、大規模に捜索する必要があるだろう」

 

 日本政府は各地にいる自称超能力者や霊能力者などを調査する方針を固める。

 こうして怪しいビジネスをする輩が政府直々に公開処刑されることが決定した。

 

「それで彼は私達に協力的なのかね?」

 

「話が通じない可能性もあるな……」

 

「ええ、現在は警察の事情聴取にも協力的です」

 

 官僚の言葉に政治家達はホッとする。

 一時的とはいえ自称クラピカは異世界の軍勢と互角以上に渡り合っていた。

 そんな人物が全力で暴れれば多大な犠牲が出るのは想像に難くない。

 

「とはいえ軍隊を互角に渡り合える個人というのは危険すぎるな」

 

「クラピカとやらの身柄が他国に渡るのだけは絶対に回避しなければならんぞ」

 

「異世界の軍勢と何かしらの関係があるやもしれん」

 

「そもそも日本人なのか?」

 

「外国籍だったら面倒だな」

 

 政治家達は口々に意見を言い合う。

 すると若手の官僚が口を開く。

 

「日本で生まれ育った日本人であると戸籍に記載がありました」

 

「あの見た目で日本人なのか……」

 

「不思議な力を使う時点で今更だろう」

 

「今まで何してたんだ?」

 

「本人曰く、職業はハンターとのことです」

 

 嘉納防衛大臣の言葉に若手の官僚が返答する。

 自称クラピカの肩書はハンターではなくプー太郎だ。

 ある時は予言者アカウントの欲しい物リストを公開し、ある時は導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)で占い師ごっこを行い、ある時は葵梨紗の同人活動の手伝いなどをして食いつないでいる。

 これは銀座事件以後、職場に迷惑をかけないよう本人が望んで行っていることだ。

 決して就職することが出来なかった敗北者ではない……はず。

 

「ハンター? 逃走中にでも出てんのか? それともB.O.Wか?」

 

「とりあえず彼?への事情聴取と念能力の解析を並行すると共に『(ゲート)』の調査を進めましょうか」

 

 笹倉総理大臣がそう締めくくる。

 政府としては自称クラピカが他国に渡らないように軟禁する方針は変わらないが、喫緊の課題は異世界の侵略者への対処だ。

 『(ゲート)』の向こうには何があるのか、2つ目を建造できるのか、そもそも侵略者の素性は何なのか、あまりにも情報が不足している。

 こうして政府首班は検討を加速させる。




・総理大臣について
 ゲート0には笹倉総理(北条総理の前任者)という人物が登場しています。
 本来なら銀座事件に巻き込まれて再起不能になるのですが自称クラピカの予言を信じて銀座に向かわなかったので助かりました。
 これにより風松総理代行が無能ムーブをすることが無くなりました。

・ハンターハンターが存在しない件について
 ただでさえ腰痛で苦しそうなのに悪い人から脅迫されたら可哀そうかなって。

・自分をクラピカだと思いこんでいる一般人の発
能力名:クラピ化
系統:具現化系
効果:クラピカの容姿と能力を再現する。現代日本に幻影旅団はいないので束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)は実質的に使用不可。だが敢えて意味のない能力を習得するという制約と誓約により他の能力が底上げされている。

・最後に
 この二次創作は読者参加型です。
 面白かったorメタ的に都合の良い念能力を投稿してくれたら採用します。
 詳しくは活動報告を見てください。
 この二次創作が気に入ったのならお気に入り登録高評価感想をしてやってください。
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