プラチナム・ライフ   作:妄想壁の崩壊

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18.生徒会はあたたかい(下)

 

喫茶店の一角にて、テーブルを囲む秀知院学園生徒会の四人の間にはお通夜のような空気が漂っていた。

 

「母さんがまた出奔した……? 命ちゃんをおいて……? だからあの人のインスタって更新止まってたのか……」

 

なんで母親のSNSチェックしてんだ。

 

「会長、知らなかったんですか。本当に兄失格ですね、藤原先輩の言うとおりですよ」

 

「がはっ……ッ」

 

優さんの一言で兄は致命傷を負った。

 

「四宮家も家族仲は良くないですけど……その、会長のご家族も大変なのですね」

 

「会長のお母様ってどんな人なんですか?」

 

あ、私その話聞きたくないので耳塞いでおこう。

 

「母さんは……なんというか合理主義の塊みたいな人間でな。子供の幸せは成功することだと思ってる節があった。だから、家族の中で一番賢かった命ちゃんに特に入れ込んでいたんだが……」

 

「教育ママ型の典型的な毒親じゃないですか、ソレ。命ちゃんのストレスの原因ってその人なんじゃないですか」

 

「そうかもしれん。親父曰く、理想が高すぎる人だから……かなり厳しい教育を強いていた可能性がある。思えば、命ちゃんは手紙でいつも『受験が近くてしんどい』って言ってたしな……クソ……ッ!」

 

「会長……」

 

「圭ちゃんだって抜け出してきたんだぞ。命ちゃんだけが大丈夫なはずないだろう。バカか、俺は……」

 

私が耳を塞いでいると、兄が急に抱きしめてきた。

 

「な、なんですか。母親の話は終わりましたか?」

 

「……ごめんな、命ちゃん。気づいてやれなくてごめん」

 

……えぇ、どうしたの急に。そんな悲痛そうな顔して抱きしめられたって困るよ。

 

「……何の話をしたのか知りませんけど、謝らないでください。もう過去のことは気にしてないし、掘り返したくないんです。無くしたものを数えたって虚しいだけですから……」

 

ほら、だから手を離して。……ちょっと、なんでもっと強く抱きしめてるの?

 

「みなさん、兄を止めてください。いや、千花さんあなたまで来なくて良いですから。かぐやさん、止めて……あぁ流されないでください。そう言うの良いですから。ゆ、優さん……もう、みんなして……!」

 

四人分の体温で温められていく私。温かいのは好きだけど、流石にこれは暑苦しって!

 

「だぁー、もう! 店長、ヘルプ……いやあなたまで来なくて良いから!!!」

 

そして私の自由が取り戻されるまでしばらくかかった。

 

「はい! 生徒会書記、藤原千花に提案があります! 会長」

 

「聞こう」

 

仰々しく手を挙げた千花さんに兄が発言を許した。

 

「私たちで命さんに、新しい思い出を作ってあげましょうよ! 過去のことが気にならなくなるくらい、とびっきり幸せでたくさんの思い出を!」

 

別にそんなことしてくれなくても良いんだが。

 

「素晴らしいアイデアだと思いますよ、藤原さんらしい」

 

「僕はあんまりそういうこと得意じゃないですけど、手伝いますよ。藤原先輩」

 

かぐやさんに、優さんまでもがそんなことを言う。

 

「決まりだな。ならばこれは俺たち生徒会の外部ミッション……名付けて、『白銀命を幸せにしたい』!」

 

そこは言い切ってくれよ。と言うか……。

 

「なんでそこまでするんですか?」

 

「生徒の悩みを解決するのも、生徒会の役割みたいなものですよ」

 

「私は秀知院学園の生徒じゃないですけど」

 

「じゃあ来年編入しましょう!」

 

「編入って……来年だともう三年生ですよ?」

 

「僕らが勝手にお節介するだけだから、命ちゃんはそれを受け取ってくれるだけで良いんだよ」

 

「わざわざ私にそこまでしてくれなくても……」

 

「それとも、命ちゃんは俺たちと何かするのは嫌か?」

 

なんというか、みんな良い人たちばっかりだな。四宮家の方も、生徒会の人たちみたいな感じだったら良いのに。

 

「……まぁ、不束ものですけど、よろしくお願いします」

 

 

 

それから、この喫茶店にほとんど毎日と言ってよいほど彼らが訪れるようになった。

 

 

 

「命さん、たまたま映画のチケットが手に入ったんですよ! ほら、毎年ゴールデンウィークに公開されている名探偵の映画! ちょうど五枚ありますからみんなで行きませんか!」

 

「よくそんな都合よく五枚の映画チケットが手に入りましたね」

 

「良いんじゃないか、命ちゃん好きだったろ。このアニメ」

 

「知ってますか、命さん。映画館に行ったら、まずは座席を指定しないといけないんですよ?」

 

「そのくらい知ってますけど」

 

「(僕はその映画もう観たけど……黙っておこう)」

 

みんなで映画を観に行ったり。

 

 

 

「私の妹とかぐやさんと圭ちゃんでウィンドウショッピングに行く約束をしたんですけど……なんとか命さんも一緒に行けないですかね?」

 

「それとなく聞いてみるが、多分無理だろうな。俺は何があったのか詳しく知らないが、圭ちゃん『命から謝ってくるまで口聞かない』って言ってたし」

 

「命さんと圭……さんは、何か不仲になるようなことでもあったんですか?」

 

「私が昔、家から追い出したっぽいです」

 

「そうだったの!?」

 

「会長、ホントに命ちゃんの兄なんですよね。蚊帳の外すぎませんか」

 

「手紙には『圭がそっちに行くからよろしく』しか書いてなかったし、圭ちゃんも何も教えてくれなかったんだよ!」

 

まだ見ぬ双子の姉との仲直り計画を立てられたり。私は別に頼んでないけど。

 

 

 

「命さんは期末テストの勉強しないんですか?」

 

「はい、私は中学の範囲は全て履修済みなので、普段から復習しかやってないんですよ。なので特別試験勉強とかはしてないですね」

 

「そうよね。日頃の実力があれば試験勉強なんて必要ないのよ、藤原さん」

 

「勉強することよりも、勉強する習慣を身につけることに注力したほうが長期的に見て良いと思いますよ」

 

女子だけで勉強会をしてみたり。

 

 

 

「今日は優さんだけなんですね」

 

「四宮先輩は風邪で休み、会長はそのお見舞いに行ってる」

 

「千花さんは?」

 

「死にたくなって帰った」

 

「???」

 

久しぶりに優さんと夏アニメの話をしたりし。

 

 

 

そうしてるうちに約一ヶ月が過ぎ、間もなく夏休みが近づいてくる。

 

去年と比べれば随分と様変わりした一ヶ月だったな。

 

夏休みは何をしようか。四人とも予定が空いていれば良いのだが。

 

例えどんな夏休みだろうと、リハビリ漬けの去年よりずっとマシなことだろう。

 

来客の音が鳴り、茹だるような暑い空気が冷えた店の中へと流れ込む。

 

「いらっしゃいませ、皆さん。今日もまた来たんですね」

 

けど、こんな日常が私は嫌いじゃなかった。

 

だって彼らといると、寒さなんて感じなかったから。

 





てな感じの二次創作です。今後も生徒会×命ちゃんのイチャイチャが続くでしょう。

他にも『圭との仲直り』、『命の身体欠損バレ』、『四宮vs四条』、『白銀母について』……とか一応続きも思いつきますけど、オリ主と原作キャラがイチャイチャする流れは変わらないと思います。

それで良ければ、今後とも暇を潰していってください。
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