久しぶりに会う幼馴染がTSしてて、めちゃくちゃ重くなるやつ 作:幼馴染がTSしてヤンデレになった
「俺だよ、俺! お前の幼馴染のヒサシだよ!」
街を歩いていたら、突然。
僕に縋り付く
幼馴染のヒサシ……か。
ヒサシ、中学くらいで引っ越したから、今何やってるか分からないんだよね。
そんなことを考えながら、たった今会ったばかりの女の子を見る。
ショートカットと言うんだったか、それくらいで切られた黒髪が良く似合っている。
ドラゴンのような柄が入ったパーカーを着ていて、左の目元には、ほくろ。
そういや、彼もこんなダサいパーカーを着ていて、左の目元にほくろがあった。
でも、ヒサシは男だから、この子とは違うか。
漫画とか小説で良くある男だと思っていたら実は女だったという線も彼は制服を着て中学校に通っていたからなし。
あ、ちなみに僕は不登校。
……と、ここまで考えてみたものの、なんか雰囲気がヒサシなような気がしないでもない。
そういえば、この前日本ではTS病とかいうわけのわからない性別が反転する病気が流行ってたなぁ。
あ、これ、本物のヒサシかもしれない。
「うぅんと、じゃあ、とりあえず家行く?」
「わ、分かってくれるのか!?」
「うん、まあヒサシっぽい顔してるし、ヒサシかなぁって」
流石にね、なんかTSしていると言っても幼馴染だから。
こんな色々と目に毒な姿で街を歩かせるわけにもいかないしさ。
というわけで、家に連れ帰ることにした。
ヒサシを騙ったただのよく分からない女の子だったらそれはそれで怖いけど、まあいいや。
わざわざヒサシの名前を騙って僕に近づく女の子だなんていないでしょ。
◆◆◆
とりあえず、もう少しまともな服を着せてあげよう。
あのパーカー、地味に素材はいいんだけど、いかんせん今の美少女と言えるくらいの容姿のヒサシには合わないや。
ということで、家にあった違うパーカーを着せてあげる。
パーカーをきたショートカットの美少女、良いね。
さて、次はご飯かな。
流石に何も作ってなかったけど、昼ごはんを買いにスーパーに行った後だったから、冷凍食品があったよ。
なんか、精神的に追い詰められるようなことがあったのかな。
ちょっと体に触れて着替えさせただけなのに、すっごく震えている。
ごめん、そんなつもりはなかったんだ。
そんな感じで、僕がヒサシのためのご飯を作っていると、ちょっと震えがおさまったっぽい彼が僕に声をかけてくる。
「ど、どうしてお前は俺が俺だって信じてくれたんだ……?」
「分からないよ」
「じ、じゃあなんで……」
「ちょっと怪しんではいたけど、これはヒサシだなって思った。だから」
実は、今も本当にヒサシなのかなぁ、とは心の隅で思ってるよ。
例のTS病って、本人が本人であることの証明がすっごく難しいらしいんだ。
でも、なんか顔とか服とか見えた感じ、なんかぴこんってくるものがあった。
じゃあ自分の判断を信じようかってことで連れてきた。
まあ、ちゃんと正解してたっぽくて良かった。
子供の頃の彼も、なんかなんでもかんでも理由がないと納得できなくて、こんな感じでうだうだ言ってたからね。
あの頃のヒサシが多分一番可愛かったと思う。
中学校に入ったあたりから、ちゃっとグレちゃったから。
「それじゃ、はいあーん」
「……おい、俺は子供じゃないって」
「え? 今のヒサシ、ちっちゃくなってるし子供っぽいじゃん」
「それは……そうだけどよ」
えへへ。
子供の頃の可愛いヒサシがそのまま女の子みたいになった感じだぁ。
僕、今まで誰にも言ったことなかったんだけど、実はちょっと小さい子が好きなんだよね。
あ、勿論性的な意味じゃないよ!?
子供って、見ていると和むじゃん。
そんな可愛い子供達って、見ている分にはすっごく良い。
手を出したことなんかは一度もないから、安心して、ね?
「ほら、あーん。可愛いね、そんなヒサシの顔一回も見たことないから、僕うれしいや」
「お前、そんなにおかしい奴だったのかよ……せっかく拾ってもらえたのに……」
「いやいや、安心して。今のヒサシは確かに可愛いと思うけど、性的にはどう頑張っても欲情できないから!」
「もう既に、俺はお前のことが信用できてねぇんだけど……」
マズイ! このままじゃ可愛いヒサシに嫌われちゃう!
こんな可愛い子と気軽に話せることなんて、もう僕の人生で一度あるかないかくらいなんだ。
この機会、絶対に逃してはならない。
僕の勘もそう言ってる。
じゃあ、僕としては不満だけど、もう少し大人みたいな対応をしてあげるかぁ。
むぅ、実際問題結構不満なんだけどなぁ。
そして、僕が彼を子供扱いすることをやめて、彼から離れたところでソファに寝転がっていると、ヒサシが何故か独り言のように何かを呟く。
ただ、それはちょっと僕からすると理解し難いものだったけど。
「……お前、なんか母ちゃんみたいだよな」
「えっ、僕が?」
「相変わらず何考えているか全く分からねぇし、そのくせ俺が嫌だっていったらすぐにやめるし」
「いや、だって、そりゃ今の可愛いヒサシに嫌われたら僕の心が真っ二つになっちゃうからさぁ」
「……あー、悪かった悪かった。お前のことを一瞬でも見直した俺が馬鹿だった」
そのまま、ヒサシはむすっとした顔に戻る。
あの……今のはなんだったの?
とりあえず、僕のことは嫌いにはならなさそうで、一安心。
ふぅ、良かった良かった。
まあ……たとえ僕のことが嫌いになっても、なんか彼は居場所無さそうだけどね……。
この調子だと、家族に自分だと信じてもらえなかったってところかな。
その後、
多分、ヒサシは今の自分の可愛さに気づいてないんだろうね。
ちょっと可愛いくらいには感じているだろうけど、実際はそれ以上だよ。
ぶっちゃけ、どこぞの雑誌の表紙を飾っていてもおかしくないくらいの容姿はしている。
いや、ほんと、僕の幼馴染贔屓を入れなくてもそれくらい可愛いんだ。
はぁ、気はのらないけれど、一応事情も聞いておこっか。
なんでわざわざ僕を頼ってきたのは気になるし。
別に頼るだけだったら国でいいからね。
あるでしょ、TS病用の相談センターとかそんな感じのところが。
「それで、なんとなくは想像ついているけれど、どうして僕を頼ったの?」
「いや、本当はもうどうしようもないから近くの市役所とかを頼むつもりだったんだ……」
「うん」
「でも、俺を……弄んだやつの顔が、市役所の中に……それで……逃げてきたら、お前と、会った」
「……ごめん、聞くべきじゃなかったかも」
「いや、いいんだ。お前がこうやって本当に優しくしてくれるだけで、俺は嬉しいから」
そして、彼は、自分が
その内容は、中々吐き気を催すもので、僕としてはヒサシによく耐えた、よく逃げてくれたと言いたい。
けれど、ちょっと内容があまりにも壮絶すぎで、中々口が開かない。
その間にも、ヒサシは自分はもうダメだとか、とてもじゃないが人を心から信じれるような状態じゃないとか、色々自分を責めるような言葉を吐く。
僕は、それが嫌で首をううんって振るのだけで精一杯。
伝えないといけないのに、よくやったって。
「えっと……俺のこと、軽蔑したよな? そうだよな。それで、何処まで話したっけ……ああそうだ。でな、俺はその挙句……「……そんなことを言ってほしいんじゃない!」……え?」
「ヒサシは、頑張った。それは、聞いてるだけの僕でも分かる。自分を責めるなんてことは、しなくていい!」
「……なんだよ、嬉しいこと、言ってくれるじゃねえか」
僕としては、不登校だった時とか、結構ヒサシに恩がある。
だから、その相手を軽蔑するはずだなんてないし、今みたいなことを言われてその人を軽蔑だなんて絶対に出来ない。
そんな、思いを込めて言葉を吐き切った。
それは、確かに伝わったみたいで、ヒサシは急に涙をこぼす。
彼は、ずっとこういってもらいたかったんだ。
けれど、それを言ってくれる相手すら近くにいなかったんだ。
その彼の気持ちを少しだけでも楽にできたかなって考えるとちょっと良い気分にならないこともない。
良かったよ、今日ヒサシと出会えて。
そうして、しばらくして。
彼は、ふと何かを思い出したかのように僕に質問をしてくる。
「そういや、今のおまえんち、結構女物の服とか置いてあるけど、彼女でも連れ込んでいたのか?」
しかし、彼が何を言っているのかいまいち分からない。
そりゃ、僕がこの家に一人で住んでいるんだから女物の服なんて大量に溜まる一方でしょ。
……あ、もしかして。
僕、今の今までで一度もヒサシに性別を言ったことがなかったかもしれない。
今も、結構髪が短いし、別にスカートを履いてたりするわけじゃないから、気づかなかったのか。
え、え〜、気まずいなぁ。
「えっとね、ヒサシ。僕、女なんだけど……」
「……え、……は?」
「いや、あの多分中学校のころ、結局制服一度も着なかったからそう思ってるんだろうけど……僕、男じゃないんだ」
ヒサシが、すっごく混乱しているのがわかる。
そうだよね、やっぱり男だと思っていた幼馴染が女ってわかるとこんな感じの反応になるよね。
……ごめん、本当にそんな反応させたかったわけじゃないんだ。
いつから主人公が男だと錯覚していた?
え? タグでバレてるって……?
そっか……
続かない