神のお告げですよ皆さん! 〜我が青春は神と共に〜 作:ウズベ
そうだ、儀式をやろう___ニキはその一心でアヤネの元を訪ねていた。
「はい?」
「ですから、安全祈願として儀式を行うのです! 神の加護を宿して円満に旅行をですね!」
(そ、そうはならないんじゃあないのかなぁ…)
休日に尋ねてきたニキにアヤネは頭を抱えていた。
「始めましょう!」
「うん…」 (大丈夫なのかなぁ…?)
渋々協力したアヤネとニキはヘリの周辺とボディに魔法陣を描き始める。
「素晴らしい! これで明日の出発は大丈夫! 旅行中にも大きな事故は起きないはずです!!」
「あ、あはは… 大丈夫かな?」
「神のお告げですよアヤネちゃん。これで出発から順調です」
出発"は"無事だった。なぜなら、翌日ヘリは島を目前にして墜落したのだから。
「何でこうなるのよ〜!」
セリカの叫びが無人島にこだまする。突然の事故だったが先生を含めて皆に怪我は無かった。
「そ、そんなバカな…!?」
墜落したヘリを見てニキはへたり込んでいた。
「神のお告げを受けたはずなのに!」
「ニキ、何をしたの?」
「へ、ヘリに安全のための儀式を施したんです」
「何よソレ! 神のお告げはどうしたのよ!?」
「そ、それが私にもよく分からないんです…! 安全の儀式をアヤネちゃんと一緒にやって魔法陣も引けてたはずなのに…」
セリカとシロコに問い詰められたニキは事情を説明した。しかし、皆の疑問は晴れなかった。
「だったらどうしてこうなったのよ〜!」
「そ、それは…」
「まさか! "魔法陣から出たら効果が無くなっちゃう〜" なんてことがあるんじゃありませんか?」
ノノミの言葉にニキは雷に打たれたかのように口をあんぐりと開いて思案していた。
「そ、そうかもしれません!」
「ソレじゃ、意味ないじゃないの!!」
セリカの絶叫がさらに響く。
やむ無く一同は最寄りのホテルに向かう。
「墜落こそしましたけど、リゾートは目の前ですよ」
「うへ〜 おじさんは休みたいな〜」
ノノミに手を引かれてホシノが後方を歩いていた。
「ノノミ先輩の言うとおり、ヘリは修理するにしても、やっぱりリゾートにはいきたいのでレッツゴーですね」
ニキがウキウキしながら先頭を歩く。
「切り替えが早いわねぇ…」
るんるん気分で先頭を歩くニキが目撃したのはセリカが福引で当てた南国にある優雅なリゾートホテル___ではなく、ボロボロに荒れ果てた建物だった。
「ねえ、ひょっとしてここだったりする?」
ホシノの一言でアヤネが調査するが、どうやら座標的に間違いはないそうだ。皆も困惑する中、ニキは…
「う、嘘です! 嘘に決まっています! 神に誓ってこれは嘘でしょう皆さん!?」
慌てて手を合わせて神に祈るニキ、その横で皆がセリカが入手してきた利用券を見ていた。
「ほ、ほら! これぞ神のお告げ。嘘だと言ってます!!」
「ニキ、神のお告げをもらってたところ悪いけど」
セリカが利用券を見せつけて一点を指差す。
「嘘じゃぁ、ないわよ」
「あ、あはは… は、ははは…」
ニキが崩れ落ちる。
「神の、お告げがぁ… もうダメだ、おしまいだぁ…」
ニキは現実が認められなかった。しかもセリカが当てたのは土地の利用権だったことを皆が知った。ニキも魂が抜けたかのように座り込み、他の皆もリゾートの荒廃ぶりを目の当たりにし、途方に暮れていたが…
「諦めるのはまだ早いよ」
先生だ。先生の言葉が皆に寄り添うかのように発せられた。
「そうですよ! むしろここを直して私たちで楽しめればいいじゃないですか!!」
手を叩いてノノミが提案をする。
「ノノミの言うとおり、ヘリにはまだ物は残ってるし、倉庫を見てきたけど備品も点検すれば使える。まだ諦めるには早い」
シロコも報告する。
「い、偉大なる神よ… あなたさまのお言葉はやはり…やはり偉大!
偉大なる第二の神よ、私たちをどうかお導きください! そしてこの地を第2の聖地に…!」
「う、うん。頑張ろうねニキ」
手を合わせ、涙を流しながら先生に対して祈りを捧げるニキであった。
リゾートを復旧するべく対策委員会が動き出す。
建物自体の清掃及び機器の点検を主とするチームと外の調査及び食糧の確保を主とするチームの2つに分かれたのだった。
「いや〜 まさかこんなことになるなんてねえ」
ホテルの清掃に残ったのはセリカとホシノ、ニキそして先生の4人だった。
ホシノとセリカが下の階の客室の清掃に移る中、ニキと先生は上の階にいた。
(今なら… 話してもいいかも知れませんね。流石にアズサの件は話せないでしょうが、あの話題なら)
「先生」
ニキが清掃中に先生に尋ねる。
「どうしたの?」
「実はその… 私、以前あなたを占ったことがあるのです」
「あぁ、以前言ってたね。あの時は聞けなかったけど何を見ていたの?」
「全裸(ボソっ)」
「ん?」
ニキが顔を赤くしていった。
「先生の、逞しい全裸が… 見えました」
「????」
先生もポカンとしていたがすぐにアハハハハと笑い声をあげた。
「わ、訳のわからないことかと思いますが平原らしき場所で裸のままみんなに対して手を振っていました! 本当なんです、信じてください!!」
先生の笑いに対して必死に訴えるニキ、先生はうんうんと呟きながらうなづく。
「ありがとうニキ。私の身に起こることを心配してくれてたんだよね?」
「は、はい! どうかお気をつけてください」
「勿論だよ、ありがとうニキ」
(なんでこんなことをいきなり言い出したんだろう?)
ニキの言葉に対してもやはり困惑していた先生であった。
(やはり先生は偉大…! そうだ!!)
引き続き何かを伝えようとしたその時、下の階から銃声が響いた。
「なんでしょうか?」
「行ってみよう!」
正面玄関ではすでに決着がついていた。
襲撃犯は自分達を"ジャブジャブヘルメット団"と名乗っていた。
「あいつらがここを狙ってるなんてね」
「ですがここは新たな神の聖地、渡すわけには参りません」
「いやいや聖地じゃないっての」
「なっ…! 見損ないましたよセリカちゃん! こここそ新たな神の聖地として築き上げると私たちみんなで神の御前で誓ったではありませんか!!」
「誓ってないわよ、ったくもう…」
「いや〜 二人は元気だね〜」
横でホシノが笑う。
「それじゃあ私とアヤネ、先生の3人は食糧を確保してくる」
3人が出かけ、残りの皆で機械の点検や清掃にあたる中、ニキは休憩していた。
「そうだ、息抜きしましょ」
占いを始めて見えたのはシロコと狐の面を被った人物が先生を取り合う構図だった。
「手を離しなさいな」
「先生は私と遊ぶべき」
「ちょっとした修羅場のようですね」
映像はすぐに途切れてしまった。
「さて、休憩終わりっと」
担当箇所の清掃を再開した。
程なくしてシロコたちも戻ってきたが、先ほどセリカたちを襲ったジャブジャブヘルメット団の襲撃を受けていたようだ。さらに"ワカモ"と名乗る人物を用心棒に据えつつ、まだまだ引き下がる気も無かったそうだ。
そんな中、シロコは…
「釣り竿…」
釣竿が壊れて落ち込んでいた。
「し、シロコ先輩。き、きっといいことありますよ。ほら、太陽神が微笑めばきっと…」
翌日、再び襲撃してきたワカモとヘルメット団を追い払いつつ、リゾートの防衛システムに振り回されていたがそんな中でも一同は海を満喫していた。
楽しい時間はどんどん過ぎていき気づけば日はすでに傾き、夕方になっていた。
「セリカちゃん、火加減はどうです?」
「うん、大丈夫。そっちの方はどう?」
「バーベキューの準備は整ってます。いつでも行けますよ」
夕飯は星空の浜でバーベキューになった。
「〜♪」
セリカが具材を焼く担当で、シロコたちは各々花火の準備や各自で用意してきたレクリエーションの準備をしていた。
「いただきまーす!」
夕飯を食べ始める。いつもとは違う夕飯に皆の会話が弾む。
「シロコ先輩、それ全部一口で!?」
「ん、美味しい!」
食事が終わり、夜の遊び(極めて健全)が始まる。
「わぁ〜 綺麗…」
「花火が無事でよかったね」
ノノミと先生が線香花火を持ちながら談話していた。
「さぁてみんな集まって! 我らが占い師ニキちゃんが星占いを披露してくれるよ〜」
「呼ばれて飛び出て、神のお告げです! はぁ〜!!」
「楽しみですね♪」
「うん」
「だ、大丈夫かしら?」
「あ、あははは…」
対策委員会の皆が見届ける中、ニキは念じる。
「見えました…! 私の頭上で輝くあの星が!!」
ニキが天高く指さした。
「あの星こそ神の星。神の加護宿りし、聖なる星なのです! そしてこれが神のお告げです!!」
一同が固唾を飲む。
「you、やっちゃいなよ!!」
To Be Continued.
次回予告
海を襲う厄災の影!
ワカモ「貴方様にすり寄る虫は全て私が…」
シロコ「ん 」
ニキ「先生は神なのですよ!ここはどうです?みなさんで神を讃えましょう!!」
対策委員会とヘルメット団の争いが招くのはリゾートの秘密!?
次回、海で遊ぼう!
ワカモ「あなた様は私が…」
ニキ「神のお告げですよ皆さん!!」