神のお告げですよ皆さん! 〜我が青春は神と共に〜 作:ウズベ
その日、エデン条約調印式で1発のミサイルが放たれた。歴史的瞬間は阿鼻叫喚の声が漂う地獄絵図になってしまった。そんな現場に今、6人の生徒が紛れ込もうとしていた。
「はぁ…… はぁ……!」
アビドス高校対策委員会の1人__久城ニキは調印式よりも以前に首謀者のアリウスと奮戦していた。
その際、命からがら帰還してから仲間たちやエデン条約関係者たちにアリウスの暗躍や脅威を警告、アビドスへの介入を防ぐために計画の妨害を目的に乱入したのだった。
「ここまでは神のお告げどおり。ですが……」
パニックの渦に包まれた現場では正義実現委員会と風紀委員会がそれぞれ対応していたが指揮系統の乱れからかうまく機能していなかった。
「ノノミさんもここに来てるはず。みんなも来てくれると良いんですが……」
現場にいち早く入れたのはニキだけだった。
「大丈夫? 避難所はこっちだよ!」
ホシノとシロコは市民の避難誘導の手伝いを、アヤネとセリカは負傷した市民の救助を行なっておりとてもニキたちの援護に行ける状態ではなかった。
「困りました…… このままじゃ……!」
ノノミも立ち入りはできたものの取り残された市民により動けずにいた。
(とりあえず今は先生だ。先生の元に向かいつつ、アリウスを妨害してトリニティとゲヘナを救援しなければ!)
「どうなってるんだ!?」
移動中のニキが目撃したのは動揺した風紀委員会と正義実現委員会の構成員数名だった。
「一体どこから? まさか、ゲヘナが何かしたんじゃないでしょうね!?」
「はぁ!? ンな訳あるか!」
怒号や戸惑いの声が次々と聞こえていた。
(あれは……!?)
「危ない! 伏せてください!!」
言い争う両者を狙う視線に気づいたニキはプライム・フォーチュン(RL)で敵のいる場所を攻撃する。
「逃げてください!」
「なんだ生きてたのか?」
アリウス生が襲いかかってきたが難なく撃破し、急いで調印式が行われている場所へ向かう。混乱した街中で敵の襲撃や道を間違えることで時間がどんどん過ぎていった。その間に次々と銃声や爆撃音が聞こえてきた。
(まずい…… あちこちで! 先生、どうかご無事で!!)
必死で駆け抜けていく中ニキの視線に止まっていたのは占いで見た飛行船そのものだった。
「あ、あれは……!」
ニキに過ったのは最悪な予感だった。
(まさか…… ミサイルは1発だけじゃなかった!? 占いで映ったのはまさに今、目の前で起こった光景だった。けど分かってたのは"撃ち落とされたという結果"だけでどうやって落とされたかまでは分からなかったんだ…… ミサイルだって1発しか無いものだって勘違いしてたのか。
クッソ〜! あの1発しかないものだと勘違いしていたんだ…… だとしたら先生が!)
急いで先生の元を目指そうとしていた中でニキは被害の大きいエリアにいた。
「た、助けて……!」
か細くなっていく声が聞こえ、立ち止まったニキは声の主を助けにいくのだった。
「お、お前は……!」
怪我していたのは風紀委員会と万魔殿の生徒だった。人数は7人、1人を除いていずれも重症だった。
「私のことはいいです。それよりも、安全な場所に逃します!」
「誰だか分からないかありがとう……」
「これもまた神のお告げ。太陽神の加護のままに……」
「いたぞ!」
追っ手のアリウスの分隊が負傷した生徒を狙って攻撃を仕掛けてきた。
「そうはいかないっすよ!」
すると援軍として正義実現委員会のイチカが駆けつけてきた。しかし、彼女は負傷していた。
「まずい! あのままじゃやられる!!」
慌ててイチカの救援に入る。
「喰らえ、神のお告げフラ……」
妨害しようとしたが別の位置にいた分隊が合流したために発動できずにいた。
「くそっ!」
「ゲヘナに…… アビドス!?」
イチカが困惑していた。
「話は後です! 怪我人がいるんだ。ここは私もお力添えしますね! でええりゃあああ!!」
ニキが合流し、何とかその場を切り抜けられたが……
「お前たちが…… 何かしたのか?」
「違うっすよ!」
言い争う万魔殿の構成員とイチカの2人に割って入る。
「2人ともそこまでです、怪我人がいるんだ。立場がどうのと騒いでる場合じゃないはずです! 急いでこの人たちを町外れに移しましょう!!」
渋々両者を協力させてゲヘナの風紀委員会や万魔殿が避難している場所に怪我人を移動させることに成功した。
「この人たちに早く治療を!」
「何だお前!?」
「ん? お前確か…… 久城ニキ!?」
「私のことはいいです! それよりも、アビドス高校の仲間もこの辺りにいるはずです。もし、ここにきたら私は合流地点に向かってると伝えてください!」
急いでその場を後にしたニキを見てイチカやゲヘナ生たちはポカンとしていた。
「一体、何なんすか?」
「あれか!」
調印式のあった古聖堂に到着したニキ、しかし仲間は誰もおらずその場には異形の存在に苦しめられているシスターフッドのヒナタや正実のハスミそしてツルギがいた。
「喰らえ!」
RLの1発で異形は消し飛ばされた。
「あなたはアビドスの!?」
「まだ敵はいるようですね。神の使者でもある私が助太刀しましょう」
手に魔法陣を描くと異形に怪物たちが踊り狂う。
「今です!」
「はい!」
ハスミの狙撃よりも早くツルギが打ち倒していく。
「へえ、やっぱり私たちの邪魔を……」
聞き覚えのある声にニキが振り向く。
「そうですとも! アリウスの戒野ミサキさん、で良かったですか?」
ミサキの手で倒したはずの異形によく似た存在が現れた。
「ヒナタさん! 彼女の武器はロケットランチャーです。私が相手をしますのでお二人の援護をお願いできますか?」
「任せてください!」
ミサキとの一騎打ちをする中で次々と湧いていく敵はほとんどツルギ1人で対処できていた。
「この前のように行きませんよ! はぁ!!」
全身を発光させて目眩しを行うニキは隙が生じたのを見るやすぐに反撃の一発を撃ち込む。
「ちぃっ!」
なんとか回避したミサキはそのまま異形の怪物を次々と繰り出してその場から一旦離脱した。
「アレは一体……!」
「かつてトリニティにいた、ユスティナ聖徒会ですよ! 幽霊みたいですが……!」
「くっ…… ミサキを逃しましたか。ですが!」
敵がまだ多かった。
「皆さん伏せて! 一気に吹っ飛ばします。神風!!」
座禅しながら空中に浮遊し、手から放つ光線がユスティナを消滅させた。
「す、すごい……」
「大丈夫ですか!?」
「何とか」
「このぐらいどうということはない」
攻撃を終えたニキが3人に駆け寄る。ハスミも平気そうに見えて足が少しフラフラしていた。ツルギも気にかけつつ冷静に答えた。
「シャーレの先生は今どちらに!?」
思い出したかのように3人に質問をするニキ。するとハスミが方角を指差した。
「先生は先んじてゲヘナのヒナさんが確保しました。私たちは少しここに残って怪我人がいないかを見ています」
「分かりました。私はヒナさんと先生を援護します。その上で先生を一時的に安全なアビドスに逃します、構いませんね?」
「はい、お願いします!」
ニキが駆け出す中、大きな爆発と銃声が聞こえて来た。
(あれか……!)
現場に駆けつけると大量のユスティナにアリウス生たちの猛攻を1人ヒナが耐え切っていたのだ。しかもその近くにはスクワッドの3名が。
「よし…… こうなったら奇襲作戦だ」
その場で座り込んだニキは座禅と共に詠唱を始める。
「神風ぇ!!」
不意打ちで放った1発がスクワッドたちに命中する。
「うわわ! ど、どこから?」
「ここさ。もう1発喰らえ!」
不意打ちで放たれた1発だったがサオリが合図したのかユスティナが盾になったため効果がなかった。
「ニキ……!?」
「久城ニキ!」
「お2人とも遅くなりました」
先生とヒナに向けていた安堵の表情から一点、スクワッドには鋭く睨みつけていた。
「お久しぶりですね」
「また懲りずに現れたか」
「さて、今回は前回のように行きますかね」
「すでにエデン条約は我々のもの。もはや貴様が来たくらいで止められるものか」
サオリが淡々として話す。
「喰らえ! 神に感謝する踊り!!」
範囲に対してはなった1発だったが効果があったのは……
「っ……な、にぃいいい!?」
ミサキだけだった。
「何をするかと思えば…… こんなものが私たちを止める切り札になるとでも思ったか?」
「まだだ!」
ニキが前に出て攻撃をする中ヒナに耳打ちする。
(なるべく先生を連れて遠くへ。時期に援軍が来るはずです)
「分かったわ……」
「動いてないのに暑いよ〜!」
(???)
その場にいた誰もが首を傾げるネーミングに隙が生じる。
「あ、あついです……」
「……」
「くっ……」
唐突に感じる暑さで上具を脱ごうとしたスクワッドたちだったが、実態を持たないユスティナには効果がなく、襲いかかってくるのだった。
「でえりゃああああ!」
MGの集中砲火で敵を撃退する中ヒナは先生を連れて離脱を試みるが……
「まだまだ、ミメシスは何体でも生み出せる」
サオリの指示で敵が次々と現れていく。
「ならば!」
全身を自ら発光させて強力な一撃を放つ。MGから離れた弾幕が敵全体を攻撃する。
「よし…… この隙に! でえええええりゃあああああ!!」
先生を逃がそうと決死の特攻を仕掛けるニキ、その攻撃でミサキが吹っ飛ばされたがサオリには涼しい顔で止められてしまう。
「くだらん手品など役に立つものか」
そう言い返されると簡単に投げ飛ばされ、集中攻撃を受けて倒れてしまった。
「がはっ……!」
そのまま気を失ったニキが次に目を覚ましたのはトリニティの保健室だった。
「ここは……」
To Be Continued.
次回予告
傷ついてしまったニキはトリニティにいた。
その時、神の声が!
ニキ「神が、神が降臨されたのだ…!」
そして降臨するのは…
次回、降臨する神