神のお告げですよ皆さん! 〜我が青春は神と共に〜   作:ウズベ

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あけましておめでとうございます。更新はスローですが今年もよろしくお願いします。


お告げ23 降臨する神

 

 

 目覚めたニキが起き上がる。

 

「ここは……」

 

「ニキちゃん!」

 

 戸惑う彼女が視線を移すと、対策委員会の皆が部屋に入ってきた。

 

「バカァ! 心配したのよ!? ニキだけ戻ってこなかったから……」

 

「セリカ、泣いてる」

 

 シロコが涙目のセリカに指摘するとすぐに顔を赤くしてしまう。

 

「泣いてないわよバカァ!」

 

「あ、あの〜 もう少しお静かにいただけますでしょうか?」

 

 救護騎士団のセリナが声をかけてきた。

 

「あはは、ごめんね。おじさんたち、やっと我が子に会えたから嬉しくなっちゃったんだ」

 

(おじさん?)

 

「は、はぁ……」

 

 ホシノの発言にセリナが首を傾げる。そんな中ニキは違和感に気がついた。

 

「ノノミ先輩は一緒じゃないんですか?」

 

「それが…… ノノミ先輩は」

 

 

 アヤネから語られたのは衝撃的なものだった。

 

「調印式会場から避難する人たちと入れ替わる形で会場に入ろうとしたんだけど戦いに巻き込まれて大怪我を……」

 

「そんな!」

 

「でも、ノノミちゃんなら大丈夫。ゴールドカードのおかげで大きめな病院で緊急入院をしてるよ」

 

 動揺するニキが起きあがろうとしていたがホシノが止める。

 

「それにドクターも言ってたよ。普段から身体を鍛えてたからか怪我の治りも早いんだって。数日あれば退院できるよ。

 

 さてニキちゃん。お説教行くよ?」

 

 ホシノが一呼吸つく。

 

「無茶をしないでって言ったよね? ノノミちゃんまで心配してたんだから。現場には風紀委員長ちゃんもいたみたいだけど、ニキちゃんも相当無理をしたって聞いたよ? おじさん達を待てないんだったら、動き方も考えてもらわないと… みんなが悲しむからさ」

 

「はい……」

 

 ホシノの言葉に項垂れるニキ、すると雲が晴れて突如として一筋の光がニキの病室目掛けて差し掛かった。

 

「な、なに!?」

 

「?」

 

 違和感を覚えたニキは立ち上がった。

 

「は!?」

 

 皆が口をあんぐりと開いて固まる。

 

「傷が治っちゃいましたね」

 

「ど、どういうことですか!?」

 

 セリナが確かめようとするが受けた傷が全て回復していたのだ。するとアヤネの端末から電話が。

 

「あっ、すいません」

 

 廊下に出たアヤネが電話に出た。

 

「え!? 皆さん! ノノミ先輩の傷が完治しました!!」

 

「えええええ!!」

 

「これは……!」

 

 空を眺めたニキが立ち上がる。

 

「神が"私も混ぜてくれよ〜"と言ってます。しかも、お告げの大サービスとして悪い効果を除いたとも……」

 

「ど、どんだけフランクなのよ…… って何あれ!?」

 

 セリカがため息をつくと上空に何かの影が見えていた。

 

「あれって確か…… どっかでみたような」

 

 その姿はどこぞのOSが残した先生の絵だった。しかし……

 

「何でホシノサクサクが? やっぱりマジで神だったの!?」

 

(アビドス高校の制服を着た人?)

 

「ほ、ホシノちゃーん」

 

 シロコには神の声すら聞こえていた。

 

「?」

 

 そんな中ホシノはと言うと……

 

「あ、あれ!? 見えない……」

 

 何やら神の姿が見えていたニキたちだったが当然セリナにはそんなものは全く見えなかった。

 

「あの、皆さん何を……」

 

 声をかけてきたセリナを見るや否やニキが駆け寄ってきた。

 

「どうですセリナさん? これを機にあなたも神に祈りませんか?」

 

「え?」

 

「大丈夫です。神は寛大です、トリニティの方でも歓迎すると言っていますよ」

 

「はいはいストップ! ったくもう…… とりあえず行くわよ」

 

 セリカに引っ張られる形で勧誘をやめさせられたのだった。

 

「あの、退院前に最後の検査が必要なんです! 明日まで待っていただけますでしょうか? 念の為なんです」

 

「あらら、そうなの。とりあえず今日はこのまま泊まっていくといいよ。私たちはノノミの退院手続きに回らないといけないから急いで戻るね」

 

「はい、ではまた明日」

 

「あっ、こちらにいらっしゃいましたか」

 

 対策委員会の皆が帰ろうとした時、ゲヘナの氷室セナが現れた。

 

「? おかしいですね、久城ニキさんは負傷してたはずですが……」

 

「ふっ、神のお告げですよ! どうですか、あなたも偉大なる太陽の神をしんこ……「はいはい、止めようね〜」」

 

 アヤネに引っ張られる形で勧誘はキャンセルされた。

 

 

 

「暇だ……」

 

 とりあえずベッドで大人しく寝てはいたが、快眠できずにいた。無理もなかった。トリニティは今大いに乱れに乱れていたのだから。

 

(ヒフミさんたちは大丈夫でしょうか……)

 

 ヒフミと一緒にいたアズサはアリウス出身のために渦中に飛び込んでいるのは想像がついた。以前、一度だけ同じ部に所属していたハナコやコハルとも会ったことがあったため身を案じていた。

 

「困りました……」

 

 先生も運ばれていた。どうやらニキが負傷した直後に彼もまた重傷を負っていたのだ。

 

(先生が目覚めないことには暗雲がかかったまま…… であれば)

 

 ニキは立ち上がって廊下に出た。

 

「ニキさん!?」

 

 セリナが驚いてニキを病室に戻す。

 

「ダメじゃないですか! 一応怪我人としているんですから!!」

 

「今先ほど神の声が聞こえました。あなた方に救いを差し伸べよ、とね」

 

 そんな声は全く聞こえていなかったがニキはそう言って無理やり病棟を移動する。

 

「神の秘術をお見せしましょう」

 

「ちょっと!? 流石にそこは……」

 

 セリナの制止を無視して負傷した正義実現委員会のツルギとハスミの部屋に入った。

 

「何をするんですか!?」

 

「神の双刃祈り」

 

 セリナが止める前に手から緑の光が放たれ2人の傷を癒した。

 

「え……」

 

 その光景にセリナと他の救護騎士団の団員も呆気に取られていた。

 

「神の祈りで傷は癒えました。ですが、この祈りは人体には効果がありすぎるので、軽く腹痛になると思います。鎮痛剤の類があれば飲ませてあげてください」

 

「……」

 

「さて、次はどなたに神の祈りを届けましょうかねえ」

 

「大人しくしててください!!」

 

 セリナを怒らせてしまったニキはそのまま病室に閉じ込められてしまった。

 

 

 

 

「とほほ…… 断られましたか。ですが……!」

 

 部屋の窓を開けてこっそり外に出たニキは暇つぶしとばかりにトリニティの校舎を彷徨き始めた。平時なら奇異の目で見られる彼女だったが、非常事態なのを良いことに平然と歩き回っていた。

 

「さて、信仰を促しに行きますか」

 

 しかし当然ながら見つからないように動くため思うようには動けなかった。

 

「うーん困った……」

 

 しかも今のトリニティは大いに荒れた状態だった。

 

「せめて知り合いがいれば……?」

 

 すると遠くで困り果てているコハルの姿を見つけた。

 

「え……!? 何でこんなとこにいんのよ!!」

 

「怪我人で運び込まれてましてね」

 

「嘘言わないで! だったら、何でそんなにピンピンしてるのよ」

 

 コハルが指を指して指摘した通り今のニキは怪我などどこにもなかった。

 

「神の光ですよ。偉大なる太陽の神の加護を得た私から傷は全て消えたのです」

 

「神ってねえ……」

 

 呆れた表情を浮かべるコハルに対してニキは得意気だった。

 

「それよりも見ていましたよ? あなたは今何か悩みを抱えているはずだ。今はすっごくご機嫌なので特別サービスで神のお告げを授けてあげましょう!」

 

「え?」

 

 戸惑うコハルをよそに勝手にお告げを聞こうとニキは動いていた。

 

「"心のままに"と神は言っています」

 

「どう言うことよそれ」

 

「こんな状況です、おそらくどうすれば良いのか分からないはずだ。そう言う時こそあなたが本当にしたいって思うことをやってみれば良い、って意味ですね」

 

「……!」

 

 コハルが何かを思い出したかのように駆け出した。

 

「とりあえずお礼は言っておくわよ! 私にはやらないといけないことがあるの!!」

 

 手を振って見送りながら校舎を彷徨いていると広場で生徒同士の揉め事が。しかも、ティーパーティが正義実現委員会や他の生徒をも巻き込んでいたのだ。

 

「少し手を貸しますか」

 

 手を翳した瞬間、空から一筋の眩い光が差し込んでいった。

 

「な、なに!?」

 

「こんな時に一体何なのよ!」

 

 怒声が響く中には放課後スイーツ部の面々がいた。

 

「これは一体どう言うことだ?」

 

「おやめなさい、この争い…… 無益だ。神が泣いておられる」

 

 光に当てられながらニキが中心に飛び込む。

 

「なっ、何なのよあんた! 見たところ他校の生徒みたいだけど……」

 

「天が泣いておられる! 行き場のない怒りをぶつけて滅びゆくトリニティの行末を嘆いておられる! 聞こえませんか、この天の嘆きが!!」

 

 ニキは涙を流していた。

 

「な、何よあれ……」

 

「って言うかあれ、こないだ街で変な演説してた子じゃない?」

 

 伊原木ヨシミと杏山カズサがニキの言動に表情を引き攣らせる。

 

「神に変わって私がこの争いを鎮めて差し上げましょう! 全ては安寧のために……」

 

「何をごちゃごちゃと!」

 

 暴走したトリニティ生が発砲してきたがニキから放たれた光により攻撃が逸れてしまう。

 

「な、なんなの……?」

 

 慄くトリニティ生に対してニキはその場で胡座をかいて座り込む。詠唱を唱え始めるとニキの身体がゆっくりと宙に浮かぶ。

 

「お、おお……!」

 

 柚鳥ナツが感嘆の声を漏らす中、ニキが両手を広げた。

 

「神風」

 

 そう呟くと手から緑色の波動が放出され、その場にいたトリニティ生たちを吹き飛ばさんと吹き荒れる。

 

「きゃああああ!」

 

「な、なにこれ!?」

 

 栗原アイリも飛ばされそうになったが他のスイーツ部員たちに支えられてなんとか踏みとどまった。

 

「あはははは……」

 

「にょほほほほ!」

 

「あはぁ〜 良い気持ち〜」

 

「痛いのに……! 気持ち良い!!」

 

 先ほどまで怒り心頭に発していたトリニティ生たちは喜びに喘いでいた。

 

「な、何これ……」

 

「ウヘヘヘヘ〜」

 

「ぼうりょくなーんてやめだー」

 

 誰もがニヤニヤしながら地面を這いつくばる光景はスイーツ部の部員たちを慄かせるには十分だった。

 

「あ、あんた何したのよ!」

 

 ヨシミが尋ねるとニキはニコニコしていた。

 

「天国を見せられました。これも神の光のおかげですよ。痛みなどはすぐに喜びや快感に変わるのです。時期に心も落ち着き、モヤも晴れるでしょう。どうか誤らないで。神に祈るのです!」

 

「いや、祈れって言われても……」

 

「太陽の神は我らと共にあるのです! さああなた方も太陽の神に祈るのです!!」

 

 熱烈な布教を行うニキだったが……

 

「久城さーん!?」

 

「ヤバっ!」

 

 大急ぎでセリナが広場に現れたのだった。

 

「あ、あの! ここに他校の生徒はいませんでしたか!?」

 

「え、それなら……」

 

 ニキはその場から既に逃走していた。

 

 

「あ、危なかった〜」

 

 セリナから逃走を果たしたニキが近くの茂みに隠れていた。

 

「ん?」

 

 何かの気を感じたニキはそのまま独房へ__

 

 

「あれ? 珍しいねこんなところに。誰かな?」

 

 ニキは檻の向こうにいた生徒を知っていた否、見たことがあった。

 

「なるほど、ティーパーティの1人が幽閉されたと聞きましたが、あなたでしたか。聖園ミカ」

 

 ピンク色の髪の毛に白いトリニティの制服そして白い肌はさながら囚われの姫を思わせるが、彼女こそ桐藤ナギサと百合園セイアの命を脅かさんと暗躍し、投獄された"トリニティの裏切り者"だったのだ。

 

「ちょっと〜 質問してるのは私だよ?」

 

「久城ニキ。怪我人として担ぎ込まれた他校の生徒ですよ」

 

「えぇ〜? 質問してるのは私だよ〜?」

 

(閉じ込められているのに随分ヘラヘラしているようですが間違いありませんね)

 

「これは失敬。ですが、外の状況をあなたは理解しているのですか?」

 

「それがどうかしたの? こうして他校の子が目の前にくるなんて事自体がおかしいんだけど」

 

 無関心、今の彼女に見られる表情だ。

 

「なーに、ほんの暇潰し。明日には出て行きますよ」

 

「さっき外で変な声がしたけど、あれってあなたの仕業?」

 

「お世話になったので少し借りを返させていただきましてね。それよりもあなたも随分変な方ですね。この事態で異様とも取れるほどの落ち着きぶり、やはり本当だったようですね」

 

「え?」

 

「神はあなたの未来を見ていました。あなたは時期にその壁を破壊して外に出る日が来ます」

 

 ミカはポカンとしていたがため息の後に含み笑う。

 

「ふざけた理由でもつけて納得させたいのか〜 あージョークなら他所で言ってよ」

 

「信じる信じないはあなたの勝手。ですが私の占いはかなりの確率で当たる。ゆめゆめ忘れない事です」

 

 ニキが立ち去ろうとしたその時数名のトリニティ生がミカを脱獄させたのだ。

 

 ニキもそのやりとりを見ていたが、彼女たちに立ちはだかる。

 

「ダメだ! そんなことをしちゃあいけない!!」

 

「何だ貴様…… 部外者は消えろ!」

 

 彼女たちの狙いはゲヘナとの全面戦争だったがミカが乗り気でないことに加えて挑発して来たため、リンチされていた。

 

「おやめなさい!」

 

 ニキが制止する。

 

「何だお前!」

 

「どうか落ち着いてください! 神が泣いてますよ!?」

 

「うるさい!」

 

 銃を構えて来たのを見てやむなくニキがMGを構え周囲に連射する。

 

「なにを……!?」

 

 攻撃を受けたトリニティ生が次々と倒れていく。

 

 新発明した特殊弾__悶絶弾は喰らえば最後、凄まじい激痛が全身を襲う。

 

「うごぉおおお……」

 

 お嬢様にとって気品さがまるで失せたかのような表情を浮かべていた。

 

「て、手品?」

 

「こ、こうなったら! せめて裏切り者だけでも……!」

 

 攻撃を回避したトリニティ生がミカに標的を移そうとしたが……

 

「ダメ! こんなの私が許さないから!!」

 

 何とその場にコハルが割って入って来たのだ。

 

「コハルさん!?」

 

「何こいつ?」

 

「待って、確かその子って……」

 

「コハルは私の生徒だよ」

 

 その時、誰もが廊下に目をやった。

 

「シャーレの先生!?」

 

 ティーパーティの生徒たちはもちろん、その場にいた誰もが目を丸くして驚いていた。銃撃され意識を失っていたはずの先生が今目の前にいたのだ。

 

「おお、我が神よ…… 目覚めたのですね!!」

 

 先生を前にしたニキが膝をついて祈る。

 

「あれ? ニキ?」

 

「私も重傷でしたが神の光でこの通りピンピンしています。良かった……」

 

 涙を流すニキの横でティーパーティの生徒たちは旗色が悪くなったと見てそそくさとその場を後にした。

 

「こうしてはいられません!」

 

 立ち上がったニキは表に出た。

 

「皆さーん! シャーレの先生が復活しましたよ!!」

 

 対策委員会や補習授業部のグループチャットに書き込む。

 

「久城さーん?」

 

 背後から聞こえて来た声にどきりと驚く。

 

「見つけましたよ〜?」

 

「あっ……」

 

 

 

 セリナに捕まり軽くお説教されたニキだったが先生のとりなしで無事にアビドスに帰宅することができた。

 

「ノノミ先輩!」

 

「ニキちゃん、無事だったんですね」

 

 ニキは涙を流しながらノノミの体を触り始めた。

 

「本当に問題ないですよね?」

 

「んもう! そんなことしなくたってピンピンしてるでしょ!?」

 

 セリカがため息をつく。ノノミもよしよしといいながら頭を撫でた。

 

「大怪我したのに神様が助けてくれたんですね」

 

(それにあの姿はひょっとしたら……)

 

 ノノミはホシノに視線を移す。

 

「あれ? どうしたのノノミちゃん?」

 

「いえ、なんでも。それよりホシノ先輩も寂しかったんじゃ無いですか?」

 

「あれれ、バレてた〜?」

 

(梔子ユメさん、だったのかもしれませんね)

 

 To Be Continued.




次回予告

ユメ「いかにも私が神様だよ!

 と言ってもさぁ… ここだけの話、結構ニキちゃんが誤解してたり勘違いしてたりするんだ。

 この間だってリラックスしてほしいのにニキちゃんは"バグった!"って言ってるし、心配だなぁ」

次回、これが私たちの物語 決着のエデン条約

ユメ「神様… ニキちゃんを守ってあげてください」




とりあえず、新年一発目から
・神はユメ先輩
・負傷したノノミがあっさり回復
・ハスミとツルギの治療をニキが担当
・デモを1人で制止
・ミカと対談
・先生復活を目撃

なかなかの情報量である
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