神のお告げですよ皆さん! 〜我が青春は神と共に〜 作:ウズベ
すでに戦場ではアズサが1人でアリウススクワッドの面々と交戦していた。
「はぁ… はぁ… はぁ…」
決死の攻撃でアツコを弱らせていたアズサだったが怒りを燃やすサオリに逆襲され、もはや戦況は明らかだった。しかし…
「ヒフミ?」
倒れそうになったアズサを支えたヒフミはじっとサオリたちをみていた。
「あれは…」
雨が降り続けていた。
「普通のトリニティ生です」
ハナコやコハルもこの場に現れていた。
「今ここで私の姿をお見せします」
紙袋を取り出したヒフミは頭から被った。
「私こそ覆面水着団のファウストです!!」
皆が呆然したり驚きを隠せない中…
「どうです怖いでしょう!?」
ヒフミは得意げだった。
「ヒフミ… そんな嘘を言われても」
突然の告白に対してアズサが抱いたのは呆れだった。だが…
「誰が嘘だって!?」
空がキラリと光り、6つの光がヒフミの前に現れた。砂煙が晴れるとその正体が現れた。
「なに!?」
サオリの目には負傷したと思われていたニキが五体満足で現れたことに動揺を隠せなかった。
「…!!」
ミサキやヒヨリも同じだった。
「バカな、貴様はあの時!」
「神の光を受け、蘇りました。我々は神の信託に引き寄せられたのです!」
(ニキ!?)
真っ先に声を上げたセリカが戸惑う。
「神が与えた信仰心は祈りとなって我らに降り注いだ。美しいでしょう?この偉大なる神が!!」
ニキがファウ…ヒフミに視線を移す。
「目には目を歯には歯を、無慈悲に孤高に我が道の如く魔境をいく!」
ホシノもニキに呼応する。
「ん、それがモットー」
「我らは神と共にあるのですよ!
さあ、神よ!我らをお導きください!!」
「普段はアイドルとして活動してますが、夜になると悪人を倒す副業をしてるグループなんです♧」
(あ、あれ〜? ノノミ先輩〜?)
次々と飛んできた情報にセリカが異議を唱える。
「ちょっと!何よさっきから神だのアイドルって!変な設定を盛らないで!!」
セリカが地団駄を踏む。
「なっ… 良いじゃないですか!我らは神の使いなのですよ!?」
「そもそも私は神の使いになんてなってないんだけど?」
口喧嘩を繰り広げるセリカとニキの横でアヤネが苦笑いを浮かべる。
「あはは。ですが、アビドス高校対策委員会はトリニティに助太刀します!」
そうこうしている間に恥ずかしくなかったヒフミが我先に紙袋を外す。
すでにこの場には多くの生徒が集結しつつあった。その中で言葉が溢れる。
「アズサちゃんが人殺しになるなんて… 嫌です」
戦場に届くヒフミの一声__
「そんな暗くて憂鬱なお話、私は嫌なんです。 それが真実だって、この世界の本質だって言われても、私は好きじゃないんです!
誰もが武器を下ろした。雨も止んで行った。
「私には好きなものがあります!」
張り上げた告白__
「平凡で、大した個性もない私ですが……自分が好きなものについては、絶対に譲れません!」
「友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて辛いことは慰めて、お友達と慰め合って……!」
「苦しいことがあっても……誰もが最後は、笑顔になれるような!」
ヒフミの言葉に呼応するかのようにあたりが少しずつ明るくなっていった。夜明けだ。
「そんなハッピーエンドが好きなんです!」
「平凡で、大した個性もない私ですが自分が好きなものについては、絶対に譲れません!
友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて、辛いことは慰めて、お友達と慰め合って…!
苦しいことがあっても誰もが最後は、笑顔になれるような、そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!」
胸の内をこの場にいるものたち全てに曝け出すその言葉は今、告げられた。
「終わりになんかさせません!まだまだ続いていくんです!私たちの物語、私たちの… 青春の物語を!」
その瞬間朝日がヒフミを照らし、戦況が一変した。
「今ここに宣言する。私たちが新たなエデン条約機構」
先生の作戦でユスティナの動きが乱れていった。
「知ったことか!」
動揺しながらも激昂するサオリは闘志を燃やす。
「そんな世界などあるもんか!そんな夢が…!」
「そんな夢を実現させる。それが大人の義務なんだよ、サオリ」
拒絶の意思を隠さないサオリに対して先生が首を横に振って答える。
「生徒たちの願う未来を支えるんだ。心から願う未来を___」
そんな中もう一つ__ヒフミと先生の姿を目に焼き付けたニキの中で何かが弾けた。眠っていた心を呼び覚ますかのように__
「うっ… うをおおあああああああああああ!!!!」
突如ニキの身体中から凄まじいオーラが眩い光を放ちながら溢れ出した。
「!?」
その場にいた誰もが愕然としていた。ヒフミだけならまだしもいきなり興奮し始めたニキに困惑の視線が映った。
「眩しい…」
「な、何をしたんですか?」
ミサキとヒヨリが戸惑いの声を上げる。
眩く光り輝くニキはその場に立ち尽くし___
「何が起こったの!?」
「…!」
「ニキ、ちゃん?」
涙を流していた。目から溢れたその涙は上空へと舞っていく。さらに制服を濡らしていた雨の雫も自然と乾いていった。
「ヒフミさん… あなたは、神だったようですね」
「え…?」
ヒフミがポカンとしていた中でニキは嬉し涙を流しながら、微笑む。
「3つの神の加護が私の中で眠っていた信仰心を目覚めさせたんだ。私はもはや負けない。アリウスはもちろん、誰にも負けはしません。
神が… 神がいたアアアアアアアアアアアアアアサーーーーーーーー!!!!」
ニキの叫びでオーラがさらに吹き出していき、やがてニキ自身を包み込んでいく。
「ニキ、こんな時にふざけてる場合じゃ… っていったぁ!!」
セリカがニキに触れようとした瞬間、静電気に触れたかのような反応をとった。
「信仰心が弾けているんです。触るなら毎日神に感謝してくださいセリカちゃん。そんなことでは神の使徒を名乗れませんよ」
「はぁ!?」
「神です、神が今この地に降臨されたのだ!祈りましょう、そして神に感謝するのです!偉大で聖なる神に…」
誰もがポカンとしていた。
「今日キヴォトスの歴史に新たな神が降臨された。その使徒の名は久城ニキ!太陽神、慈愛神そして友愛神の導きを受けたものだ」
その時、ユスティナのうち一体が現れたが…
「はぁ!」
武器すら持たないニキの掌から放たれた光で、完全に消滅した。
「無駄だ、お前たちはもう勝てない。神の使者として降臨した私たちに勝ち目なんてありませんよ」
「ニキ…」
「ん、おかしくなった」
セリカが変わりぶりに冷ややかな中シロコもさりげなく同調していた。
「さて、神のお告げです。ハッピーエンドにしましょうか!!」
「な、何なんですかあれ!?」
「えぇい!ふざけるな、お前たちの物語など…!!」
アリウス生とコントロールを維持できないユスティナが攻撃してきたが…
「2時の方向から来ています。ノノミ先輩、ホシノ先輩!」
アヤネのドローンによる監視で2人が攻めかかる。
「こいつ!」
グレネードランチャーの一発が放たれたがノノミの弾幕により当たることなくその場で爆発した。
「神の一閃を受けなさい!」
ロケットランチャーから放たれた一発はアリウス生たちを吹き飛ばした。攻撃は素早く、回避すら間に合わずにまともに攻撃を受けるのだった。
「うわあああ!」
「あっ、アビドスの!」
振り向くと正義実現委員会や風紀委員会の生徒たちも援軍として駆けつけていた。
「小鳥遊ホシノ…!?」
意味深な目線を向けるヒナだったがすぐ近くにいたニキの思わぬ変化に目を丸くしていた。
「おぉ!ヒナさん、無事だったんですね!」
「あなた… 大怪我してたんじゃなかったの?」
「ふふ、神の光でこの通りです。どうです?ヒナさんも神の声を聞いてみませんか?」
「ちょっと、今はそんな場合じゃ無いだろ!?おかしな姿して!!」
イオリが注意したように敵が固まって接近してきただけでなく大型の個体まで現れたのだった。
「神の光!」
しかし、覚醒したことですっかり余裕のニキは全身から眩い光を放つ。それによりアリウス生たちを一時的に行動を封じた。
「うわぁあ!目が…!」
アリウス生達はゴーグルをしていたにもかかわらず眩しさに目を痛めていた。その隙に対策委員会が総攻撃を仕掛けその場は制圧された。
「神の光を遮る術などはありません」
しかし残った大型の個体が襲いかかる。
「ふっ、ならば私のさらなる技をお見せしましょう」
「は?まだ何かあるわけ?」
イオリが尋ねると徐に視線を移す。
「ふむ… かなり広いですが、良いでしょう。見せてあげましょう、神の導き!!」
手をかざすと上空に御神籤に使う木製の筒が展開された。
「あれは…」
先生が首を傾げていると何本かくじが取り出され、対策委員会は勿論、正義実現委員会やヒフミたち補習授業部、風紀委員会、アリウススクワッドたちにくじが展開された。
「さあ代表者よ、くじをあけちゃってください!」
対策委員会のくじをニキが手に取った瞬間結果が浮かんできた。"末吉"だった。
「ふむ、末吉ですか」
「スカ?どういうことなの?」
「凶!?」
「末吉?それがどうしたんだ!!」
「き、吉?」
ヒナ、ヒフミ、サオリ、ハスミが困惑の表情を向ける。
「あー 風紀委員会の皆さんは気をつけてください。恐らくそろそろ…」
風紀委員会の主要生徒が頭を抱えると…
「え、なんで私が私を?」
チナツが見ていたのは自分自身だった。
「え、その声はイオリ?どうしてヒナ委員長の身体に!?」
「アコちゃんこそどうしてヒナ委員長に?」
「スカの効果だ… スカになるとどういうわけか"ヘイローはそのままで中身が入れ替わってしまう"と神が告げられた通りですね」
「はぁ!? 今すぐ戻せよ!!」
イオリ(身体はアコ)が抗議する。
「大丈夫です、少し時間が経てば元通りですよ」
「ええ!?」
アコ(身体はヒナ)が素っ頓狂な声を上げた。
「もう、さっさと行くわよ!」
セリカの合図に続くニキと風紀委員会たち、一時的に入れ替わっていたため風紀委員会も思うように戦えないかに思われたが…
「アコ、チナツはサポートを。イオリはアコの身体だからあまり飛び出さないで」
先生が落ち着いて指揮をとっていたため最悪の事態にならずには済んでいた。さらに…
「ここは私たちにお任せください!」
「キヒヒヒヒ!」
正義実現委員会の攻撃が全て相手の急所に命中し大型のアンブロジウスは難なく撃破されたのだった。
「イオリの体で戦ってみたけど、身軽な分戦いやすかったわね。だけどどういうわけか小回りがイマイチだわ。トレーニングが必要かもね」
その時、鼓動が激しくなってヒナたちが元に戻ったのだった。
「戻った?」
「おいアビドスの!お前いつか覚えてろよ!?」
イオリが抗議の言葉を向けるが、戦いはまだ終わっていなかった。
「敵の数が多い… ヒフミたちを助けに行かないと!」
先生が飛び出す。
「先生に続くよ!」
「ここは私たちに任せて」
先行したヒフミたちを追って対策委員会が進む。残った敵は風紀委員会と正義実現委員会が分かれて対処することになり…
「アズサ、お前はここで終わりだ」
「そ、そうは行くもんか!」
補習授業部は凶の影響で弱っていたがアズサはなんとか立ち上がるのだった。
「ヒフミさーん!」
真っ先に駆けつけたのはニキだった。
「他の敵はみんな散らばって対処しています。スクワッドの1人は私が…!」
「まだ邪魔をするんだ。どうせこんな世界なんて」
ニキと向かい合ったのはミサキだった。両者でロケットランチャーの撃ち合いが繰り広げられていく。
「いきなり決めに行きますよ、神風!」
撃ち合いの最中、マシンガンに持ち替えて弾幕を展開する。その攻撃を受けたスクワッドの3人は咳き込み始めた。
「邪魔するな…!」
ミサキが睨みつけながら連射攻撃を繰り出す。負けじとMGで応戦するニキだったが、ミサキの執念の前に徐々に押されつつあった。
(こうなったら…!)
「神の導き!」
再びくじ引きがニキとミサキの両者に展開された。
ニキ:スカ ミサキ:末吉(変化無し)
「し、しまったああああ!!」
するとニキの姿がサオリに変化してしまう。
「それは何?」
構わず攻撃しようとした。
(や、やっばーい!)
サオリの姿で狼狽えるニキ、やぶれかぶれの手段に出た。
「あぁっ!なぜこんなところに彼女が!?それに姫も…!!」
ミサキの背後を指差すとため息混じりに後ろを振り向く。当然そんな存在はなかったが一瞬の隙をつくのには成功していた。
「今です!くらいなさい!!」
「!?」
騙し討ち同然の不意打ちでミサキは倒れた。
「や、やった…!」
アズサも程なくしてサオリを制し、何者かによって繰り出された怪物__ヒエロニムスは先生の繰り出した大人のカードにより一蹴された。
残ったアリウス生はトリニティ主導で捕縛もしくは投降の呼びかけが行われ、この事件は終わりへと向かっていった。
(終わった… だけど)
ニキの不安の正体をアビドスの皆と先生以外は知らない。アリウスの背後にいた黒幕と未だ逃亡を続けるスクワッドたちが残っていることを。
「ですが、疲れました… 考え事は明日にしましょう」
眠についたニキは自室の床で眠っていたが…
「あれ?」
翌朝目覚めるとなぜか布団に移動していた。
「あれれ?」
「ダメだよニキちゃん。疲れたらぐっすり休むんだよ」
窓の外にいた存在が微笑む。緑の髪をたなびかせた彼女こそ神だ。
To Be Continued...
次回予告
エデン条約は終わった!しかし…!
ニキ「動いてないのに寒いよ〜!」
お休みの日に何があったのか!?
次回、そうだ温泉に行こう