神のお告げですよ皆さん! 〜我が青春は神と共に〜 作:ウズベ
アリウス自治区にいち早く潜入したニキは身を隠しながら動き回っていた。
「急いで先生と合流しなければ…!」
通りに出たニキだったが突如として背後に気配を感じたため武器を構える。
「あれぇ〜?」
その声の主にニキが動揺する。聞き覚えのあるその声にニキは戸惑う。
「あなたは…! 何故こんなところに!?」
「あはは!それはこっちのセリフ。なんでいるのかなあ?」
その正体は聖園ミカ、ティーパーティパテル派のリーダーだった人物だ。彼女は現在侵した罪に対しての裁きを受けるために幽閉されていた筈だった。しかしそんな彼女は間違いなくニキの今目の前にいた。
(なんだ? 今の彼女はあの時の彼女とは…!)
笑顔の裏に隠れた敵意をニキは感じずにいられなかった。
「うーん、ひとまず退いてくれる?」
「退くも何も… あなたは知ってるのか?彼女たちは今先生と行動を共にしているんだ!」
「へえ、それじゃあ尚更ほっとけないなあ」
ミカからただならぬ雰囲気を感じたニキは武器を下さずに警戒の眼差しを向けていた。
(こうなったら!)
「神の導き!」
空から降りたくじが引かれてニキは七色の光に包まれた。
「大吉か!」
不意打ちの一発でその場からなんとか退散したが別の場所でも戦闘が始まったのか慌ただしくなっていた。しかも…
「あれは…!」
エデン条約の調印式会場で見られていたミメシスが再び闊歩しているのが見えた。
(一体どうしたんだ?何故奴らが?)
敵の数とミカの追跡を警戒し、ニキは隠れながらアリウス自治区の荒廃した街を移動していた。
「アビドスほどじゃないけどここも…」
その荒れ具合は砂漠化が進んだアビドスとは違い、明確に人の手による破壊の跡が刻まれていた。
「…」
胸を痛めつつも、占いを行い先生たちのいる場所に足を運ぶ。
「ここは…?」
入り口に足を運んで中に入ると背後から銃を突きつけらえた。
「お前は…!」
「ニキ!?」
先生が目を丸くしていた。
「ごめんなさい先生、ですがこれも神の啓示。お力添えをさせていただきます」
ニキが先生に礼を尽くした横で傷ついたサオリに視線を移す。
「神の双刃祈り」
サオリに術を仕掛けるが…
「おごぉ!」
術の反動でニキが悶え苦しむ。
「は?」
「え?」
警戒していたミサキとヒヨリが突然起こった出来事に対して疑問の声を溢していた。
「も、もう一度… ふぁご!!」
2度も失敗したため、ニキは助けに来たはずがミサキに看病される有様になってしまった。
「なんで来たの?」
「神の啓示です。窮地に立たされる神を護るが使者の務め」
ミサキの問いに答えるニキ、その表情は腹痛に侵されてもなお凛々しかった。
「そう…」
その後ミサキとヒヨリの口からアリウスの支配者__ベアトリーチェの残酷な統治が語られた。先生が怒りに方を震わせていた。
「なんたることを… 神が怒るのも道理!」
「なんで怒るのさ」
ミサキがため息をつく。
「大人に酷い目に遭わされた経験はありますので」
「ニキ、ここから先は…」
「ご心配は無用です。私たちアビドスがいただいた大きな借りを返させてください。我が神よ」
「あはは」
ニキを案ずる先生だったがニキの行動に苦笑するのだった。
「どうですか?あなたも神を崇めませんか?」
「は?」
ミサキが困惑の声をこぼす。
「信ずるものを無くしたあなた方だからこそここにいらっしゃる神を共に崇めるのですよ!素晴らしいでしょう!?」
「ニキ、今はそういうのはやめようね」
先生も怒りを見せていた時と違い、いつも通り穏やかにニキを諌めた。
「っていうか、あなたはどこまで知ってるわけ?」
「そうですね、ここへの入り口をある程度知ってるのと…「え?」
ニキを遮るようにヒヨリが目を丸くした。
「以前ここにいる赤い怪物に襲われかけた際にここへの入り口の情報を得たのです」
「な、なんだと…!?」
気を失っていたサオリも目を覚まして早々に、言葉を失っていた。
「以前よりあなた達の背後にあの恐ろしい存在がいることは知っていました。ですが、調印式の際に姿すら見かけませんでしたがね」
「何それ怖」
淡々と話すニキにミサキが率直な言葉をこぼす。
「彼女こそあなたたちの…「急ごう。もう夜明けまで時間が残ってないはずだ」」
先生がサオリと目配せをして出発した。
アリウスの支配者__ベアトリーチェは先生に宣戦布告に近い形で邂逅を果たした。彼女はユスティナを自在に操り、サオリたちを始末しようとしたが…
「見つけたよ」
サオリを狙うミカが追って来ていた。
「ミカ…」
時間が迫る中苦い顔を浮かべる先生を見たニキは前に出る。
「先生、ここは私が」
「ニキ!?」
「私は大丈夫。必ず追いつきますので… 早く!」
ニキの言葉にサオリたちがベアトリーチェを目指す。ミカが武器を構えると彼女の足元目掛けて砲撃する。舌打ちののちに、ニキとミカが睨み合う。
「これ以上はやらせない」
「なーんで邪魔するかなあ?」
苛立ちを込めてニキを睨むミカだったが、毅然とした態度で立ち向かう。
「… 私はあなたほど失っていない。だけどこれからそうなるかもしれない」
「あはは、なんのつもりかなぁ!」
「ですが神のお告げです。あなたを助けてあげよ、とね」
両者が武器を構える。ニキの攻撃を回避したミカは眩い光を纏った攻撃を繰り出す。
「くっ!」
マシンガンに切り替えてミカの攻撃を数で押し切ろうとするがミカ自体にはあまり効いていなかった。さらに床を勢いよく殴りつけ、その破片を勢いよく投げ飛ばしてもいた。
(なんて怪力!)
「神の光!」
眩い光が放たれるがミカは意にも介さない。
「的にしてくれってこと?」
攻撃を仕掛けようとするが、すでにミカは懐に忍び込んでいた。咄嗟にプライムフォーチュンで防ごうとしたが拳の一撃が強すぎるため数メートル先まで吹っ飛ばされる。
「ぐっ…!があああ!!」
砲身が曲がり、ニキも瓦礫に腰掛け、夥しい出血をしていた。
「はぁ… はぁ… はぁ…」
腕の傷を押さえながらミカを睨むも未だミカにはダメージが通らなかった。
「それで?まだ終わらないんでしょ?」
(こうなったら…! もうアレしかない!!)
「神風…!」
折れた砲身から放たれた最後の一発が命中した。その瞬間ミカが後退りした。
「あっつ!」
火傷に狼狽えるミカだったが次の瞬間、彼女のいる場所が変わった。
「ここは…」
彼女がいた場所で彼女を呼ぶ声が聞こえる。
「ナギちゃん?セイアちゃんまで…!」
喜びの声をあげるミカ、それを見たニキはすかさずもう一発を放つべく構える。
(そろそろ…)
「え? ねえ待ってよ、どうして2人ともそんなに遠いの?」
ミカの目には遠ざかっていくナギサとセイアの姿が見える。そして次の瞬間2人の悲鳴がミカの耳に届く。
「あ、ああ… ああああああ!!」
狼狽えるミカが隙を見せる。
「今だ!」
もう一発神風を命中させるが動揺したミカを倒すには至らなかった。
「そんな…!」
「ねえ、そんなに怒らせたいわけ?」
涙を流しながら睨むミカの姿に慄くニキ。
「ずるい手ばっかり使って… 私をそんなに怒らせたいの!?」
声を荒げたミカはなんと隕石を落とすのだった。
「嘘でしょ!?」
「消えちゃえええええ!!」
隕石はニキごと吹っ飛ばすような勢いで落下していた。
(こんなところで… )
「終われるかああああああ!!」
3発目の神風と共にプライムフォーチュンは完全に折れてしまった。その衝撃で隕石は粉々に砕け散った。爆風に2人が吹っ飛ばされる。
「ミカさん」 「ミカ」
ミカが見たのは幻。
「ナギちゃん、セイアちゃん!」
安堵の涙を流すミカだったがそれは神風が見せた幸福な幻だった。
「あは、あははは!」
ミカが虚空に向けて笑い声を上げている中、ニキは意識が朦朧としていた。
(何とか… 行けたんですかね? 先生、どうかご無事で…)
瞼も閉じた。
「?」
ニキは無事だった。目を覚ますと彼女はトリニティの病室にいた。エデン条約調印式の時と同じ病室で眠っていた。
「ここは…」
「気がつきましたか」
目の前にいたのはティーパーティの3人だった。
「え…?」
ベッドの上で唖然とすることしかできなかった。
To Be continued...
次回予告
セイア「では聞かせてもらえないかな?君自身について」
ナギサ「なぜあの現場にいたのか、アリウスの方たちと一緒にいたのはなぜか」
ミカ「ちょっ、いきなり質問攻めじゃない?2人とも」
セイア「ミカ、君もいくらか聞きたいことがあるんじゃないか?」
ミカ「次回、楽園のゆくえ」
ニキ「助けてくださいアビドスのみんな」