神のお告げですよ皆さん! 〜我が青春は神と共に〜 作:ウズベ
アリウス自治区に乗り込み、ミカと相打ちになったかに思われたニキはトリニティに保護されていた。そして今、ティーパーティーの3人から事情聴取を受けることになっていた。
「まずアリウスについては我々トリニティが占拠、アリウス生たちは保護しました」
ナギサの口から顛末が語られた。
「セイアさんの予知により、私たちは協力者を得てアリウス自治区への侵攻を開始。制圧の結果、先生とミカさんとあなたの3人を保護したのです」
(なるほど、となると先生はやったんですね)
「錠前サオリたちアリウススクワッドはどうしたのですか?」
「全員逃げられました。彼女たちが今どこで何をしているのかもわかりません。それよりも私たちは貴女にどうしても聞きたいことがあります。」
スクワッドたちの無事に安堵する間もなく、ナギサが問う。
「なぜ君はあそこにいたんだい?アビドス高校の君がなぜ、あの場にいたのかが私たちにはどうしても分からなかった」
話し手がセイアへと変わり、その横ではナギサの部下にあたる生徒がティーセットを持ってきていた。一通り渡し終えると一例ののちに部屋を出た。
「そーそー、よくよく考えたら貴女がいるのっておかしいよね? 貴女たちはアリウスとはこれといった接点がなかったはずだったのにさ」
ミカも気まずそうな空気を隠して発言する。
「そうですね。まず言わせていただきますがこの私自身、一度スクワッドと遭遇、交戦したことがあるんです」
ニキの言葉に3人が驚く。
「なんですって!?」
ナギサが驚く。
「あの日私はヴァルキューレの中務キリノさんとシャーレの当番をしていたんです。その帰りに先生の姿を見かけ、ある確信を抱き後をつけさせていただいたのです」
「確信?」
「全ては太陽神のお告げのままに」
「太陽神?」
ナギサの頭に疑問符が浮かぶ。
「アビドスに眠る太陽の神のお告げ、それこそが私に届く未来の光景」
ナギサが首をかしげる横でセイアは首をゆっくりと縦に振っていた。
「なるほど君もか。私__百合園セイアも予知能力を持っていてね」
「そうでしたか! あなたもまた…
とはいえ私もたまに変な光景を見ることがあるので精度はそちらが上かもしれません」
「どうかな?私は制御が効かない。そのせいで今回はミカに辛い目に合わせてしまったと言ってもいい」
「…」
バツが悪そうな表情を浮かべるミカだったがニキはそれを察して話を続ける。
「きっかけは白洲アズサさんでした。私は以前阿慈谷ヒフミさんと知り合い、そこで彼女の未来を見ていたのです」
「??」
唐突に出てきた2人の名前に3人は困惑する。
「順を追って説明しましょう。私たちアビドス高校は偶然、ヒフミさんと出会いました。その際私は彼女のことを見ました。その結果、悲惨とも言える未来を知ってしまった。
私はそれに不安を覚えて先生に一度相談をしに行ったのです。このことについてはおそらくそちらのシスターさんがご存知ですので確認をとっていただければ… 事件が起こったのはその帰りでした。」
「偶然アズサさんとスクワッドの誰かが密談する場を見てしまったのです。交戦の果てに私は命からがらなんとか帰還しましたが、それと同時に飛行船が奴らの手で撃ち落とされる未来を見ました」
「それって確かゲヘナの…!」
ミカがハッとする中ニキは動じずに首を縦に振った。
「それから私は仲間たちにこのことを伝えつつ、ゲヘナとトリニティ双方になるべくこの事実をしっていただくべく動いていたのです。もちろんこのことはヒフミさんとアズサさん、ゲヘナの風紀委員、シャーレの先生もご存知のことです。」
「そんなことをあなた1人で…」
「さらに私は占いで偶然とは言いますが、アリウスの入り口を2/3程ではありますが調べ尽くしてましてね。今回単身で潜入できたのもそのためだったのです」
「…」
淡々と話すニキに3人は戸惑いを隠せていなかった。頭を抱えるなり、紅茶を一口飲むなりしてニキからの情報を受け取る。
「ええっと… 大丈夫ですか?」
ニキが心配になって尋ねる。
「い、いえ… 予想以上の情報でつい」
「あ、そういえば! ニキちゃんって初めて私と会った時に私のことを見ていたって言ってけど」
ミカが思い出したかのように口を開く。
「ええ、調印式の前に偶然。あれは確か、ヒフミさんに私たちが助けを得られないかお願いしに来た時だったかと」
「...」
ナギサにはわずかに覚えがあったのでハッとした表情を浮かべていた。
「あのときに会えたのは何かの幸運だったのかもしれません。というかあなたが脱獄することについてはその時に知りました。まさかあの様なタイミングとは…」
「それで?君には今まで何を見たんだい?」
セリアの質問に、言葉を詰まらせようとしたニキだったが…
(ここで黙っていたら疑われるはずだ。いっそのこと…)
「ここ先の話はあまりにも突飛な話なので私たちだけの胸にとどめてくださいね」
ニキの一言に3人がうなづくと、彼女も一呼吸をつき話始める。
「先輩の危機や出会った人のこれから先に起こる出来事でした。これまで突拍子もなく見えるものですから、ビックリしましたよ。神のお告げもバグったんじゃないかと思うくらいには。
でもあの景色だけは真実味があった。だから記憶を取り戻したら真っ先に止めようと思いました」
「き、記憶?」
ナギサが首を傾げる。
「さっき、アリウスに襲われたと言いましたがそのときに私は一時的に記憶を失っていたのです。しかし、太陽神の導きは私に再起を与えてくださりました」
「ねえひょっとして私にかけたあのおかしな術は…」
ミカが尋ねる。セイアは黙ったままだ。
「全ては神の思し召し。相対するものに幻覚を見せつける風を放てる様になりまして、アハハ!」
「なるほどなそれで君はミカと正面から戦ったが、相打ちに近い負けを喫し、ミカの手であの場所に」
「あなたはティーパーティ及び救護騎士団の手で発見されたのです。詳しい事情は先生から聞いていたので手当をして今に至るわけですが… ミカさん、彼女に話したいことがあると言ってましたが大丈夫ですか?」
「あはは、それが… 忘れちゃった⭐︎」
「は?」
ミカの言葉にナギサが目を鋭くさせる。
「セイアちゃんやナギちゃんにまた会えたから忘れちゃったんだ!!」
あははと愛想笑いをこぼしていた。ナギサが震えているのにも気が付かずに__
「まっ、そんなところかな。それでニキちゃんはさぁ、どうやっておかしな方法を使えるようになったの?」
「あの、ミカさん?」
声を変えようとしたナギサだったがミカはニキに夢中だ。
「神のお告げですね」
「ええ!何それ!!」
「神の声が聞こえるようになった結果、色々と鍛えてたらこうなりました。ちなみに以前トリニティではやってたこれも私によるものです」
「あはは!なにこれ!」
しばらくミカと2人で話しているとコホンと咳払いが聞こえた。
「ミカさん?あなたはロールケーキの神様を信じますか?」
「あれぇ〜?」
ナギサとミカが口論を始めたためにその日はお開きとなった。
後日聖園ミカの聴聞会が行われることになった。その結果が出るまでの間彼女は奉仕活動をすることになり、ニキとはモモトークのIDを交換し、思わぬ交友関係を作ることに成功したのだった。
「ニーキーちゃん!!」
アビドスに戻ってからアヤネにお説教を喰らったニキ。事情を全て話したが、対策委員会の皆からは一言相談する様にと注意を受けた上に、1週間は誰かの付き添いを受けアビドス自治区からの外出を制限されてしまうのだった。
「トホホ〜」
「トホホ、じゃあ無いわよ!みんなを心配させて全くもう…」
この日はセリカと一緒に柴関でバイトをしていた。
「少し休憩に…?」
すると路地裏から声が聞こえて来た。
「もうダメです… ひもじい思いをしてこのまま終わりなんです〜!!」
「そこで何を… ってあなたたちは…!」
声の主たちはニキに連れられ、大将の厚意で柴関でラーメンを食べていた。
「そう言うわけで連れて来たってこと?」
その横でセリカがニキとヒソヒソ会話していた。
「まあ、成り行きですし…」
「成り行きってあんたねえ…」
セリカが眉を顰めていたのはその主たちがアツコ、ミサキ、ヒヨリの3人だったからだ。
「美味しい」
「うぇええん、こんなに美味しいラーメン初めてです〜!!」
無言で麺を啜るミサキを他所にアツコは笑み、ヒヨリは感激の涙を流していた。
「はは!ニキちゃんも変わった友達がいるんだなぁ」
「え、ええ!そうですとも!!」
大将の横でセリカが苦笑いを浮かべる。
(そーいえば便利屋ともこんな出会い方だったわね。今は何をしてんのかしら?)
その便利屋がサオリと出会い、一悶着起こすのはまだだいぶ先のお話。
ラーメンを食した3人を2人が見送る。
「ありがとう」
「いえいえ、これも神のお告げです。相席が吉とね。それよりもこれからどうするのですか?」
ニキの問いにミサキが答える。彼女たちに当てなどなかった。落ち込みそうな3人を見たニキは…
「そんなあなた方にホシノサクサクを授けましょう」
「ちょっと!?」
突然のホシノサクサクにセリカが素っ頓狂な声をあげる。
「?」
「なんですかこれ…」
手渡しで受け取ったそれがなんなのかヒヨリが尋ねる。
「これは太陽神の化身、あなた方を必ず導くでしょう。私からのプレゼントですよ。これさえあれば神の加護ですっごく良い感じになれるんですよ!!」
3人が苦笑いを浮かべる。そんな中アツコが尋ねた。
「ねえ、あなたは誰?」
「久城ニキ、神の声が聞こえるアビドス高校の1年生ですよ」
To Be Continued...
ちなみにこの後アツコのことを見て、「赤ちゃんってどうやったらできるの?」に戦慄するニキでした。
とりあえずこれでエデン条約編はおしまいです。