神のお告げですよ皆さん! 〜我が青春は神と共に〜 作:ウズベ
奇妙な夢を見ていた。
「でえええりゃああ!!」
仲間たちが赤い空で怪物たちと交戦していたのだ。銃声と怪物の咆哮が絶えず聞こえてくる砂漠の中、誰もが一歩も退かずに立ち向かうその姿が酷く現実味を帯びていた。その夢に彼女はたまらず起き上がった。
「はぁっ!?」
周囲を見渡すがすぐに先ほどのものが非現実だと気付いて安堵する。
「… またあの夢だ。神よ、あなたは何を見せようとしていたのですか?」
疑問を抱きながら、彼女は一人校庭でトレーニングを進めていた。
「神の導き!はぁああああ~!!」
神の導きの鍛錬は空中に発動されるおみくじに念じることで行われていた。念じ続けていくこと数日、鍛錬の結果おみくじの容量が増えたのか以前よりくじが一回りも大きくなって空に展開されていた。
「やった!これでより強くなれた!!」
鍛錬の合間にアビドスでの借金返済は進んでいく。賞金が得られるコンクールやスポーツ大会への参加など健全な方法を繰り返しながら微々たるものだが返済を進めていった。 そんな中、彼女に電流が流れる。
「そうだ、ゲヘナに行こう」
思い立った彼女はゲヘナに向かうのだった。その道中、ニキの脳裏にはゲヘナで出会った生徒たちのことがよぎっていた。
(そういえばイブキちゃんやフウカさんはお元気でしょうか?お会いしたいものですね)
顔なじみのことを思い出しつつ、電車に揺られながらゲヘナに向かうが…
「温泉開発部が!!」
駅から校舎への道でたまたま風紀委員会の会話を聞いていたニキは足を止めた。
「むっ… 聞き捨てなりませんね」
「よし、行く… って、お前どうして?」
風紀委員会が出撃しようとする場面に居合わせてしまったのだ。しかもそのリーダーは風紀委員会のイオリだったのだ。エデン条約の時に共闘していたが、やはりアビドスに侵攻してきたときのことをニキは忘れてはいなかった。
「元気そうですね。話は聞かせていただきました。私も同行させていただきます。ああ、道案内は結構。神に聞けば良いので」
「はぁ!? おい待て!!」
無理やりついてきたニキは風紀委員会よりも早く温泉開発部に接近する。
「うわあああああああ!!」 「久城さんがきたぁ!!」 「あ、あああ…」 「た、助けてぇ!自首しますぅ!!」
温泉開発部の誰もがニキの顔を見て恐れおののく姿に風紀委員会たちは目を丸くしていた。
「お前、何したんだ?」
(この人… こんな人だったの?)
(やっぱりアビドスってヤバい土地だったんじゃ…)
イオリの横で風紀委員会の生徒が警戒の眼差しを向けていた。
「すべては神のご意思。それを基に彼女たちを今、説き伏せました」
現場に一人の人物が到着する。
「あら、久城ニキ。元気そうね」
「おぉ!ヒナさん!! 今日はお願いがあってきました」
「?」
面食らうヒナに対してニキはうきうきした表情で魔法陣が書かれた紙を見せる。
「実はここで儀式をさせていただきたいのです!これも神のお告げです。混沌の地に神の祈りをどうか!!」
「お、おい!怪しいのは…」
イオリが反発するが結局ヒナに了承が得られてニキは儀式を行うのだった。
「久城ニキ、以前あった時とはまた違う… 何か得体の知れないものに目覚めたというのかしら?」
ニキが一心不乱で儀式を行うのを横目で眺め、ヒナは次の現場へと向かうのだった。
(よし、儀式は成功だ)
ニキの狙いは功を奏した。
「ゲヘナとトリニティには何かとお世話になっています。ですので、素早く移動できるように移動用魔法陣を設置したかった。協力が得られるかどうかは不安でしたがね」
アビドスにはすでに校舎内に魔法陣がいくつか用意されており、対策委員会のみんなも認知していた。ただし、ニキは今回独断で魔法陣を設置したためバレたらまたしても外出禁止だろう。
しかし、ニキは知らなかった。
「なあ、この落書きなんだ?」
「さぁ?なんかキモいし消しちゃえ!」
せっかく用意した魔法陣はゲヘナ生により消されてしまっていたことを_
それからニキはトリニティでも魔法陣を展開し、ミレニアムにも向かっていた。
「さてっと…」
路地裏でこっそり儀式を行うニキ、ほんの数分で儀式を済ませた彼女は息抜きにゲームセンターへと向かった。
「ここに来るのも久しぶりですねえ」
以前、アヤネと遊びに来ていたこのゲームセンターも内装は変わらなかった。
「あぁ!!」
聞き覚えのある声がしたので振り向くと以前、このゲームセンターで遊んだゲーム開発部の面々と出会った。
「ニキだ!」
「お久しぶりです。今日は少し、ミレニアムに遊びに来ていました」
「ここであったのも何かの縁!アリスたちとゲームしていきましょう!!」
アリスの眼差しに微笑んだニキはしばし彼女たちと交流を深めていた。
休憩中、彼女は部室にまたしても招待されていた。その間にゲーム開発部に起こった出来事を話していた。
「ネルさんと戦った!?」
目を丸くして驚く。しかもその相手が無垢な雰囲気を隠さないアリスだというのだから、ニキの動揺はすさまじかった。
「そうそう!すごかったよね~ あのこわーい人とアリスが戦ってたんだもん!」
モモイが得意げに話す横で、ミドリはうんうんとうんざりしたかのようにうなづく。
「けど、まさか… マキさんたちともご縁があったとは。意外ですね」
「ねえねえ、ニキ~」
話が進むとモモイが彼女の肩に手を置いた。
「私たちを占って」
「え?」
突然の要求にニキが戸惑う。
「お姉ちゃん…」
「ニキなら、私たちの未来を見れるかもしれない。だったら、新しいヒット作のヒントだってえられるはずだよ!!」
「これも、神の思し召し。いいでしょう」
占いが始まった、するとニキが見えた光景は驚くべきものだった。
「なっ… これは…!!」
「ニキちゃん?」
ユズが首をかしげる。
「モモイさん… 落ち着いて聞いてください。今から遠くない未来であなたは大けがをいたします」
「えっ!?」
「気をつけてくださいね。日々健やかであることこそ神への礼なのですから」
「うーん… わかったよぉ〜」
少しゲーム開発部と談話した彼女だったが、モモイの未来にわずかな不安を抱いていた。
(また、あの夢なのでしょうか…)
翌朝、ニキは神のお告げを受けてまたしても子ウサギ公園に来ていた。
(そういえば、あの方達は解放されて先生がシャワーやら差し入れをしていると聞きましたが行ってみましょうかね)
Rabbit小隊はヴァルキューレに解放されてから、子ウサギ公園にテントを張って暮らしていた。
「ごめんくださーい」
テントに声をかけるとRabbit小隊の面々がテントから顔を突き出してきた。勿論、警戒心を露わにされていた。
「あなたは…」
「私、アビドス高校所属の久城ニキと言います。本日はお願いがあって来ました。」
ニキも愛想笑いを浮かべて話しかけるが冷ややかな目を変わらず向けられていた。
「なになに?」
「帰れ」
「…」
ミユは彼女と話したことがあるため、少し怯えていた。
(このままではいけませんね… こうなれば!)
「あなた方は神を信じますか?」
「はぁ!?」
サキが面食らった表情を浮かべる。
「神は偉大です。慈悲深いのです!あなた達もまた神の祝福を受けるのです。母なる大地を照らす太陽の神の祝福をぉおおおおお!!」
ニキの言葉にRabbit小隊は唖然としていたり警戒心を露わにしたりしていた。
「神…」
ミヤコが呟いたのを聞き逃さなかったニキはそのまま弁当を差し出した。
「今ならお弁当をタダで差し上げます!お納めを… 毒などありませんよ。神が見ている中で毒など恥ずべき行いですから」
「ふざけるな!」
反論するサキだったが、Rabbit小隊全員の腹の音が鳴っていたので仕方なく食することになったのだが…
「この弁当、味が濃すぎます」
「おい!味が薄いぞ!!」
「イマイチだな〜」
「そ、そんな…!!」
突然の発言にニキが唖然とし、やむなくその場から撤退した。
また翌日__
「みなさん!神の祝福です、これを召し上がれ」
「全く… 懲りないなぁ」
空腹となったRabbit小隊にまたしても食事を用意してきたニキ、しかも今度は自信たっぷりな表情を浮かべていた。
「お、美味しい…!」
頬がとろけるような感覚に包まれた。
(ありがとうフウカさん…)
「さて、皆さんにお話があります。神を頼りなさい」
「神?」
ミヤコが首を傾げる。
「慈悲深き神のお声に耳を傾け、信じるのです。自分たちだけでできる努力には限りがありますが、神は新たな道のきっかけとなります」
「ねえねえ、そー言う君にとって神はなんなの?」
モエが尋ねる。
「私にとって神とは救いの象徴でもあり、私自身の行動を見守ってくださるお方です。時に導き、時に叱り、励ましてくださる方なのです。大丈夫、あなたたちにも神の加護が宿っていますよ」
そう言うとニキは公園を後にするのだった。後日、Rabbit小隊は先生と和解し、一悶着起こしたものの無事に信頼関係を築くのだった。
To Be Continued...
次回予告
ニキ「いよいよ神にお見せする時が来ました!神に捧げる祭典が、今!ここに…」
セリカ「あーもう!そう言うニキは選手宣誓やるんだからアヤネちゃんの脚をひっぱらないでよね!!」
アヤネ「大丈夫なのかな?」
次回、お告げ30 神々の祭典