神のお告げですよ皆さん! 〜我が青春は神と共に〜 作:ウズベ
夜が明けた。黒服と対峙した先生は彼から受けた情報を皆に共有した。場所はアビドス砂漠のカイザーPMC基地だった。
「ホシノ先輩……」
「取り戻しましょう! 今すぐにでも! 私たちに恐れるものありはしないのですから!!」
「ニキちゃん? どうされたのですか?」
「神ですよ! 神がこの地に降り立ったのですよ!!」
「?」
(ニキ、とうとうおかしく……)
「あははは……」
先生が苦笑いを浮かべる中、ニキはぴょんぴょん跳ね回っていた。その様子はセリカに一種の憐れみを抱かせるほどであった。
「ですが今の私たちだけじゃあ、厳しいと思います。協力者を募るべきです」
ノノミの発言から、一同はトリニティのヒフミの元をまず訪れたのだった。彼女はトリニティの行政を担う組織__ティーパーティーに顔がきいていたため1人で助力を要請できないかホストに会いに行った。
「暇ですね……」
トリニティの広場で待たされた対策委員会。今、ヒフミがティーパーティに直談判しに向かっている。
「そうだ、暇つぶしに……」
占いを始めたニキが映ったのは夜のトリニティだった。
「これは……」
大声で騒ぎ立てるトリニティ生の横でニキは周囲を見渡していた。
するといきなり壁が破壊された。思わず身構えるニキだったが、今見ているのは映像。ニキ自身にダメージはなかった。
「な、なんだ!?」
「か、壁を……素手で?」
桃色の髪に白い羽根を生やした少女が細腕を下ろして笑みを浮かべた。
「なんてことだ……」
「どうしたの?」
「知らない人が壁を素手で破壊していました!!」
「はぁ〜? あんたは何を見てんのよ……」
「試しにティーパーティを覗いていたら、こんなことになりました」
「ティーパーティの人に強い人がいるのかな?」
シロコがヒフミの向かった方向に視線を向けた。
「もう…… 何かもっとないわけ?」
セリカが呆れていると今度はトリニティについて占い始めた。
「ふむ……」
ニキが見たのは救急車を足止めし、揉めていた光景だった。
「トリニティもどうやら大変そうですね」
結局、トリニティからの返答は"保留"だった。
一同は続いてゲヘナを訪れる。応接室で待機されている間ニキたちはアコのもてなしでお茶を飲みながら単身ヒナの元に交渉へ向かった先生の身を案じていた。
「はぁはぁ…… 次行きます!」
風紀委員会は慌ただしかった。
「お気になさらないでください。いつものことですので」
アコが流す中でアヤネとノノミは戸惑いの表情を向けていた。
「いつもなんですか!?」
「ええ。それよりも、久城ニキさんでよろしいでしょうか?」
「?」
アコの問いにニキは首を傾げる。
「聞くところによると、あなたは占いが得意と聞いています。悔しいことにこないだあなたの占った内容が見事に当たりまして…… どうか、ヒナ委員長のことを見てあげられませんか?」
「ヒナさんですか……」
ヒナとの苦い記憶を思い出しつつも、見てみることにした。すると周囲が暗い部屋に映った。ニキの目の前に見えたのはパジャマ姿のヒナだった。
「私だって頑張った!」
弱気な声をあげながらヒナが叫んでいた。
「アコさん、見えましたよ。神のお告げが」
「本当ですか!?」
「ええ、落ち着いて聞いてください。パジャマ姿のヒナさんが泣いている光景が見えました」
「「え?」」
その場にいた誰もが驚きの声をこぼした。体格に反して発せられていた威圧感を知る皆からは到底信じられない内容だった。
「そう遠くない未来に起こる事実。そこで彼女は傷を負ってしまうのかもしれませんね。
彼女の心をの変化を見逃さないであげてください」
「……そうですか。ご忠告、感謝します」
しかし、アコは冷静に一礼して感謝を述べたのだった。
「みんな、終わったよ」
すると先生が戻ってきた。どうやらヒナからも一応の了承が得られたそうだ。
「〜♪」
なぜかご機嫌な先生と共に、残る便利屋に依頼しに行ったが、少しだけ待って欲しいと返答されやむ無く対策委員会と先生が先行して現場に向かう。
翌朝、アビドス砂漠に移動した対策委員会はカイザーPMC基地を襲撃した。
「アビドス高校の生徒たちだ!」
「門が邪魔ですね!」
ニキの砲撃で門を攻撃するが、強硬なものなのか壊れなかった。
「私も!」
シロコもドローンを使って援護するがその隙をついて管制塔から狙撃手が2人を狙っていた。
「させません!」
アヤネのドローンが妨害行動に移り、狙撃手が撹乱されていた。
「こいつ、ちょこまかと!」
「ノノミ先輩!」
「任せてください!」
ノノミの攻撃で管制塔が破壊された。
「う、うわああああ!!」
「た、退避ぃ……!」
倒れる塔に巻き込まれるかのように兵士たちが倒されていった。
「今!」
シロコを先頭に対策委員会が次々と基地にいるPMC兵を撃破していく。
「神のお告げです! カイザーはここで滅べ、と出ましたよ!!」
「な、何言ってんだこいつ……!?」
武器を構えようとした兵士たちだったがニキの体内から溢れ出す光を前に動くことができなかった。その隙を突いて対策委員会はどんどん基地の中心部に接近していく。
「おのれええええ!!」
車椅子に乗ったカイザーPMC理事は怒り狂っていた。取るに足らないと侮っていた子供達に自分の兵隊が次々と倒されていったのだ。
「調整を済ませたか!?」
苛立ちながら部下に尋ねる。部下も気圧されていたのか弱々しくうなづくことしかできなかった。
「目にもの見せてくれるわ!」
「私たちは太陽神の使者、光栄に思いなさい!」
対策委員会は止まらなかった。目の前にドローンや戦車が現れても……
「邪魔です!」 「通してもらいますよ!」
全員の息のあった連携や先生の指揮を前に敗れ去っていった。
さらに……
「遅くなったわね! 助けに来たわよ!!」
便利屋68を乗せたヘリが現れた。しかし……
「アルちゃ〜ん、ヘリの燃料がもうないよ♪」
「な、なんですってええええええ!!」
ヘリが敵のど真ん中に墜落した。
「ああもう! 行くわよ!!」
「とはいえ、今のでだいぶ敵は減ったよ」
「助かったわ、便利屋!」
引き続き前進していく対策委員会だったが……
「よくもやってくれたなぁ……!」
ボロボロになったPMC理事がゴリアテに乗って襲いかかってきた。
「アレはこないだの!」
「やるしかありません!」
対策委員会と便利屋がゴリアテに攻撃を仕掛けるが……
「邪魔だ!」
ボディに取り付けられた砲塔から放たれたレーザー攻撃で全員吹き飛ばされてしまう。
「何ですかこのパワー……!」
「ふははは! これがゴリアテのパワーなのだ、さぁ消し炭にしてやるぞ」
「それならこれはどう!?」
シロコとアヤネのドローン2機による攻撃もびくともしなかった。
「このままでは……!」
その時、砲撃が遠距離から放たれた。
「これは?」
「皆さん、無事ですか!?」
通信が届いた。その主は……
「私です、ファウストです!」
ヒフ……ファウストだけではなかった。
「遅くなったわ」
ヒナたちゲヘナ風紀委員会も駆けつけた。
「来てくれたんですね!」
「ありがとうみんな」
アヤネと先生の言葉に皆が微笑む。
「こうなったら…… ありったけをぶつけて勝ちに行くだけだ!!」
理事の指示で基地内にある戦車やヘリが次々と繰り出されていった。まさに総力戦とも言える具合だった。
「あなたたちで決めなさい。周りは引き受けたわ!」
アルたちが敵を引き受けてる間に、対策委員会の4人はゴリアテと睨み合っていた。
「決着をつけましょうか。神のお告げだ!!」
「あなたには負けません!」
対策委員会の面々がゴリアテに攻撃を仕掛けるがやはり装甲は強固で決定打は与えられなかった。
風紀委員会やファウストたちも周りの兵隊や兵器を相手取っているため、すぐには助けにいけない状況になっていた。
「は、外れた!?」
「どうした? そんなものか!!」
理事が高笑いを浮かべる中、先生が神妙な表情を浮かべる。
「やるしかないようだね」
そう告げると輝くカードを空高く掲げる。するとあたり一体に突然雷雲が発生した。
「みんな、離れるんだ!」
雷がゴリアテとカイザー基地に直撃した。
「何よ!? 一体何が……」
「天罰ですね? 神の天罰が降ったのですね!!」
「さ、させるか! こうなったら貴様らだけでも!」
理事の悪あがきの一撃が始まろうとしていた。ゴリアテは火花を散らしながらエネルギーを充填していた。
「嘘でしょ!?」
「神よ…… 私たちに勇気と力を!」
その時、ニキの祈りが武器であるプライム・フォーチュンに集まっていった。
「これは……!」
「ふざけた真似を!」
ゴリアテの砲塔にエネルギーが充填されていき、今にも放たれようとしていた。
「させない!」
シロコが飛び出していった。
「受け取るんだシロコぉおおおおおお!!」
先生が投げつけたのはホシノの盾だった。盾を構えたシロコがゴリアテから放たれた砲撃を防ぐが勢いが強く、その場で踏み止まって耐えるのがやっとだった。
「ッ、シロコ先輩! 危ない!!」
飛び出したニキがシロコの背を支える。
「私も一緒です! 一緒にホシノ先輩を!」
「もちろん」
「「はぁああああああ!!」」
踏ん張って攻撃を防ぐ2人、その時2人の全身が突如として発光するのだった。
「こ、これは!?」
すると攻撃が盾に取り込まれてそのまま消失した。
「何が起こったのだ!?」
一斉攻撃がゴリアテに放たれる。
「今こそ神の力を!!」
ニキの放つ攻撃が当たったゴリアテの周りを風が包み込んだ。
「何だこれは!?」
勢いよく回転し上昇したが途中で風が止まりそのまま機体は真っ逆様に地面に落下した。
「な、何が起こったのですか?」
ニキすら戸惑っていたが、ゴリアテはバラバラになっていた。
「ぐわああああ!!」
理事は衝撃でコックピットから弾き出された。その光景にニキが勝ち誇る。
「神の怒りです。ご覧ください、太陽神よ。この地を好き勝手に扱った罰当たりにようやく天罰を……「急ぐわよ!!」」
セリカに引っ張られてニキたちは施設の奥へと向かった。
施設はすでに攻撃で壊されており、兵士たちはほとんどが施設を捨てて脱走していた。
「こ、こうなったら……!」
理事は虫の息ながら、密かに施設を出るべく行動していた。
「大丈夫かしら、シロコたち……」
アルが襲いかかる敵を撃破しながら施設の中央部に視線を移す。
一方対策委員会の面々はすでに施設の奥地に辿り着いていた。
「一体どこに!?」
部屋の扉を開けては中を探るのを繰り返していたがホシノの姿は見えなかった。
「ねえ、この扉すっごい硬いわ! ひょっとしたら……」
セリカが扉に指を指す。するとシロコが間髪入れずに武器を構えた。
「任せて」
シロコの攻撃で扉が破壊された。
「ホシノ先輩ッ!!」
ホシノは気絶していた。その時、施設全体が震え始めた。
「な、なんですか!?」
「まずい…… みんな逃げろ!」
先生の合図で皆が走り出した。ホシノは先生が抱えながら急いで施設から脱出する。
「ふははは…… 思い知ったか……」
傷だらけの理事は逃げるようにその場を後にした。
戦いは終わった。夕暮れ時、ホシノが目を覚ました。
「みんな……?」
「おはようございます、ホシノ先輩」
「……あはは、もしかしてさ」
ホシノが皆の姿を見て笑いながら俯く。
(みんなが、大人が、か)
「お、おかえり! 先輩!!」
セリカが照れ臭そうに告げる。ノノミもその横でくすくす笑っていた。
アヤネやシロコ、ニキもホシノを見つめていた。
「んもう…… そんなに期待して。だけど可愛い後輩の手前だもんね。仕方ないね」
ホシノは満面の笑みを浮かべて言った。
「ただいま」
To be continued.
次回予告
ホシノがアビドスに帰ってきた!しかし…
アヤネ「み〜な〜さ〜ん〜?」
ニキ「い、いけない!このままではアヤネちゃんが布団から出られなくなってしまう!!」
ノノミ「次回、新たなお告げとアルバイト」
ニキ「神のお告げですよ皆さん!」
実際この辺りはスレだと、ヒフミやヒナも入れてるのに僅差でゴリアテに負けていました。その内容は実際に見てもらうのが早いでしょうが、両者の敗北は考え難いと判断してこのような形を取りました。あと一応トドメのシーンも後々のニキが使う技の布石を打たせてます。