ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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遊園地

 

一昨日に決まった五人での遊園地。

天気も一日晴れとあったので、雨に降られる心配は無さそう

 

「拓哉は高い所無理だったよね」

 

「まぁ…避けて貰えると助かる」

 

「となると…」

 

希美にそう聞かれて高い所は無理と返した。

ジェットコースター…苦手なんだよね

 

「みぞれは乗りたいものある?」

 

「フリーフォール」

 

「え?」

 

「みぞれ…?」

 

希美がみぞれに聞くと、思ってもない答えが返ってきた。

 

「フリーフォールに乗りたい」

 

 

 

*****

 

みぞれに合わせて一回は乗ったけど、一回で限界だった僕は、フリーフォールの近くにあるベンチに座って休んでいた

上空からは、優子の絶叫と希美の歓声が聞こえてくる。

 

「もう無理」

 

帰ってきた優子の顔は真っ青だった。

 

「そりゃ、空いてるからって理由で五回も続けて乗ったらそうなるって」

 

夏紀が優子に向かって笑いながら言う。

優子は信じられないって感じだった。みぞれも優子に『もう乗らない?』って聞く始末

 

「午後からはもっとゆっくりめの奴に乗ってもいいかもね」

 

「夏紀の三半規管が羨ましくなる日がくるとは」

 

「ま。二人は休んでおけば?みぞれの相手は私と拓哉でするから」

 

と言って夏紀は、僕の腕を掴んできた

 

「夏紀…?行くなんて言って無いんだけど…」

 

「充分休んだでしょ!あの二人に代わって相手するんだよ」

 

いつもの夏紀と違って、鬼が見える…

 

「もう一回乗る?」

 

「ううん、拓哉も居るしこれにする」

 

夏紀がみぞれにフリーフォールに乗りたいかと聞くと、首を振ってパンフレットの上に指を置いた。

 

「観覧車か、それなら拓哉も行けるんじゃない?」

 

「まぁ…観覧車なら行けると思う」

 

すると、みぞれが僕の手を掴んで、

 

「行こ」

 

と言って走り始めた。

 

「みぞれ!?」

 

夏紀の声も虚しくみぞれに連れて行かれるままだった。

 

 

 

******

 

「いきなり走り出すからびっくりした」

 

「楽しみだったから」

 

「息が上がって、今は、話しにくい…」

 

「大丈夫…?」

 

息が上がっている夏紀を心配するみぞれ。

夏紀…全力で追いかけてきたもんなぁ…

 

「所でみぞれの服ってどこで買ってるの?」

 

「気になったのそこかよ」

 

「だって目に入ったから」

 

というみぞれの服は、黒のライダージャケットに赤の短いプリーツスカートだった。

 

「お母さんが買ってくる」

 

「ふうん、そういう服が好きなの?」

 

「普通」

 

「それで普通なんだ」

 

「うん、お母さんが言うには、これぐらい短いスカートの方が良いって」

 

お母さん…何をやってるんだか…

 

「でも、そんなに短かったら中見えると思うけど」

 

夏紀がそう言うと、みぞれはスカートの端を持って捲った

 

「大丈夫、インパンあるから」

 

「そういう問題じゃないの」

 

僕は慌ててスカートを元の位置に戻した。

 

「拓哉的には、みぞれの下着見たかったんじゃないの?」

 

「そんな訳あるか」

 

「見たいの?」

 

「みぞれも乗らなくてもいいの!」

 

「でも、今の恰好、みぞれに似合ってると思うよ。ミニスカートは拓哉の前だけにした方が良いと思うけど」

 

「うん、そのつもり、夏紀もカッコいい」

 

「ハハッ、よく分かってるじゃん、みぞれもこういう格好してみる?」

 

「似合うと思う?」

 

「ギャップがあっていいんじゃない?優子が卒倒するかもしれないけど」

 

「夏紀の恰好をみぞれにか」

 

Bファッションに身を包んでいる夏紀を見て、そのままみぞれに当てはめてみる。

 

「拓哉的にはどう思う」

 

「悪くはないんじゃない。というかそういうみぞれも見てみたい気もするし」

 

「なら、髪の毛を染めるのはどう?みぞれ。インナーカラー似合うと思うし」

 

「インナーカラーって何?」

 

「髪の毛の内側だけ染めるやつ。青色とか似合うと思う」

 

「夏紀もやりたい?」

 

「私は全部やりたい。ピカピカの髪の毛って憧れるでしょ。赤でもいいけど、奇抜な色にしすぎて、久しぶりに会った時に誰か分からなくなってるかもね」

 

「分かる。どんな色でも夏紀だから」

 

「色を変えても、その人の雰囲気というか色で分かるって事か」

 

「そう」

 

「でも、みぞれと拓哉は私の事を分かってくれるんだろうな。どんなに変わっても」

 

「急にどうした」

 

「夏紀は夏紀だから」

 

「そっか」

 

そんな会話をしていると、観覧車は丁度一番高い所に差し掛かっていた。

 

「おおー一番高い所だ」

 

「拓哉大丈夫なの?」

 

「大丈夫だって。フリーフォールに比べたら全然マシ」

 

と言う僕の手を握ってくれてるみぞれの手のおかげかもしれないけど

それはさておき、ふと思い出した事を夏紀に聞く。

 

「そういえば、夏紀、優子とバンド組むんだって」

 

「私も聞いた」

 

「うんその予定。二人も来るんでしょ希美も一緒に」

 

「うん」

 

「拓哉は私の影響もあって分かるけど、みぞれって軽音部のライブとか行った事あるの?」

 

「うん、拓哉と優子に連れて行ってもらった」

 

というより、バンドを組む事を聞いたのも優子からだったし、優子にみぞれと一緒に行くよと半強制的にだったけど…

 

「おおー既に行ってたかー」

 

「拓哉と希美から色々と聞いた。因みにだけど、夏紀はレチクル座って知ってる?」

 

「いや、全然知らない。造語じゃないの?」

 

「望遠鏡とか顕微鏡を見ると真ん中に基準の位置が見える。十字線の。あれのこと」

 

みぞれが説明すると、夏紀は感心していた。

 

「なんでそんな実験道具トリビアみたいな名前にしたんだろう」

 

「レチクル座って星座がある」

 

「フランスの天文学者のラカーユが、実験道具から名前をとった」

 

「へえ、詳しいやん」

 

「希美から教えて貰った」

 

みぞれが星座に興味を持つなんて思っていたけど、希美からの知恵なのか。

 

「レチクル座は南天の星座」

 

「南天って?」

 

「南半球。ここからじゃ見えない星たち」

 

とみぞれは説明して、日本は北半球という補足まで付いて来た。

 

「私さ、そういう星の知識とか全然詳しくないんだよね。プラネタリウムもすぐ寝ちゃうし」

 

「夜になったらここからでも星が見える」

 

「あーじゃ、日が沈んだら四人で乗ろうか」

 

「うん」

 

「優子と希美」

 

「こっからも見えるな」

 

みぞれと夏紀がそう言ってその方向を見る。

 

「小さいね」

 

「だね…」

 

すると、僕の手に痛みを感じた。

 

「む~二人じゃなくて…私の事を見て欲しい…」

 

「仕方ないな~みぞれは」

 

そう言って、僕はみぞれの頭を撫でる。

この光景を見ている夏紀は、ニヤニヤとしていた。




最初の方の話、ちょっとずつ弄ってますので良かったら見てくださいな。
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