サンフェス当日がやってきた。
「ほらほら、北宇治の滝先生」
「えっ、どこどこ?」
他校の子達がそう話しているのが聞こえてきた。
滝先生がどんどんと人気になっているのが分かる。
去年、全国大会出場。そしてイケメン。話題にならない方が無理か。
「今年もこの日がやってきましたね。他校のいいところもすべて吸収するつもりで、大切に過ごしてください」
『はい』
「北宇治の演奏を楽しみにして、この場所に足を運んでいる観客もたくさんいる、決して気を抜かないようにしろ」
『はい!』
滝先生、松本先生の言葉で気合が入る。
とは言っても、去年のサンフェスで雰囲気は慣れているので、僕は緊張していないが…
「先輩~緊張しすぎて…やばいですぅ~」
梨々花ちゃんは、声でも表情でも分かるくらいに緊張していた。
「そんなに緊張しなくて大丈夫なのに…」
「そう言われてもですね…緊張するものなんですよ…」
「まぁ…今まで見てきた先輩達もそんな事を言ってたなぁ…」
梨々花ちゃんとそんな事を言っていると、低音パートの方から
「自分でできます」
「ごめん!」
「みっちゃん!先輩にそんな言い方…!」
さつきと美玲ちゃんが何か言い合いをしていた。
本番前なのに、大丈夫か…そう思っていると、久美子が間に入っていた。
「その呼び方はやめてって言ってるでしょ!」
「ちょっとどうしたの?」
「本番前だぞ」
「ううん何でもないです、何でもないです、ごめんね 。私がびっくりさせちゃった?」
「すみません。私やめます」
そう言うと、スーザフォンを地面に置く美玲ちゃん
「えっ?ちょっと!」
「これ以上いると、迷惑になりそうなんで」
「そんなことないよ、ちょっと!」
逃げ出す美玲ちゃん、追いかける久美子とそれに続く奏ちゃん
「何?何?どうしたの?」
状況が把握できず戸惑う優子を置いて、美玲ちゃんを追いかける久美子と奏ちゃん
追いかけても仕方ないし…出来る事は僕にはないかぁ…それに追いかけたらもっとややこしい事になるし…
「ねえ、そろそろ戻ってこないとまずくない?」
あれからしばらく立っても、久美子達は帰って来なくて、夏紀はそう聞いて来たけど…何もする事出来ないんだけど…すると、三人が戻ってくるのが見えてきた。
「夏紀、戻ってきたよ」
「本当だ。ちょっと行ってくるね」
その後、夏紀は三人に話をしに行っていた。
まぁ…さっきまでの表情を浮かべていない美玲ちゃんを見て、また久美子が助けてあげたんだろうなと思った。
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「拓哉先輩、心配をおかけしましてすみませんでした…」
サンフェスの演奏を終えた後、久美子が奏ちゃんも引き付けて僕の元にやってきて謝ってきた。
「ううん、時間には戻ってきてくれたし気にしてないよ」
優子がかなり気にしていたから、優子にも説明をしてあげてというと、彼女はそうしますと言っていた。
「ありがとうさっちゃん」
「フフフ」
「葉月先輩、さきほどは申し訳ありませんでした」
そんな中、美玲ちゃんはさつきと葉月ちゃんの所に居て、葉月ちゃんに美玲ちゃんは謝罪をしていた。
「アイス、おごりね!」
「えっ? あっはい」
「アッハハ、冗談だってば」
「えっ、そうなんですか?」
「アハハハハ」
なんだなんだで仲良くなっていた。
三人のやりとりを遠くから、見ていると奏ちゃんが口を開いた。
「私、美玲があわせる必要なんてこれっぽっちもないと思うんです。だって美玲は正しいんですから」
「美玲ちゃんは変わりたかったんじゃないかな、ホントはみんなと仲良くなりたいって」
「ホント説得上手ですよね、黄前先輩」
「そんなつもりじゃ…」
「いいですよ、美玲がいいならそれで」
奏ちゃんがそう言うと、奏ちゃんは僕と久美子から離れていった。
「面倒な後輩を持つと大変だよね」
「あはは……」
僕がそう言うと、久美子は苦笑いを浮かべていた。
「お兄ちゃんも早くこっちに来てー!」
ツインテールの髪を揺らしながら、美玲ちゃんの肩に手を置き、その場でジャンプをしながら言うさつき。
「はいはーい。今行くよー」
「拓哉先輩」
「どうした?久美子」
「私達って面倒だったんですか?」
「何急に」
「ふと思ったんです」
「そうだなー久美子達は面倒って思った事はないかな」
「えっ!?そうなんですか?」
「うん、久美子達よりも面倒な同級生と先輩が居たからね。何も思わないよ」
僕がそう言うと、彼女は思い当たる事があったのか苦笑いを浮かべていた。
こうして、サンフェスは過ぎていくのだった。
「お兄ちゃん!早く!」
「だから待ってってば!」