ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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10/8日修正


サンフェス

 

サンフェス当日がやってきた。

 

 

「ほらほら、北宇治の滝先生」

 

 

「えっ、どこどこ?」

 

 

他校の子達がそう話しているのが聞こえてきた。

滝先生がどんどんと人気になっているのが分かる。

去年、全国大会出場。そしてイケメン。話題にならない方が無理か。

 

 

「今年もこの日がやってきましたね。他校のいいところもすべて吸収するつもりで、大切に過ごしてください」

 

 

『はい』

 

 

「北宇治の演奏を楽しみにして、この場所に足を運んでいる観客もたくさんいる、決して気を抜かないようにしろ」

 

 

『はい!』

 

 

滝先生、松本先生の言葉で気合が入る。

とは言っても、去年のサンフェスで雰囲気は慣れているので、僕は緊張していないが…

 

 

「先輩~緊張しすぎて…やばいですぅ~」

 

 

梨々花ちゃんは、声でも表情でも分かるくらいに緊張していた。

 

 

「そんなに緊張しなくて大丈夫なのに…」

 

 

「そう言われてもですね…緊張するものなんですよ…」

 

 

「まぁ…今まで見てきた先輩達もそんな事を言ってたなぁ…」

 

 

梨々花ちゃんとそんな事を言っていると、低音パートの方から

 

 

「自分でできます」

 

 

「ごめん!」

 

 

「みっちゃん!先輩にそんな言い方…!」

 

 

さつきと美玲ちゃんが何か言い合いをしていた。

本番前なのに、大丈夫か…そう思っていると、久美子が間に入っていた。

 

 

「その呼び方はやめてって言ってるでしょ!」

 

 

「ちょっとどうしたの?」

 

 

「本番前だぞ」

 

 

「ううん何でもないです、何でもないです、ごめんね 。私がびっくりさせちゃった?」

 

 

「すみません。私やめます」

 

 

そう言うと、スーザフォンを地面に置く美玲ちゃん

 

 

「えっ?ちょっと!」

 

 

「これ以上いると、迷惑になりそうなんで」

 

 

「そんなことないよ、ちょっと!」

 

 

逃げ出す美玲ちゃん、追いかける久美子とそれに続く奏ちゃん

 

 

「何?何?どうしたの?」

 

 

状況が把握できず戸惑う優子を置いて、美玲ちゃんを追いかける久美子と奏ちゃん

追いかけても仕方ないし…出来る事は僕にはないかぁ…それに追いかけたらもっとややこしい事になるし…

 

 

 

 

 

「ねえ、そろそろ戻ってこないとまずくない?」

 

 

あれからしばらく立っても、久美子達は帰って来なくて、夏紀はそう聞いて来たけど…何もする事出来ないんだけど…すると、三人が戻ってくるのが見えてきた。

 

 

「夏紀、戻ってきたよ」

 

 

「本当だ。ちょっと行ってくるね」

 

 

その後、夏紀は三人に話をしに行っていた。

まぁ…さっきまでの表情を浮かべていない美玲ちゃんを見て、また久美子が助けてあげたんだろうなと思った。

 

 

 

 

*******

 

 

「拓哉先輩、心配をおかけしましてすみませんでした…」

 

 

サンフェスの演奏を終えた後、久美子が奏ちゃんも引き付けて僕の元にやってきて謝ってきた。

 

 

「ううん、時間には戻ってきてくれたし気にしてないよ」

 

 

優子がかなり気にしていたから、優子にも説明をしてあげてというと、彼女はそうしますと言っていた。

 

 

「ありがとうさっちゃん」

 

 

「フフフ」

 

 

「葉月先輩、さきほどは申し訳ありませんでした」

 

 

そんな中、美玲ちゃんはさつきと葉月ちゃんの所に居て、葉月ちゃんに美玲ちゃんは謝罪をしていた。

 

 

「アイス、おごりね!」

 

 

「えっ? あっはい」

 

 

「アッハハ、冗談だってば」

 

 

「えっ、そうなんですか?」

 

 

「アハハハハ」

 

 

なんだなんだで仲良くなっていた。

三人のやりとりを遠くから、見ていると奏ちゃんが口を開いた。

 

 

「私、美玲があわせる必要なんてこれっぽっちもないと思うんです。だって美玲は正しいんですから」

 

 

「美玲ちゃんは変わりたかったんじゃないかな、ホントはみんなと仲良くなりたいって」

 

 

「ホント説得上手ですよね、黄前先輩」

 

 

「そんなつもりじゃ…」

 

 

「いいですよ、美玲がいいならそれで」

 

 

奏ちゃんがそう言うと、奏ちゃんは僕と久美子から離れていった。

 

 

「面倒な後輩を持つと大変だよね」

 

 

「あはは……」

 

 

僕がそう言うと、久美子は苦笑いを浮かべていた。

 

 

「お兄ちゃんも早くこっちに来てー!」

 

 

ツインテールの髪を揺らしながら、美玲ちゃんの肩に手を置き、その場でジャンプをしながら言うさつき。

 

 

「はいはーい。今行くよー」

 

 

「拓哉先輩」

 

 

「どうした?久美子」

 

 

「私達って面倒だったんですか?」

 

 

「何急に」

 

 

「ふと思ったんです」

 

 

「そうだなー久美子達は面倒って思った事はないかな」

 

 

「えっ!?そうなんですか?」

 

 

「うん、久美子達よりも面倒な同級生と先輩が居たからね。何も思わないよ」

 

 

僕がそう言うと、彼女は思い当たる事があったのか苦笑いを浮かべていた。

こうして、サンフェスは過ぎていくのだった。

 

 

「お兄ちゃん!早く!」

 

 

「だから待ってってば!」

 

 

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