10/8日修正
サンフェスから、しばらくして
黒板に全国吹奏楽コンクール『マーチスカイブルードリーム』と『リズと青い鳥』を書いて、教壇に立つ滝先生。
「今年の課題曲は『マーチ・スカイブルー・ドリーム』自由曲は『リズと青い鳥』です。
高難度の曲ですが、皆さんの目標を達成するのにふさわしい曲だと私は考えています。 オーディションはテスト週間前に2日かけて行います。審査は一人ずつとなりますので、そのつもりでいてください」
「コンクールメンバーの上限は55名ですが、出場するレベルに達していないと判断する人数が多かった場合にはその数を下回ることも十分にあり得ます。慢心せずに練習に取り組んでください」
滝先生の言葉に、この場に居る部員達に気合が入る。
僕にとっては、最後のオーディションになる。頑張らないと…!
「先輩~一緒に行きましょう~」
全体練習を終えて、パート連に移るタイミングで梨々花ちゃんがそう声を掛けてきた。
「拓哉、ちょっといいかな?」
すると、友恵が声をかけてきた。
「分かったーごめん、梨々花ちゃん先に行っててくれる?」
両手を合わせて梨々花ちゃんに僕はそう言って謝る。
「む~分かりました。先に行って待ってますね」
「ごめんね、剣崎さん…」
「いいですって、大事な話みたいですし」
梨々花ちゃんはそう言って、オーボエを手に持って音楽室から去っていく。
彼女が行った事を確認して、友恵に僕は声を掛けた。
「友恵、話ってあの事?」
「そう…」
友恵がそう答えたので、僕は続けて言った。
「オッケー。ここじゃ話しにくいだろうし…違う教室に行く?」
「それじゃ_」
そして、友恵に連れていかれるがまま行くと。家庭科実習室に来ていた。
「それで話っていうのは…」
「うん、最近、楽器を吹いてるとね…拓哉に指摘された所が気になりだして、どうしたらいいのか聞こうと思って」
顎を摩りながらそう言う友恵。
「顎の事?」
「うん…」
「まぁ…率直に言うと…病院に行って見て貰うしかないよね。滝先生には言ったの?」
「まだ…言ってない…」
「なら、先生に言って、今日のパート連は休んで病院に行ったらいいと思うよ?優子には言っておくし」
「分かった。家に帰ってお母さんと一緒に行ってみるよ」
「うん、何も無かったらそれはそれで良かったってなる話だから」
「ありがとう、拓哉に話を聞いて貰って良かった」
そう言うと、友恵は手を振って去っていく。
今の様子を見てると大丈夫だとは思うが…
「あれっ?拓哉、なんで居るの?」
教室から出ると、優子がやってきた。
「そっちこそどうしたの」
「私は友恵に用があって、ここに来たんだけど」
優子はそう言って「さっきまでいた筈なのに」と付け加えてきた。
「あーなるほどね」
「それで友恵は?」
「ちょっと体調悪いって言って帰ったよ。優子には僕から言っておくからって帰したよ」
「えっ!?大丈夫なの!?」
僕の言葉を聞いた優子は、驚きの表情をしてそう言ってきた。
すかさず彼女に僕は言う。
「心配なら、メッセージを送ったらどう?」
「うん、そうする」
優子はそう言って、スマホを触りだしたけど、先生に見つかったら怒られるぞと思った。
******
「えっと…」
「梨々花ちゃん、先輩が帰って来なくてずっとこんな感じだったんですよ」
そう言って、頬を膨らませる梨々花ちゃん。
教室を開けると、『私、怒ってます』と言わんばかりの梨々花ちゃんが居て、駿河ちゃんが続けてそう言ってきた。
「先輩!遅いです!」
「本当にごめん…相談に乗ってて時間がかかってしまって…」
「別に構わないですけど…何の相談をしてたんですか?」
「えっと…それは内緒で…」
友恵の話は、まだ彼女と二人だけの内緒にしている話。
いずれは話す時が来ると思うけど、今じゃない。
「…もしかしてだけど…先輩方って付き合ってるとかないですよね?」
梨々花ちゃんが目を細めながら言ってきた。
「拓哉、そうなの?」
みぞれまで話に入ってきた。
「そんな事はない、友恵から気になった事の相談を受けていただけ」
「拓哉先輩って副部長だし、そう言った話もあっても不思議ではないですよね」
駿河ちゃんがナイスフォローをしてくれた。
「それならいいですけど…」
「あはは…とりあえず、ここに居るみんなでコンクールに出られるように練習頑張ろっか」
『はい!(うん)』