ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

108 / 118
祭りと先輩達

 

昨日、早退した友恵に僕は捕まって、話を聞くことにした。

 

「そうか…」

 

「うん…もうちょっと遅かったら顎関節症って言われた…」

 

病院に行った結果、特に大きな病気にはなってなかったが、今後の為にも楽器は辞めた方が良いと言われたのこと。

 

「ドクターストップって事は、トランペットは吹けない感じか…」

 

「まぁね…せっかく拓哉に教えて貰ったのにごめん…」

 

「気にしてないよ。それで先生とか優子には言ったの?」

 

「滝先生には言ったよ」

 

「それで?」

 

「うん…新しい楽器も進められたけど…これから新しい楽器やってコンクールメンバーになれるほど、今の北宇治は甘くないからさ、そんなにショックじゃなかったんだよね。吹けないって言われてむしろホッとしたっていうか…これでオーディション落ちて気遣われる心配もなくなったし…マネージャーになればみんなと部活は続けられるし」

 

「友恵がマネージャーとして決めていくって決めたのなら、僕はその意見を尊重するよ」

 

「うん、だからさ、拓哉の事も支えていけたらいいなぁって」

 

「なんで僕?」

 

「だって気になった男の子なんだもん、そうしたいって私が決めたの」

 

そう言う友恵の頬は紅く染まっていた。

 

「そこは僕だけじゃなくて、みんなの為にでしょ?」

 

「そうだね、でも、拓哉の事を支えたいっていうのは本当だから」

 

友恵はそう言って、僕の所から去っていたと思ったら、友恵は戻ってきて

 

「そう言えば、拓哉って縣祭りって誰かと行く約束してる?」

 

そう聞いてきた。

 

「ううん、誰ともしてないよ」

 

「それなら_」

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

「なんで先輩も来てるんですか…」

 

「いいじゃん。こうやって一緒に行けるの拓哉君にとっても嬉しいでしょ」

 

縣祭り、当日、友恵と一緒に行く予定にしてたはずなのだが、何故かヒロネ、晴香先輩、香織先輩に捕まっていた。そして、ヒロネに抱き着かれているという始末

 

「拓哉…私と約束してた筈…」

 

「友恵…これはその…」

 

そんな僕と、怖い目で見てくる友恵と、その付き添いで来たであろう優子と夏紀は笑っていたけど

 

「ヒロネもそれぐらいにしてあげたら?」

 

「む~最近、会えてなかったからこれぐらいいいでしょ」

 

と言いながら離れてくれるヒロネ

 

「こう見えて、拓哉君と会えるかもって嬉しそうにしてたんだよ」

 

と耳元で囁いてくる香織先輩。

 

「そうなんですね」

 

「それで拓哉君、私も頑張ったんだけど…似合ってるかな?」

 

「…晴香先輩は何着ても似合ってますよ」

 

「褒めてくれるのは嬉しいんだけど…ほら、どこがいいかとかある?」

 

「そーですね…」

 

晴香先輩にそう聞かれて、僕は先輩のコーデをじっくりと見る。

 

「大人になりましたね。雰囲気もそうですけど」

 

「ありがとう//」

 

「ねね、私はどうかな?」

 

「えぇ…ヒロネは…」

 

ヒロネは、谷間を出して、短パンを履いた服装だった。

 

「随分と攻めたというか…」

 

「拓哉を堕とす為に私だって頑張ったの!」

 

「それにしては違う気がします…」

 

「友恵ちゃんまでそんな事を言うの…」

 

ヒロネの言葉に友恵がそうはっきりと突っ込んだ。

 

「それで拓哉君達は、優子ちゃん達と縣祭りに来たの?」

 

「そうなんですよ~!香織先輩!」

 

優子も香織先輩ラブは変わってない。

さっきからずっと香織先輩の隣に居るし

 

「拓哉、そろそろ行かない?ここで話してたら時間過ぎちゃうよ」

 

「そうだね、では先輩方、僕達はここらで…」

 

「うん、またどこかでね」

 

香織先輩はやっぱり大人だ。

それに対して_

 

「ちょっと晴香!私はあっちに行きたいから離して!」

 

「はいはい、ヒロネは拓哉君の事を好きすぎるのを治そうね~」

 

ヒロネは子供っぽい…。晴香先輩にどこかに連行されていった。

 

「ヒロネ先輩ってずっとあんな感じだよね」

 

「まぁ…治して欲しいのはあるよね」

 

夏紀と連れて行かれるヒロネを見て、そう話す。

その背後では_

 

「…」

 

「友恵、どうしたの?」

 

「え。えっ?何?」

 

「それはこっちの話よ?拓哉の事をじっと見てどうしたのよ」

 

「ううん、なんでもないよ。私も鳥塚先輩みたいになった方がいいのかなって」

 

「友恵はそんな事をしなくてもいいの。友恵は友恵なんだから」

 

優子と友恵がそう話していたのは、僕と夏紀には聞こえていなかった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。