ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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10/8日修正


祭りと先輩達

 

 

「昨日の事で話したい事が…」

 

 

昨日、練習を早退で休んだ友恵からそう話を切り出されて、僕は彼女の話を聞くことにした。

 

 

「それで結果は?」

 

 

「うん、拓哉が気づいてくれたのが良くて、もうちょっと遅かったら顎関節症って言われた…」

 

 

「そっか…」

 

 

病院に行った結果、特に大きな病気にはなってなかったが、今後の為にも楽器は辞めた方が良いと言われたのこと。要するに、ドクターストップって事である。

 

 

「三年生で奏者を辞めないといけないのはきついね…」

 

 

「うん…拓哉には色々としてもらったのに…」

 

 

友恵は今にも泣きそうな声でそう言っていた。

 

 

「気にしてないよ。それで先生とか優子には言ったの?」

 

 

「滝先生には言ったよ」

 

 

「先生はなんて?」

 

 

「うん…新しい楽器を進められた」

 

 

僕が友恵にそう聞くと、その話は断ったと言っていた。

今の北宇治は、新しい楽器をやってコンクールメンバーになれるほど甘くはない。

 

 

「それに、吹けないって言われてむしろホッとしたっていうか…これでオーディション落ちて気遣われる心配もなくなったし…」

 

 

「心のどこかでプレッシャーになってたのかもね」

 

 

「だと思う…」

 

 

そして、友恵は続けて言う。

 

 

「それに、マネージャーになればみんなと最後まで部活は続けられるしね」

 

 

「友恵が自分自身で決めたのなら、僕はその意見を尊重するよ」

 

 

「ありがとうね拓哉」

 

 

友恵は笑顔でそう言っていた。

 

 

「でも、話を聞いたらみんなびっくりするだろうね」

 

 

「特に黄前ちゃんとかは」

 

 

「あー分かる。今してくれた話をすればいいだけだけど。納得はしないだろうねー」

 

 

「だと思う」

 

 

友恵とそんな話をして、二人で笑いあう。

 

 

「そう言えば、拓哉って縣祭りって誰かと行く約束してる?」

 

 

「そういえば、もうそんな時期か」

 

 

「で?誰かと行く予定は?」

 

 

「誰とも行く約束はしてないよー」

 

 

「それならさ!私と行かない?」

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

「なんで先輩も来てるんですか…」

 

 

「いいじゃん。こうやって一緒に行けるの拓哉君にとっても嬉しいでしょ」

 

 

縣祭り当日、友恵と一緒に行く予定にしてたはずなのだが、何故かヒロネ、晴香先輩、香織先輩に捕まっていた。そしてヒロネに抱き着かれているという始末

 

 

「拓哉…私と約束してた筈…」

 

 

「友恵…これはその…」

 

 

そんな僕と、怖い目で見てくる友恵と、その付き添いで来たであろう優子と夏紀は笑っていたけど

 

 

「ヒロネもそれぐらいにしてあげたら?」

 

 

「む~最近、会えてなかったからこれぐらいいいでしょ」

 

 

と言いながら離れてくれるヒロネ

 

 

「こう見えて、拓哉君と会えるかもって嬉しそうにしてたんだよ」

 

 

と耳元で囁いてくる香織先輩。

 

 

「そうなんですね」

 

 

「それで拓哉君、私も頑張ったんだけど…似合ってるかな?」

 

 

「…晴香先輩は何着ても似合ってますよ」

 

 

「褒めてくれるのは嬉しいんだけど…ほら、どこがいいかとかある?」

 

 

「そーですね…」

 

 

晴香先輩にそう聞かれて、僕は先輩のコーデをじっくりと見る。

 

 

「大人になりましたね。雰囲気もそうですけど」

 

 

「ありがとう//」

 

 

「ねね、私はどうかな?」

 

 

「えぇ…ヒロネは…」

 

 

ヒロネは、谷間を出して、短パンを履いた服装だった。

 

 

「随分と攻めたというか…」

 

 

「拓哉を堕とす為に私だって頑張ったの!」

 

 

「それにしては違う気がします…」

 

 

「友恵ちゃんまでそんな事を言うの…」

 

 

ヒロネの言葉に友恵がそうはっきりと突っ込んだ。

 

 

「それで拓哉君達は、優子ちゃん達と縣祭りに来たの?」

 

 

「そうなんですよ~!香織先輩!」

 

 

優子も香織先輩ラブは変わってない。

 

 

さっきからずっと香織先輩の隣に居るし

 

 

「拓哉、そろそろ行かない?ここで話してたら時間過ぎちゃうよ」

 

 

「そうだね、では先輩方、僕達はここらで…」

 

 

「うん、またどこかでね」

 

 

香織先輩はやっぱり大人だ。

それに対して_

 

 

「ちょっと晴香!私はあっちに行きたいから離して!」

 

 

「はいはい、ヒロネは拓哉君の事を好きすぎるのを治そうね~」

 

 

ヒロネは子供っぽい…。晴香先輩にどこかに連行されていった。

 

 

「ヒロネ先輩ってずっとあんな感じだよね」

 

 

「まぁ…治して欲しいのはあるよね」

 

 

夏紀と連れて行かれるヒロネを見て、そう話す。

その背後では_

 

 

「…」

 

 

「友恵、どうしたの?」

 

 

「え。えっ?何?」

 

 

「それはこっちの話よ?拓哉の事をじっと見てどうしたのよ」

 

 

「ううん、なんでもないよ。私も鳥塚先輩みたいになった方がいいのかなって」

 

 

「友恵はそんな事をしなくてもいいの。友恵は友恵なんだから」

 

 

優子と友恵がそう話していたのは、僕と夏紀には聞こえていなかった。

 

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