ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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10/8日修正


アンサンブル その3

 

そして、やってきたアンコン校内予選の日_

 

 

「先輩~頑張ってきますのでしっかりと聞いててください」

 

 

僕の姿を見るや否、すぐさまの僕の元までやってきた梨々花ちゃんはそう言ってきた。

 

 

「分かってるよ、しっかりと聞くからね」

 

 

「はいっ!」

 

 

オーボエを持ってステージの方へと向かっていく彼女の背中を見て、半年とちょっとだけだけど、彼女の背中が大きくなった気がした。パートリーダーとしてやってるからなんだろうか…

 

 

「お兄ちゃん!」

 

 

次にやってきたのはさつき。

 

 

「さつきも頑張ってね」

 

 

「うん!みんながびっくりするくらいの演奏をするから!」

 

 

「それは楽しみだ!期待してるよ」

 

 

「うん!」

 

 

さつきは元気よく返事をして、さつきと一緒にアンコンの編成を組んだ皆の元へと向かっていった。

そして、空いている席を探そうとウロウロしていると、聞きなれた声が僕の名前を呼んだ。

 

 

「拓哉君、久しぶり」

 

 

そこには、香織先輩と晴香先輩の姿があった。

 

 

「香織先輩、晴香先輩、お久しぶりです」

 

 

「久しぶり~」

 

 

手を振りながら言う晴香先輩。

 

 

「拓哉君は参加しないの?」

 

 

香織先輩がそう言ってきた。

 

 

「参加しませんよ。三年生ですし、引退した身なので」

 

 

「拓哉君なら参加するとか言いそうだと思ったんだけどな」

 

 

「あくまでメインは後輩達ですから…OBが出しゃばるのは違うので」

 

 

僕は苦笑いを浮かべてそう言うと。「それはそう」と言われてしまった。

 

 

「拓哉君は椅子を探してるの?」

 

 

「はい、中々良い所が無くて…」

 

 

「それならここが空いてるよ」

 

 

晴香先輩が言うように、先輩の隣の席は空いていた。

 

 

「いえいえ、お気遣いなくー」

 

 

そう言って断ったつもりだったのだが、晴香先輩に言いくるめられてしまい、先輩の隣に座る事になった。

 

しばらくして、演奏が始まり、それぞれの編成は、それぞれで良かった。

そして結果が出された。

 

 

部員投票結果。

 

第1位 クラリネット四重奏「革命家」

第2位 金管七重奏「金管七重奏のための”ティー・タイム”」

第3位 サックス三重奏「スペイン舞曲集より ガランテ・バレンシアーナ」

 

一般投票結果

第1位 管打八重奏「フロントライン~青春の響き~」

第2位 金管七重奏「金管七重奏のための”ティー・タイム”」

第3位 コントラバス二重奏「メヌエット」

 

 

 

久美子達から聞いていたのだが、結果が違っていた場合。部員投票の結果を優先する事になるため、府大会に行くのは、クラリネット四重奏「革命家」という事に決まった。

 

 

「今の世代はクラが良いんだね」

 

 

「だね」

 

 

香織先輩と晴香先輩がそう話しているのが聞こえてきた。

ヒロネが居て、島と繋いできたからね。

 

 

「良い演奏会だったって滝先生に言っておいて」

 

 

「了解です。話盛って言っておきますね」

 

 

「そこまではしなくていいからね」

 

 

晴香先輩を揶揄うように言うと、晴香先輩はそう止めてきた。

まぁ、うまい具合に伝えておきますよ。

 

 

そして後日。

 

 

「クラやったね」

 

 

「島、随分と機嫌良いじゃん」

 

 

「後輩達がやってくれたからね」

 

 

島が胸を張っていた。

アンコンで選ばれたクラの四人はなんと、その勢いのまま関西大会へと足を進めていた。

 

 

「良かったね」

 

 

「うん!」

 

 

 

*******

 

 

「なんで、どっちも二位なんですか!」

 

 

島と話した後日。今度は、奏ちゃんに捕まった。

さつきと梨々花ちゃんもセットで。

 

 

「それで言うなら、私はどっちにも入ってないよ」

 

 

「そうだよかなぴ、両方入ってるの凄いじゃん!」

 

 

「でも、どっちかは一位取りたいじゃないですか!」

 

 

奏ちゃん凄く悔しがってるなぁ…気持ちは分かるよ。

 

 

「お兄ちゃん!それ頂戴!」

 

 

「いいけど…」

 

 

奏ちゃんと違って、さつきは平常運転。

僕が頼んでいたポテトをごっそりと持っていた。

 

 

「さつき、私にも頂戴」

 

 

「いいよ」

 

 

「二人は悔しくない訳?」

 

 

「さつきは楽しかったしいいかなって」

 

 

「うんうん、私は先輩と一緒に居る時間も多かったし~先輩の技術をもっとパクれるようになりましたから」

 

 

と言って手をピースにする梨々花ちゃん。

良い所を物にするのは全然良い事だけど。

 

 

「それでいいの?二人とも」

 

 

「アンコンでは行けなかったけど、コンクールで全国に行って、全国金を取って、お兄ちゃんを泣かすって思ってるから」

 

 

「さつき…」

 

 

「私だって、先輩の事を泣かしますからね」

 

 

「それ、違う意味にも聞こえるよ奏」

 

 

という訳でアンコンは閉幕した。

 

 

「島、クラリネット府大会おめでとう」

 

 

「鈴木君から言われるなんて、嬉しい」

 




次回から香織先輩ルート開始です。
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