そして、やってきたアンコン校内予選の日_
「先輩~頑張ってきますのでしっかりと聞いててください」
僕の姿を見るや否、すぐさまの僕の元までやってきた梨々花ちゃんはそう言ってきた。
「分かってるよ、しっかりと聞くからね」
「はいっ!」
オーボエを持ってステージの方へと向かっていく彼女の背中を見て、半年とちょっとだけだけど、彼女の背中が大きくなった気がした。パートリーダーとしてやってるからなんだろうか…
「拓哉君、久しぶり」
観客に混じって椅子に座っていると、僕の名前を聞きなれた声で呼ばれた。
「香織先輩、晴香先輩、お久しぶりです」
「久しぶり~」
「拓哉君は参加しないの?」
香織先輩がそう言ってきた。
「参加しませんよ。第一三年生ですし、引退した身なので」
「拓哉君なら参加するとか言いそうだと思ったんだけどな」
「あくまでメインは後輩達だから…OBが出しゃばるのは違うでしょ」
僕がそう言うと、二人は『それもそう』と返してきて、僕の隣の席に座ってきた。
誰も居なかったからいいんだけど。平然と座ってきてびっくりした。
しばらくして、演奏が始まり、それぞれの編成は、それぞれで良かった。
そして結果が出された。
部員投票結果。
第1位 クラリネット四重奏「革命家」
第2位 金管七重奏「金管七重奏のための”ティー・タイム”」
第3位 サックス三重奏「スペイン舞曲集より ガランテ・バレンシアーナ」
一般投票結果
第1位 管打八重奏「フロントライン~青春の響き~」
第2位 金管七重奏「金管七重奏のための”ティー・タイム”」
第3位 コントラバス二重奏「メヌエット」
アンサンブルコンテスト校内代表
クラリネット四重奏「革命家」
という事に決まった。
「なんで、どっちも二位なんですか!」
演奏が終わって。香織先輩達を見送った後、奏ちゃんに捕まった。
さつきと梨々花ちゃんもセットで
「それで言うなら、私はどっちにも入ってないよ」
「そうだよかなぴ、両方入ってるの凄いじゃん!」
「でも、どっちかは一位取りたいじゃないですか!」
奏ちゃん凄く悔しがってるなぁ…気持ちは分かるよ。
「お兄ちゃん!それ頂戴!」
「いいけど…」
奏ちゃんと違って、さつきは平常運転。
僕が頼んでいたポテトをごっそりと持っていた。
「さつき、私にも頂戴」
「いいよ」
「二人は悔しくない訳?」
「さつきは楽しかったしいいかなって」
「うんうん、私は先輩と一緒に居る時間も多かったし~先輩の技術をもっとパクれるようになりましたから」
と言って手をピースにする梨々花ちゃん。
良い所を物にするのは全然良い事だけど。
「それでいいの?二人とも」
「アンコンでは行けなかったけど、コンクールで全国に行って、全国金を取って、お兄ちゃんを泣かすって思ってるから」
「さつき…」
「私だって、先輩の事を泣かしますからね」
「それ、違う意味にも聞こえるよ奏」
という訳でアンコンは閉幕した。
次回から香織先輩ルート開始です。