9/17日修正
そして、やってきたアンコン校内予選の日_
「先輩~頑張ってきますのでしっかりと聞いててください」
僕の姿を見るや否、すぐさまの僕の元までやってきた梨々花ちゃんはそう言ってきた。
「分かってるよ、しっかりと聞くからね」
「はいっ!」
オーボエを持ってステージの方へと向かっていく彼女の背中を見て、半年とちょっとだけだけど、彼女の背中が大きくなった気がした。パートリーダーとしてやってるからなんだろうか…
「拓哉君、久しぶり」
観客に混じって椅子に座っていると、僕の名前を聞きなれた声で呼ばれた。
「香織先輩、晴香先輩、お久しぶりです」
「久しぶり~」
「拓哉君は参加しないの?」
香織先輩がそう言ってきた。
「参加しませんよ。三年生ですし、引退した身なので」
「拓哉君なら参加するとか言いそうだと思ったんだけどな」
「あくまでメインは後輩達ですから…OBが出しゃばるのは違うので」
僕がそう言うと、二人は『それもそう』と返してきて、僕の隣の席に座ってきた。
誰も居なかったからいいんだけど。平然と座ってきてびっくりした。
しばらくして、演奏が始まり、それぞれの編成は、それぞれで良かった。
そして結果が出された。
部員投票結果。
第1位 クラリネット四重奏「革命家」
第2位 金管七重奏「金管七重奏のための”ティー・タイム”」
第3位 サックス三重奏「スペイン舞曲集より ガランテ・バレンシアーナ」
一般投票結果
第1位 管打八重奏「フロントライン~青春の響き~」
第2位 金管七重奏「金管七重奏のための”ティー・タイム”」
第3位 コントラバス二重奏「メヌエット」
久美子達から聞いていたのだが、結果が違っていた場合。部員投票の結果を優先する事になるため、府大会に行くのは、クラリネット四重奏「革命家」という事に決まった。
「今の世代はクラが良いんだね」
「だね」
香織先輩と晴香先輩がそう話しているのが聞こえてきた。
ヒロネ先輩が居て、島が繋いできたからね。
「鈴木君。クラやったね」
「島、随分と機嫌良いじゃん」
「後輩達がやってくれたからね」
後日。島が自慢そうにやってきて、こんな会話をしていた。
「なんで、どっちも二位なんですか!」
島と話した後日。今度は、奏ちゃんに捕まった。
さつきと梨々花ちゃんもセットで。
「それで言うなら、私はどっちにも入ってないよ」
「そうだよかなぴ、両方入ってるの凄いじゃん!」
「でも、どっちかは一位取りたいじゃないですか!」
奏ちゃん凄く悔しがってるなぁ…気持ちは分かるよ。
「お兄ちゃん!それ頂戴!」
「いいけど…」
奏ちゃんと違って、さつきは平常運転。
僕が頼んでいたポテトをごっそりと持っていた。
「さつき、私にも頂戴」
「いいよ」
「二人は悔しくない訳?」
「さつきは楽しかったしいいかなって」
「うんうん、私は先輩と一緒に居る時間も多かったし~先輩の技術をもっとパクれるようになりましたから」
と言って手をピースにする梨々花ちゃん。
良い所を物にするのは全然良い事だけど。
「それでいいの?二人とも」
「アンコンでは行けなかったけど、コンクールで全国に行って、全国金を取って、お兄ちゃんを泣かすって思ってるから」
「さつき…」
「私だって、先輩の事を泣かしますからね」
「それ、違う意味にも聞こえるよ奏」
という訳でアンコンは閉幕した。
「島、クラリネット府大会おめでとう」
「鈴木君から言われるなんて、嬉しい」
次回から香織先輩ルート開始です。