ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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9/19日修正


20.コーチと苦労人

 

夏休み中の学校というのは、部活の人達しか居ないもの。

早朝となれば、ますます居ない。

 

 

「失礼しますー」

 

 

「今日は早いんですね」

 

 

職員室に入ると、僕の姿に気付いた滝先生がそう声を掛けてきた。

 

 

「おはようございます滝先生。今日は鎧塚と一緒に練習するって約束をしていましたから」

 

 

「そうですか」

 

 

と滝先生はそう言って、音楽室の鍵を渡してきた。

 

 

「滝先生、今日もよろしくお願いします」

 

 

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

 

 

と言う滝先生に頭を下げて職員室を後にする。

職員室の近くで待っていた鎧塚に声をかける。

 

 

「鎧塚、鍵借りてきたよ」

 

 

「ありがとう」

 

 

「音楽室に行って、練習するか」

 

 

「うん」

 

 

*****

 

鎧塚との練習を行っていて、途中、音楽室から抜けだして、音楽室に戻る途中、黄前さんと高坂さんが話しながら僕の前を歩いているのが見えた。

何の話をしていたのかは分からないけどね。

 

 

「黄前さんと高坂さんおはよう」

 

 

『おはようございます』

 

 

声を掛けられた事に、二人は驚いていた。

驚かすつもりはなかったんだけどね

 

 

「ごめんね。驚かすつもりはなかったんだけど…」

 

 

「いえ…」

 

 

「高坂さんは珍しくないけど、黄前さんは珍しいね。朝練?」

 

 

「そうです」

 

 

「鈴木先輩も鎧塚先輩も早いですね」

 

 

黄前さんにそう聞かれて、僕はこう返す。

 

 

「同じ学年で同じパートだしね。確認しながらやらないといけない事も多いからね」

 

 

と二人と話しながら音楽室に入ると、鎧塚はこっちに気づいて視線を僕達の方へと向けてくる。

 

 

「珍しいね 今日は二人?」

 

 

高坂さんと黄前さんに気付いた鎧塚は、二人に対してそう聞いた。

 

 

「はい、今日二人なんです」

 

 

「そう」

 

 

「あのー 鎧塚先輩って いつも こんなに早く来てるんですか?」

 

 

「うん 来てる」

 

 

「練習 好きなんですね」

 

 

「うん、鈴木君がいるから好きっていうより楽しい…?」

 

 

「嘘でもいいから…はっきりと言ってくれ…」

 

 

そんな会話をしているけど。二人で過ごすこの時間は好きだったりする。

 

 

 

 

 

******

 

合唱練習の休憩の合間。

吉川が鎧塚に声をかけていた。

 

 

「みぞれと鈴木は夏休みの宿題終わった?」

 

 

「半分くらい」

 

 

「半分も終わってない」

 

 

「お盆休みヒマ?一緒にやらない?」

 

 

「いいけど」

 

 

「うん、僕もいいけど」

 

 

「やったー!」

 

 

僕と鎧塚の言葉を聞いた吉川はとても喜んでいた。

その時、音楽室を除く傘木が目に入った。

 

彼女は目が合うと、手で招いてきたので、僕は二人にトイレに行くとだけ行って、音楽室の外に出る。

 

 

「傘木、どうした?」

 

 

「あすか先輩、居る?」

 

 

「あすか先輩?」

 

 

僕が音楽室を除こうとした時、音楽室から出てきた黄前さんに傘木は声を掛けた。

 

 

「あなた、低音パートの1年だよね?」

 

 

「はい」

 

 

「あすか先輩いる?」

 

 

「あすか先輩?」

 

 

黄前さんは、いきなり過ぎて困惑の表情をした。

 

 

「ちょっと希美!」

 

 

その時、夏紀がやってきた。

 

 

「あんた何勝手なことやってんの 7組で待っててって言ったじゃん」

 

 

「あっ いや でも…」

 

 

「夏紀先輩」

 

 

「変なマネしてやっかいなことになったら 困るのは あんたなんだよ」

 

 

「分かった…夏紀 ありがとね」

 

 

「礼なんて言わなくていいよ」

 

 

夏紀がそう言うと、希美は僕達の前から去っていく。

そして、夏紀は黄前さんに言う。

 

 

「黄前ちゃん 悪いけど 今見たこと あすか先輩には内緒にしておいてもらえない?」

 

 

「え?」

 

 

「お願い」

 

 

「いいですけど…」

 

 

「ありがとう」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「いえ 何でもないです」

 

 

黄前さんはそう言っているけど、それで気にならない人なんて居ないよな

 

 

「黄前さん、戻ろうか」

 

 

「えっ、はい」

 

 

 

****

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

『よろしくお願いします!』

 

 

今日もまた練習の日々。でも、今日は様子が違っていて…

 

 

「よろしくお願いします では早速 合奏を始めていきますが 今日は市の前に、一人紹介したい人がいます」

 

 

「おっ まさか婚約者?」

 

 

そんなまさか…

 

 

「失礼します!」

 

 

そう言って入って来たのは、おちゃらけた男性だった。

 

 

「彼は この学校のOBで パーカッションのプロです 夏休みの間 指導してもらうことになりました」

 

 

「プロ!?」

 

 

「マジで!?」

 

 

パーカスのメンバーは喜んでいる。

そりゃそうかプロって言われたら喜ぶか。

 

 

「橋本真博といいます どうぞよろしく あだ名は はしもっちゃん こう見えても滝くんとは大学で同期です 滝くんのことで知りたいことがあったら どんどん聞きに来てねー!」

 

 

「あれ? 反応薄いな」

 

 

「余計なことは 言わなくていいですよ」

 

 

「滝くんモテるでしょー 女子に キャーキャー 言われてるんじゃないの?」

 

 

「はい 吹奏楽部員以外の女子には」

 

 

先輩がそう言うと、部員のみんなが笑いだす。

滝先生も実態を知らないもんな…この部以外の女子は

 

 

「アハハハ! 吹部女子には人気ないかーごめんなー滝くんが口悪いのは昔からでね… 痛っ!」

 

 

あっ…滝先生が橋本先生の足を踏んだ。

 

 

「余計なことは言わなくていいと 言いましたよ」

 

 

再び笑いが起こる。

同期ってそんなものなのかな。吉川と夏紀もあんな感じだし

そんな中、何も反応していなかった黄前さんの元に橋本先生が近づく。

 

 

「起きてるー?」

 

 

「あっはい」

 

 

黄前さんが何か考え事をしていたのか、橋本先生に声を掛けられていた。

 

 

「新任のコーチなのに興味なし?落ち込むなー」

 

 

「すみません」

 

 

そう言う黄前さんの顔は紅くなっていた。

 

 

「ほい パーカス! 早速 ビシビシいくよー」

 

 

そう言うと、パーカスのメンバーの声が聞こえてきて、ハードな練習が始まった。

 

ヒロインは?

  • 小笠原晴香
  • 中世古香織
  • 鳥塚ヒロネ
  • 喜多村来南
  • 傘木希美
  • 加部友恵
  • 井上順菜
  • 剣崎梨々花
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