ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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21.フルートとオーボエと苦労人

 

夏紀と傘木があすか先輩の所に行ったと晴香部長から聞いた。

一回だけでもなく、その後も何回も行ってるらしい。

 

どういう状況か気になった僕は晴香先輩と一緒に低音パートの教室に向かった。

 

「拓哉君も気になったんだね」

 

「傘木本人が直接言いにきたのもありますけど…」

 

そんな話をしながら低音パートの教室に近づいてくると

例のごとく傘木が大声で復帰させてくれと言う声が聞こえてきた。

それと同時に、練習から追い出されたであろう一年生三人が居た。

 

「何してるの?」

 

「部長…と鈴木先輩…」

 

「希美ちゃん、また来てるの?」

 

「知ってたんですか?」

 

「一応 あすかから聞いたからね」

 

「どういうことなんですか?」

 

「うん… まあ いろいろね とにかく一年は気にしないで練習に集中して」

 

「そんなふうに言われたら 気になって練習にならないです」

 

そりゃそうだよね…気にするなと言われたら気になるよね…

 

「それはそうかもしれないけど… あっ いや そんなに期待したって 何も出ないわよ」

 

「なんだー」

 

「ただ 去年辞めた部員が たくさんいるでしょ?」

 

「はい」

 

「その大半が南中の生徒だったの」

 

「南中?」

 

「うん 希美ちゃんも 夏紀ちゃんも南中、だから いろいろ複雑なんだと思う」

 

「南中か」

 

「それでもね。優子ちゃんや拓哉君みたいに残ってくれた子も居るんだけどね。もちろん夏紀ちゃんも」

 

「鈴木先輩も南中だったんですか?」

 

「うんそうだけど…」

 

「先輩が3年生の時のコンクールの時に居なかったですよね確か…」

 

あの時の会場にでも居たのかな?そうでもないと分からないよね。

 

「なんで分かるの?」

 

「先輩みたいに上手な人が居たら分かります」

 

やっぱり居るよね。

 

「まぁ…実際に吹奏楽部に入ってなかったからね僕」

 

「それじゃ、なんで吹奏楽部に?」

 

「吹奏楽部には入ってなかったけど。地元の楽団には入っててね。色々あって吹奏楽部にね」

 

「そうなんですね」

 

「でも…傘木の事はどうにかしないといけないですよね…」

 

「そうだよね~」

 

と言う僕達の言葉に疑問を浮かべている一年生3人組。

見つめても何も無いし…問題が解決するまでは言わないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-音楽室-

 

次の日、いつも通りに朝練を鎧塚とする予定で朝早くから来ていたのだが。今日は違った。

 

「鈴木、ちょっといい?」

 

「いいけど…」

 

「希美の事聞いた?」

 

「聞いたも何も…傘木本人から戻りたいって言ってきた」

 

「そうなのね…みぞれには言ったの?」

 

「いや…鎧塚には言ってない」

 

そう吉川に言うと、吉川は凄く悩んでいるようだった。

 

「でも…ここまで騒ぎになったら耳に入るのも時間の問題だから一言くらいは言っておいた方が良いと思う」

 

「そうね、今、音楽室に居るのよね?」

 

「うん」

 

「じゃ、行きましょ」

 

そして吉川と二人で音楽室に向かった。

そこにはいつも通りにオーボエを吹く鎧塚の姿があった。

話をしようとたタイミングで音楽室の扉が開いた。

 

「あれ?二人とも早いんだね」

 

『おはようございます』

 

「優子」

 

「ん?」

 

「仲悪いの? その二人と」

 

こういう空気でも平然とそんな事を言えるのは流石鎧塚というべきか

 

「え?」

 

「え?」

 

「…」

 

二人の反応はこうなるのは分かる。

対して何を言って良いのか分からない僕は黙るしかなかった。

 

「え… ええっと…」

 

「そうなんですか? 先輩」

 

「さあ どうなんだろうね? 後輩」

 

「フフフフ…」

 

「アハハハ…」

 

「えーっと… 仲いいっていうか 悪いっていうか 普通っていうか… そう! 普通! 先輩と後輩つて感じです たぶん」

 

「ふーん」

 

「じゃあ ちょっと外で錬してきますー 行こう」

 

と言って黄前さんと高坂さんは音楽室を去っていく。

 

「あれだけ いろいろあったのに ホント みぞれは 部内の人間関係に疎いよね」

 

「だって興味ない」

 

「まあ そこがみぞれの いいとこなんだけどさ」

 

「さっきの話 希美のことなんだけど」

 

「希美…」

 

「うん 希美がね 部活に戻りたいって言ってきたらしいの」

 

「そう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

今朝のちょっとした事件から始まった今日。

時間はあっという間に夕方になっていた。

練習も花火大会がある為。もう終わりだった。

 

「拓哉、今いいかな?」

 

来南先輩と岡先輩の2人は帰って残っているのは僕だけだった教室に夏紀がやってきた。

 

「いいよ。何?」

 

「今日泊りに行ってもいい?」

 

「うん、全然オッケーだよ」

 

「じゃ、また後で」

 

「また後で」

 

夏紀はそれだけ言って走っていく。

生まれて一緒に居ただけあって言葉を言わなくても分かる。

鎧塚がまだ残っているので、鍵はかけず、鎧塚の事を探しに行く。

 

すると、聞きなれたフルートの音が聞こえてきた。

 

「この音は…傘木か…」

 

傘木のフルートの音が聞こえてくるのと同時に目の前に階段に口を押えて降りてくる鎧塚の姿が見えてきた。僕は咄嗟に彼女を支えに行った。

 

「気持ち悪い…」

 

「鎧塚…大丈夫か…」

 

「鈴木君…大丈夫じゃない…」

 

とだけ言って僕にもたれかかってきた

すると、フルートの音が聞こえなくなってきた。

 

「今のうちに帰るか?」

 

「うん…」

 

「鞄って教室?」

 

「そう…」

 

鎧塚の言葉を聞いて、彼女を階段の壁にもたれかかるように座らせて急いで鞄を取り、鍵をかけて戻ってくると

 

「みぞれどうしたの!?」

 

「吉川!」

 

「鈴木、みぞれどうしたの?」

 

「原因は分からないけど…傘木がフルートを吹いてたのが原因だと思う…鎧塚立てるか?」

 

「希美が…」

 

「それと吉川」

 

「えっ、何?」

 

「鎧塚の事送っていくから。職員室に鍵頼んでもいい?」

 

「いいけど…大丈夫なの…?」

 

「誰も居ないよりは…付き添ってあげた方がいいでしょ…」

 

吉川「でもあんた…みぞれの家知ってるの?」

 

拓哉「知ってるから大丈夫」

 

吉川「それならまぁ…しっかりと送っていくのよ」

 

拓哉「助かる。鎧塚、ゆっくりでいいからね」

 

鍵を吉川に任せて、僕は鎧塚に付き添う形で彼女を家まで送り届けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*******

 

「帰ってくるの遅かったね。何かあった?」

 

「まぁ…色々ね」

 

家に帰ると、夏紀が当たり前のようにソファに寝ころんでいた。

 

「お兄ちゃん~お帰り~」

 

「さつきただいま。待った?」

 

「ううん、夏紀お姉ちゃんが一緒に遊んでくれたから待ってないよ」

 

「そっか。夏紀も悪いね」

 

「今更何を言ってんの」

 

僕に抱き着いてきたのはさつき。

2つ下の妹で、僕と違い東中の3年生。チューバをやっている。

夏紀の事はお姉ちゃんと呼んでいるのは、一緒に居るから。

 

「そういえば、優子と友恵の二人が一緒に回りたいって言ってたけどいい?」

 

「僕はいいけど…」

 

「?」

 

夏紀から聞かれてさつきの事を見る。

 

「さつき」

 

「何?夏紀お姉ちゃん」

 

「花火大会、私とお兄ちゃんの友達が一緒でもいい?」

 

さつき「うん!たくさんいた方が楽しいもん」

 

「ね?大丈夫だったでしょ?」

 

「じゃ、二人にいいよって送っておいて」

 

「後、希美もいいかな?」

 

「合わせてもいいの…?」

 

「多分…?」

 

ヒロインは?

  • 小笠原晴香
  • 中世古香織
  • 鳥塚ヒロネ
  • 喜多村来南
  • 傘木希美
  • 加部友恵
  • 井上順菜
  • 剣崎梨々花
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