「えっ…それって本当なの…?」
「本当の事じゃなかったら言わないよ…」
「それじゃ…私…」
「いや、希美が暴走して会いに来ただけだから夏紀は悪くないよ」
外からは恐らく黄前さんと優子がみぞれの事を探す足音と声が響く中。僕は夏紀と話し合っていた。
主に、希美とみぞれの事で
「それでも…」
「だから…あすか先輩は許可しなかったんだよ…」
あすか先輩から直接聞いた訳でもないが、合宿の時偶然聞いてしまったのだ。
『希美ちゃんは 自分がそう思われていることに 全く気付いていない いまだに仲よしの幼なじみだと思ってるみたいでね なのに「あんたがいると みぞれちゃんがオーボエ吹けなくなる」「戻ってくるな」とは さすがに言えないでしょ? 私も そこまで鬼じゃないよ うちの部には オーボエ1人しかいないからね 今 みぞれちゃんがつぶれたら 関西どころじゃなくなる 2人を天秤にかけたら どっちを優先すべきかくらい分かるでしょ?』
という言葉を…そのまま夏紀に言ったのだ。
「それじゃ…今すぐ止めないと…」
「いや…こうなってしまったら遅いよ…」
「だったらどうしたら…」
「ここは優子と…そうだな…黄前さんに託すしかないね。あの子ならこの状況をなんとかしてくれるかもしれないかな」
「えっ…黄前ちゃんが?」
「そう。なんなら今頃、もうなんとかしてるかもしれないかもね」
あの子ならなんとかしてくれるだろうと思いながら僕は教室から見える青空を眺めた。
*****
夏紀と一緒に廊下を歩いていると声が響く部屋があった。
「何でそんなこと言うの そしたら何!? みぞれにとって 私は何なの!?」
「優子は… 私が かわいそうだから 優しくしてくれた 同情してくれ… た」
「バカ! あんたマジでバカじゃないの!」
「優子…?」
「私でもいい加減キレるよ! 誰が好き好んで嫌いな奴と行動するのよ」
「痛い… うっ」
「私がそんな器用なことできるわけないでしょ!」
「痛い…」
「同情? 何それ みぞれは私のこと 友達と思ってなかったわけ!?」
「違う!」
「部活だってそう 本当に希美のためだけに 吹奏楽 続けてきたの? あんだけ練習して コンクール目指して 何もなかった? 府大会で 関西行きが決まって うれしくなかった!? 私はうれしかった! 頑張ってきてよかった 努力はムダじゃなかった 中学から引きずっていたものから やっと解放された気がした! みぞれは違う? 何も思わなかった!? ねえ!」
「うれしかった… でも でも それと同じくらい 辞めていった子に申し訳なかった 喜んで いいのかなって…」
「いいに決まってる! いいに決まってるじゃん だから… 笑って」
「ちょっ… みぞれ…どうして泣くのよ ほら…」
2人の会話を聞いていると希美がやってきた。
「拓哉…さっきは…」
「それ以上は言わなくていい。傘木も気持ちが高まって暴走しただけだと思うし。後は、希美の仕事だから」
「どうする?」
「大丈夫」
そう言って教室に入る夏紀と希美
「あ… 希美先輩…」
「希美」
「ちゃんと話したら?」
「あすか先輩が これ持ってけって…」
そう言って傘木はみぞれの前に立つ。
それと入れ違う形で3人が出てくる。
「なんだ拓哉も居たの?」
「居たら悪い?」
「そんな事言ってないでしょ?」
と優子とやりとりをしてすぐさま教室の中から
「私 なんか気に障ることしちゃったかな?私、バカだからさ なんか… 心当たりがないんだけど…」
「どうして… どうして話してくれなかったの?」
「え?」
「部活 辞めた時…」
「だって 必要なかったから」
「え?」
「え?」
希美「だって みぞれ頑張ってたじゃん 私が腐ってた時も 誰も練習して無くても1人で練習してた そんな人に 一緒に辞めようとか 言えるわけないじゃん」
「だから言わなかったの?」
「うん。もしかして 仲間外れにされたって思ってた?」
「えっ 何で 違う! 違うよ 全然違う! そんなつもりじゃ… みぞれ! ごめん ごめんね」
「ごめん…」
「え? どうして みぞれが謝るの?」
「私ずっと 避けてた… 勝手に思い込んで… 怖くて… ごめんなさい…」
「みぞれ…」
「ごめんなさい」
「みぞれ、ねえ… 私ね 府大会 見に行ったんだよ みんなキラキラしてた 鳥肌立った 聴いたよ みぞれのソロ! かっこよかった」
「本当?」
「ホントに決まってるじゃん 私さ 中学の時からみぞれのオーボエ好きだったんだよ」
オーボエを手渡す希美
「なんかさ キューンっとしてさ! 聴きたいな みぞれのオーボエ」
「みぞれ…」
「うん 私も聴いてほしい」
と言ってみぞれのオーボエの音が聞こえてきた。
「もう心配無さそうか」
「こんなふうに吹けるんだ」
「結局 みぞれの演奏は ずっと希美のためにあったんだね」
「まあね」
「希美には勝てないんだなぁ 1年も一緒にいたのに」
「そんなの当然でしょ 希美ってあんたの100倍いい子だし」
「そうね あんたの500倍はいい子かも」
「でもさ みぞれにはあんたがいてよかったと思うよ」
「もしかして 慰めてくれてる?」
「はあ!?」
「はいはい 照れない 照れない」
「何それ!」
「キャー 夏紀が優しくしてくるよー」
「ちょっ 気持ち悪いこと言うな!」
「本当に変わらないんだから…」
と口にボソッと言って2人の後を追いかける。
「鈴木先輩…」
「どうした黄前さん」
「先輩って誰かのために吹いてるとかってありますか?」
「黄前さんからそういう質問が飛んでくるとは思ってなかったな…」
実にいい所を突いてくるよねこの子
「まぁ…誰かの為に言われたらそうかも」
「えっ、先輩にもそういう人って居るんですか?」
「全国に一緒に行こうって約束した人が居るからね、その人の為に吹いてるかもしれない」
「もしかして…」
「拓哉早くー!」
「おっと呼ばれてるから行くね」
「はい、お疲れ様です」
「うん、お疲れ様」
黄前さんにそう言って優子と夏紀と合流する。
「黄前ちゃんと何の話してたの?」
「誰かの為に吹いてるかって話をしてた」
「何それ…」
「みぞれと希美の関係から感じたんだろうね」
「よく分からないわ…」
なんて会話を3人でしながら話しているとみぞれが目の前に立っていた。
「優子」
「あれっ?みぞれ。どうしたのこんな所で」
「優子に用があって」
「僕と夏紀は居ない方がいいかな?」
「そうしてくれると…」
「分かった。優子、校門で待ってるから」
「分かったわ」
優子にそれだけ言って僕と夏紀は2人の元を離れる。
「夏紀、家帰ったらゲームでもする?」
「いいね~今日は私が勝つから」
「いつもそう言って負ける癖に」
2人が去った後
「みぞれ。私に用って何?」
「鈴木君とお出かけに行ってもいい?」
「え?」
ヒロインは?
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