「鈴木君とお出かけに行ってもいい?」
「え?」
みぞれは、拓哉が居なくなったのを確認して、優子にそう彼をデートに誘っていいかと聞いたのである。
「ちょっと待って…整理が出来ないんだけど…」
「そのままの意味」
「それは分かるんだけど…」
何もみぞれの言った言葉が理解出来ない訳ではない。
「えっと…つまり。拓哉とデートしたいって事でいいの?」
「そう…だから優子に聞いた」
「なんとなく理解はしたわ」
「それで優子はどうなの…」
「…好きにしたらいいんじゃないの?」
「分かった…誘ってみる」
そう言ってみぞれは優子の元を去っていく。
その後、校門に向かうとデートに誘っているみぞれの姿があった。
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みぞれと希美の一件があってから気づけば関西対決の日が明日まで近づいてきていた。
「いいですか? 皆さん 明日の本番を あまり難しく考えないでください 我々が明日するのは 練習でやってきたことを そのまま出す それだけです」
『はい!』
「それから 夏休みの間コーチをお願いしていた 橋本先生と新山先生は 本日が最後になります」
『えーっ!?』
滝先生からの言葉で部員達からそう声があがった。
「最後にひと言 お願いします」
「うん」
「約3週間 短い間でしたが 確実に皆さんの演奏はよくなったと思います その真面目な姿勢は 私自身 見習うべきものが たくさんありました 明日の関西大会 胸を張って楽しんできてください」
「えーっと… 僕はこんな性格なので 正直に言います 今の北宇治の煙雨は 関西の どの高校にも劣っていません 自信を持っていい! この3週間で表現が 実に豊かになりました 特に 鎧塚さん!」
「あ… はい」
「見違えるほどよくなった! フフン 何かいいことあったの?」
「はい」
「おお いいねー 今の彼女のように 明日は素直に自分たちの演奏を やり切ってください 期待してるよ!」
「みぞれ良かったね」
「うん」
「うっ うっ…」
「何泣いてんのよ」
「起立 ありがとうございました」
『ありがとうございました!』
橋本先生、新山先生は今日までという事らしい。
新山先生には褒められたのでこの経験はとても良かったと思う。
明日…頑張るか…
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『みんなの思いを1一つに この大阪東照が出場する関西吹奏楽コンクールは 明日 行われます』
家に帰り、テレビをつけると明日のコンクールの特集が行われていた。
「お兄ちゃん!明日頑張ってね」
同じくテーブルを囲み夜ご飯を食べているさつきがそう言ってきた。
「言われなくても頑張るよ」
「そうそう、拓哉は心配しなくても大丈夫でしょ!」
そして当たり前のようにいる夏紀が隣から口を挟んできた。
「夏紀お姉ちゃんは出るの?」
「ううん、私は出ないよ。でも、来年は出るから」
「そうなんだね。じゃ、来年は私と一緒に演奏しよ」
「えっ?さつき、北宇治受けるの?」
「そうなんだよ。北宇治以外には行きたくないんだって」
「頑張って!私も応援してるから」
「うん!絶対に合格できるように頑張る!」
心配しなくても大丈夫だろう。
僕と夏紀が勉強を見てきたのもあって勉強は出来るはずだから
コンクールに向かうバスに速攻で乗り込み、椅子に座っていると優子から声をかけられた。
「隣座っても良い?」
「座りたいんでしょ?」
「うん」
と言って隣に座る優子は続けて
「今日行けたら全国ね…」
「ライバルは強いけど。自分たちの演奏をするだけだから」
「うん。全国まで行くって約束したもん。香織先輩の為にも…こんな所で終わる訳にはいかない」
「そうだね、僕だって誘ってくれた晴香先輩やヒロネ先輩を全国に連れていきたいと思ってたからそこは一緒だね」
「ええ~今日はお互いに頑張りましょ」
と言って、グーをした手を差し出してくる。
僕もグータッチで返す。
「おー仲良しだね~お二人さん。居ないと思ったらこんな所でイチャイチャしてるとは」
「うるさい!」
前の席に座っていた夏紀が優子にちょっかいをかけて、優子がそれに乗っかっていく。見慣れた光景である。
すると、どこからか
「やっぱりこの2人のコントは見ないとね」
『誰がコントよ』
と2人揃って返す。
恐らく、加部辺りがヤジを飛ばしてきたんだろう。
「みんないる?」
「いるよー」
晴香先輩が乗り込んできて、人数の確認をしに来て、香織先輩がそう返す。
晴香先輩は香織先輩の声を聴いて、バスの中をざっとと見渡す。
その時、目が合った気がした。その目は部長になった時の弱弱しい目ではなく。しっかりとした目だった。
みぞれちゃんの話はどこかでやります。
ヒロインは?
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小笠原晴香
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中世古香織
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鳥塚ヒロネ
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喜多村来南
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傘木希美
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加部友恵
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井上順菜
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剣崎梨々花