ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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9/23日修正


45.引退した先輩と苦労人

 

「音が小さい…」

 

 

帰り道の公園に優子と居ると、彼女がそう言ってきた。

 

 

「三年生抜けたもんね。ファゴットは居なくなったし…」

 

 

岡先輩と来南先輩が抜けて、居なくなったファゴットの穴も大きいが、何より三年生の抜けた穴を痛いほど痛感した。

 

 

「拓哉とみぞれが上手いと言っても…このままじゃあ…」

 

 

今のままで行くと、来年は僕達オーボエだけのチームになってしまう。

それでもいいんだけど、他のパートの底上げも必要になってくる。

 

 

「全国はおろか、府大会も怪しいよね」

 

 

「そうね。来年の新入生勧誘頑張らないとね」

 

 

「もちろん、部長の助けになりますよー」

 

 

「あら?副部長がそんなにやる気なら、私も頑張らないとね」

 

 

「何か奢ってあげるよ。何が良い?」

 

 

「そうね…」

 

 

そんな会話をして、最寄り駅まで一緒に帰り、彼女と別れて家に帰るとそこには、いつもと違う靴が合った。

 

 

「拓哉君、遅いよー」

 

 

そこに居たのは、私服姿のヒロネ先輩だった。

なんでここに…いるのか

 

 

「先輩…なんでここに?」

 

 

「なんで、先輩を付けるのかな拓哉君は…」

 

 

ヒロネ先輩は、不満そうな表情を浮かべてそう言ってきた。

 

 

「…先輩は、先輩に変わりないので…」

 

 

先輩から目を逸らしながら僕はそう言う。

 

 

「もう!もうちょっと!気楽になってもいいんだよ」

 

 

ヒロネ先輩…引退したのつい最近だけど…こんなに面倒くさい人だったっけ…

 

 

「私、もう引退した身なんだから昔みたいに呼び捨てでいいの」

 

 

昔…って言っても…呼び捨てでいいのかな…。

 

 

「分かった…昔みたいに…ね」

 

 

「そう、ヒロネって呼んでくれてもいいんだからね?」

 

 

そこまで言われたら…折れるしかないか。

 

 

「ヒロネ…なんで今日は僕の家に居るの?」

 

 

「ふふふ、大学に合格して暇だから来たの」

 

 

そういえば、吹部の先輩達の何人かは既に大学が決まっていたっけ。

 

 

「合格おめでとう」

 

 

「素直に言ってくれるのは拓哉君のいい所だよ~」

 

 

と言って頭を撫でてくるヒロネ…

 

 

「で…暇だから来たのは建前で…本当の目的は?」

 

 

「本当…拓哉君って頭回るよね」

 

 

「そんな話をしたい訳じゃないんだけど…」

 

 

「拓哉君のお母さんから、夜ご飯を作ってあげてって言われたからさ。来てあげたって訳」

 

 

なるほど…確かに、お母さん、出張で五日間ほど居ないけど。

それでも、ヒロネに頼むかな。夏紀のお母さんでもいいじゃん。

 

 

「あーそういう事」

 

 

「そう。拓哉君の胃袋を掴みに来たっていうのもあるけど」

 

 

…本音は、絶対にこっちだな。僕はそう思ってしまった。

 

 

「…それだけで来たの…?」

 

 

「そう!それだけじゃ理由としては弱いかな?」

 

 

どんな理由であれ…来てくれるのは嬉しいかな。

 

 

「ヒロネ…本当…良い性格してるよね…」

 

 

「そう?」

 

 

なんて会話をしていると

 

 

「ただいま~」

 

 

とさつきが帰ってきた。

 

 

「さつきちゃんお帰り~」

 

 

「あっ!ヒロネお姉ちゃん久しぶり~」

 

 

ヒロネの姿を見るや否、ヒロネに抱き着くヒロネ。

優子と夏紀もそうだけど、さつきは人懐っこい。誰とでも仲良くできるタイプ。

さつきの表情を見て入れば分かる話だけど。

 

 

「さつき、着替えておいて」

 

 

「うん!分かった!」

 

 

とさつきは鞄を持って自分の部屋へと向かっていく。

 

 

「本当。さつきちゃん可愛いよね。本当のさつきちゃんのお姉ちゃんになりたいよ~」

 

 

と言いながらチラチラと見てくるヒロネ…

 

 

「チラチラと見ないでもらって」

 

 

「分かってるよ~お似合いだって思ってるし、邪魔はしないから」

 

 

「本当かな…」

 

 

「うん、それにする時間も無いし…あっ、でも」

 

 

「何?」

 

 

「本気で拓哉君の事狙おうかなって…」

 

 

「ヒロネ…目がガチになってるよ…」

 

 

「だって本気だもん…」

 

 

「分かったって…とりあえず自分の部屋に戻るね」

 

 

ヒロネにそう言って、僕も自分の部屋に行って着替えを済まし降りてくると夏紀も居て、5人で夜ご飯を食べる事になった。

ヒロネの料理はとても美味しかった。流石お嫁にしたい吹奏楽部の中でランキング上位の人って言うのが分かる。

一位は誰だって?そんなの香織先輩ですよ。

 

 

「ヒロネ、今日はありがとうね。さつきも喜んでたし」

 

 

「うん、私もさつきちゃんと会えて良かったよ」

 

 

今は、ヒロネの事を駅まで送っている最中。

さつきは、受験勉強をしたいと言って、家に居る。

 

 

「それにしても、さつきちゃんも北宇治を受けるんだね」

 

 

「僕と同じ学校に通いたいって」

 

 

「そっかそっか。私も、さつきちゃんが同じ学校に通う事になったら嬉しいよ」

 

 

「ですね」

 

 

彼女とそう話をしていると、駅までやってきた。

 

 

「先輩、ではまた」

 

 

「うん、また機会があったら行くね」

 

 

「その時は、連絡くださいね」

 

 

ヒロネは駅の中に姿を消した。

 

 

「あれ?拓哉、どこかに行ってたの?」

 

 

家に帰ろうとした時、希美が声を掛けてきた。

 

 

「希美は…買い物?」

 

 

「うん、お母さんにおつかい頼まれちゃって」

 

 

「なるほどね。家まで送っていくよ」

 

 

「悪いよ」

 

 

「いいから。希美に何かあったらみぞれが怒るでしょ」

 

 

「それもそっか」

 

 

その後、彼女の事を家まで送って、さつきの勉強を見て、この日は終わった。

 




この作品が分岐ルートに突入したくらいに、並行して書こうとしてる野球×ユーフォのヒロインは決まりません。アンケートまた取りますか。

野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順

  • 小笠原晴香
  • 中世古香織
  • 斎藤葵
  • 姫神琴子
  • 鳥塚ヒロネ
  • 吉川優子
  • 中川夏紀
  • 鎧塚みぞれ
  • 傘木希美
  • 加部友恵
  • 島りお
  • 黄前久美子
  • 高坂麗奈
  • 川島緑輝
  • 加藤葉月
  • 井上順菜
  • 堺万紗子
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