校庭でのランニングを終えると、そこには
「はい。ゴールしたらすぐ吹く。」
と息が上がっている状態にも拘わらず酷な事を言っている滝先生がいた。
「ふえー?」
「まじ」
「何のために楽器を持ってきたと思っているんですか?さ、早く」
息を整える前に楽器を吹くけど、もちろん綺麗な音が出るはずもなく…
「何やってんだ?あれ」
と吹奏楽部ではない、他の部活の子がそんな事を言っていた。
まぁ…分からないよね…
「何なの!あの先生!」
今日も練習が終わり、このまま帰宅しようとしたら吉川に捕まって、気が付いたら目の前にはポテトとジュースがあった。
そして、吉川の愚痴を聞く羽目になっていた。
「まぁ…あれも練習の一環だと思って、我慢するしかないよ」
「ふん、えらくあの先生の味方をするのね」
「別に味方してる事はないし、吉川の言いたい事も分かる」
とイライラしてる吉川をこれ以上怒らせないようにしつつ、吉川のフォローする。
「分かってるならいいわ、でも、滝先生の事を評価してるわよね、高坂と同じくらいに」
「高坂さんがどこまで評価してるかは分からないけど、確かにそこそこの評価があるのは事実だね」
「私達があの先生に良い印象がないのも分かってるわよね?」
「まぁ…いきなりあの練習はきついと思うし。先輩達の反応を見ていれば分かる」
「鈴木、なんとかできない?」
「はっきりと言うけど、それは無理」
先日の岡先輩といい、吉川といい、何故そこまでして僕を頼るのか。
部長と副部長に言えば…と言いたい所だけど…まぁ…無理だよね…
「なんでよ」
「最初に言ったけど、僕にとっては上手になるためには必要な練習だと思ってるから」
「…はぁ…納得はしていないけど。そういう事にするしかないよね…」
「納得するのが難しいから、今は先生を信じるしかないよ」
「分かったわ。この分は私の奢りにしておいてあげる。次は奢って頂戴」
とだけ吉川は言って去っていく。
「何か問題が起きそうな気もするけど…今は大丈夫だと思いたいな」
と言った言葉はそう遠くない未来にやってくることになるのだが…今する話ではない。
******
吉川と話をしてから。何日が過ぎた。
もちろん、その数日の間にも色々とあった。
先生があまりにも、きついことを言うものだから泣いた先輩がいたというのも聞いた。
滝先生への不満はとても大きく、そのエネルギーが部員達の団結力へと形を変えて行き、なんとか乗り越える事が出来たと思う。
そして合奏当日
「約束の日になりました。この一週間の成果が楽しみです。鳥塚さんおねがいします」
と滝先生の言葉でみんなの目にやる気が入る。
滝先生を見返すために
そして、演奏を終え
「いいでしょう 細かいことを言えばまだまだ気になるところはありますが、何よりもみなさん、今、合奏をしていましたよ」
と今までの練習を乗り越えてきた自分たちにとって報われた瞬間だった。
それは、みんなが同じ事を思っていたようで表情が明るくなる。
「小笠原さん これを皆さんに配って頂けますか?」
「はい」
「それではみなさん、おまたせしました。サンフェスに向けての練習メニューです」
そこにはがっつりと書かれた練習メニューがあった。
前とは違い、土日も練習だ
「げ、これ本気でこなすのかよ?」
「日曜も?」
「曲はなんですか?」
「譜面は明日配ります。お楽しみに。さて、残された日数は多くありません。ですが、みなさんが普段若さにかまけてどぶに捨てている時間をかき集めれば、この程度の練習量は余裕でしょう」
「やっぱむかつく」
「サンフェスは楽しいお祭りですが、コンクール以外で有力校が一堂に集まる大変貴重な場でもあります。この場を利用して、今年の北宇治は一味違うと思わせるのです」
「でも今からじゃ?」
「出来ないと思いますか?私は出来ると思っていますよ。なぜなら私たちは全国を目指しているのですから」
出来る出来ないの話ではない。
全国を目指すと言ったのは僕たちなのだ。
やるしかないのだ。
それも、他の高校と違い。遅れているのだ。
ここから全国に行ったら、面白いじゃないかと僕は思った。
聖地に熊が出たとの情報があったので行かれる方はご注意ください。
まじで熊は洒落にならないので…
では次回で
ヒロインは?
-
小笠原晴香
-
中世古香織
-
鳥塚ヒロネ
-
喜多村来南
-
傘木希美
-
加部友恵
-
井上順菜
-
剣崎梨々花