ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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48.バレンタインと苦労人

 

「夏紀おはよう〜」

 

「ようやく起きてきたーはいこれ」

 

朝起きて夏紀が何かを渡してくる。

それは袋に包まれた箱だった。

 

「そういえば今日ってバレンタインだったね」

 

「そういう事」

 

「甘い物苦手なんだけどなぁ…」

 

「拓哉君にあげる部員いるだろうし、その分も入れて苦目にしておいたから」

 

本当に出来た幼馴染だよな。

 

 

-教室-

 

「鈴木〜お前チョコ何個貰った?」

 

「夏紀から貰ったよ」

 

「羨ましい〜1個も貰ってないんだよ!俺は!」

 

教室に入るやすぐに滝野が声をかけてきた。

バレンタインって事もあって、クラスの男子達はソワソワしていた。

その中でも、滝野は特にうるさかった。

 

「香織先輩にくださいって言えばいいのでは?」

 

「鬼畜かよお前…言える訳…」

 

「じゃ、くれるまで待つ事だね…」

 

「チクショー、チョコ貰ってるからって」

 

「ほら、先生きたよ。早く座った方が良いって」

 

と言うと滝野は渋々自分の席に戻っていった。

 

そんな学校の授業も進み、昼休みの時間になった。

僕はいつものメンバー(優子、みぞれ)と昼ごはんを食べていた。

 

「そうだ、これあげる」

 

「私も」

 

「二人ともありがと。ホワイトデーお返しするからね」

 

「期待しておくわね」

 

「私も楽しみにしてる」

 

ちょっとハードルが上がってしまったなぁ…

ホワイトデーにしっかりとお礼はするけどね。

 

「因みに二人とも手作りだから。しっかりと味わって食べなさい」

 

「自信あるから」

 

「そうなんだ。ならしっかりと味わって食べないとね」

 

と言ってみぞれの頭を撫でていた。

 

「なんか…二人距離近くない?」

 

「そんな事無いと思う。普段の練習がこんな感じだし」

 

優子が疑問に思ってるみたいだけど、いつものパート連なんてくっ付いてやってるし、全然気にしてなかった。

 

「うん」

 

「まさかだけど付き合ったとかじゃないわよね?」

 

「心配しないで()()付き合ってないから」

 

「そう…うん。みぞれなんて言った?」

 

「付き合ってないから安心して欲しいって言った」

 

「それならいいけど…気になる事を言ったような…」

 

優子とみぞれの会話に気を取られて、そっと忍び寄る影に気づけなかった僕の視界が真っ暗になった。

 

「誰だ〜?」

 

「…ヒロネ先輩ですよね…」

 

「ちぇ…バレたか…」

 

「ヒロネ、勝手に入らないの…全く…」

 

教室の外には、晴香先輩と香織先輩の二人が居て、ヒロネは勝手に入ってきたようだった。

 

「ごめんね…」

 

「いえ…ヒロネ先輩がこうやって来るの珍しくないんで…それより自由登校なのにわざわざ学校に来たんですか?」

 

三年生は自由登校の期間になっている。

現に来南先輩はどこかに遊びに入ってるらしいし。

 

「だって」

 

「そうだよね」

 

「あっ…バレンタインだからですか?」

 

「そう。だから私達からのバレンタインチョコ」

 

「お返しはいいからね。これはお礼の気持ちだから」

 

「先輩がそう言ってもお返ししますよ」

 

「そう?ホワイトデーは来ないとね」

 

「いやいや…先輩方卒業してますから…」

 

「それじゃ、、拓哉君の家に行ってお返し貰いに行こうかな」

 

「それならいいんですかね…」

 

一瞬良いと思ったけど、いいのかな…

 

「そういう訳だから、ヒロネ行くよ」

 

晴香先輩は、僕の方に寄りかかっていたヒロネを強引に引き離そうとした

 

「まだチョコ渡せてない」

 

「じゃ、さっさと渡して!」

 

「うっ…私からの手作りチョコ。一応本命だから」

 

「ありがとうございますヒロネ先輩、気持ちは受け取りました」

 

「って事は!?」

 

「あっ、恋人になるかはまた別の話なので…」

 

「そんなぁぁぁ」

 

「じゃ帰るね〜」

 

とヒロネの手を掴み引っ張りながら去っていく晴香先輩。

その後ろをついて行く香織先輩

 

「良かったわね。香織先輩からチョコ貰えて」

 

「なんで拗ねてるの?」

 

「ふん…」

 

優子はプイっと顔を背けて教室から出て行った。

 

 

-音楽室-

 

「拓哉先輩」

 

「高坂さんどうしたの?」

 

「いつもお世話になってるので、これ(チョコ)です」

 

「ありがと」

 

「それと私の事、下の名前で呼んでいただけませんか?久美子だけ下の名前呼びはずるいので」

 

「オッケー、麗奈って呼んだらいいの?」

 

「そうして頂けると嬉しいです」

 

高坂さん…もとい麗奈からチョコを貰うと『麗奈』と呼んで欲しいとの事でそうお願いされた。

そして、麗奈は音楽室から去っていく。

 

「拓哉…香織先輩じゃ足らずに高坂まで手を出したの?」

 

「言い方に語弊があるぞ」

 

「それにしても高坂さんがね…」

 

「何よ」

 

「ライバルが増えちゃったね~」

 

まだ…まだ大丈夫だから…

 

「そんな事言ってたら誰かに取られるよ」

 

音楽室でそんなやり取りがあった次の平日

 

 

-教室にて-

 

「拓哉君って結局何個貰ったの?」

 

教室に入ると友恵が聞いて来た。

 

「結構貰ったから数えてないよ」

 

「おおー流石モテ男だけある」

 

「友恵から貰ったチョコ、美味しかったよ」

 

「頑張って作ったからね!」

 

友恵とそんな話をしていると滝野が声をかけてきた。

 

「鈴木…香織先輩だけじゃなくて、吉川、加部、高坂からチョコ貰ったって聞いたけど本当か?」

 

「うん」

 

「俺は一つも貰えなかったのにお前って奴は!」

 

そう言って僕の首を絞めようとしてきた滝野だったが、僕が華麗に回避した為何も起きなかった。

 

チョコをくれた先輩含め、みんなにお返しをした。

その為。そこそこのお金が無くなったけど、みんなが喜んでくれていたから良かった事にしようと思う。

 

 

 

野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順

  • 小笠原晴香
  • 中世古香織
  • 斎藤葵
  • 姫神琴子
  • 鳥塚ヒロネ
  • 吉川優子
  • 中川夏紀
  • 鎧塚みぞれ
  • 傘木希美
  • 加部友恵
  • 島りお
  • 黄前久美子
  • 高坂麗奈
  • 川島緑輝
  • 加藤葉月
  • 井上順菜
  • 堺万紗子
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