ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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京都府大会

 

オーディションを終え、早一か月。京都府大会の日がやってきた。

 

優子「はぁ…はぁ…」

 

いつもの待ち合わせ場所に行くと、優子は居なくて待っていると、息を切らしながら走ってきた優子。

 

「どうしたのよ…優子がギリギリって珍しいね」

 

「緊張しちゃって寝れなかったの…」

 

「ふふっ、優子も可愛い所あるじゃん」

 

と言いながら、僕は慌てて出てきたからだと思うが、曲がっているリボンを定位置に直した。

 

「よし、これでオッケー」

 

「ありがと//」

 

「慌てて出てきたなら何も食べてない感じ?」

 

「うん…」

 

「ならこれあげるよ」

 

と言って鞄の中から、優子が好きなコロッケが入ってコロッケパンを渡す。

 

「ありがと、というかなんで持ってるの?」

 

「コンクールの後にでも食べようとして持ってきてたの」

 

「食べていいの?」

 

「うん、お腹空いたら向こうで買って食べるから」

 

その後、優子はパンを食べながら一緒に学校まで歩いた。

 

 

 

 

 

*****

 

場所は変わって、楽器を詰め込むトラックの日陰

 

「みんな揃ってる?」

 

「大丈夫、みんないるよ」

 

「楽器とか譜面台は?」

 

「それもオッケー」

 

「オッケー、問題なしっと」

 

幹部三人で最終確認を行い、しかめっ面をしていた優子が息を吐いた。

 

「あー眠たい…」

 

「昨日寝れなかったの?」

 

「緊張して寝れなかったんだって」

 

「へぇ~優子も可愛い所あるじゃん」

 

「うっさい!」

 

「まぁ…会場までバスの中で寝ていいんじゃない?起こしてあげるし」

 

「そうさせてもらうわ」

 

 

そして、バスに乗り込み、動き出してしばらくすると、窓際に座って景色を見ていた僕の肩に衝撃を感じた。

 

「本当に肩にもたれかかって寝るとは…」

 

さっきの言葉通りに優子が肩にもたれかかって寝ていた。

なるべく優子を起こさないようにしながら僕は、流れていく景色を見ていた。

 

 

-京都府大会会場-

 

会場に着くと、寝て元気になった優子が指示を飛ばしていた。

 

「あれ北宇治?」

 

「やっぱりオーラーあるなぁ~」

 

去年全国に行ったからなのか、この場に居る人達からそんな会話が聞こえていた。

それは、優子にも聞こえていたようで

 

「注目されるわね私達」

 

「注目されてる分、関西には行かないとね」

 

「ええ」

 

二人でそう話して、時間になった事を確認する

 

「そろそろ行くか」

 

「そうね。はーい、北宇治移動しまーす!」

 

 

優子のよく通る声で部員達みんなが一斉に移動を始める。

会場の中に入り、音出しを行う。

 

「今日も良いリード」

 

「うん、お互いに頑張ろうねみぞれ」

 

「うん」

 

みぞれとそう会話をしていると、滝先生が手を叩き、自身に注目をさせるようにする。

 

「はい、遂にこの日がやってきましたね、私が北宇治高校吹奏楽部の顧問としてこの場に立つのは、これで二度目になります。課題曲、自由曲が決まって以降、皆さんは今日までずっと努力してきました。楽譜を配られた時に比べて、演奏の完成度もどんどんと高くなりました。私は、皆さんとならさらに高いクオリティーの音楽を作り上げられると考えています。次の演奏の機会に繋げられるよう、全力を尽くしましょう!」

 

『はい!』

 

滝先生と入れ替わる形で今度は優子がみんなの前に立って、話を始めた。

 

「みんな、お腹壊してない?体調は大丈夫?昨日はよく寝れた?」

 

優子の言葉にあちこちから笑い声が聞こえてきた。

 

「今日、こうしてメンバーが揃っている事を嬉しく思います。怪我も病気も無かった。当たり前に思えて、これって凄く大事な事だと思います。なんせ、自分達のベストで挑めるって事だから。私は、このメンバーやれば怖い物なんてないって知ってる。いつも通りの力を出せば、絶対に次に進めると信じてます。心配する事なんてひとつもない。十二分間の舞台。本気で楽しんで行きましょう!」

 

『はい!』

 

 

「では、いつのやつやります__北宇治ファイトー!」

 

『おー!』

 

 

「北宇治高校の皆さん、お時間です」

 

係員の人が呼びに来て、みんなでステージに向かって歩き出し、演奏をした。

 

 

 

 

******

 

「拓哉、こんな所に居た」

 

「優子、よく見つけたね」

 

演奏を終え、自販機でお腹を膨らませる為。炭酸を買って飲んでいたら優子に見つかった。

 

「拓哉の行きそうな場所くらい分かるわよ」

 

「怖いんだけど…」

 

「そんな事はいいわよ、拓哉も炭酸飲むようになったの?」

 

「うん。優子におすすめされて飲んだら美味しくて…偶に飲んでる」

 

「そっかそっか_って、発表されるわ」

 

そう言って優子は、僕の手を掴んで引っ張る。

 

「呼びにきた感じ?」

 

「そういう事」

 

優子に連れられるがまま、発表場所まで行くと、もう発表直前だった。

優子は両手を顔の前で握って祈るようにしていた。

 

僕は、出された紙面を見る

 

37番_北宇治は_

 

「優子…見てみて」

 

僕がそう言うと、優子は不安そうな表情がパッと輝き出した。

 

「僕達の夏はまだ終わらないよ」

 

「まぁ、私は絶対に関西に行けるって信じてたけど」

 

「絶対に嘘でしょ!内心ビビッてた癖に!」

 

「いいえ、全く。部長としてみんなを信じてたから」

 

「何良い事を言ってるの、人格者アピール?」

 

「もともとですこういう性格なんですぅー」

 

優子と夏紀がいつもの奴をやり始めたけど、まぁいいや。

 

僕達は関西大会へと駒を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

_三十七番 京都府立北宇治高等学校 金賞 京都府代表_

 

野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順

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