-関西大会当日-
「おはよ」
「おはよ。夏紀早いね」
「うん、コンクールの日だし」
夏紀がいつものように朝早くから家にやってきていた。
これもいつもの光景だった。
「おはよう」
「うん、おはよう」
「おはようございます部長さん」
「今日はそれか」
「いいでしょ」
「何がよ」
「まぁまぁ…」
場所は変わって移動に使うバスの車内
部長である優子と副部長の夏紀とは別れてみぞれの隣に座っていた。
「拓哉君、何してるの?」
「外の景色を見てる」
「優子と別れて寂しい?」
「そんな事はないよ。どっちかというと優子の方が寂しいんじゃないかな?」
とは言うけど、夏紀と一緒に座ってるから案外そうでもないかもと思いながら言う。
「先輩方~2人で話すのずるいですって~」
「ごめんって、お詫びの気持ちとしてこれをあげよう」
「いつもの飴じゃないですかー」
「嫌だった?」
「そんな訳ないじゃないです。いつも通りの先輩で安心しました」
「私にも頂戴」
「はい」
-関西大会会場-
「北宇治~! そろそろ入りま~す 移動中 迷子にならないように!」
優子がそう言うと目の前から知っている人達が走ってきた。
「あ~ いたいた!」
「ハァ ハァ…」
「ウフッ お~い!」
「香織先輩~ アハッ マジエンジェ~ル!」
「久しぶり」
香織先輩の登場によって、優子が豹変した為、一年生がびっくりしている。
「先輩…部長が変わってます」
「気にしないであげて…」
案の定…梨々花ちゃんがびっくりして声をかけてきた。
「あんたは部長の仕事があるでしょ」
「分かってるわよ」
「拓哉君も頑張ってるようだね」
「!?びっくりした」
「驚かせたくて背後から忍び寄っちゃった」
完全に前方の方に視線が向かっていた為。ヒロネの登場にびっくりした。
来れないと言ってたのに来てくれたのか…
「それよりも来てくれたんですね」
「当たり前だよ!拓哉君の最後のコンクール見に来るよ」
「先輩…この人って」
「鳥塚ヒロネ先輩。去年の卒業生だよ。あっちにいる人達も同じ」
「先輩『北宇治ファイト~!』って言ってください」
「えっ 私?」
「北宇治ファイト~! ほら いくよ」
「ああ… え… 私のセリフ~…」
「あっ ちょっと あすか~!」
「あれ ちょっと晴香と似てなかった?『北宇治ファイト~!』」
先輩方も変わって居なくて安心した。
「じゃ、私も行くね。演奏頑張ってね」
「はい」
-リハーサル室 -
チューリングをやっていると、滝先生が手をパンパンと叩いた。
「では 部長」
「はい」
優子は滝先生の隣に立って口を開いた
「はい 注目~!」
「してるって」
2人のやりとりをして部員達から笑いが起こった。
「去年の冬から部長になって いろんなことがありました 1年生 2年生 3年生 それぞれ大変なこともあったと思います でも みんなで支えあって 最高の形でここまで来られたと思っています それと夏紀」
「はあ?」
「ありがとう」
そう言ってお辞儀をする優子
「あ あ… なんで今なの…」
照れる夏紀。
「そして拓哉」
「うん?」
「私の事支えてくれてありがとう」
「うん、こちらこそ部を引っ張っていってくれてありがとう」
お互いの事を見た後、優子は続けて
「この最高のメンバーで 私はずっと演奏していたい これで終わりになんかしたくない 全員で全国行こう!」
『はいっ!』
-舞台裏-
「拓哉先輩、みぞ先輩、全国に連れて行ってください」
「うん」
「もちろん」
「北宇治行くよ~」
「じゃ、行ってくるね」
「はい。頑張ってください」
こうしてステージに立つのは三回目であるが慣れない。
緊張してるのが分かる。それは部員のみんなも一緒の筈だ。
-会場内-
司会「15番 京都府代表 北宇治高等学校 ゴールド金賞」
司会からそう言われて、部員達から安堵の声が聞こえてくる。
ステージ上では優子と夏紀がグータッチを交わしていた。
夏紀が一番ホッとしてると思う。足を引っ張ってはいけないと負い目を感じていたようだったし…
司会「続きまして きたる10月に行われる全国大会に出場する3団体を発表します」
司会「1校目 3番 大阪府代表 明静工科高等学校 2校目 8番 大阪府代表 秀塔大学付属高等学校」
司会「3校目22番 京都府代表 龍聖学園高等部」
「あんなに頑張ったのに…」
「クソッ…」
と言った言葉が部員達から聞こえてきた。
そりゃ悔しいよなぁ…僕だって悔しいもん…
思い空気の中、会場の外に出るとそこには泣き崩れ落ちる優子とそれを慰める夏紀の姿があった。
「…拓哉…」
夏紀がそう声をかけてくると、優子の肩がちょっとだけ動いたのが分かった。
「…拓哉…ごめん…全国金を一緒に取ろうって行ったのに…」
「…いいって…部員みんなで頑張ってここまでやってきたのは分かってるんだから…優子も部長としてやってきたのはよく知ってるから…気にしなくていい」
「…でも…悔しくはないの…?」
拓哉「…もちろん悔しいよ。それはみんなが思ってる事、それに優子も最高の演奏をしたっていうのは分かるんでしょ?」
「…うん…」
「なら自信を持たないと」
そう言った記憶はあるがその後何を言ったか覚えていない。
でも、優子が気持ちを入れ替えたのは分かった。
ホールの外に出ると、部員達が落ち込んでいた。
それを見た優子は歩き出し
「ちょっとちょっと 何この空気 お通夜じゃないんだから 何落ち込んでんの?」
そしてみんなの前まで行き続ける。
「私たちは今日 最高の演奏をした! それは事実でしょ? これまで私たちを支えてくれた部員のみんな 先生たちや保護者の皆さんのためにも 胸を張って帰らなきゃ! 確かに全国には行けなかった でも落ち込む必要はない 私たちはあの瞬間最高の演奏をした! そしてこの経験は絶対に明日に繋がる 来年に繋がる 1年間 部長をやった私が断言するよ 北宇治はもっと良くなる! もっともっと強くなる! だから顔を上げて!」
そう言うともなかのメンバーが拍手をして、コンクールマンバーが振り向く。
「今日という日は 来年のコンクールに向けての1日目! 明日からの練習 頑張っていきましょう!」
『はい!』
「私の言葉はこれだけ。後は拓哉が言ってくれるわ」
「えっ?これ以上何を言えっていうの?」
「最後の締めの言葉は拓哉の仕事」
「仕方ないなぁ…」
と言って優子の隣に向かって歩き出す。
何もないと思って何もないんだけどなぁ
「えっと…まず結果として全国には行けなかったけど、部長の言う通り最高の演奏をしました!これは変わらない事です。自信を持ってください。そしてこの経験は必ず来年のコンクールに繋がります。大事にしてくれたら嬉しいです。そして僕達三年生はこれで引退です。二年生が好き勝手に出来ます。壊すような事は辞めて欲しいですけどね」
と言った瞬間、部員達から笑い声が聞こえてきた。
「こんな事しか言えない副部長ですけど。一年間僕達に付いてきてくれてありがとうございました。もなかのメンバーもありがとうね。来年はコンクールで吹いている姿を楽しみにしてます。本当にありがとうございました」
僕の言葉としてはこれで絞めた。
「拓哉ありがとう。では最後にいつものやつで絞めましょう」
「北宇治ファイトー」
『おー!』
野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順
-
小笠原晴香
-
中世古香織
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斎藤葵
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姫神琴子
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鳥塚ヒロネ
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吉川優子
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中川夏紀
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鎧塚みぞれ
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傘木希美
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加部友恵
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島りお
-
黄前久美子
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高坂麗奈
-
川島緑輝
-
加藤葉月
-
井上順菜
-
堺万紗子