ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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バレンタイン

 

「鈴木、今日は早いんだな」

 

「ええ、吹奏楽部の後輩達を覗きにですけどね」

 

「後輩思いなんだな。ほれ」

 

と言って担任教師は教室の鍵を渡してくる。

.

「ありがとうございます」

 

担任の先生から鍵を貰って教室へと向かう。

朝早くからやってきたのでもちろん誰も居ない。

 

鞄を置いて、梨々花ちゃんが居るであろうパート今日室へと向かった。

 

「梨々花ちゃんおはよ」

 

「あっ!拓哉先輩おはようございます!」

 

「先輩!お久しぶりです!」

 

「おはようございます!」

 

梨々花ちゃんだけかと思っていたけど、駿河ちゃんとえるちゃんも居たようで、三人で功を挨拶をしてくれた。

 

「三人仲良くやっているようで何より」

 

「当然ですよ~ダブルリードの会なので~」

 

「これからも三人で頑張ってね」

 

「はい!それと…」

 

僕が教室から去ろうとすると、梨々花ちゃんが呼び止めて鞄の中を弄りだす。

 

「私達からのプレゼントです~」

 

「おーありがとね。お返しできるか分からないけど…」

 

「大丈夫ですよ~これは私達から感謝の気持ちなので~」

 

梨々花ちゃん達が渡してきたのは装飾がされ、チョコの入った袋だった。

三人で頑張って作ってくれたのだろう。

 

「本当にありがとうね」

 

「はい!」

 

三人に手を振って教室を出る。次に向かうのは音楽室、

 

 

-音楽室-

 

「どう?頑張ってる?」

 

「拓哉先輩!驚かさないでくださいよ!」

 

「ごめんって」

 

「拓哉先輩はどうして来たんですか?」

 

音楽室に顔を出すと、そこには新幹部の三人が居た。

 

「うん、覗きに来たからだけだから特に理由はないよ」

 

「そうですか」

 

「拓哉先輩聞いてください」

 

「おう…どした?」

 

「先輩方がノートを作った方が良いって言ったじゃないですか」

 

「その方がやりやすいだろうって思ったからね」

 

次の幹部を決めた際に、幹部ノートなるものを作ったらどうかと優子と夏紀、僕の三人で案を出した。そして、そのノートに書く上で簡単なルールを作った。

とは言っても読んでから書くとかだけど。

 

「今になっても守らないんですよ塚本」

 

「えぇ…」

 

「拓哉先輩、引かないでくださいよ」

 

「ルールは守ろうよ塚本君…」

 

「本当にそうですよね!」

 

「麗奈が荒れてる…」

 

「麗奈がここまで荒れてるの中々無いよなぁ…」

 

「こんな姿見せれるの先輩と2人だけです!」

 

心を許して貰っているというべきか…

 

「あっ!」

 

「うん?どうした久美子」

 

「先輩に渡したいものが…」

 

と言って久美子は鞄の中から袋を取り出す。

 

「今までのお礼という事で…」

 

「ありがとね。有難く貰っておくね。ホワイトデーお返しできるか分からないけど…」

 

「いいですって!お礼なので!」

 

と手を顔の前に持ってきて慌てる久美子。

そんな久美子に2人が聞こえない声で

 

当日は頑張りなよ

 

もちろんです

 

「先輩と久美子?何の話?」

 

「こっちの話だから気にしないで」

 

「うんうん」

 

僕の言葉に『うんうん』と言って頷く久美子。

そんな僕達を見てどうでもよくなったのか、麗奈も自分の鞄の中から袋を取り出して

 

「私もチョコあげます」

 

「ありがと。滝先生にはあげなくていいの?」

 

「先生には当日渡します」

 

「頑張って」

 

「もちろんです」

 

その後、クラの2年生や順菜ちゃんからチョコを貰って、気づけば大量のチョコを貰った。

 

 

-教室-

 

「随分と貰ったねぇ~流石拓哉君」

 

教室に戻ってくると、何人かのクラスメイトが登校していた。

そんな中、声をかけたきたのは友恵。

 

「おかげさまで」

 

「特に2年生の女の子から好かれたもんね拓哉君は」

 

「そんな事無いと思うんだけどな」

 

「特に井上さんとか高坂さんとか好きそうだったけど」

 

「順菜ちゃんは分かるけど…麗奈は滝先生でしょ…」

 

友恵とそんな話をしていると優子が登校してきてすぐさまこっちにやってきた。

 

「そんな事はないわ。高坂、ずっと拓哉の事を見てた。あれは狙ってる目だった」

 

「だよね!」

 

同じ担当だったからなのか、2人が通じ合っている。

てっきり麗奈は滝先生だと思っていたんだけどなぁ…

 

「でも、私が先に付き合ったから何も出来なくなったけどね」

 

「流石優子!」

 

僕を置いておいて勝手に盛り上がっている女子2人。

 

「そうだ。バレンタイン土曜日だから、私も今渡しておくね」

 

「ありがと」

 

「お返し待ってるから」

 

「お返しできるか分からないよ?」

 

「大丈夫。拓哉君の家に押しかけるから」

 

「やめてくれ…」

 

「それはいいとして…優子は明日渡すんでしょ?」

 

「当たり前じゃない!」

 

「楽しみに待ってるよ」

 

「楽しみに待ってなさいな」

 

 

 

-当日-

 

バレンタイン当日

 

「お兄ちゃん、あげる」

 

「ありがと、これあげるよ」

 

「いいの!?」

 

「うん」

 

さつきからチョコを貰う代わりに、さつきが好きなキーホルダーと髪留めをあげる。

 

「さつき良かったね」

 

「夏紀お姉ちゃんと一緒に頑張ったの!」

 

「そうだったのか。よく頑張りました」

 

「えへへ」

 

「っていう事で私からもあげる」

 

「夏紀もありがとね」

 

「いいって、その代わりお礼楽しみに待ってるから」

 

「最初からそれ狙いでしょ」

 

「うん」

 

はっきりとそう言った為。苦笑いするしかなかった。

そんな中、家のチャイムが鳴った。

 

「私が出るよ。多分優子だと思うし」

 

「了解、朝ごはんの準備しておくわ」

 

「うん、じゃお願い」

 

そう言って夏紀は玄関に、僕はキッチンへと向かった。

 

すぐさまして夏紀の予想通り、優子が入ってきた。

 

「寒かった…」

 

「今日は大雪だからねぇ…」

 

夏紀がそう言うのも、今日は記録的な大雪が降っていた。

その為、周りは銀色の世界になっていた。

 

「こんな中、学校に行きたくなかったから休みになって良かったよ~」

 

警報が出ていた為、学校は休みになったのである。

 

「なら私達の練習見る?」

 

「ううん、寒いから布団の中に入って寝る~」

 

「そっかー」

 

「本当にこの中歩いてくるの大変だったわ」

 

「それはご苦労さん」

 

「あっ!今から朝ごはん?」

 

「うん、食べる?」

 

「まだ何も食べて無かったから食べる」

 

「なんでまだ食べて無かったの…」

 

「バレンタインチョコを作ってたのよ。って事ではい」

 

と言って優子はかなり大きな箱を渡してきた。

 

「随分と大きな箱だね」

 

「色んな種類の味を作ってみたから、ここまで箱が大きくなっちゃった」

 

「ありがと~しっかりと味わって食べるね」

 

「お姉ちゃん達、早く食べようよ~お腹空いたよ~」

 

「よし、さっさと食べて練習するかー」

 

「先に寝かせてもらっていい?」

 

「仕方ないなぁ~」

 

こうしてバレンタインが過ぎて行った。

 

 

 

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