ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

74 / 118
合格と恋人

 

卒業まで2週間前のとある2月

みぞれの音大合格を受けて、みぞれのお祝い会を珈琲店で僕達は行っていた。

 

「合格おめでとう!」

 

「うん、ありがとう」

 

みぞれの前に置かれたジャンボフルーツパフェにみぞれは目を輝かせていた。

 

「でもいいの?」

 

「いいのいいの、僕のおごりなんだから。優子も勝手に頼んでるから気にしないで」

 

みぞれにそう言う。優子も優子で勝手にパフェを頼んでいる。もちろん僕の奢りで

 

「そうだよ、この中で一番心配してたの拓哉なんだから」

 

「言うなって」

 

「何恥ずかしかってるの?」

 

「最近、そういう事を言うようになった夏紀が本当に夏紀か疑いたくなるわ」

 

目の前で繰り広げられる2人のやり取りを目にしながらみぞれはパフェに手を出す。

 

「うん、美味しい」

 

「そりゃ良かった」

 

顔を笑顔にしながら食べるみぞれを見て、拓哉も笑顔になる。

 

「みぞれだけ大学が違うなんて、ちょっと寂しいなぁ」

 

「別々の大学に行くのって普通でしょ」

 

「まぁそりゃそうよな」

 

「むしろ四人が一緒の方がレアなんちゃう?」

 

「それは言えてるかも」

 

「家から近い方が良かったしなぁ」

 

「夏紀らしい、それなら拓哉と優子と一緒の所から通えばいいじゃん」

 

「はぁ!?なんで夏紀と一緒に暮らさないといけないのよ!」

 

「それはこっちのセリフ!」

 

「今でも一緒に居るんでしょ?拓哉の家で」

 

「毎日ではないけどね」

 

「毎日来てたらびっくりするわ」

 

優子と同棲するなら今からやっておけと言われたのが去年の9月。

それから半年近くが経っていた。

そんな中、優子が口を開く。

 

「みぞれに彼氏が出来たらどうしよう…」

 

そう言った瞬間、希美がむせた。

 

「大丈夫?」

 

「えらい急」

 

「そう?みぞれってモテそう」

 

「優子と違って?」

 

「はぁ?私はモテますけど。なんなら彼氏いるんですけどー」

 

「確かにあんたって黙ってたら可愛いからなぁ~拓哉が居なかったらどうなってた事やら…」

 

「黙ってたらって何よ!こう見えて告白された事あります〜」

 

優子が言う通り、南中の時には結構告白されているのを聞いた事があるなぁ…

全部断っていたみたいだけど

 

「でも断ってたじゃん」

 

「そりゃ…ね。部活が忙しかったし…」

 

「本当は?」

 

「拓哉が好きだってたから//…って何を言わすの!」

 

「あはは、すっかり拓哉に惹かれてるじゃん」

 

「うっさい!拓哉は私の事可愛いって思うわよね!」

 

思ってもいない飛び火である。

 

「もちろん、こうやって騒がしい優子も好きだよ」

 

僕がそう言ったら優子は顔を手で隠してしまった。

 

「あー恥ずかしい//」

 

「でも、みぞれがモテそうなのは分かる気がする」

 

「心配しなくても私は拓哉君と優子が結婚するまでは彼氏作らないから」

 

とみぞれがそう言った事で隣で顔を隠している優子が机にひれ伏してしまった。

 

「それは早く結婚しろって脅してるの?」

 

「ううん、2人はそのぐらいお似合いだから結婚するまでは、2人の事を見守りたいって思った」

 

「流石みぞれというべきか…」

 

「みぞれの将来は拓哉にかかってるんだから早く結婚しなよ」

 

「急かすな、というよりも後藤と長瀬さんの方が先に結婚すると思ってるんだけど」

 

「いや、あの二人より拓哉と優子の方が先に結婚すると思う」

 

「うんうん!だってベストパートナーでしょ」

 

夏紀の言葉に頷き、そう言ってくる希美。

 

「でも希美が高校で作らなかった事が信じられん」

 

「だってそれどころじゃないし、拓哉より良い人居なかったし」

 

「それもそっか」

 

「夏紀だってそうじゃん」

 

「私も希美と同じ理由だから」

 

優子がもう食べきれないって事で残したパフェを僕が食べつつみんなの会話を聞く。

 

「それは分かる!」

 

「それはない!」

 

「付き合った事も無い癖になんか言ってる」

 

「付き合おうと思ったらいつでも付き合えるし!」

 

「夏紀は本気出せば付き合えると思うよ」

 

「流石拓哉、分かってる」

 

幼馴染だからとか関係無しに、夏紀ほどの女の子に彼氏が居ないなんて信じられないからね。その内、出来ると思う。

 

「はぁ!?」

 

僕の言葉に納得する夏紀、そして納得しない優子。

すると、みぞれが夏紀と希美に爆弾を落とした。

 

「希美と夏紀は恋人が欲しいの?」

 

「逆にみぞれは欲しくないの?」

 

みぞれ「さっきも言ったけど、拓哉君と優子が結婚するまでは作らないし、2人を見てると私に恋人は想像できない」

 

『あー』

 

確かにみぞれが男子と一緒に歩いている想像が出来なくて、みぞれ以外の4人でそう声を出した。

 

「じゃ、デートに行きたい場所とかってある?」

 

「うん」

 

「どこ?」

 

「ここ」

 

希美の質問に鞄の中から取り出してきたのは遊園地のチラシだった。

 

「遊園地か、意外」

 

「確か、今イルミネーションやってるし」

 

「2月やから空いてるし」

 

「みぞれはなんで遊園地に行きたいの?」

 

「楽しそうだから」

 

「おおー素晴らしい理由じゃん。みぞれが言うなら明日にでも行こ」

 

「いいね!あっ…でも、明日は無理だ。明後日なら行けるけど」

 

「希美と同じく明後日なら僕も行けるよ」

 

そう言うとみぞれは目を輝かせる。

こんなみぞれは見たことがない。

 

「じゃ、明後日は遊園地に行くって事で!」

 

という優子の言葉に皆頷き予定が決まった。

 

 

野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順

  • 小笠原晴香
  • 中世古香織
  • 斎藤葵
  • 姫神琴子
  • 鳥塚ヒロネ
  • 吉川優子
  • 中川夏紀
  • 鎧塚みぞれ
  • 傘木希美
  • 加部友恵
  • 島りお
  • 黄前久美子
  • 高坂麗奈
  • 川島緑輝
  • 加藤葉月
  • 井上順菜
  • 堺万紗子
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。