ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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遊園地

 

-遊園地当日-

 

遊園地の開園時間に合わせて駅に集合した。

 

遊園地に着くや否、ピンクのコートに身を包んだ優子が自分のお腹を押さえそう言ってきたのである。

 

「お腹空いた~」

 

「早くない?」

 

思わず反射的にそう返した。

 

その一方で希美が「アトラクションかショーか散策か。どれ重視で行く?」

と随分と張り切っている。

 

「優子ってホラー、ダメやったっけ?」

 

「拓哉と一緒なら大丈夫ですけど」

 

「拓哉が居なかったらダメじゃん」

 

「そんな事無いし」

 

そんな二人のやりとりと希美の隣に立って眺める。

勝手にやり始めるので止めるのを諦めたのだ。

 

「みぞれは乗りたい物ある?」

 

「フリーフォール」

 

『えっ?』

 

みぞれから予想外の言葉に彼女以外は皆固まった。

 

「フリーフォールに乗りたい」

 

 

 

 

 

一体どうしてこうなった…

 

 

 

 

 

ぎゃああああ!!!!!!

 

「あははははは」

 

フリーフォールとは簡単に言えば、五十メートルの高さから一気に降下する絶叫マシン。

高所恐怖症の僕と優子が悲鳴を上げている一方で…希美は笑っていた…

 

なんでこうなった。

 

「フリーフォールに乗りたい」

 

みぞれがそう言った時

 

「あっ、高い所無理だから僕パスで」

 

と言って、近くのベンチに逃げようとした。

すると優子が猛スピードでやってきて

 

「私も頑張って乗るんだから拓哉も付き合って!」

 

と言われて乗ったのだが…やっぱり間違いだった…。

 

もう無理

 

「何回も乗ったらそうなるって…」

 

今にも消えそうな声で言う優子。一回で辞めた僕と違って何回も乗った優子は顔を青くしベンチに横たわる。

一緒になって乗っていた希美も乗り物酔いを起こし、優子程ではないが顔色が良くなかった。

 

「そりゃ、空いてるからって五回も続けて乗ったらそうなるって、拓哉みたいに一回で終わらないと」

 

「その原因を作った本人はケロッとしてるけど」

 

「もう乗らない?」

 

「僕は一回だけで充分…」

 

流石に何回も乗ってたらそれこそ死んでしまう。

みぞれは気に入った物は何度でも乗りたがる。無邪気なみぞれのお願いに付き合っていた優子もそろそろ限界が来たって所である。

 

「ま、2人は休んでおけば?みぞれの相手は私がしておくから」

 

「夏紀が?」

 

「無理しないの…」

 

顔を見上げて夏紀を見ようとする優子にそう言ってタオルを渡す。

 

2人(優子と希美)は僕が見ておくから、2人(夏紀とみぞれ)でもう一回行ってきなよ」

 

「うん分かった。みぞれもう一回乗る?」

 

僕の言葉を聞いて夏紀は頷き、みぞれにそう聞いた。

みぞれは意外な事に首を横に振った。

 

「次はこれがいい」

 

「フリーフォールでもいいんやで」

 

「夏紀と乗りたい」

 

「おおう」

 

夏紀はうろたえる声を出していた。

 

「言わんこっちゃない」

 

と優子が呟く。

続けて

 

「うっ、また吐き気が…」

 

「大人しくね」

 

「うぅ…」

 

まだ行こうとする優子をベットに横たわるようにしてそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-2人が去った後-

 

「大分良くなった?」

 

「おかげさまで」

 

「それは良かった」

 

夏紀とみぞれが2人でどこかに行ってからしばらくして優子の体調が回復した。

希美はとっくに回復しており、彼女もまたどこかの乗り物に乗りに行った

 

「こうして…みんなで遊べるって次いつだろう」

 

「僕達はまだしも、みぞれは音大だもんね」

 

「次は夏休み?くらい」

 

「それぐらいじゃないかな」

 

「一緒にまたこうして遊びたいわね」

 

「そうだね」

 

「2人で何してるの?」

 

「ちょっとした話」

 

「そうよ。というかお腹空いたんだけど」

 

「じゃ、何か買いに行くか」

 

「じゃ、あれ食べたい!」

 

 

 

希美に言われるがままチュロスを買って三人で食べていると、夏紀とみぞれが帰ってきた。

 

「みぞれ上機嫌やん」

 

「観覧車、楽しかった」

 

「みぞれがさ、夜にみんなで乗りたいって、六時からライトアップもあるしちょうどいいからって」

 

「ライトアップって言ってもさ…」

 

「頑張ってる方でしょ」

 

と言って優子のチュロスに手を出す夏紀。

 

「勝手に食べないでよ!」

 

と優子は文句を言っているが無視である。

 

「拓哉のは?」

 

「これ?シナモンだよ」

 

「それ一口頂戴」

 

「いいよ、はい」

 

夏紀が欲しいを言ってきたので僕のチュロスを渡す。

 

「うん、私はこっちがいいかな」

 

「だよね」

 

「苺だって美味しいわよ」

 

「時間が経ちすぎて油っぽいの」

 

僕達三人のやりとりを見たのか残された2人も

 

「みぞれも食べたい?」

 

と希美がみぞれに聞く。

みぞれは悩む素振りを見せるが首を横に振った。

 

「コーヒーカップとかどう?」

 

「いいんじゃない、その後お化け屋敷」

 

「温度差凄くない」

 

「まさか優子、怖いん?」

 

「はぁ?怖くないですけど」

 

「それじゃ、お化け屋敷で」

 

「最初から嫌とは言ってませーん」

 

と言いながら僕の腕を掴んでいる所は可愛いんだよなぁ

 

「みぞれもお化け屋敷行きたい?」

 

夏紀の問いにみぞれは頷く。

 

「でも、みぞれって中学の時に吹奏楽部の合宿で優勝してたよな、肝試し大会」

 

「あったなー」

 

「何その情報」

 

「そんなのあったんだ」

 

希美から初めて聞いたことに夏紀とそんな反応を返す。

 

「ベストタイムで、お化けに全然気づかなくてさ、優子なんて大騒ぎだったのに」

 

それは言うなぁー!

 

「うるさ…」

 

いや本当にうるさい。

 

「というか飲み物ない?さっきのチュロス甘すぎなんだけど」

 

「あんたが勝手に食べたんでしょうが」

 

「さっきまではあったんだけどね…買いに行かないとないわ」

 

「ならポップコーン食べたい」

 

「おおーみぞれが希望を言うなんて、今すぐ行こ」

 

「いいんじゃない?」

 

「じゃ、みぞれと優子と拓哉の三人がポップコーン組で、私達で飲み物組ね」

 

一旦、それぞれに分かれて、買いに行く。

 

「何にする?」

 

「バター醤油味で!」

 

「オッケー」

 

その後、買ったポップコーンをみぞれに渡し、嬉しそうに食べている彼女を見るととても嬉しくなった。

観覧車の中から見えたイルミネーションは、思い出に残るような気がした。

 

 

 

野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順

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