みんなで遊園地に行ってバレンタインも過ぎた2月半ば
本当に卒業という2文字が実感としてやってくる。
「向こうのマンションの契約も済んだし、僕は下旬には向こうに行くつもり」
「お兄ちゃん…本当に行くの?」
「やっぱり寂しい?」
「うん…」
拓哉は妹であるさつきと話をやっている中。拓哉の部屋では夏紀と優子がギターの練習をやっていた。
「それで私達のバンド名結局どうする訳?」
優子が夏紀に向けてそう聞くが夏紀は全くと言って聞いてなかった。
「ちょっと夏紀!聞いてる?」
「え?ごめん、考え事をしてた」
「はぁ…」
夏紀の反応に優子はため息をついた。
「拓哉は良いバンド名候補ある?」
ジュースとお菓子を持って部屋に戻ってきて早々、優子がそう問いをかけてきた。
僕は頭の中で思いついた言葉を言った。
「う~ん…なかよし川とか?」
「ダサい、それに拓哉関係無いじゃん」
「まぁダサいのは認めるわ…僕の案は消して考えよう」
咄嗟に出てきたのがそれだったんだから許して欲しい所である。
「コピーバンドにするなら、やっぱりもじるとかそっち系?」
「そうなると思う」
と言って夏紀はスマホで何かを検索し始めた。
「そういや希美が青い装飾あるか聞いてたよ」
「なんで?」
「本番の日にカフェの店内を飾るんだって。それでみぞれの家ってクリスマスの日にイルミネーションやるんだけど、凄すぎて没になった」
「どういう事?」
「店がルミナリエになるって」
「ルミナリエになるって…」
分からない人の為にルミナリエとは、毎年12月になると神戸市の旧居留地で行わる祭典の事。
阪神・淡路大震災の犠牲者へと鎮魂と都市の復興への願いを込めて平成7年から開催されている。
ルミナリエとは、イタリア語で「電飾」を意味し、光を用いた芸術的・祝祭的装飾のことで、期間中は街がきらびやかになる。
「みぞれの家はお金持ちやからなぁ…」
「なんとなく想像がつく」
「拓哉の家はそう言った事しないの?ピアノあるんだし」
「ピアノあるって言っても…そんなになぁ…物置小屋探せばあるかもだけど…」
「希美が言うにはクリスマスツリーのような感じで良いって」
「それならあるかもしれない、ちょっと探してくるわ」
「あっ、私も行く」
その後、偶々遊びに来ていた梨々花とさつきも集まって探すのだった。
出てきたのは出てきたのだが…
「付くか分からんなぁ…これ」
「最後に使ったのっていつだっけ?」
「さつきが中学入学した時くらい?」
「じゃ、3年前?」
「それぐらいかも」
「とりあえず持っていくだけ持っていったらいいんじゃない?」
と言う事で話はまとまった。
-バンド名-
川でトランペットを吹いていた時の事だった。
夏紀から電話がかかってきて
「バンド名決まったよ」
「おおー浮かんだのか。それでバンド名は?」
「拓哉がさ私の好きなバンド名弄ったらいいじゃんって言ってたでしょ?」
「うん言ったね」
「だからさ『さよならアントワープブルー』にした」
「ええやん、お洒落な感じで」
「優子も同じ事言ってた」
「じゃ決まりだね」
バンド名が決まってからは方向性は決まっていった。
「夏紀歌ってよ」
「まだ上手く出来ないんだって、歌いながらやるのは無理」
「言っておくけど…こっちも無理だから…」
曲によってキーボードに加えギターまでやることになった僕にボーカルは負担があまりにも大きすぎる。
「分かってるよ。拓哉には無理言ってギターやって貰ってる訳だし、ボーカルは2人でやるって決めたんだから」
「テンポ下げてやってもいい?」
「それぐらいお安い話だよ」
「もっと言ってくれていいわよ」
「助かるよ」
-バンド幕
「急に呼び出しとは…」
「暇だったでしょ」
「暇だったのは認めるけど…」
『午後一時に駅前に集合 それと汚れてもいい服装で』突然とグループトークに送られたそのメッセージを確認した僕は、駅前にやってきていた。
「みぞれ、そのセーターどうしたん?」
「汚れてもいい服があるかお母さんに聞いたら、これを出してくれた」
「なんでそんなものが…」
今まで見たことのないみぞれの恰好にびっくりしたのは皆一緒だったようで…
正直言うとダサかった。
「それでなんで呼び出したの」
「バンド帯作ろうと思って」
「そういやそんな事を言ってたわ」
「何も聞いてないんだけど…」
「そん時、拓哉居なかったし」
「さいですか…」
「じゃ、行きますか!」
と僕の背中を押す希美のリュックサックはやけに大きかった。
「持つの手伝おうか?」
「大丈夫」
「本当に?遠慮しなくていいのに」
「大丈夫やって、これぐらいへっちゃらだから」
これ以上何を言っても無駄なのは分かっているので僕はこれ以上何も言わなかった。
そのまま付いていくと人けのない堤防だった。
「これで幕を作るの?」
「そう」
希美が取り出したのは縦1メートル、横1.5メートルの布だった。
「そのペンキで塗っていく感じか」
「そう!アントワープブルー」
そう言って希美はペンキを開ける。
「匂いがないって事は水性?」
「流石、学年一の学力」
「いや…関係ないでしょ」
希美からそう褒められるが、学力とは違うでしょ…
そう思いツッコんだ。
「アントワープブルーってこんな色だったんだ」
希美「百円ショップで刷毛勝ってきたから、今から適当に塗っていきます」
と刷毛を渡される。
「かなり広いから時間かかりそう…」
「頑張るしかないでしょ」
「ただ塗るだけじゃん」
「そうは言ってもな…夏紀、試しに塗ってみて」
「うん」
夏紀は刷毛をペンキの中に入れて、布に塗っていく。
「おーいい感じの色」
希美がそう言うと、隣に居たみぞれが以外にも大胆に塗っていく。
「よし、優子は細かな所を塗っていって僕は大胆に塗っていくわ」
「はいはい」
そう言って布の上に乗ってまだ色が乗っていない所に色を塗っていく。
「…」
「どうかした?」
「…いやぁ、大胆に塗ってる割にみぞれの塗り跡綺麗だなって」
「ありがと」
大胆に塗りながらも丁寧にやっていく僕達、細かな所を塗っていく優子。
その中で
「あははは、夏紀、勢い余ってブルーシートまで塗ってるじゃん」
「ごめんって」
夏紀は勢い余ってブルーシートまで塗ってしまっていた。
「いくらなんでも勢いありすぎでしょ」
「うるさいよ」
そして、全部を塗り終えると
「ちょっと夏紀、ムラがありすぎ」
「そんなもん今更でしょ」
「逆にオシャレやって、塗り跡があった方がさ」
「希美はそうやってすぐに甘やかす」
「甘やかしてる訳じゃないって、どちみちペンキ使いきらないとあかんかったし、結局最後はベタベタ塗ることになっちゃうなって」
「それは一理ある」
なんて会話をやっている中で
「みぞれ。そこ塗りムラ凄いわ」
「うん」
「あの二人は凄いわね」
「あの二人は特別だもん」
「私達も残り頑張ろう」
一枚の布を全て塗るのに1時間ほどかかった。
「足の裏青くなってしまったわ…」
「塗る順番考えてからやれば良かった…」
今更後悔しても遅いけどと思いながら優子の足の裏に付いてペンチを丁寧に吹いていく。
「夜になる前の空みたい」
「海の底に似てる」
「夏紀がよく来てるでデニムってこんな色だったよね?」
「情緒がないな」
「みんなが言いたい事が良くわかるよ」
「とってもいい!気に入った」
しゃがみ込みながら優子がそう言った。
「頬にペンキが付いてるよ」
「えっ!?」
ペンキが付いた手で頬を触れた為、ペンキが優子の頬にくっ付いた。
綺麗なタオルを持ってきて優子の頬を拭く。
「これだけ見てると拓哉がお母さんみたい」
「誰がお母さんだ」
「思ったよりも早く出来たね」
「乾くまでどれだけの時間がかかることやら…」
「その為にピクニックの準備をしてきたんだから」
「そう言って何も持ってきてないでしょ」
「ばれたかー」
「僕が近くのスーパー行って何か買ってくるよ」
「1人だけじゃ大変でしょ。荷物持ちする人!」
夏紀がそう言って希望者を集うが、四人は1人として手を挙げない。
「いいって1人でも行ける距離だし」
「そうはいかないよ」
「じゃ、じゃんけんで決めようよ」
と希美の発案によってじゃんけんで決める事になった。
「くそぉ…負けた…」
「それじゃ、優子とみぞれ行ってらっしゃい」
こういう時って言いだしっぺが良く負けるのだが…希美は勝って、優子とみぞれが負けた。
夏紀と希美に手を振られる中、僕達は近くのスーパーまで出向くのだった。
野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順
-
小笠原晴香
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中世古香織
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斎藤葵
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姫神琴子
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鳥塚ヒロネ
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吉川優子
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中川夏紀
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鎧塚みぞれ
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傘木希美
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加部友恵
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島りお
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黄前久美子
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高坂麗奈
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川島緑輝
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加藤葉月
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井上順菜
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堺万紗子