「ほら、衣装配りにきたぞー」
「衣装配るから順番に取りに来てねー まずはパーカスから。堺さん」
サンライズフェスティバル 通称サンフェスでは、音楽イベントの一つとして府内各校の吹奏楽部によるパレードが恒例となっていて、その為の衣装配りを行っているわけだ。
何故か晴香先輩に頼まれてやる事になってしまった訳ではあるが
「滝野、取りに来いよ」
「悪い悪い」
「本当に悪いと思ってんのか」
「次、低音」
男子組と違って、数が多い女子組を配る晴香先輩は大変だがこればっかりは頑張ってもらうしかない。
ちなみに吹奏楽部ではマーチングと言って今回のように行進したり、フォーメーションを展開しながら演奏することもある。マーチングコンテストに力を注ぐ有名校にもなると、中には衣装にあこがれて高校を決める生徒も居るとかなんとか
「はい聞いて!今日の練習はグラウンドがあいているので外でやりまーす。試着終わったらジャージに着替えてグラウンド集合で!」
「じゃ音楽室は女子」
「それじゃ、男子は準備室ですかね?」
「うん、そうだね」
「分かりました。滝野行くぞー」
「ちょっと待てよ」
と慌てて追いかけてくる滝野を置いてさっさと準備室へ向かった。
*********
「先輩可愛い♪ まじエンジェル。後で写真いいですか?一緒に」
「いいけど、去年も撮った様な?」
「いいんです。何度でも」
音楽室に戻ると、吉川が香織先輩にいつものように絡んでた。
流石マドンナと言われるだけの事はある。本当に何着ても似合う。
「さすが香織、確かに似合う」
「もう、あすかのほうが全然格好いいよ」
「え?そうかな?」
「そうだよ。スタイルいいし美人だし。それに・・・」
僕から見たら先輩方はスタイル良いと思います。
「香織先輩、マジで可愛いよな」
背後から滝野がそう言ってくる。
はっきりとした証拠はないのだが、こやつは香織先輩の事を好きだと思っている。
「それは認める。何着ても似合ってるからね」
「本当?拓哉君に言われるとちょっと照れるね」
先ほどの会話を聞いていたのか、香織先輩が話しかけてきた。
そして照れている。
僕の隣では、滝野がそんな香織先輩を見て発狂している。
「あんた、香織先輩を口説くの辞めなさいよ!」
これまたどこから湧いたのか吉川が乱入してきた。
さっきから乱入する人多すぎやしませんか…
「褒めたのは認めるけど。口説いてはいないから!」
「ふ~ん、それなら私にも一言頂戴よ」
「吉川も滅茶苦茶可愛いぞ」
「なぁ!?あんた!こんな所でそんな事言わないでよ1」
褒めろと言ったのはそっちなのに責められるのはおかしくない?
女子の気持ちは本当に分からん。
「それより、グラウンドに行きましょう。あすか先輩に怒られますって」
ーグラウンドー
「はーい。いいですか?今日はまず楽器を持たずに練習をします。初心者の一年はステップ練習をしてください。他は全員行進の練習から始めます。足がそろってないとある意味演奏のミスより目立つので気合を入れていくように」
あすか先輩の言葉でさっきまでゆるゆるだった雰囲気も一気に引き締まる。
今から練習する行進は一歩62.5センチ、左足から歩き出し、一歩62.5センチというのは八歩でちょうど5メートル。演奏しながら下を見ないで常にこの歩幅で歩けるようにならないといけない。
「はい。それじゃあ五分休憩」
あすか先輩のその一言で僕は速攻で椅子に座る。
「拓哉って本当に足が早いよね。こないだのランニングもそうだけど」
椅子に座っていると、夏紀が声をかけてきた。
「しっかりと休むのも大事だから少しでも多く時間を確保する為だからね」
「拓哉ならそう言うと思った。隣座ってもいい?」
「大丈夫」
と言って夏紀は隣に座る。
そして、その隣に一年生2人が完全に疲れた状態でやってきた。
「ふあーーー やっと休めるよー」
「あーー 暑かったー」
「これ本番はもっと暑いよねー」
「勘弁して欲しいよー飲む?」
「ん? あー いー ありがとう。あれ?みどりちゃんは?」
「ん。なんか可愛いからガードやってって言われてたよ」
「ふーーーんガードかあ さすが聖女だねえ」
「あー、私なんて謎ステップもまだなのにい」
「北宇治高名物の?」
「謎って言うだけあって難しいんだよ。歩きながら、えとう、こうしてこう、こう、こう、こうで、こうか? あり? こうだっけ?」
お隣でなんでか有名になっている謎ステップの会話をしているようだ。
というよりもここまで近くに居るのに気づかれて居ないのはなんでだ。
「確かに謎だあ」
「でしょう? さっきあすか先輩に注意されたんだあ」
「あー謎ステップって本当に謎だよね。未だに僕も分からん」
「鈴木先輩!?夏紀先輩!こんにちは」
「確か…黄前さんと加藤さんだっけ?」
「そうです!」
「そんなに緊張しなくていいから」
とだけ言って目の前に居る二人をなんとか緊張から解放してあげようとする。
「所で鈴木先輩」
「うん、何?」
「あすか先輩ってさあ、部長より厳しくないですか?」
「そりゃあそうだよ。あすか先輩はドラムメジャーだからね」
「夏紀…そこはお前が答えるんかい…」
「あの、ドラムメジャーって何ですか?」
そうか加藤さんって初心者だったか…それなら知らなくても仕方ないか。
「隊列の先頭を歩いて指揮者の代わりになる人。ま、そのバンドの顔みたいなもんかな」
夏紀が説明してくれるんなら黙っておこう。
こういうの説明するのめんどくさいし。
「バンドの顔って部長じゃないんですね?」
「晴香先輩はメンタル弱いからなあ」
「晴香先輩ね。人前に出るとね…ダメなんだよね…」
「部長なのに?」
「まあね。ほんとはみんな、あすか先輩に部長になって欲しかったんだけど、あすか先輩はそういうのあんまり好きじゃないからさ。副部長もしぶしぶだったし」
「そうなんですか?」
「すごいリーダー体質って感じだけど、なんならそこに居る拓哉も二年生なのにパートリーダーになるくらいリーダー気質あるよ」
「でも、説明の時は別の人だったような…?」
「流石に3年生ばっかの中に入る勇気は無かったからね…後、そういうのってめんどくさいじゃん…だからやらなかったの」
「って言う割には、先輩達に強く言えるんだよ。だからこそなるべきだったと思うんだけどどう思う?黄前ちゃん!」
「えっと…」
「夏紀…後輩に嫌われるような言動は控えた方がいいぞ…」
「拓哉先輩って晴香先輩とよく話してますよね。それが理由だったりするんですか?」
「ここにいる理由になった人だからねぇ~その内詳しく話してあげるよ」
「そろそろ始めるよー」
というあすか先輩の言葉でこの会話で強制的に終了となった。
ヒロインは?
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小笠原晴香
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中世古香織
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鳥塚ヒロネ
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喜多村来南
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傘木希美
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加部友恵
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井上順菜
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剣崎梨々花