ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

87 / 118
京都府大会

オーディションからあっという間に、京都府大会の当日を迎えた。

 

「おはよ、拓哉」

 

「夏紀は本当に早いね」

 

「特にすることもないしね」

 

そのまま、僕はキッチンに立って、夏紀とさつきの分までの朝ごはんを用意して、三人で仲良く食べて一緒に家を出る。

 

いつもの待ち合わせ場所に行くと、既にみぞれと希美の姿があった。

みぞれが手を差し出してきたので、手を繋く。

 

「あれっ?優子は?」

 

「優子は遅れてくるんだってさ」

 

「よりによって大会の日に…」

 

その後、優子が全力で走ってきて、僕達に謝り、夏紀と言い合いになるまでがセットだった。

 

 

 

 

*****

 

学校に着き、部員みんながちょっとずつ揃って、楽器をトラックに詰め込みだしたタイミングで優子が声をあげた。

 

「みんな揃ってる?」

 

「大丈夫、みんないるよ」

 

「楽器とか譜面台は?」

 

「それもオッケー」

 

「オッケー、問題なしっと」

 

幹部三人で最終確認を行い、しかめっ面をしていた優子が

 

「あー眠い。バスの中で寝そう」

 

「もしかして待ち合わせ時間に遅れてきたのって寝れなかったから?」

 

「本当にごめん!私も寝坊するとは思ってなかった」

 

「あれあれー昨日、朝起こしてって言ってきたのは誰でしたっけ?」

 

この二人がまたやり始めそうだったので、静かに去ろうとしたのだが…

 

「どこ行こうとしてるのよ」

 

「そうだよ。私達が言い合い始めた時に止める係がどこか行ったらだめでしょ」

 

夏紀と優子に肩を掴まれて、引き留められる。

いや…分かってるなら言い合いまで行かなければいいのにと思うんだけど…

 

 

 

*****

 

「コンクール前から疲れた…」

 

「拓哉、お疲れ様」

 

「みぞれ…ありがとう。その言葉だけでも助かるよ」

 

バスの車内に入ると、先に窓際に座っていたみぞれに声を掛けられて、隣の席に座る。

僕が席に座ると、隣のみぞれが手をスッと差し出してきたので握ると、みぞれがニコッと笑った。

 

「みぞれの笑顔で本当に人を助けてると思うわ本当に」

 

「ええ//」

 

移動中、僕とみぞれは手をずっと握っていた。

 

 

-京都府大会会場-

 

会場に着くと、寝て元気になった優子が指示を飛ばしていた。

 

「あれ北宇治?」

 

「やっぱりオーラーあるなぁ~」

 

「あそこの二人、北宇治といえばのオーボエ二人組だよ」

 

何か僕達の事を見てる人達がいるなぁ…そんなに有名人なの僕達って…

立華からの人達からも見られてる気がするし

 

「私達、有名人?」

 

「分からないけど…周りの人達を見るとそうみたいだね」

 

周りからの視線によく分からない感情を覚えていると

 

「そうね。はーい、北宇治移動しまーす!」

 

優子のよく通る声で部員達みんなが一斉に移動を始める。正直言って助かった感はある。

会場の中に入り、音出しを行う。

 

「今日も良いリード」

 

「うん、お互いに頑張ろうねみぞれ」

 

「うん」

 

みぞれとそう会話をしていると、滝先生が手を叩き、自身に注目をさせるようにする。

 

「はい、遂にこの日がやってきましたね、私が北宇治高校吹奏楽部の顧問としてこの場に立つのは、これで二度目になります。課題曲、自由曲が決まって以降、皆さんは今日までずっと努力してきました。楽譜を配られた時に比べて、演奏の完成度もどんどんと高くなりました。私は、皆さんとならさらに高いクオリティーの音楽を作り上げられると考えています。次の演奏の機会に繋げられるよう、全力を尽くしましょう!」

 

『はい!』

 

滝先生と入れ替わる形で今度は優子がみんなの前に立って、話を始めた。

 

「みんな、お腹壊してない?体調は大丈夫?昨日はよく寝れた?」

 

優子の言葉にあちこちから笑い声が聞こえてきた。

 

「今日、こうしてメンバーが揃っている事を嬉しく思います。怪我も病気も無かった。当たり前に思えて、これって凄く大事な事だと思います。なんせ、自分達のベストで挑めるって事だから。私は、このメンバーやれば怖い物なんてないって知ってる。いつも通りの力を出せば、絶対に次に進めると信じてます。心配する事なんてひとつもない。十二分間の舞台。本気で楽しんで行きましょう!」

 

『はい!』

 

 

「では、いつのやつやります__北宇治ファイトー!」

 

『おー!』

 

 

「北宇治高校の皆さん、お時間です」

 

係員の人が呼びに来て、みんなでステージに向かって歩き出し、演奏をした。

 

 

******

 

会場の外に出て、発表を今か今かと他校の子達と混ざって待っていた。

 

「この瞬間はいつも特別な感じがするよね」

 

「うん。私も特別を感じてる」

 

「そっか」

 

すると、係員が紙面を持って出てきた。

 

「いよいよだね」

 

「うん」

 

そして、大きな紙面が広がる。

北宇治高校は、37番目、上から探すよりも下から見た方が早かった。

 

「やったね」

 

「うん」

 

僕達はグータッチを交わして、喜びを感じる。

そんな僕達と違って、優子と夏紀は

 

「まぁ、私は絶対に関西に行けるって信じてたけど」

 

「絶対に嘘でしょ!内心ビビッてた癖に!」

 

「いいえ、全く。部長としてみんなを信じてたから」

 

「何良い事を言ってるの、人格者アピール?」

 

「もともとですこういう性格なんですぅー」

 

といった感じでいつもの奴をやり始めたけど…あれはほっといて大丈夫だろう

僕達は関西大会へと駒を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

_三十七番 京都府立北宇治高等学校 金賞 京都府代表_

野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順

  • 小笠原晴香
  • 中世古香織
  • 斎藤葵
  • 姫神琴子
  • 鳥塚ヒロネ
  • 吉川優子
  • 中川夏紀
  • 鎧塚みぞれ
  • 傘木希美
  • 加部友恵
  • 島りお
  • 黄前久美子
  • 高坂麗奈
  • 川島緑輝
  • 加藤葉月
  • 井上順菜
  • 堺万紗子
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。