ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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合宿一日目

三日間の休みを終えてやってくるのは、合宿。

今年も橋本先生、新山先生がやってきた。

 

「みんな~ お盆はしっかり休んだかい? はしもっちゃんですよ~ いや~ 今年は 海外での仕事が多くて なかなか来られなくてごめんね~」

 

「はしもっちや 英語しゃべれるんですか?」

 

「アイ ウィル ビー バック」

 

「長話はやめてくださいね」

 

「う~ん 滝くんの意地悪」

 

橋本先生は変わってなかった。

一年会ってなかったけど、一年で変わってたらどうしようと思っていたけど心配する必要は無かった。

 

「新山です 今年も合宿 頑張りましょう よろしくお願いします」

 

新山先生が挨拶を終えると、早速だけど全体での練習が始まる。

 

「サクソフォン ベートーベンのB メゾピアノです」

 

『はい』

 

「トランペット ナショナルのN ラストのテヌート 気を抜かないように」

 

『はい!』

 

「ビブラフォン今使ってるのはミディアムソフト?」

 

「いえ 一番ソフトです」

 

「ミディアムソフトにして 焼き加減はミディアムレアですよ 全然面白くないな」

 

「ユーフォ キングのK 音もらえますか?」

 

『はい』

 

こうして、練習の一日が過ぎて行って、あっという間に夜になっていた。

 

「今日はコロッケか」

 

「先輩方、新山先生っていつもあんな感じだったんですか?」

 

パート毎に分かれて、食事の最中。駿河ちゃんがそんな事を聞かれた。

 

「まぁね。こんな感じだよねみぞれ」

 

「うん」

 

『そんなぁ~』

 

練習中、かなり指摘をされて駿河ちゃん、えるちゃんがそう声をあげた。

 

「まぁまぁ…上手くなるために必要だから、お互いに頑張ろう」

 

「ですね」

 

 

 

 

 

*******

 

「待った?」

 

「うん、拓哉の事を待ってた」

 

就寝時間を過ぎて、みぞれにあの場所に来てと呼ばれて僕は呼ばれた場所にやってきた。

 

「この時間にここに居るって去年みたいだね」

 

「うん、去年とは違って、拓哉は彼氏」

 

「本当だね。色々と一年あったよね」

 

「うん」

 

そんな話をしていると、みぞれは自分のスマホに視線を落とし、音無し音ゲーを始めた。

本当に音無しで出来るの凄いよね。

 

「みぞれ、拓哉先輩、どうしてここに?」

 

「今年も来ると思った」

 

「私がですか?」

 

どうやらみぞれは久美子がやってくると思ってたらしい。

去年と違って、今年は麗奈が居る。

 

「うん、そう」

 

「どうぞ」

 

みぞれがそう言って、反対側に座る二人

そして、座った麗奈が口を開けた。

 

「あの、先輩達って同じ音大に進学予定なんですよね」

 

「うん」

 

「そうだね」

 

「レッスンとかどうしてるんですか?」

 

「僕達は、昔からの知り合いの先生の所で教えて貰ってる」

 

「うん、拓哉から教えて貰った先生にレッスン受けてる」

 

「そうなんですね」

 

僕達の返事に久美子はそう返してきた。

 

「じゃあ、先輩方レッスンで大変なんじゃないですか?」

 

「別に普通」

 

「うん、昔からこんな環境でやってきたからね。そういえば麗奈って音大だっけ?」

 

「はい、国内か海外か…どうするか悩んでますけど」

 

「麗奈なら海外でもやっていけそうな気がする」

 

「ありがとうございます、拓哉先輩も海外でやっていけそうな感じがします」

 

「麗奈に言われると嬉しいね」

 

そう言うと、僕の手がつままれた感触がした。

 

「だめ。拓哉は私のそばに居るの」

 

「みぞれ…心配しなくても海外に行かないから」

 

「ふふっ、みぞれ先輩も拓哉先輩もお互いに愛されてるね」

 

「うん、なんだかあーいう関係って憧れるよね」

 

「あっ」

 

すると、みぞれが何かを思い出したかように声を出した。

 

「どうしました?先輩」

 

「ううん、今度のオープンキャンパス、みんなで行かない?誰でも行っていいって」

 

みぞれがそう言うけど、目の前の二人はキョトンとしていた。

 

「そういえば、僕達が志望してる大学って滝先生の母校_「行きます」

 

麗奈がすぐさま反応してきた。

 

「そうなんだ知らなかった」

 

「私は希美先輩から聞いたんですけど、みぞれ先輩は聞かなかったんですか?」

 

「うん、拓哉と希美が行くなら、それでいいから」

 

「みぞれ…神子先生の母校なのは知ってるでしょ?」

 

「うん」

 

「それは知ってたんだ…」

 

「うん、神子先生から教えて貰ったから」

 

何故知ってるのかと思ったけど、神子先生の事だから言ったんだろうなぁ。

 

「なるほど…」

 

「希美先輩ってレッスンとかどうされてるんですか?」

 

「楽団に入ってた頃は知ってるけど…今は知らないなぁ、みぞれは知ってる?」

 

「ううん、知らない」

 

「でも…最近の希美見てたら、音大に行くとは限らないよね」

 

僕がそう言うと、みぞれの目が大きく開いた。

 

「…考えた事無かった」

 

「マジですか」

 

「どうしよう、希美が落ちたら」

 

「自分が落ちるって可能性を考えないんですね」

 

「…本当だ」

 

「みぞれらしい」

 

「みぞれ先輩って意外と自身家ですよね」

 

「それと前々から思ってたんですけど、みぞれ先輩、希美先輩と相性悪くないですか?」

 

おや…何やら不穏な空気が…

 

「れ、麗奈さん?いきなり何を?」

 

久美子がそう言う。

 

「自由曲のソロ、ずっと合わないままですよね。あれって、みぞれ先輩と希美先輩の息が合わないのが原因なんじゃないですか」

 

あーなるほど、これは外から見ないと分からない視点か

 

「麗奈…そういうのは言わない方が…」

 

「どうして?」

 

「でも、言わないといけない事もある」

 

「なんか 先輩の今の音 すごく窮屈そうに聞こえるんです わざと ブレーキかけてるみたいな たぶん 希美先輩が自分に 合わせてくれると思ってないから」

 

「違う…」

 

「すみません…そんな顔させたかった わけじゃないんです でも 私は 先輩の本気の音が 聴きたいんです」

 

「…知ってる」

 

麗奈の言葉にみぞれはそれだけ返した。

何か思たい空気がのしかかってる。

 

「せ、先輩、ここはこう、仲良くなる意味も兼ねて、あれとかしませんか。あの、ほら、大好きのハグってやつ」

 

「何それ」

 

久美子がハグの話をすると、麗奈がそう返した。

 

「あ、あれなんだって。今、一年生の間で流行ってるの、ハグして、相手の好きな所を言い合うってゲーム。良い演奏は良い人間関係からっていうので最初から始まったんだって」

 

「知ってる、それ、南中の」

 

久美子の言葉にみぞれが遮った。

 

「へぇ、あのハグってそういうのがきっかけだったんだ」

 

「そうですよね、拓哉先輩、南中ですけど、吹部では無かったですもんね」

 

「うん」

 

「私はそれ嫌い」

 

「そ、そうなんですか」

 

「うん、誰ともやらなかったから…希美とも」

 

みぞれはそれだけ言って、静かに立ち上がった。

 

「おやすみ。拓哉行こ」

 

「えっ、うん」

 

みぞれに連れられるがまま、僕はみぞれに付いて行った。

野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順

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  • 中世古香織
  • 斎藤葵
  • 姫神琴子
  • 鳥塚ヒロネ
  • 吉川優子
  • 中川夏紀
  • 鎧塚みぞれ
  • 傘木希美
  • 加部友恵
  • 島りお
  • 黄前久美子
  • 高坂麗奈
  • 川島緑輝
  • 加藤葉月
  • 井上順菜
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