ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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10/25日修正


合宿三日目

 

合宿三日目…朝早くから目が覚めた僕は、広場までやってきていた。

特に何もすることはないけど…そんな中、ここに歩いてくる音が聞こえてきた。

 

 

「拓哉先輩…おはようございます~」

 

 

やってきたのは久美子だった。

 

 

「久美子…おはよう。随分と朝早いね。久美子は朝練習?」

 

 

「そんな所です…」

 

 

そう言って、久美子は僕の隣に座って演奏を始めた。

 

 

「…いい曲」

 

 

そんな声が聞こえて、振りむくとそこにはみぞれが立っていた。

 

 

「おはよう」

 

 

「おはようございます」

 

 

「おはようみぞれ」

 

 

みぞれが挨拶をしてきたので、僕と久美子は挨拶を交わした。

 

 

「…朝練習?」

 

 

「そんな所です、昨日は早く寝ちゃったので、その分早く起きちゃって」

 

 

「私も。だから散歩」

 

 

そう言ってみぞれは、久美子と僕の間に強引に入ってきて、僕の手を握ってきた。

 

 

「拓哉は私のだから…」

 

 

「別に取りませんって…」

 

 

「…ならいい」

 

 

久美子からそう返事が返ってきて、みぞれはそう返した。

 

 

「所で先輩方は吹かないんですか?」

 

 

「オーボエは外で吹けない。割れちゃうから」

 

 

「そうなんだよね…」

 

 

「それじゃ、本当に散歩するだけのためにここに?」

 

 

「そう」

 

 

「散歩好きなんですか?」

 

 

「べつに、ただ、なんとなく」

 

 

みぞれはそう言って、僕の事を見る。

 

 

「後、拓哉が居ると思ったから」

 

 

と言ったみぞれに久美子はそうですかとだけ返した。

 

 

「所で先輩達…昨日スイカ割参加してなかったですよね?」

 

 

「眠くて」

 

 

「みぞれを部屋まで連れて行ってたからね僕は」

 

 

「ああ…そういう事なんですね。確かに合宿って体力使いますもんね。みぞれ先輩はソロの指導が多くて大変なんじゃないですか?」

 

 

「全然、足りてないのは私のせい」

 

 

「そんな事ないよ。先生達がそれぐらいみぞれに期待してる事だよみぞれ」

 

 

「ですです。拓哉先輩の言ってる通りですって!先輩に期待してるからこそ、どんどん要求が高くなってるだと思いますよ」

 

 

「期待…」

 

 

すると、みぞれは口を開いた。

 

 

「二人に聞きたいんだけど…」

 

 

「何ですか?」

 

 

「なんでも聞いて」

 

 

「誰かにこうあって欲しいって思う事は期待?」

 

 

みぞれの問いに、久美子は「だと、個人的に思う」と返した。

 

 

「拓哉は?」

 

 

「う~ん…みぞれがどう思ってるのか分からないけど…このタイミングでその質問するって事は希美の事?」

 

 

僕がそう言うと、久美子の表情が変わったのが分かった。

 

 

「私が希美に期待してるって事になるのかなって」

 

 

「みぞれは希美に何かして欲しい事があるって事?」

 

 

「うん、ある」

 

 

「それって何?」

 

 

「拓哉と一緒で私とずっと一緒に居て欲しい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*******

 

 

「みぞれ、ソロの事なんだけどさ」

 

 

「うん、

 

 

「もしかしてだけど…ずっとリズに自分を重ねようとしてない?」

 

 

「なんで分かるの?」

 

 

「やっぱりかぁ…」

 

 

いつだったか、希美が『リズと青い鳥』ってさ私とみぞれに何か似てるなって思ってたみぞれがリズで、希美が青い鳥と言ってた事を思いだした。それが原因だと決めつけてはいなかったが、どうやら原因の一つだったみたい

 

 

「ふと思ったんだけどね。リズの気持ちで悩んでるならさ、一回リズの視点じゃなくて…青い鳥の視点でやってみるのはどうかなって」

 

 

「えっと…」

 

 

「まぁ…そういうのは新山先生に聞いた方がいいんじゃないかな…こんな事を言っておいてなんだけどさ…」

 

 

僕がそう言うと、みぞれは僕の手を掴む。

 

 

「…みぞれ…?」

 

 

「拓哉が話を続けて」

 

 

「…分かった…そんなに出来るとは思えないけど…先に言っておくけど、分かりにくかったら先にごめんね」

 

 

「青い鳥はあの日、突然リズに別れを告げられた。昨日まで2人で幸せに暮らしていたのにね」

 

 

「いきなり別れって事?」

 

 

「そういう事。でも青い鳥はリズの言葉を受け入れたんだよね。別れたくはないはずなのに、それでも彼女は二人で暮らした家から飛び立っていく_『どうして青い鳥はリズの言葉を受け入れたのかしら?鎧塚さんは、どう思う?』

 

 

僕がみぞれに話をしていると、新山先生が口を挟んできた。

 

 

「それは…」

 

 

「リズが…リズがそういったから受け入れた、リズの選択を青い鳥は止められないだって青い鳥は、リズのことが大好きだから。悲しくても飛び立つしかない」

 

 

「青い鳥は不幸だった?」

 

 

「分からない。でもリズに幸せになってほしいって思ってる。それだけはきっと本当。それが青い鳥の愛の在り方。飛び立つしかない」

 

 

「良い表情じゃんみぞれ」

 

 

「そうね、今のイメージで、一度ソロを吹いてみましょう。鎧塚さんなら、きっと自分なりの音楽を作れるはずよ。あなたにそれだけの力があるって、私は知ってる」

 

 

「でも、希美と息が合うか、分からない」

 

 

「みぞれ。橋本先生も言ってたけど、ここはオーボエがメインだよ。他の音は気にしなくていい所。みぞれのやりたいようにすればいいの」

 

 

「そうね、鈴木君の言う通り、今の鎧塚さんに必要なのは、自分の全力を知る事よ。調整なんて後ですればいいんだから」

 

 

「…はい」

 

 

そして演奏を始めたみぞれの音を聞いて、もうこれで大丈夫だなと確信した。

 

 

「では、全体入れ因習を始めましょうまず始めに…」

 

 

「すみません第3楽章通しでやってもいいですか?」

 

 

「いいでしょう」

 

 

みぞれの発言を呑んでくれた滝先生。

これでみんながびっくりしてくれる事だろう。

 

 

そして、僕と新山先生が聞いた演奏をそのままするみぞれ。

その演奏は圧巻だった。

 

 

「すごいです先輩」

 

 

「圧倒されました」

 

 

「自分の演奏に集中できなくなっちゃいました」

 

 

「みぞれ本当にすごかった!」

 

 

みんなから声をかけられるみぞれ

 

 

「希美…?」

 

 

「みぞれ。行っておいで。希美と話をしてきたら?」

 

 

「…うん、行ってくる」

 

 

そう言って、みぞれは希美の後を追いかけていった。

 

 

 

****

 

二人の事を追いかけると、二人は丁度話をしている所だった。

 

 

「希美」

 

 

「みぞれ…」

 

 

「希美…?泣いてるの?」

 

 

「ううん」

 

 

「大丈夫?」

 

 

「みぞれさ、今まで手加減してたんだね」

 

 

「えっ?」

 

 

「私のレベルに合わせてたから、今まで全力が出せなかったんだ」

 

 

「違…」

 

 

「私 バカだね~ みぞれに頑張って~とか言って、みぞれが本気出せないの、私の実力が 足りてないだけだったわ」

 

 

「違う」

 

 

「新山先生に、音大薦められたの。みぞれと拓哉の二人だけだもんね。分かってたけど…二人とも昔っからうまいもん。ズルいよみぞれは、ホントズルい…」

 

 

希美……そんな事を思っていたのか…

 

 

「私さ、特にみぞれに負けたくなくて、なんか同等になれるかなって思って、同じ音大行くって言った。私、才能ないからさ、みぞれみたいにすごくないから、音大行くって言ってれば、それなりに見えるかなって思って」

 

 

「希美」

 

 

「私…みぞれみたいに、すごくないから、私普通の人だから」

 

 

「違う」

 

 

「みぞれはさ、これからきっと広い世界に出ていくんだよね。「リズと青い鳥」は、何とかみぞれの演奏に見合うように頑張るよ」

 

 

「希美…」

 

 

「みぞれのソロを支えられるように」

 

 

「聞いて!」

 

 

「希美はいつも勝手、1年生の時だって勝手に辞めた。私に黙って」

 

 

「昔の事でしょ」

 

 

「昔じゃない。私にとってはずっと今。私はずっと希美を追いかけてきた。希美に見放されたくなくて楽器も続けてきた。私の一番はずっと希美、希美と一緒にいたいから、オーボエも頑張った。希美といられれば何だっていい」

 

 

「そんな大げさなこと言わないで…」

 

 

「大げさじゃない、全部ホント」

 

 

「ズルいよ…」

 

 

「希美が、私の全部なの」

 

 

「私、みぞれが思っているような人間じゃないよ。むしろ軽蔑されるべき」

 

 

「希美は私の特別。希美にとって何でもなくても、私には全部…全部特別…!」

 

 

「ん~何でそんなにいってくれるのか分かんな…」

 

 

大好きのハグのポーズをとるみぞれ

 

 

「どうしたの?」

 

 

「大好きのハグ」

 

 

希美にだきつくみぞれ

 

 

「私、希美がいなかったら何もなかった。楽器だってやってない。希美が声をかけてくれて、友達になってくれて、優しくしてくれてうれしかった」

 

 

「ごめん。それよく覚えていないんだよ…」

 

 

「みんなを引っ張って、いつも楽しそうで、すごいなって思ってる」

 

 

「みぞれは、努力家だよ」

 

 

「希美の笑い声が好き。希美の話し方が好き。希美の足音が好き。希美の髪が好き。希美の… 希美の全部」

 

 

「みぞれのオーボエが好き」

 

 

みぞれと希美を見届けて僕はみんなの所へと戻った。

こうして、合宿の3日間は過ぎていった。

 

 

 




原作だと久美子なんですけど、混ぜてるので希美ちゃんにしてます。
まぁ気にしないでください。

野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順

  • 小笠原晴香
  • 中世古香織
  • 斎藤葵
  • 姫神琴子
  • 鳥塚ヒロネ
  • 吉川優子
  • 中川夏紀
  • 鎧塚みぞれ
  • 傘木希美
  • 加部友恵
  • 島りお
  • 黄前久美子
  • 高坂麗奈
  • 川島緑輝
  • 加藤葉月
  • 井上順菜
  • 堺万紗子
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