合宿三日目…朝早くから目が覚めた僕は、広場までやってきていた。
特に何もすることはないけど…そんな中、ここに歩いてくる音が聞こえてきた。
「拓哉先輩…おはようございます~」
やってきたのは久美子だった。
「久美子…おはよう。随分と朝早いね。久美子は朝練習?」
「そんな所です…」
そう言って、久美子は僕の隣に座って演奏を始めた。
「…いい曲」
そんな声が聞こえて、振りむくとそこにはみぞれが立っていた。
「おはよう」
「おはようございます」
「おはようみぞれ」
みぞれが挨拶をしてきたので、僕と久美子は挨拶を交わした。
「…朝練習?」
「そんな所です、昨日は早く寝ちゃったので、その分早く起きちゃって」
「私も。だから散歩」
そう言ってみぞれは、久美子と僕の間に強引に入ってきて、僕の手を握ってきた。
「拓哉は私のだから…」
「別に取りませんって…」
「…ならいい」
久美子からそう返事が返ってきて、みぞれはそう返した。
「所で先輩方は吹かないんですか?」
「オーボエは外で吹けない。割れちゃうから」
「そうなんだよね…」
「それじゃ、本当に散歩するだけのためにここに?」
「そう」
「散歩好きなんですか?」
「べつに、ただ、なんとなく」
みぞれはそう言って、僕の事を見る。
「後、拓哉が居ると思ったから」
と言ったみぞれに久美子はそうですかとだけ返した。
「所で先輩達…昨日スイカ割参加してなかったですよね?」
「眠くて」
「みぞれを部屋まで連れて行ってたからね僕は」
「ああ…そういう事なんですね。確かに合宿って体力使いますもんね。みぞれ先輩はソロの指導が多くて大変なんじゃないですか?」
「全然、足りてないのは私のせい」
「そんな事ないよ。先生達がそれぐらいみぞれに期待してる事だよみぞれ」
「ですです。拓哉先輩の言ってる通りですって!先輩に期待してるからこそ、どんどん要求が高くなってるだと思いますよ」
「期待…」
すると、みぞれは口を開いた。
「二人に聞きたいんだけど…」
「何ですか?」
「なんでも聞いて」
「誰かにこうあって欲しいって思う事は期待?」
みぞれの問いに、久美子は「だと、個人的に思う」と返した。
「拓哉は?」
「う~ん…みぞれがどう思ってるのか分からないけど…このタイミングでその質問するって事は希美の事?」
僕がそう言うと、久美子の表情が変わったのが分かった。
「私が希美に期待してるって事になるのかなって」
「みぞれは希美に何かして欲しい事があるって事?」
「うん、ある」
「それって何?」
「拓哉と一緒で私とずっと一緒に居て欲しい」
*******
「みぞれ、ソロの事なんだけどさ」
「うん、
「もしかしてだけど…ずっとリズに自分を重ねようとしてない?」
「なんで分かるの?」
「やっぱりかぁ…」
いつだったか、希美が『リズと青い鳥』ってさ私とみぞれに何か似てるなって思ってたみぞれがリズで、希美が青い鳥と言ってた事を思いだした。それが原因だと決めつけてはいなかったが、どうやら原因の一つだったみたい
「ふと思ったんだけどね。リズの気持ちで悩んでるならさ、一回リズの視点じゃなくて…青い鳥の視点でやってみるのはどうかなって」
「えっと…」
「まぁ…そういうのは新山先生に聞いた方がいいんじゃないかな…こんな事を言っておいてなんだけどさ…」
僕がそう言うと、みぞれは僕の手を掴む。
「…みぞれ…?」
「拓哉が話を続けて」
「…分かった…そんなに出来るとは思えないけど…先に言っておくけど、分かりにくかったら先にごめんね」
「青い鳥はあの日、突然リズに別れを告げられた。昨日まで2人で幸せに暮らしていたのにね」
「いきなり別れって事?」
「そういう事。でも青い鳥はリズの言葉を受け入れたんだよね。別れたくはないはずなのに、それでも彼女は二人で暮らした家から飛び立っていく_『どうして青い鳥はリズの言葉を受け入れたのかしら?鎧塚さんは、どう思う?』
僕がみぞれに話をしていると、新山先生が口を挟んできた。
「それは…」
「リズが…リズがそういったから受け入れた、リズの選択を青い鳥は止められないだって青い鳥は、リズのことが大好きだから。悲しくても飛び立つしかない」
「青い鳥は不幸だった?」
「分からない。でもリズに幸せになってほしいって思ってる。それだけはきっと本当。それが青い鳥の愛の在り方。飛び立つしかない」
「良い表情じゃんみぞれ」
「そうね、今のイメージで、一度ソロを吹いてみましょう。鎧塚さんなら、きっと自分なりの音楽を作れるはずよ。あなたにそれだけの力があるって、私は知ってる」
「でも、希美と息が合うか、分からない」
「みぞれ。橋本先生も言ってたけど、ここはオーボエがメインだよ。他の音は気にしなくていい所。みぞれのやりたいようにすればいいの」
「そうね、鈴木君の言う通り、今の鎧塚さんに必要なのは、自分の全力を知る事よ。調整なんて後ですればいいんだから」
「…はい」
そして演奏を始めたみぞれの音を聞いて、もうこれで大丈夫だなと確信した。
「では、全体入れ因習を始めましょうまず始めに…」
「すみません第3楽章通しでやってもいいですか?」
「いいでしょう」
みぞれの発言を呑んでくれた滝先生。
これでみんながびっくりしてくれる事だろう。
そして、僕と新山先生が聞いた演奏をそのままするみぞれ。
その演奏は圧巻だった。
「すごいです先輩」
「圧倒されました」
「自分の演奏に集中できなくなっちゃいました」
「みぞれ本当にすごかった!」
みんなから声をかけられるみぞれ
「希美…?」
「みぞれ。行っておいで。希美と話をしてきたら?」
「…うん、行ってくる」
そう言って、みぞれは希美の後を追いかけていった。
****
二人の事を追いかけると、二人は丁度話をしている所だった。
「希美」
「みぞれ…」
「希美…?泣いてるの?」
「ううん」
「大丈夫?」
「みぞれさ、今まで手加減してたんだね」
「えっ?」
「私のレベルに合わせてたから、今まで全力が出せなかったんだ」
「違…」
「私 バカだね~ みぞれに頑張って~とか言って、みぞれが本気出せないの、私の実力が 足りてないだけだったわ」
「違う」
「新山先生に、音大薦められたの。みぞれと拓哉の二人だけだもんね。分かってたけど…二人とも昔っからうまいもん。ズルいよみぞれは、ホントズルい…」
希美……そんな事を思っていたのか…
「私さ、特にみぞれに負けたくなくて、なんか同等になれるかなって思って、同じ音大行くって言った。私、才能ないからさ、みぞれみたいにすごくないから、音大行くって言ってれば、それなりに見えるかなって思って」
「希美」
「私…みぞれみたいに、すごくないから、私普通の人だから」
「違う」
「みぞれはさ、これからきっと広い世界に出ていくんだよね。「リズと青い鳥」は、何とかみぞれの演奏に見合うように頑張るよ」
「希美…」
「みぞれのソロを支えられるように」
「聞いて!」
「希美はいつも勝手、1年生の時だって勝手に辞めた。私に黙って」
「昔の事でしょ」
「昔じゃない。私にとってはずっと今。私はずっと希美を追いかけてきた。希美に見放されたくなくて楽器も続けてきた。私の一番はずっと希美、希美と一緒にいたいから、オーボエも頑張った。希美といられれば何だっていい」
「そんな大げさなこと言わないで…」
「大げさじゃない、全部ホント」
「ズルいよ…」
「希美が、私の全部なの」
「私、みぞれが思っているような人間じゃないよ。むしろ軽蔑されるべき」
「希美は私の特別。希美にとって何でもなくても、私には全部…全部特別…!」
「ん~何でそんなにいってくれるのか分かんな…」
大好きのハグのポーズをとるみぞれ
「どうしたの?」
「大好きのハグ」
希美にだきつくみぞれ
「私、希美がいなかったら何もなかった。楽器だってやってない。希美が声をかけてくれて、友達になってくれて、優しくしてくれてうれしかった」
「ごめん。それよく覚えていないんだよ…」
「みんなを引っ張って、いつも楽しそうで、すごいなって思ってる」
「みぞれは、努力家だよ」
「希美の笑い声が好き。希美の話し方が好き。希美の足音が好き。希美の髪が好き。希美の… 希美の全部」
「みぞれのオーボエが好き」
みぞれと希美を見届けて僕はみんなの所へと戻った。
こうして、合宿の3日間は過ぎていった。
原作だと久美子なんですけど、混ぜてるので希美ちゃんにしてます。
まぁ気にしないでください。
野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順
-
小笠原晴香
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中世古香織
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斎藤葵
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姫神琴子
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鳥塚ヒロネ
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吉川優子
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中川夏紀
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鎧塚みぞれ
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傘木希美
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加部友恵
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島りお
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黄前久美子
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高坂麗奈
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川島緑輝
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加藤葉月
-
井上順菜
-
堺万紗子