ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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10/25日修正


関西大会

ついにやってきた関西大会当日

 

 

「北宇治~!そろそろ入りま~す。移動中、迷子にならないように!」

 

 

会場に着き、待機していると優子の声が辺りに響く。

 

 

「あ~いたいた!」

 

 

移動を始めようとした時、晴香先輩、香織先輩がやってきた。

 

 

「香織先輩~マジエンジェ~ル!」

 

 

香織先輩の姿を見て、部長としての彼女ではなく…去年まで何回も見た優子の姿。

僕らは慣れているが、こんな姿を見ていない一年生の部員達は、彼女の豹変に驚いていた。

 

 

「久しぶり」

 

 

「あんたは部長の仕事があるでしょ」

 

 

「分かってるわよ」

 

 

優子と違い、夏紀はしっかりとしていた。副部長としてしっかりと仕事果たしていた。

僕も副部長だけど。補佐みたいな感じでやってきたから、夏紀の方が副部長としては正しいのかも。

それに、低音の所にはあすか先輩も来ていた。応援は多い方が嬉しいからね。

 

 

「先輩「北宇治ファイト~!」って言ってください」

 

 

「えっ 私?」

 

 

優子が晴香先輩にそう言うと、晴香先輩は困惑していた。

 

 

「北宇治ファイト~!ほらいくよ」

 

 

これもまた伝統なのか…あすか先輩が晴香先輩の言葉を奪った。

そして、晴香先輩を連れていく。これも見慣れた光景だったことを思い出す。

 

 

「ああ…え…私のセリフ~…」

 

 

「あっちょっとあすか~!」

 

 

「あれちょっと晴香と似てなかった?「北宇治ファイト~!」

 

 

断末魔のように言う晴香先輩、そして自画自賛のあすか先輩。

変わっているようで変わってないね先輩達も

 

 

 

 

 

-リハーサル室-

 

何回かの音出しを行い、滝先生が手を叩き、音出しを止める。

 

 

「では部長」

 

 

「はい」

 

 

滝の隣に立つ優子

 

 

「はい注目~!」

 

 

「してるって」

 

 

夏紀がそう言うと、部員達から笑い声が聞こえてくる。

 

 

「去年の冬から部長になって いろんなことがありました 1年生 2年生 3年生 それぞれ大変なこともあったと思います、でも みんなで支えあって 最高の形でここまで来られたと思っています それと夏紀と拓哉」

 

 

「はあ?」

 

 

優子から名指しで呼ばれた僕と夏紀。

 

 

「ありがとう」

 

 

お辞儀をする優子

 

 

「ああ…なんで今なの…」

 

 

照れる夏紀

 

 

「こっちこそありがとう」

 

 

僕が席を立って優子と全く同じことを優子に返した。

 

 

「本当にありがとう、この最高のメンバーで 私はずっと演奏していたい これで終わりになんかしたくない 全員で全国行こう!」

 

 

『はいっ!』

 

 

舞台裏で待機する僕達

 

 

「黄前ちゃん、私は本当にラッキーな人間だと思う。去年今年と、ここまでこられて…」

 

 

「そうだね、僕も同じく幸せここまで来れると思ってなかったからね」

 

 

「夏紀先輩、拓哉先輩…」

 

 

「絶対行こう、全国へ」

 

 

『はい!』

 

 

そして、前の学校の演奏を聴いていると、夏紀は呼ばれてどこかに行ってしまったが、奏が久美子に問いかけていた。

 

 

「1つだけ聞いていいですか?」

 

 

「何?」

 

 

「先輩は…ずっとそんなに熱心に、ユーフォを吹いてきたんですか?毎日毎日、そんな真剣に…」

 

 

「まさか」

 

 

「吹き始めたのは小学生の頃だけど、惰性だったり何となくだったり… 真剣になったのは高校からかも」

 

 

「それはどうして…」

 

 

「中学最後のコンクールの時ね。私泣けなかったんだ。ダメ金でよかったってホッとしてた。でもその時、隣で大泣きしてた子がいたの。もう周りが引いちゃうくらい悔しいって泣いてて…うちのトランペットのエースなんだけどね」

 

 

「えっ…」

 

 

振り替えって麗奈を見る奏ちゃん

 

 

「北宇治行くよ~」

 

 

「よし、行くか久美子、奏」

 

 

『はい』

 

 

二人にそう言って、僕はみぞれの隣まですぐに戻ってステージに向かっていく。

そして、演奏を始めた。

 

 

全国への切符を掴むために

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

「15番 京都府代表 北宇治高等学校 ゴールド金賞」

 

 

司会からそう言われて、部員達から安堵の声が聞こえてくる。

ステージ上では優子と夏紀がグータッチを交わしていた。

夏紀が一番ホッとしてると思う。足を引っ張ってはいけないと負い目を感じていたようだったし…

 

 

「続きましてきたる10月に行われる全国大会に出場する3団体を発表します」

 

 

さっきの発表はあくまで前座に過ぎない。

本番はこっち。ここで選ばれなければ、僕らの部活はここで終わる。

 

 

「1校目3番大阪府代表 明静工科高等学校」

 

 

流石は強豪校。しっかりと入ってくる辺り、抜かりはなかった。

 

 

「2校目8番大阪府代表 秀塔大学付属高等学校」

 

 

去年は、僕ら北宇治が出場した事で、ここ関西で終わってしまったが。今年はしっかりと立て直してきた。流石強豪校だった。

 

 

そして、残す席はただ一つ。

選ばれていない高校に大阪東照だっている。

結果は果たして____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「3校目22番京都府代表 龍聖学園高等部」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ…」

 

 

現実とは…いかに無情な物なんだろうか…

落ち込む僕らとは違い、龍聖の生徒達から歓声が沸き起こっていた。

大阪東照か…僕ら北宇治か。そんな事を思っていたけど。ダークホースが居た。

僕達北宇治高校は、関西大会で金賞を取る事は出来たが、次の舞台までは行けなかった。

 

 

気付けば、僕達は会場の外までやってきた。

希美があんまりにも泣いていたから、希美をみぞれと二人で慰めるのが大変だった。

 

 

全国に行けなかった事で、落胆する部員達、

そんな中、この空気を壊す声が聞こえてきた。

 

 

「ちょっとちょっと。何この空気、お通夜じゃないんだから。何落ち込んでんの?」

 

 

みんなの前に立ち、話し始める優子

 

 

「私たちは今日最高の演奏をした!それは事実でしょ?これまで私たちを支えてくれた部員のみんな、先生たちや保護者の皆さんのためにも、胸を張って帰らなきゃ! 確かに全国には行けなかった。でも落ち込む必要はない。私たちはあの瞬間最高の演奏をした! そしてこの経験は絶対に明日に繋がる。来年に繋がる 1年間、部長をやった私が断言するよ。北宇治はもっと良くなる! もっともっと強くなる! だから顔を上げて!」

 

 

優子の言葉を聞いて、もなかのみんなが拍手を送っていた。

 

 

「今日という日は、来年のコンクールに向けての1日目!明日からの練習頑張っていきましょう!」

 

 

『はい!』

 

 

僕の最後の年は、関西で終わった。

 

 

 

 

野球×ユーフォ ヒロイン 3年生順

  • 小笠原晴香
  • 中世古香織
  • 斎藤葵
  • 姫神琴子
  • 鳥塚ヒロネ
  • 吉川優子
  • 中川夏紀
  • 鎧塚みぞれ
  • 傘木希美
  • 加部友恵
  • 島りお
  • 黄前久美子
  • 高坂麗奈
  • 川島緑輝
  • 加藤葉月
  • 井上順菜
  • 堺万紗子
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