ダブルリードの苦労人   作:桜紅月音

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合格と遊園地

 

『二人とも音大合格おめでとうー!』

 

「ありがとう三人とも」

 

「ありがと」

 

クリスマスパーティーから時が流れるのは早い物で二月半ば。僕達はカフェに居た。

 

「二人とも春から音大生かぁ」

 

「神子先生のレッスンの効果が出たわね」

 

「そうだね、神子さん滅茶苦茶きつい練習をさせてきたからねあの人…」

 

あー思い出したくもないくらいの練習の日々を思い出して頭が痛い…

 

「忘れ物とかしないか心配になるわ」

 

「そこは拓哉が居るから大丈夫でしょ」

 

「それもそっか、春からは拓哉の負担が増えるって訳だ」

 

夏紀は笑いながら言う。

笑いごとではない気がするが…彼女の為に頑張るのは彼氏の役目なのでそこは…うん、その時の自分に頑張って貰おう。

 

「先生達もみぞれの事心配してたよ」

 

「今までずっと一緒だったから、大学が違うのちょっと寂しいなぁ」

 

「別々の大学に行くのなんて普通でしょ」

 

「まぁそれもそっか」

 

「むしろ三人で同じ大学に行ってる方がレアだと思う」

 

「家から近い所が良かったし」

 

「夏紀らしいな。合理的というかなんというか」

 

「じゃあ希美はなんであの大学選んだんさ」

 

「学力と通学時間の兼ね合い」

 

「似たようなもんじゃん」

 

希美の理由は、言葉の違いはあれど夏紀と変わってなかった。

 

「希美って大学でも続けるんでしょ?」

 

「そのつもり」

 

「逆に夏紀は続けないんだ」

 

「無理無理。拓哉の生活見てたら私には出来ない」

 

「そんなきついスケジュールじゃないと思うんだけどなぁ…」

 

「レッスン行って、楽団行くとか考えられないわ」

 

「そう考えると拓哉はやっぱり凄いわね」

 

「ま、高校で燃え尽きる子は多いし、特に二人は一年間滅茶苦茶頑張ってたし、いい部長といい副部長やった」

 

「いい部長やってさ」

 

夏紀はそう言って優子を小突いていた。

 

「で、三人は大学行って何かしたいとかある?」

 

「えっ?」

 

「拓哉からそんな話題を振られると思ってなかった」

 

「そう?ん…じゃあ、恋愛とかどう」

 

「それは私達に喧嘩を売ってるって事でいい?」

 

「そういう訳じゃないよ。ほら、部活が忙しくてそれどころじゃなかったでしょ?だから、恋愛もするのかなって思って」

 

「それなら、私はモテるから大丈夫よ」

 

「確かにあんたは黙ってたら可愛いからなぁ」

 

僕からの問いに優子は胸を張って答えて、それに夏紀がすぐさま返事を返した。

 

「黙ってたら何よ!二十四時間可愛いでしょうが」

 

「はいはい」

 

「確かに拓哉の言う通り、大学行ったら恋愛したいかも」

 

「希美は彼氏欲しいの?」

 

希美がボソッと呟いたのを聞いて、みぞれがすぐさま聞き返していた。

 

「まぁ…みぞれと拓哉の関係を見てたらいいなぁって思って」

 

「希美の場合はすぐに彼氏出来そう」

 

「うん、優子と違って」

 

「はぁ!?付き合おうと思ったらいつでも付き合えるし!」

 

「そう言いながら拓哉に告白できなかったのは誰よ。それに性格がアレだし」

 

「ぐっ…」

 

優子は夏紀に居たい所を突かれて、何も言えなくなっていた。

 

「みんなは彼氏欲しいの?」

 

「うーん」

 

「拓哉みたいな人が居たらだけど…」

 

「そう簡単には居ないよね…」

 

みぞれの問いに、夏紀は悩んで、優子と希美はそう返した。

 

「みんなは彼氏が出来たらデートで行きたい所ってある?」

 

すると、みぞれは鞄をゴソゴソとあさって中から紙を出してきた。

 

「どうしたのみぞれ」

 

「ここに行きたい」

 

「ん?」

 

「遊園地か、意外」

 

「拓哉と行った事ないの?」

 

「水族館ならある」

 

「今の時期なら空いてると思うし、行けない事は無いと思うけど」

 

「拓哉の言う通りだし、どうする?」

 

「というかみぞれはなんで行きたいの?」

 

「楽しそうだから、後みんなで行きたい」

 

「おお、いいじゃん!みぞれがそう言うならすぐ行こう!明日にでも」

 

「張り切りすぎ」

 

みぞれからの理由を聞いて、優子が暴走気味になった。

そんな優子を夏紀が一旦落ち着かせた。

 

「明日は予定あるから無理だけど、明後日なら大丈夫」

 

「嬉しい」

 

「それじゃ、明後日五人で遊園地に行きますか」

 

『うん!』

 

 

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