Q•原作に出てるエルフで1番胸が大きいのはだーれだ。
A•クラフト
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えぇと昨日はなにを書いたんだっけ…………あぁ、そうだ。シュラハトと友人になったんだったな。正確に言えばギブアンドテイクの関係だが、まぁ友達でいいや。
シュラハトはこの村を訪ねてきた客人だ。ゼーリエぶりだな。
彼は私に一つ提案をしてきた。どうも、私の仇となる男が彼の目的に邪魔らしい。だから私に知恵と魔力を提供してくれるとか。胡散臭いにも程がないか?
しかし彼の使うらしい魔法がなんとも厄介というか何というか。どうにも『未来を見る魔法』を使えるらしい。おかしい、胡散臭さが増したぞ?
まぁ、一応の検証は済んでいる。未来視も全て嘘というわけではない。あとで契約でも結んでもらうか。どこかの本にそれっぽいことが書いてあったはず。
しかし未来視か。データとしては非常に嬉しいのだが、如何んせん不明瞭な部分が多すぎる。今の私ではどう理論付けして解明すれば良いのかさっぱり分からんな。
仇討ちも全知も、道のりはまだまだ長い。ゆっくり行こう。
追記
シュラハトについての情報
見た目は人間換算で二十代の男で痩身。結構美形。
?月?日
無事契約を結ぶことができた。
魔導書を探すのに数時間はかけたぞクソが。家一つ丸ごと書庫にしたのは失敗だった気がしなくもない。
シュラハトが私に課した契約の不可解さは些か気になるが……まぁ、どうせシュラハトが何をしようが私には止められないのだ。存分に頼らせてもらおう。
?月?日
数十年ぶりの魔法実験だった。大満足!!
結果は別記するとして、やはり魔法は私の知る科学では測れない。質量は保存されず、慣性が働かず、スカラー量は常に変移する。
魔法によって作られた炎に雨が降ろうが変わらず燃え続けた。宙に浮かぶ水球を松明で炙ろうが沸騰しない。だが同じ魔法や魔道具ならそれらの状態に変化を及ぼせる。なんと表現すれば良いのか……魔力は自然法則より優先度が高い、という感じがする。私の稚拙な言葉による表現だが。
あぁ、そうだ。天候を変えるのは流石に無理だった。『天候を変える魔道具』起動の最中にシュラハトがぶっ倒れた。必要魔力が膨大すぎるとの事でな、現状は起動不可だ。非常に残念。
私の作る魔道具が前世の物理学や科学を基礎として設計される以上、大それた出来事を起こすにはそれ相応の準備が必要になる。ほんの少しの時間と魔力で地震を起こすことはできない。ままならないな。
?月?日
残っていた家屋の一つが経年劣化で崩れ落ちた。使っていない家だったのは幸いだが、飛び散った木材を放置すると後々絶対に面倒になる。片付けないといけない。
せっかく実験と考察に時間を使えると思ったのに……え、ゴーレム?なにそれシュラハト。
?月?日
いやはや、ゴーレムというのは素晴らしいな!!実に!!
知識はともかく経験は素人同然のエルフ一人しか残っていない現状による圧倒的な人手不足。前世のような機械などなく、エルフの低燃費性をフルに生かして日々の生活をなんとか繋いでいた。これまでは。
その難題の大多数が目の前に座る男のおかげで解決した!
生活のちまちました作業から畑の管理まで打ち込んだ命令はなんでも聞いてくれる。身体はそこら辺の木や土塊からシュラハトが作ってくれるし。いつか私も作れるようになってみたいものだな。無理か。魔力が使えん。
しかし私は村の生活で一度も見た事がない。そこでなんで村の人々は使わなかったんだと考えてみたので私なりの結論を書き残しておこう。
まず前提として、エルフは人間に比べて非常に低燃費だ。
食事もあまり必要とせず、食べずとも胃が弱らない。睡眠も同様。エルフには飲まず食わずでもある程度長時間活動できる身体が備わっていて、種族全体を通し生きる為のコストが小さい。(個人差や趣味嗜好に左右されたりするし、数十日も不食を貫けば流石のエルフも餓死しかけるらしいがな。実体験である。いいデータが取れた)
エルフの生活というのは大体がロールプレイに過ぎない。村という団体の中で野菜を育て、獣を狩り、のんびりと日々を過ごす。本来であれば必要のないそれらを、この村の人たちは長く続けていた。
つまりエルフにとって衣食住の多くは、娯楽で単なる暇つぶし。文化の発展は本来必要性によって花開くものだが、エルフの文化は手慰みによって形作られたらしい。
結論として
だが前者だった場合、村の人たちは酔狂だったのだなとか思ってしまった…………うん、思い出してしまった。あークソ、わざわざ考えなければ良かったか?最悪な気分だ。
?月?日
シュラハトが料理を作ってくれた。
私の維持できる最小限の小さな畑や、周りの山から採ったものを使った薄緑色のスープ。前世なら……ミント風味のそら豆ポタージュとか言うのだろうか。シュラハトの腕が良いのか実に美味い。
人の手料理なんて何十年ぶりだろうか……少しだけ気分が良くなった。
?月?日
よし研究を再開しよう。
天候を変えるのは現状不可能だ。しかし私はどうにも天候を操りたい。
何故なら天候は科学の届かない最も分かりやすい一つだ。前世の科学技術であろうが予測が精一杯。天候の予言、まして選択なんてものは不可能だった。
足がかりとして前世にある技術の再現を目指した。使う道具として『レーザーを放つ魔道具』を作ってみた。
この魔道具を使い、空気中に雷の通り道であるプラズマを発生させる事で誘雷を可能とする。既に研究論文として成果が示されていた、立派に実現可能な技術だ。
しかも魔法に言わせれば、レーザーとて単なる指向性のついたエネルギーの収束帯だ。魔術式だけで簡潔に表せる。そして魔法は自然現象より優先度が高いため、長距離照射によるエネルギーのロスが極端に少ない。良い事ずくめじゃないか。
天候が荒れる日を待ち、そして実験は成功した。魔導具めがけて落雷が起きた。よし。
?月?日
ゴーレムやシュラハトのおかげで時間と魔力を十二分に使える。魔法の有用性もある程度確認できた。次はあの魔物を倒すための武器でも作ろうか。それとも別のことをしようか。
あぁ全く、出来ることが多いというのは幸せな事だ。
『契約を結ぶ魔法』
対象間で契約を結ぶ事ができる魔法。自分1人で発動することもできる。誓った内容を破った場合、契約前に締結した罰が自動で下される。元は女神教に入信を誓うための古い魔法だったりする、多分。
ヘルズからシュラハトへの要望
『仇討ちの為に力を貸せ』
シュラハトからヘルズへの要望
『歴史に名を残すな』
今回の罰
『四肢の無作為な一つが弾け飛ぶ』