僕がキャプテン・ジョンの宝だ   作:Mr.♟️

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海賊女帝

 

拝啓 ろくでもないクソ親父へ

 

世界一の絶世の美女から抱きつかれた場合、僕は海賊としてどうすればいいのでしょうか。昔の自慢話よりも、こういう僕に役立つ情報教えるべきだったんじゃねぇの。クソが。誰がこんな状況想像できるかよ。

 

「──一生わらわの傍にいるのじゃ」

 

「─────どうしてこうなった」

 

誰が悪いかと問われれば、きっと悪いのは僕だ。いや、違う。僕じゃない。海軍が悪い。

 


 

「は?造船の依頼が出来てない?ってか、海軍多すぎないか?」

 

今まで何してたんだ。別に観光してもいいけど、最低限僕が頼んだことはやってくれ。しかも、海兵が至る所にいてうざいし、なんなんだよ。

 

「海軍が海賊女帝が天竜人の奴隷から逃げ出した疑いがあるから確認させろって騒いでやがる。海賊女帝はそれを拒否。結果が今の睨み合いだ」

 

「海賊女帝がウォーターセブンにいる理由と、造船の依頼ができてない理由は?」

 

流石王下七武海。海軍から情報収集できるのは便利だな。

 

「用件までは知らんが、海賊女帝はお前に会いにきたんだとよ。依頼できてねぇのは、造船所のトップが海賊女帝の野次馬をして石にされたからだ」

 

「.......バカなんじゃねぇの?」

 

造船所のトップが迂闊すぎんだろ。関わりたくねぇが、かといって、依頼先を妥協するわけにはいかねぇ。

 

メロメロの実の石化を解けるのは能力者本人だけ。めんどくせぇ。会いに行かないとダメじゃねぇか。なんの用事だよ、関わりなんてないぞ。

 

「会いに行くのか?」

 

「そうするしかないからな。ウタと鷹の目は?」

 

しらほしは疲れて寝てる。移動は全部しらほし任せだったから、本当に助かった。ゆっくり休んでくれ。

 

「観光しに行ってる。あいつら、ここに来てから観光しかしてねぇぞ」

 

「どんまい」

 

真面目な人間に仕事が振られるのは仕方ないだろ。本当にクロコダイルが仲間になってくれて助かってる。

 

「仕方ねぇから、王下七武海クロコダイルの遣いってことにするか」

 

じゃねぇと、海軍に攻撃されるし。王下七武海が仲間にいると便利で助かる助かる。

 

「フンッ、石にされるなんざマヌケな真似はすんじゃねぇぞ」

 

「適当に海賊女帝の話を聞いて、ウォーターセブンから出て行かせるだけだぞ。戦うわけじゃないんだから、石にされねぇよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーらら、やっぱりいるよなぁ。不遜王リオ」

 

「僕は王下七武海のクロコダイルの遣いとして来てるんだが。邪魔すんじゃねぇ」

 

大将青キジ。わざわざ大将が出張ってくるなんて、随分と海軍は暇なんだな。どうでもいいからそこどけよ。お前ら海軍が九蛇海賊団を包囲してたら、僕が入れねぇじゃねぇか。

 

「それがそういうわけにもいかねーのよ。今回の件は、聖地からの直接指示だからな。王下七武海であっても、ここから先の介入はさせられねぇよ」

 

思ったより面倒くさそうなんだが。なんなんだ、本当に面倒事の匂いしかしない。ここで海軍を蹴散らすことはできなくもない。だが、その場合本部から援軍が来ることになる。ゼファーあたりが来るとめんどくせぇ。

 

僕はここを穏便に海軍に道を開けさせて、海賊女帝との話しに対して適当に共感と相槌をうって、なんとか造船所のトップ──アイスバーグの石化を解いてもらうようお願いしないといけない。

 

おいおいおい、なんの罰ゲームだ。東の海から戻ってきたばっかりだぞ。しらほしと同じように僕だって休みたいんだが。

 

いや、違う違う。怒るな怒るな。穏便に行こう。穏便に。天竜人から指示されてるから王下七武海の権力だと不足してる──それなら、同じ天竜人から命令させればいい。

 

「やる気か?」

 

誰がんなこと言ったよ。沼の中から──シャボンティ諸島で攫った天竜人を吐き出す。

 

「こいつらに命令しろ。僕の邪魔をするなって。あ?ああ、勘違いするなよ?僕はこの天竜人に保護を頼まれたから保護してやっただけだ」

 

ひと月に1回は真っ暗闇の沼から出して食事も取らせてやった。僕の沼の中に閉じ込めておけば食事も必要ないのに。ヌマに閉じ込めてからは暴力なんて野蛮な行為もしてない。

 

天竜人が普段奴隷にしていることを考えれば、僕は聖人みたいな対応しかしてない。最も、1ヶ月を暗闇で過ごして──光とともに僕に食事を施される。

 

そんな生活を続けた天竜人が、どうなるかは言うまでもない。

 

『──道を開けるんだえ!この方の邪魔をすることを禁じるえ!』

 

笑える話だ。

 

自分を幽閉している元凶である僕に対して、今やこの男は、無償の救済を与えてくれる唯一の善人であるとすら錯覚している。

 

「ってわけだ。どけよ、海軍」

 

如何に大将であろうとも、目の前の天竜人の指示に逆らうことはできない。包囲網を解いて、天竜人を保護している。勿体ない気もしなくはないが、あと3人いるから問題ない。

 


 

ああ、スムーズだった。船に通してもらえたし、船長室にも通してくれた。まあ、そっちから僕を訪ねてるんだから通すのが当たり前ではあるんだが、船長室に入るまでは問題なかった。

 

「わらわは何をしようとも許される──わらわが美しいから!!」

 

「そうだな、許される」

 

まあ、確かに今まであったきた人間の中で郡を抜く美しさだと思う。その見上げてるのか見下ろしてるのか分からんポーズでさえ、様になってるんだからな。その美しさは疑いようがない。

 

だから、さっさと僕に会おうとしていた理由と、造船所のトップの石化を解いてくれ。

 

「──弁えておるようじゃな」

 

「ああ。そっちの話を聞いてやるから、僕の頼み事も聞いてくれねぇか?」

 

「断る」

 

「あ?お互いにメリットのある話だろ?まさか、そっちの話だけ聞けって言うのか?」

 

流石にそんなふざけたことは言わないだろ。

 

「当然じゃ」

 

「.....こっちは、わざわざ海軍に囲まれているお前に会いに来てやったんだが。舐めてんのか?」

 

「わらわの話が終わってから、お主の頼みとやらを聞くかは考えてやろう」

 

「それじゃあ困る。僕の頼み事は絶対に聞いてもらいたい」

 

舐めてんな。お前がアイスバーグを石化してなかったら、今ここでぶっ倒してたぞ。クソが。

 

「お主は天竜人に対して随分と好戦的なようじゃが、何か理由はあるのか?」

 

「──ねぇよ。海賊だから好きなようにやってる。天竜人がやってることはムカつくから潰す。海賊にそれ以上の理由を求めるのか?」

 

最初はウタのやつがぶん殴れとか言ったのが始まりではあったが、どの道天竜人──世界政府とは敵対してただろうよ。

 

「本当にそれだけの理由なのか?」

 

「ああ」

 

なんだ、その疑っているような視線は。僕たち以外の海賊が腑抜けすぎてるだけだろ。天竜人なんかにビビる理由はない。あ、バスターコールがあるか。

 

「──そうか。もうよい、下がれ」

 

「下がんねぇよ。僕の頼み事を話してねぇ」

「断る。これで満足か?」

 

──我慢だ我慢。1番の船大工に頼まないと、今後の航路に支障が出る。船はマジで大事だから妥協できねぇ

 

「海軍がお前を奴隷かどうか確認するために、焼印が身体に押されてないか見るだろうな。こんだけ面倒なことになってるのに一切海軍の要求に応じないのは──つまり、そういうことだろ」

 

もし他に肌を見せたくない理由があったとしても、天竜人の命令とあっては海軍は引かない。結局肌を見せることになるか、海軍と戦うかのどちらかだ。

 

答えは火を見るより明らかだ。

 

「無礼者!」

海賊女帝ボア・ハンコックが僕に敵意を向けてきている。話は最後まで聞けよ。交渉のアプローチを変えただけなんだからよ。

 

「僕ならそれを消してやることができる」

 

「──なんじゃと....?」

 

この反応で確定。ボア・ハンコックは元奴隷だ。まあ、だからといってどうということはない。僕の交渉が上手くいきそうなだけだ。精神的に追い詰められてるのか、反応が引き出しやすい。

 

「信用出来ねぇなら、誰か怪我人を連れてこい。だが、もしお前の身体から焼印を消せたら──僕の頼み事を聞いてもらうぞ」

 

焼印なら30分~1時間くらい泥風呂に入れておけば消えるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──夢、みたいじゃ。わらわの身体から....忌まわしい蹄が消えた」

 

「さて、これで僕の頼み事を」

「──妹たちの身体からも、消してはくれぬか....?もし、叶えてくれるのであれば、そなたの頼み事が何であろうと、わらわの全てを賭けて受けると約束しよう」

 

さっきまでの高慢な態度はどこへ行った。一変して縋り付くような、殊勝な態度に拍子抜けする。

 

「....まあ、別にいいけどよ」

 

どっちが本性かわかんねぇ。

 

 

 

 

「不愉快ではあるが、海軍の元へ行ってくる。その間....その、大人しく待ってるのじゃぞ?」

 

「当たり前だろ」

 

まだ頼み事してねぇ。このまま帰るわけないだろ。

 

「──はうっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、戻ってきた。早いな。10分もしてないぞ。おい、なんで満面の笑みで僕の方に走ってきてるんだ。

 

 

そのままハンコックは──僕に飛びついて抱きついてきた。

 

 

「──一生わらわの傍にいるのじゃ」

 

「─────どうしてこうなった」

 

誰が悪いかと問われれば、きっと悪いのは僕だ。いや、違う。僕じゃない。海軍が悪い。

 

奴隷の焼印は重たい。他者に知られることがあれば、蔑みの対象になる。意識的にも無意識的にも。消すことができない呪いみたいなもんだ。

 

でも、僕はそれを跡形もなく消した。この反応も理解できる。理解できるんだが──ハッ、違う。色欲に惑わされるところだった。

 

「一旦離れろ。僕の頼み事は、お前が石にした連中を元に戻すことだ」

 

「なんじゃ。そのようなことで良いのか」

 

ああ、だからさっさと戻してくれ。

 


 

ハンコック

 

 

【挿絵表示】

 

 

 




ウタ「私の出番は!?」
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