僕がキャプテン・ジョンの宝だ   作:Mr.♟️

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【特報:揺らぐ三大勢力!王下七武海崩壊か!?】

 

先日、世界を震撼させる特大のニュースが飛び込んできた。

 

海賊たちの脅威として君臨してきた──『鷹の目のミホーク』と『砂漠の王サー・クロコダイル』の王下七武海称号剥奪が、世界政府より公式に発表されたのだ。

 

空席となった枠の一つには、白ひげの血を引くと自称している『豪鬼エドワード・ウィーブル』が座ることになるという。

 

現在、七武海に名を連ねるのは『影の支配者ゲッコー・モリア』『海峡のジンベエ』『天夜叉ドンキホーテ・ドフラミンゴ』『トカゲの王ハナフダ』『海賊女帝ボア・ハンコック』、そしてウィーブルを含めた6名。

 

『王下七武海』を名乗りながらも定員割れを起こしているこの事態は、三大勢力の均衡が崩れ始めている何よりの証拠だろう。

 

だが、政府の頭痛の種はこれだけではない。注視すべきは、紅一点である『海賊女帝』ボア・ハンコックの動向だ。

 

近年、彼女は破竹の勢いで海を席巻する不遜王率いる『レイヴン海賊団』とただならぬ親交があると囁かれている。

 

今回称号を剥奪されたミホークとクロコダイルの両名が、現在そのレイヴン海賊団に与しているという事実を鑑みれば.....事態は明白だ。

 

近い将来、王下七武海の席にもう一つ『空き』ができるのは、火を見るより明らかではないだろうか。

 


 

僕たちは三人でアラバスタの地に降り立った。

 

しらほしは絶望的にこの乾燥した気候と相性が悪いから船で留守番だ。ミホークは『船の番と鍛錬をする』とか言って残りやがったが、絶対に暑い空の下を歩きたくないだけだろ。

 

僕だって歩きたくねぇよ、砂漠の国は暑すぎんだろ。

 

『クロコダイル様ぁぁぁぁぁぁ!!』

『砂漠の王!サー・クロコダイル!』

 

「王下七武海の地位を剥奪されたってのに、随分と熱烈な歓迎っぷりだな」

 

街を歩けば、クロコダイルに向けた声援が飛び交う。

 

こいつの好感度が異常に高い理由はわかっている。元々この国を裏から乗っ取ろうと、表向きは海賊を狩る英雄として国民たちにいい顔を見せていたらしいからな。

 

何も知らない国民たちは、いまだにこいつを国の守り神だと思っているわけだ。

 

ちなみに、クロコダイルは自分が国を乗っ取ろうとしていたことを国王と王女に話したらしい。別に海賊だから特別悪いわけじゃねぇのに、なんだかんだ甘いやつだよな。

 

「....フンッ」

 

クロコダイルが答える気はないと鼻を鳴らす。

 

「でもでも、リオが助けた国だったら、リオの方がぜっっったいに人気あるよ!」

 

ウタが僕の腕を引っ張りながら、謎のフォローを入れてきた。

 

「いや、別に人気勝負してるわけじゃねぇよ」

「同感だ。下らねぇ」

 

対抗心を燃やしてるとかじゃないからな。人気度合いなんて比べ始めたら、なんとなく惨めな気分になるだろ。お互いに。

 

「あ、あっちの屋台の料理美味しそう!見たことない!」

 

ウタが声を上げて、民衆の波を縫うようにして一目散に屋台へ駆けていく。

 

「自由すぎんだろ、あの小娘」

 

「それが僕たち海賊だろ?まあ、ウタが自由奔放なのは否定しないけどな」

 

呆れるクロコダイルにそう返しつつ、僕は小さくため息をつく。

 

あいつ、自分で金持ってたか?屋台に寄るのは別にいいけど、一応これから国王に面会しに行くんだぞ。タレとかこぼして服を汚したらどうするんだ。

 

「リーーーオ!私、お金もってない!」

 

屋台の前から、堂々と無一文宣言をしてきた。あいつ、僕のことを打ち出の小槌か何かだと思ってんのか?小遣いならちゃんと渡してるんだから、外出する時くらい持ち歩けよ。

 

「.....なあ、クロコダイル。僕も金持ってないわ」

 

「なんでお前までもってねぇんだよ」

 

クロコダイルの眉間に深い皺が刻まれた。

 

「紙切れに価値なんてねぇだろ。持ち歩くの忘れた」

 

僕のヌマの中に紙幣なんて安っぽいものを入れておくのも、なんか無駄な気がするんだよな。そう思ってヌマから全額出したまま、船に置いてきたのを今思い出した。

 

流石に金塊や宝石払いには対応してねぇだろ、あの串焼きの屋台。絶対に。

 

「チッ。後でキッチリ返せよ」

 

クロコダイルが深いため息と共に懐から財布を取り出し、ウタの分の代金を払いに行った。

 

「ウタじゃなくて、僕に請求すんのかよ」

 

「当然だ。お前が払え」

 

まあ別にいいけど。船に戻れば、金なんて幾らでもある。

 


 

「──私の娘を、どうかお前たちの船で海へ連れて行ってもらいたい」

 

王宮でアラバスタの国王コブラが、僕たち海賊に向かって深く頭を下げた。

 

「いらん」

 

一秒も迷うことなく即答した。

 

なんだこいつ、頭でも沸いてんのか?僕たちの船に、自衛すらまともに出来ないような温室育ちの雑魚はいらねぇ。

 

たとえそれが一国の王女であってもだ。

そもそも、なんでただの顔見せの挨拶がこんな面倒な話になってんだ。どんなやり取りをしてこの話になったか全然わかんねぇ。

 

「──フッ。いいんじゃねぇか。一人くらいガキが増えても」

 

「は?本気で言ってんのか?」

 

僕は隣で葉巻を燻らせているクロコダイルを睨みつけた。

 

役に立たないやつを過酷な海に連れていく意味がないだろ。それに、コブラの娘ってまだガキだぞ。僕たちよりも幼い。

 

「ハッ、忘れやがったのか。俺がこの国を裏から乗っ取ろうと動いていた時、俺の不審な動きに唯一違和感を感じたのはあのガキだけだぞ。あの歳で国を想い、身を投じる胆力──見所はある」

 

「そういえば、そんなこと言ってたな」

 

え、なに。かつて自分の計画を邪魔しかけたガキを、本気で僕たちの海賊船に乗せたいのか?たまにこいつの考えが読めねぇな。

 

「私もいいと思う!人数が増えた方が絶対に楽しいし!」

 

「おう、お前はちょっと黙っててくれ」

 

来る者拒まずの仲良し海賊団じゃねぇんだよ、うちの船は。

 

「乗せる理由がない。たかが一国の国王の個人的な願いを聞いてやる義理はねぇし、海を知らない雑魚が乗っても早死にさせるだけだ。そんなの無責任すぎるだろ」

 

「笑わせるんじゃねぇよ。船に乗せたからには、そいつの命に責任を持ち、生き残れるように鍛え上げるのが船長の役目じゃねぇのか」

 

「正気か?僕が最初から乗せたくないって言ってるやつの命の責任まで、僕に背負わせるつもりかよ」

 

こんな言い合いくだらねぇよ。らしくねぇんじゃねぇの、クロコダイル。船員の命に責任を持つのが船長の役目だってことには同意見だ。

 

だが、それと実力のないガキをわざわざ危険な海へ連れ出すことは全く話が違うだろ。しらほしの時とは状況がまるっきり違う。

 

「──おい、ウタ。いいのか?あれは一国の王女である前に、お前と近い歳の娘だ。同年代の、しかも同性の友人を作る滅多にない機会だぞ」

 

クロコダイルが直接的な僕の説得を諦め、悪びれもせずに攻め方を変えた。

 

「乗せるべきだよ!絶対に乗せた方が楽しくなるよ!」

 

「クロコダイル、お前....!」

 

わざわざウタを利用して説得させてまで乗せたいのか?本気で? なんで?お前にもコブラの娘を海に連れ出すような義理はねぇだろ。

 

「ね、リオ! 一緒に連れて行こ!.....ダメ?」

 

ウタが僕の袖をきゅっと掴み、上目遣いで覗き込んでくる。自分の頼み事は基本的になんでも通るとでも思ってんのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──今回だけだぞ。今回だけお前の思惑に乗せられてやるよ。同性が増えたらウタもしらほしも喜ぶのは違いねぇしな。

 

 

「──はぁ、わかった。好きにしろ」

 

僕が深くため息をついて頭を掻き毟ると、ウタが『やったー!』と声を上げ、クロコダイルは口角を歪めて笑みを浮かべた。

 

まあ、普段お前にも助けられてるし、このくらいのことなら聞いてやってもいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(好奇心旺盛なあの子には、この広い世界をその目で見てきて欲しい。知見を深め、いずれはアラバスタに戻ってきてくるんだ)

 


 

アラバスタで数日過ごしたあと、僕たちは新しい仲間──ネフェルタリ・ビビを迎えた。航海を初めてから2週間が経過したが、聞き分けはいいし、飯の準備も手伝うしで中々悪くない。

 

「寄越せ」

 

「──はっ倒すぞ、お前」

 

クロコダイル。お前甘すぎるんじゃねぇの。なんだ、そんなに懐かれたのが嬉しいのか?

 

「ハッ、投資価値がわからねぇのか」

 

「わからないから嫌だって言ってんだろ」

 

ビビは何故かクロコダイルに懐いた。本当によくわかんねぇ。アラバスタを乗っ取ろうとしていた凶悪な大海賊だぞ。クロコダイルも不器用ながら可愛がってるみてぇだし。

 

「やる気があって好奇心旺盛。俺にビビらねぇ胆力まで備えてる。なにより──この俺が鍛えてやってるんだ。その将来性を見込んで、船長なら『悪魔の実』をくれてやるくらいの器を見せろ」

 

「ビビに現時点でそこまでの実力はねぇ」

 

シンプルに弱い。分かる。クロコダイルが鍛えている以上ある程度強くはなるだろうが、そこまでの将来性を感じない。

 

「それを補うのが悪魔の実の能力だろうが。力を悪魔の実で補えば、あとは甘い考えを少し矯正すれば悪くねぇ戦力にもなる」

 

「......まあ、そこまでお前が言うならくれてやる。『キロキロの実』なら悪くないだろ」

 

僕にはそこまでの将来性があるようには見えねぇけど、クロコダイルがここまで言うなら悪魔の実を1つくらいやってもいい。キロキロの実なら、失ってもそこまで痛くない。

 

「あ?なんの冗談だ」

 

「は?感謝の言葉も言えねぇのか?」

 

僕が持っている悪魔の実の中でも、そこそこ使い勝手のいい実だぞ。タダで貰う側に文句を言われる筋合いはねぇ。

 

「持ってんだろ。もっと上の悪魔の実を」

 

「キロキロの実で充分だろ。使い勝手も悪くねぇし、工夫して使えば強くなれる」

 

「不充分だ」

 

「一応聞いてやる。どれを集ってるか言え」

 

テメェ、本当にはっ倒すぞ。施される側が文句言ってるんじゃねぇよ。僕の所有物だぞ。もうめんどくせぇから、何が欲しいのか言え。

 

「──モリモリの実。あいつとはそれが相性がいい」

 

「はぁ?全然嫌なんだが」

 

鍛お前がなんでこの悪魔の実をビビに与えたいのか、その理由はわかる。『砂漠の国の王女』に、国を豊かにできる『森』の力を与えてやりたいんだろ。

 

粋な計らいだけどよ、僕がタダで手放すには惜しすぎる。もう少し僕が納得できる理由を持ってこい。

 

 

「──赤髪がウタを見捨てた理由に心当たりがある。それでどうだ?」

 

クロコダイルは笑みを浮かべた。ムカつくほど悪人っぽい笑みを。別に興味ねぇよ。全然気にならねぇ。ってか、こいつが知ってるなら僕ももっと本腰入れて調べたら──

 

「お前が調べても多分分からねぇだろうな。俺みたいに歴史を学んでねぇからな」

 

「.....はぁ。別に興味ねぇけど、聞いてやるよ」

 

僕は無表情を装いながら、『ヌマ』の中からモリモリの実を取り出し、クロコダイルの胸ぐらへ押し付けた。

 

お前からビビに渡しておけよ。んで、さっさとその話を聞かせろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──トットムジカの力を恐れて、制御できなくなる前に見捨てた、か」

 

僕持ってんだよな、多分。いつの間にかヌマに入ってた楽譜──多分、これがトットムジカなんだろ。

 

「ってことは、エレジアが滅んだ真相は.....」

 

ウタがトットムジカを歌って滅ぼした。赤髪海賊団はそれを見て恐れをなしてウタを見捨てたってところか。

 

ゴードンは度がすぎるお人好しだから、国を滅ぼしたウタを受け入れ育てたんだろ。

 

ゴードンがウタに話してない以上、僕から話すようなことでもねぇし、僕がゴードンに確認するのも変な話だ。

 

 

「どこまでも情けねぇ奴らだ。赤髪海賊団」

 

四皇だか何だか知らねェが、自分の娘の背負った力にビビって、恐怖で見捨てるなんざ海賊が聞いて呆れる。

 

保身のために親としての一線を引いたあの男は、どうしようもないあのクソ親父以下だぞ、クソが。

 




ビビ加入したのに一言もセリフがない。



リオの赤髪海賊団の評価が低すぎるあまり、誤解が加速してる。
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