僕がキャプテン・ジョンの宝だ   作:Mr.♟️

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新たな仲間

 

「──リオっ!」

 

「わざわざお前が直接出迎えに来るのかよ。久しぶりだな、ハンコック。で、そっちの婆さんが元皇帝のグロリオーサか?」

 

無事に女ヶ島の港に着岸して早々、一国のトップの出迎えだ。わざわざ迎えに来なくても文句なんて言わねぇのに。

 

「その通りじゃ。ただし──そこの鷹の目とワニ、そなたらは船を降りるでない。ここは男子禁制の国、リオ以外の男が土を踏むことは断じて許さぬ」

 

一緒に船を降りようとしていたミホークとクロコダイルが、ハンコックに一瞥されピシャリと咎められた。

 

あわよくば流れで一緒に上陸できたらと思ったんだが、流石にダメか。まあ、僕の入国を許容してもらっただけでもありがたい。

 

「──ほほう。そなたが、うちの蛇姫が見初めたという男ニャのな」

 

小さな老婆──グロリオーサが、蛇の杖をつきながら僕を値踏みするように見上げてくる。

 

「ふふ〜ん。ねぇ、リオ。このお婆さんを若返らせても、絶対にリオが期待するほど強くならないよ。ね、スカウトやめよ?」

 

「まだ言ってんのか。はいはい、わかったわかった。あっちいっとけ」

 

「なんか扱いが雑なんだけど!?」

 

ウタが僕の袖を引いて必死に妨害工作をしてくるのを、適当にあしらう。いい加減諦めろ。僕はやると言ったらやる。

 

「リオさん。海賊女帝と知り合いなの?」

 

ビビが不思議そうに小首を傾げた。ああ、ビビはウォーターセブンの時にはまだいなかったか。

 

「ああ、まあな。縁があって、少し関わりがあるんだ」

 

「小娘共は森の中で適当に遊ばせておけばよい。リオ、そなたはわらわについてくるのじゃ。込み入った話は、城で食事をしながらでどうじゃ?長旅でさぞ疲れておろう」

 

「森の中で放置!?」

「おばさん、いくらなんでも性格悪すぎない!?」

 

ウタがハンコックの言葉に噛み付く。それに対しハンコックら眉間にシワを寄せた。

 

「──次におばさんと言ったら、そなたは石になることであろうな。生意気な小娘が」

 

「はい、負け惜しみ〜」

 

やめろやめろ。同盟相手をわざわざ煽って怒らせて、いいことなんて何もねぇだろ。あと、ハンコックはおばさんって年齢じゃねぇよ。前も言ったろ。

 

「まあ、立ち話で終わらせる内容じゃねぇからな。案内してくれ」

 

僕がハンコックの提案に乗ると、両頬を手で押さえて身悶えし始めた。相変わらずだな。

 

「これはまさに──恋はいつでもハリケーンニャのじゃ!!!」

 

グロリオーサが呆れたように頭を抱えて叫ぶ。

 

(この男、女帝と小娘のこの修羅場を冷静に流しておるニャ。蛇姫もまた、随分と厄介な男に恋をしたものじゃ。キャプテン・ジョンの息子──飄々とした面構えが、若かりし日のあいつにそっくりじゃ)

 

「....手強い男ニャのう」

 

(生意気な小娘を平然と侍らせ、蛇姫までをも手玉に取るたぁ──流石は生粋の女好きじゃった、あのキャプテン・ジョンの血脈。これ以上蛇姫がペースを握られぬよう、充分気をつけるように伝えておかねばニャ)

 


 

気がつけば、僕たちは女ヶ島に半年もの間滞在していた。

 

島への上陸を許されなかったミホークとクロコダイルには悪いが、その長期滞在のお陰でウタとビビ、しらほしの三人は九蛇の戦士たちから手ほどきを受け、結果的に船全体の戦力は確実に上がっている。

 

「──白ひげのジジイの時も思ったが、精神は肉体に引っ張られるらしい」

 

白ひげもそうだった。最初に出会った時は落ち着いた様だった癖に、若返ったら精神まで肉体に引っ張られていたような雰囲気だった。だから、グロリオーサに関してもその可能性を考えたが──その予想は当たった。

 

「ニョン婆.....!そなた......!わらわに喧嘩を売っておるのか」

 

「あら、そんな呼び方じゃなくて『グロリオーサ』でいいのよ。ハンコック」

 

「あんなの仲間にするなんて反対!絶対反対だから!」

 

「ウタさん。その、少し性格が合わなくても仲良くなれるわ。きっと」

 

「ビビを見習え。ナルシストが1人増えるだけだ」

 

──あぁ、めんどくせぇ。

 

グロリオーサが泥湯の治療を終え、全盛期の肉体を取り戻してからというもの、毎日城でやってるぞこのやり取り。

 

本当にめんどくせぇ。船で悠々自適に留守番をしているミホークとクロコダイルが死ぬほど羨ましい。

 

「言ったであろう。わらわはリオの妻になると。後からしゃしゃり出てきておいて、それを掻っ攫うなど許されるものか」

 

知らん。言われてねぇし、今は誰とも結婚するつもりはねぇ。

 

「それを言うならハンコックだってそうじゃん!私が1番最初に旅をしてたんだからね。はい、負け惜しみ〜」

 

ウタ、両手の指をワキワキと動かして変なポーズで煽るのはやめとけって。どうなっても知らねぇからな。僕はお前らの不毛な言い争いに参加するつもりは微塵もねぇ。

 

「知らないようね。恋はハリケーンなのよ!」

 

若く美しい肉体に戻ったグロリオーサが、ドンッと効果音がつきそうな勢いで言い切る。

 

「──どうでもいいが、グロリオーサ。テメェはいい加減、答えを聞かせやがれ」

 

全盛期の肉体まで回復するのに3ヶ月。それからさらに数ヶ月、毎日こんな無駄なやり取りをしてやがるが、肝心の『僕の船に乗る』とは頑なに言わねぇ。

 

別に僕に気があるフリをしてハンコックたちをからかうのは勝手だが、無意味なことに時間を使う趣味は僕にはねぇ。

 

ただでさえ時間をかけすぎたんだ、これ以上引き伸ばすなら話が違う。僕はお前が『本当に若返ったら、すこぶる前向きに考えるニョじゃ』と言った言葉を信じて若返らせてやったんだ。

 

もし今更、散々検討した結果「やっぱり仲間にならない」なんてふざけたことを抜かしたら──ここで殺り合っても構わねぇよ。

 

そうじゃなけりゃあ、将来の強大な敵に塩を送って全盛期に戻してやっただけになるからな。

 

いずれ立ち塞がる可能性のある元ロックス海賊団の人間を、このまま放置して帰るような甘い真似は出来ねぇよ。白ひげのジジイは別として。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──私はあなたの船には乗れない。女ヶ島を守らなくちゃいけないから」

 

僕口を開く前に、グロリオーサはふっと真剣な表情に戻り、言葉を続けた。

 

「その代わり──ハンコックがあなたの船に乗るわ。ハンコックの恋煩いは、この国において死に至る『不知の病』。このまま島に残って想いを殺せば、先代と同じ運命を辿ることになる」

 

グロリオーサが、呆然とするハンコックへと視線を向けた。

「ハンコック。あなたが無事に海を巡って帰ってくるまで、この私が女ヶ島の『皇帝代理』として島に残ってあげるから」

 

「──ニョン婆」

 

「だから、お行きなさい。私はかつて国を出てこの病に耐え抜いた。そなたもそうやって生き延びるのよ」

 

まるで母親のような、優しくも威厳のある声。

 

恋煩いが不知の病なんてバカバカしいなんて言葉が喉から出かかったが我慢した。その胸を打つ自己犠牲と世代交代の言葉に、部屋が静寂に包まれかけた──その直後。

 

「偉そうに言うでない。そなたの許しなどなくとも、わらわがリオについて行くに決まっておろう!」

 

ハンコックがふんぞり返り、ビシッとグロリオーサを指差した。

 

「感動のシーンなのに生意気....!!?人の事散々国を捨てた裏切り者とか、先代の慈悲で国に置いてるとか言ったくせに、自分の時はいいの!?」

 

「無論じゃ──わらわは何をしようと許される。わらわが美しいから」

 

「私の方が美しいわよ!」

 

「たわけ。わらわに勝るものなどおらぬ」

 

「いるわよ!ここに!あんたより先にリオの心を射止めるのは私よ!」

 

「なっ!そなた、歳を考えぬか!」

 

 

 

 

「──そっちで話を進める前に、僕にそれで問題ないか聞くのが先じゃねぇのか?別にいいけどよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うへぇ、ハンコックが船に乗るの....」

 

「ウタさんはハンコックさんが嫌いなの?」

 

 

 


 

【号外:世界震撼!海賊女帝、レイヴン海賊団へ電撃加入!】

 

またしても、あの不遜王が世界を激震させた。

 

なんと『海賊女帝』ボア・ハンコックが王下七武海の称号を捨て、レイヴン海賊団へ加入したとの発表が世界政府よりなされたのだ。

 

これにより、かつて王下七武海に君臨していた大海賊のうち、実に三名が『同じ海賊団』の傘の下に集結したことになる。

 

これではまるで、世界政府肝入りの『王下七武海制度』は、レイヴン・リオが優秀な船員をスカウトするための品評会だったのではないかと皮肉りたくもなる異常事態だ。

 

また、それに伴い、長らく表舞台から姿を消していたかつての九蛇の皇帝『グロリオーサ』が、女ヶ島の皇帝代理として復帰することも判明した。

 

驚くべきことに、確認された彼女の容姿は、全盛期と何一つ変わらぬ圧倒的な美貌を保ったままであったという。

 

現在、レイヴン海賊団は偉大なる航路前半の海に留まりながらも凄まじい勢いで勢力を広げており、その傘下に降った海賊団と庇護下にある国の数は、既にあの『四皇』白ひげにも引けを取らない規模にまで膨れ上がっている。

 

彼らがこのまま偉大なる航路を蹂躙し、新世界へとその足を踏み入れた時──長年均衡を保っていた『四皇』の顔ぶれが、変わることになるのではないだろうか。

 

【レイヴン海賊団 幹部指名手配書】

 

■船長『不遜王』レイヴン・リオ

 

懸賞金:48億5000万ベリー

 

この世界の神たる世界貴族殺害、および誘拐の容疑がかけられている最悪の大悪党。

 

並の国家を容易く凌駕するほどの財力で多数の国を庇護下に置き、その巨万の富を維持・拡大し続けている。世界政府に対する直接的な脅威度を鑑みれば、この破格の懸賞金額も妥当であると言えるだろう。

 

■音楽家『破滅の歌姫』ウタ

 

懸賞金:45億5000万ベリー

 

その歌声一つで『世界を滅ぼすことができる』と危険視されている、ウタウタの実の能力者。恐ろしいのは悪魔の実の能力だけではなく、その極めて残忍で冷酷な性格にある。

 

彼女との戦闘を生き残った人間の大半が、深刻なトラウマにより精神を崩壊させているという。

 

■副船長『砂漠の王』サー・クロコダイル

 

懸賞金:40億8000万ベリー

 

元王下七武海。立ち塞がる幾つもの大物海賊たちを無慈悲に砂の海へ沈めてきた冷酷なる大海賊。

 

■戦闘員『鷹の目』ジュラキュール・ミホーク

 

懸賞金:40億8000万ベリー

 

元王下七武海。孤高の剣士にして、名実ともに『世界一の大剣豪』。

 

■ 戦闘員『海賊女帝』ボア・ハンコック

 

懸賞金:40億ベリー

 

元王下七武海にして、世界一の絶世の美女。その美貌とメロメロの実の能力に魅入られ、無残に石化させられた海兵や海賊は数知れない。

 

■ 操舵手『人魚姫』しらほし

 

懸賞金:35億2000万ベリー

 

魚人島の王女。その愛らしい容姿とは裏腹に、『海上での戦闘』において、彼女の右に出る存在はこの世にいない。

 


 

『もうそろそろ新世界に来ていいんじゃねぇか?たまには親に顔を見せに来ねぇか』

 

『流石に新世界はまだ早い。馬鹿みたいに狙われてるし、もう少し成長してからにするつもりだ』

 

『グラララッ。ビビってるのか?』

 

『あ?なわけねぇだろ。現実的に考えて、今はまだ時期じゃねぇだけだ』

 

『アホンダラ。何が時期じゃねぇだ。世間じゃ、お前が四皇の誰かを蹴落とすんじゃねぇかって専らの噂だぞ』

 

『そう簡単に落とせるもんじゃねぇだろ。とにかく、今新世界に入るには、まだ僕の実力が足りてねぇ』

 

『弱くないだろ。それとも、そんなに警戒するほどの大物に狙われてんのか?』

 

『カイドウとビッグマム。四皇2人に睨まれてんだから、流石に今の実力で新世界は自殺行為だろ』

 

『グララララッ!そりゃあ、傑作だな!何をやらかしたんだ?』

 

『なんもしてねぇ。ビッグマムはクソ親父が生前にお見合いの約束をしてたから、その履行を。カイドウは知らねぇ。知らねぇけど、会いに来いって連絡が来る』

 

『──そうか、その2人か。なら、安心して新世界に来い。あいつらは、簡単にはオメェに手を出せねぇよ。俺が睨みをきかせてやる』

 

『ジジイ。あんたに庇われて借りを作るつもりはねぇよ。僕は白ひげ海賊団でも、あんたの息子でもねぇ。自分の力で戦える』

 

『つれねぇじゃねぇか』

 

『──まあ、新世界に入ったら会いに行ってはやるよ』

 

『グララララッ!素直じゃねぇなぁ』

 

『───うぜぇ。切る』

 

『待て、何回かけたと』

──ブツっ

 

 

「親父、リオのやつはなんて言ってたんだよい?新世界くるのかよい?」

 

「カイドウのハナッタレとリンリンと揉める準備が出来てから来るらしいぞ。グラララッ、楽しみだなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────あ、ドフラミンゴにも狙われてんのいうの忘れた」

 

(まあいいか。別に言う義務があるわけでもねぇし)

 


 

ハンコック

 

 

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ウタ

 

 

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グロリオーサ

 

 

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