僕がキャプテン・ジョンの宝だ   作:Mr.♟️

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王手

 

「──作戦通りに進めるぞ」

 

甲板に集まった幹部と傘下の船長たちを見回し、僕は広げた海図を指差した。

 

事前の情報によれば、『東側と西側にドンキホーテ・ファミリーの幹部陣』『南側は幹部陣に加え、ウィーブル海賊団』『北側にハナフダ海賊団』が配置されているらしい。

 

そして、王宮にはドフラミンゴ本人。地下には今回めんどくせぇことをしてくれたシュガーとベビー5、情報を提供してきたヴィオラがいる。

 

正直、このタイミングで寝返った敵幹部候補の情報なんて信憑性は薄いが、仮に罠だとしても全く問題はない。うちの連中が誰とどこで戦おうが、結果は変わらねぇ。

 

 

「久しぶりの実践だから、緊張するなぁ...」

 

「大丈夫です、ビビ様。何かあれば、私がお守りしますから!」

 

深呼吸をするビビと、頼もしく微笑むしらほし。そして傘下三隻の艦隊は『東側』。

 

「下らねぇ。雑魚相手か」

 

「新世界入りしてすぐ戦争なんて──興奮してトロけちゃいそう」

 

「成功したら──私が不遜王様達の船にのれる....!キャハハッ!」

 

面倒くさそうに葉巻をふかすクロコダイルと、トロトロしてるハニークイーン、やたらと騒がしいミキータら傘下三隻は『西側』。

 

「エドワード・ウィーブル。自称白ひげの息子か、面白い」

 

ミホークと、ダズ・ボーネス、ギャルディーノら傘下の三隻は『南側』。

 

「僕の足を引っ張るなよ。邪魔さえしなかったら好きにやればいい」

 

「リオ様とご一緒できるなんて光栄ですわ。私の実力をお見せいたします」

 

僕とバカラの傘下一隻が『北側』──っと、一応ぬいぐるみは僕が持ってる。ヌマに入れてもいいんだが、入れようとすると逃げるから、仕方なく肩に乗せてる。

 

 

 

 

 

「シュガーとドフラミンゴ、ヴァイオレットは生け捕りだ。それ以外はどっちでもいい──誰に喧嘩を売ったのか、後悔させるぞ」

 

僕の言葉を最後に、それぞれ別の船に乗り込む。

 


 

ドレスローザ、東側の海岸。

 

「こんなに大勢の人を率いて戦うのは初めてだから、少し緊張するわ」

 

「私もです....!」

 

上陸したビビとまだ海面で様子を伺っているしらほしが、お互いに顔を見合わせて苦笑いしていた。そんな二人の前に、ドンキホーテ・ファミリーの幹部とその部下たちが立ち塞がる。

 

「──んねー!もしかして俺たち、一番の当たりを引いたんじゃないか、んねー!?」

 

「まあっ!なんて可愛らしい女の子たちざます!私の究極のアートにしてあげるざます!」

 

全身からドロドロとした粘液を垂れ流す不気味な男と、奇抜なメイクをしたふくよかな女。

 

「ねばねばしてて、なんだか臭いです.....!」

 

「うーん....あれって、直接触らないとダメだよね?じゃないと倒せないよね?」

 

強烈な見た目と心做しか臭いを放つ敵を前に、二人は露骨に嫌そうに顔を引きつらせた。

 

「お二方とも呑気過ぎます!!あれはドンキホーテ・ファミリー最高幹部のトレーボルと、幹部のジョーラですよ!油断したら殺されます!」

 

背後に控えていた傘下の海賊の一人が、たまらず怒鳴るようにツッコミを入れた。

 

「ベヘヘヘッ!その通りだ、んねー!可愛がってやるから、俺の粘液に絡め取られろォ!」

 

トレーボルが下品な笑い声を上げながら、腕から大量の粘液を鞭のように振り被り、海岸にいるビビたちに向けて放った。

 

「キャアアッ!危ないですビビ様!」

 

しらほしが短い悲鳴を上げる。

 

だが、その愛らしい顔つきと悲鳴とは裏腹に、彼女の巨躯は既に攻撃の準備を済ませていた。

 

「えいっ!」

 

海面に突き入れたしらほしの巨大な掌が、凄まじい力で海水を掬い上げる。

 

『魚人空手──海神の撃水(ウチミズ)!』

 

しらほしが放ったのは、ただの水鉄砲ではない。規格外の巨体と筋力から放たれる──大砲のような高圧縮の巨大な水弾だ。その威力は普通の大砲とは比べ物にならない。

 

「は......?んねっ!?」

 

ドォォォォォンッ!!!

 

 

 

トレーボルの放った粘液ごと、彼自身の体を巨大な水弾が丸ごと飲み込み、海岸の岩壁へと勢いよく吹き飛ばした。

 

水と岩壁に激突した衝撃で、分厚い粘液の鎧の中に隠れていたガリガリに痩せ細ったトレーボルの『本体』が露わになり、白目を剥いて一撃で気絶している。

 

「ウソでしょ!?」

 

ジョーラが信じられないものを見るように目をひん剥く。

 

「あっ!ごめんなさい、私、つい力が入りすぎてしまって....!殺すつもりはなかったんです!」

 

しらほしが両手で口を覆い、申し訳なさそうに謝っている。

 

その後ろで、傘下の海賊たちは内心でツッコミを入れていた。あんなのをくらわせられたら死ぬだろうと。

 

 

 

 

 

「もうっ!私の芸術の邪魔をするなんて許さないざます!あんたたち全員、前衛芸術のオブジェに変えてやるざま──」

 

ジョーラが自分が無視されていることからの怒りと、トレーボルがやられたことに対する焦りでアトアトの実の能力を発動しようと両手を掲げた瞬間──

 

「自然の力には勝てないわ」

 

ビビがふわりと微笑み、足元の地面にスッと手を触れた。

 

『モリモリの実──大樹の抱擁』

 

ゴゴゴゴォォォォッ!!!

 

 

 

海岸の硬い岩盤を突き破り、ビビの足元から異常な速度で成長した巨大な『樹木』と『太い根』が爆発的に群生した。

 

それは意思を持った大蛇のようにジョーラへと殺到し、彼女が能力を使う間もなく、その巨体を何重にもグルグル巻きにして完全に拘束する。

 

「な、なんざますかコレはぁぁっ!?身動きが取れないざます!?」

 

「そのまま大人しくしていてね」

 

ビビが指先を軽く振ると、ジョーラを縛り上げている巨大な樹木がさらにキュッと締め上げ、彼女の意識をあっさりと刈り取った。

 

「え、えぇ......」

「最高幹部と幹部が、開始数秒で全滅......?」

 

ビビのモリモリの実の規格外の制圧力と、しらほしの純粋な暴力を目の当たりにした傘下の海賊たちは、ポカンと口を開けてその場にへたり込んだ。

 

「残りの人達はみんなで片付けましょう。全軍──突撃っ」

 

「は、はいぃっ!喜んでェェッ!!」

 

ビビの爽やかな笑顔と指示に、傘下の海賊たちは慌てて気をつけの姿勢をとり、即座に攻撃態勢へと移る。片や司令官を失い、もう片方は万全。

 

東の海岸の勝負結果は語るまでもないだろう。

 


 

ドレスローザ、西側の街。

 

「いつまで時間をかけてるつもりだ」

 

足元で砂まみれになりピクリとも動かない最高幹部・ピーカを足蹴にしながら、クロコダイルは葉巻の煙を吐き出した。

 

すでに自身の戦闘を数分で終わらせた彼の視線の先では、傘下として連れてきたミキータとハニークイーンが、ドンキホーテ・ファミリーの幹部たちと戦闘を繰り広げている。

 

「これで終わりよ──『武装色・一万キロ流星乱舞』!」

 

ミキータが宙に舞い、宙に浮いているバッファローに向かって蹴りの雨を降らせる。

 

(脚での連撃。振り抜く瞬間の加速は一キロ。そしてインパクトの瞬間だけ、武装色の覇気を纏わせた上で一万キロへと加重する。こんな雑魚相手にそんな威力の技を使ったら──死ぬだろ)

 

クロコダイルが呆れたようにその過剰なオーバーキルを眺めていると、ドンッ!ドンッ!という地鳴りのような打撃音が街に連続して響き渡る。

 

返り血で脚を赤く染めながら華麗に着地したミキータは、眼下で原型をとどめていないバッファローの惨状に気づく様子もなく、いつものように勝ち誇って敗者を見下ろした。

 

「キャハハハハッ!これがあんたと私の格の差よ!」

 

バッファローはもはや、白目を剥いてピクリとも動いていない。

 

「あらぁん。私が最後みたぁいね♡」

 

ミキータとほぼ同時に、グラディウスとの戦闘を終えたハニークイーンが甘い声で二人に声をかける。

 

グラディウスの爆発攻撃も、トロトロの実で液状化する彼女には大したダメージにならなかったらしい。全身を液体で覆い尽くされ、完全に呼吸を封じられたグラディウスが、泡を吹きながら力なく地面へ崩れ落ちていた。

 

戦闘風景を静かに観察していたクロコダイルは、心の中で彼女たちを評価する。

 

(敵の攻撃をスカして弄んで、最後は逃げ場のない窒息死。甘ったるい面に似合わず、やることは随分と残酷なやつだ。まあだが──この戦果と戦いぶりなら、こいつら2人を船員としてリオに推薦してやっても問題ねぇか。元々それが希望だろ)

 

クロコダイルは短くなった葉巻を指先で弾き飛ばし、逃げ惑う下っ端の戦闘員たちを一瞥した。

 

「残った雑魚どもはお前らとお前らの部下たちで一掃させておけ。俺は先に行く」

 

「はぁい。行ってらっしゃぁい、クロコダイル副船長」

 

「アタシたちに任せときなさい!キャハハハッ!」

 

2人の威勢のいい声を聞き流しながら、クロコダイルは砂へと姿を変え、ドフラミンゴの待つ王宮へと一直線に飛翔した。

 


 

ドレスローザ、南の街。

 

「──この程度で終わりか?」

 

ミホークが黒刀を片手に周囲を見渡せば、すでに敵戦力は総崩れとなっていた。

 

最高幹部のディアマンテは、ダズ・ボーネスの無慈悲な斬撃によって血の海に沈んでいる。マッハバイスとデリンジャーは、ギャルディーノが作り出した強固なロウのオブジェに固められ、一歩も動けず戦闘不能にされていた。

 

ラオGとセニョール・ピンクもすでに傘下の連携によって地に伏しており、現在この戦場で激しい打ち合いをしているのは──ミホークと、王下七武海エドワード・ウィーブルの二人だけだ。

 

「おでの攻撃が、どうじて通じねぇんだべ!」

 

白ひげを彷彿とさせる剛腕から振るわれる薙刀の重い一撃を、ミホークは片手で軽々と、顔色一つ変えずに弾き返す。

 

「ふむ。残念だ。片腕を失っていなければ、もう少しは楽しめたかもしれぬな」

 

そもそもその片腕を奪ったのは、他でもない自分の船の船長であることを完全に棚に上げ、ミホークは涼しい顔で黒刀を振るう。

 

焦りに我を失いバランスを崩したウィーブルの太刀筋など、世界一の大剣豪の目には止まって見えた。

 

「今この場で引き下がるのなら、命だけは見逃してやろう。王下七武海が1日に3人も消えれば、世界に無用な混乱が起きよう」

 

ミホークはリオが、ハナフダとドフラミンゴを容赦なく殺すであろうと確信している。だが、そうなってしまうのはあまりよろしくない。

 

一応、王下七武海という制度には『三大勢力の均衡』としての存在意義があるのだから。

 

「おでを、おでを、バカにすんじゃねぇ!!」

 

激高し、再び薙刀を大上段に振りかぶったウィーブルを、背後からの甲高い声が鋭く制止した。

 

「おやめ!ウィーブル!」

 

「母たん!?」

 

小型のサングラスをかけた小柄な老婆──ミス・バッキンが、忌々しげに舌打ちをしながらウィーブルの巨体を杖で叩く。

 

「ドフラミンゴの提案に乗ってホイホイ加勢に来たのは大失敗だったね!こんな化け物とまともにやり合ったら、あんたの命がいくつあっても足りないよ!下がるよ!」

 

「でも、母ちゃん!おで──」

「口答えするんじゃないよ!さっさと逃げるよ!」

 

母親の絶対的な命令にウィーブルは渋々薙刀を収め、二人はドンキホーテ・ファミリーをあっさりと見捨てて、そのままそそくさと戦場から撤退していった。

 

「──追わなくていいんですかガネ?」

 

「構わん。我々の目的はあやつでは無い」

 

ギャルディーノの問いに短く答え、ミホークは静かに黒刀を背中に収めた。

 

「向かうぞ、王宮に」

 


 

北の町。

 

「動物系の能力者3人を単身で倒したのは見事だったけど──ハナフダは倒せねぇのか」

 

なるほど。ラキラキの実の能力。ウタウタの実と同じくらいのチート能力だ。他者から運を吸い取り、自分の運へと変換させる。ただ、強い相手を倒すためにはそれ相応の運を消費するたいだな。

 

「──申し訳ありません。倒すことはできますが、ただ...もう少しお時間をいただく必要があります」

 

「いや、もういい。お前の実力はわかったし、あれだけ自信があった理由も納得できた」

 

それに、あんまり遊びに時間をかけてる暇はねぇ。僕は一刻も早くこのぬいぐるみを元の姿に戻して、正しい記憶を取り戻したい。

 

今この瞬間を、偽りの記憶で過ごしているってことが気にくわねぇ。

 

「ようやくお前が出てくるのか....!不遜王!!」

 

「あ?黙ってろ、雑魚が。お前ごときが誰に口を聞いてんだ」

 

動物系の古代種リュウリュウの実モデル:ティラノ。確かにすげぇよ。並みの相手なら、その耐久力と力強さに打つ手なしで何も出来ねぇだろうな。

 

でもよ──僕からすれば、ただ的がでかくなっただけに過ぎねぇんだよ。苦しめずに一撃で終わらせてやるから感謝しろ。

 

泥流駆動(マッド・アクセル)

 

 

超加速に加え、全身の筋肉を最適に連動させた渾身の蹴りを恐竜の腹へと叩き込む。

 

ハナフダの巨体が、くの字に折れ曲がり、音を立てて北の街の建物をいくつも突き破りながら吹き飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

土煙が晴れた先には、ティラノサウルスの姿が解け、白目を剥いて完全に事切れたハナフダが横たわっていた。

 

「僕とお前じゃ──目指している『高み』が違ぇ。地に這いつくばって死ね」

 

 

 

 

「流石はリオ様ですわ.....!私、バカラ──感服いたしました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




申し訳ない。戦闘シーンは苦手なんだ。。。
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