全てのライダーの力を持ってしまって…   作:狼ルプス

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想定外

シドを拷問していた騎士、教団連中を消した後、周囲から建物が崩れたような轟音が響くのが目に入る。

 

「デルタが動いたか、俺も急ぐか」

 

オーロラカーテンを展開し近くに大きな魔力を感じた為そこに向かう。オーロラカーテンを通ると高い場所に着いた為、その後は建物を飛び越えながら移動していると見知った金色の髪が目に入る。

 

「ゼロ、こっちよ」

 

「アルファか」 

 

「お願い。力を貸して」

 

「どうした?何があった?」

 

アルファが力を貸して欲しいなんて事は、今回は相当厄介なことが起きていると言う事だ。

 

「あれを見て」

 

「……成る程、大体わかった」

 

 何故か辛そうな表情で指を差したアルファ。促されるままに視線を向けてみると、そこには明らかに化け物といった風貌の巨人が暴れていた。拳を振るえば地面が抉れ、建物は破壊される。あれは理性も失っているな…

 

「ええ……教団による実験であんな姿に」

 

アルファは歯を食いしばり、表情を歪める。自身も元は悪魔憑きだったからその苦しみや気持ちは痛いほどわかるのだろう。

 

「動いているのは…騎士団か、住民の避難は済んでるみたいだが…」

 

 大暴れしている巨人を相手に剣を振る人影が見えた。赤い光を纏う剣は高速で巨人を切り刻み、体格差を物ともせずに圧倒していた。

 

「……アイリス王女か。あの巨人は再生能力付き…斬った腕が数秒で元に戻るか」

 

強いが…俺から見れば魔力任せで力任せの剣技にしか見えないんだよな…それに

 

「あれが傷付けるだけだと、何故分からないのかしら」

 

「ああ、余計にあの子が苦しむだけだ。アルファ、あの子は俺が助ける。後はアイリス王女の相手を頼む。もし邪魔をする様なことがあれば殺さない様対応してくれ」

 

「分かったわ……あの子を助けてあげて」

 

「任された」

 

 

俺達は建物から飛び降り悪魔憑きと戦っている騎士団の元に急降下する。

 

 

 

 

 

『ガァァァァァァァッッ!!!』

 

 

「なんだこの化け物はっ!!」

 

「アイリス様の斬撃でも再生するとは…!」

 

「…」

 

「ウ゛オァァァァァァァァァ!!!」

 

「ッ!!」

 

アイリス王女は叫び声を上げて向かってくる巨人に合わせて自身も前進する。そこから迫る巨人の巨腕を躱し腕を切断、そのままガラ空きになった巨体を横から壁に剣で突き飛ばす。

 

「…っ!」

 

終わったかと思った考えとは裏腹に、巨人は失った腕を直ぐ様再生させて立ち上がる。

 

「これでも再生しますか。それなら再生できなくなるまで切り刻むだけですッ!」

 

「それが苦しめるだけだと、何故わからない」

 

俺の声に思わず足を止め、上から聞こえた声にアイリス王女は視線をこちらに向ける。

 

「貴様等、何者だ!!」

 

「アルファ」

 

「(名乗るのかよ)俺はゼロ」

 

まさかアルファが素直に名乗るとは思わず内心驚いたが、名乗ってしまったからには仕方なく俺も名乗った。

 

「ここまで侵食が…大丈夫?」

 

「問題ない」

 

俺は巨大化した悪魔憑きに歩みよる。。

 

「貴様、何をやろうと…!」

 

 

「動かないで、彼の邪魔をするなら…容赦はしないわ」

 

 

アルファの発した言葉に気圧される騎士達。そうして周囲が押し黙ると、俺は巨大化した悪魔憑きの元まで歩みを進める。

 

「ここまでよく頑張ったな…今日でこの悪夢は終わる」

 

俺は優しく声をかけて巨体に触れ、俺は青い魔力を解放すると、俺の周囲に尻尾の様な柱がたち俺達を覆う。

 

「なっ!?何なの、この信じられない量の魔力は…!!そ、それにこの光の柱は…」

 

 

俺は悪魔憑き毎覆いドーム状に閉じ込める。その光景を見ていたアルファは微笑を浮かべ、化け物もさっきまで暴れていたのが嘘のようにじっとし瞳からは涙が流れていた。

 

「もう大丈夫だ。ゆっくり休むと良い」

 

巨大化した悪魔憑きは安心したのか目を瞑ると身体から毒素が出てくる様に魔力が溢れ出て、身体は元の人の形へと戻っていく。

 

「……」

 

俺はゆっくりと落ちてくる少女を抱え、いつも通りウィザードのドレスアップの魔法を使い服を着させる。基本肉塊や今回の様な悪魔憑きと対峙し、治療した場合裸のパターンが多いので大抵このドレスアップリングは役にたつ。スライムスーツで着せる方法もあるが、俺はちゃんとした服を着せる派だ

 

「……?ペンダント」

 

少女の手にはペンダントらしき物がありそれを確認の為見るとそこには…

 

 

「…⁉︎そうか、この子が…」

 

そのペンダントには写真があり、悪魔憑きの少女と父親の写真。しかも写っていたのは数年前クレア誘拐事件の首謀者であるオルバの姿だった。

 

 

「君がミリア、だったんだな…」

 

この子はあのオルバさんの娘のミリアだった。ようやく、彼との約束を果たせそうだ。

 

 

「アルファ」

 

「ええ」

 

アイリス王女を相手していたアルファに声をかけ、俺の側へと来てもらう。しっかり手加減はしていたらしく、アイリス王女に怪我らしい怪我はない。魔力頼りという力任せの剣にアルファが天と地がひっくり返っても負ける筈はないしな。

 

 

「待て!!お前達は……何者だ!」

 

「観客は観客らしく、舞台を眺めているだけで満足していなさい。我ら、シャドウガーデンの邪魔をするな」

 

「っ!!」

 

「行くぞアルファ、俺達の役目は終わりだ」

 

「ええ」

 

「待て!!」

 

俺はオーロラカーテンを展開しこの場から離脱する。

 

 

アイリス王女の元から離れてから直ぐに悪魔憑きから元に戻した少女…ミリアを待機していた部下達に預け、少し休んだ後俺は今回の作戦の本部に来ていた。

 

 

「ゼロ様ー!!」

 

「この声は…」

 

この元気いっぱいな声は…そう思ったのも束の間、正面からとてつもない勢いで黒い物体が俺の胴体に抱きついてくる。

 

「うおっとぉ!!久しぶりだなデルタ。元気だったか?」

 

「はいなのです!!」

 

しがみついた状態でデルタは元気に返事をした。うん、デルタはこのくらい元気いっぱいな方がいい…昔みたいに俺を見かけるとこうやって抱きついてくるが、毎回こっちをぶっ飛ばす勢いで飛んでくるから気を抜けない…

 

「ねぇねぇ!ゼロ様っ!!」

 

「ん?どうしたデルタ」

 

「デルタね、いっぱい悪い獲物を仕留めたのですっ!!だから、ゼロ様にいっぱい褒めて欲しいのです!!」

 

「そうか。よくやったなデルタ」

 

「~~♪」

 

「(駄目だ。やっぱ犬に見えてしまう。いや、犬系統の獣人だから仕方ないんだろうが…)」

 

俺が頭を撫でてやると、デルタは気持ち良さそうに目を細め、尻尾を激しく振るい、凄い風圧が起こる。下手したら辺りの物が吹き飛んでしまうほどに…

 

 

「はぁ…ゼロ、あまりバカ犬を甘やかさないで、暴れたことで町の建造物に余計な被害が出たんだし」

 

「雌猫は黙ってろです!」

 

そして作戦本部に戻ってきていたゼータと昔と変わらずいつも通り喧嘩となる。

 

「俺を挟んで言い争うな。全く、お前らはその辺の関係は変わらないな。後、この感じからしてデルタはもうアルファに叱られたんだろ?それに俺が見るに前よりは建造物の被害も減ってはいるだろ?」

 

「それは…確かに以前よりは減ってると思うけど」

 

「だろ?デルタはデルタなりに地道に努力してるんだ… これは着実に成長しているという証明だと俺は思うぞ」

 

そう、デルタは戦闘になると周りの物をお構いなく破壊する為、こう言った周りの物への配慮や気遣いも辛抱強く教えた。それでもまだデルタの戦闘による建造物の被害はあるが、減っている事も確かだ。

デルタの場合頭でわからせるより体で覚えさせる方がいいだろう。それと更に尻尾の振る力が強くなってきている…

 

 

「ゼロ様、ゼータはデルタが撫でられてるのが羨ましいのです!!」

 

「なっ⁉︎べ、別にそんなんじゃ…!妄想も大概にしろバカ犬!!」

 

「そうなのかゼータ?」

 

「っ!?い、いや…わ、私は…」

 

ゼータは驚き、顔を赤くする。獣人って人と違ってどう言う感情なのか分かり易い時があるんだよな。ゼータの場合耳が下がってる時は恥ずかしがってる時や落ち込んでいる場合が多い…と言うか、数時間前はかなり大胆なことをしていたのに。俺がそんな考えに至っていると、突如王都から爆発が起きその場から炎が上がる。

 

 

「っ⁉︎なんだ!」

 

「爆発⁉︎」

 

作戦本部に待機していたメンバー達は突如想定外のことに驚く、いや…俺も驚いている。あの場所の付近には厨二馬鹿を除いて、任務を終えて仲間はいない筈だ。

 

 

「まさか……」

 

「ゼロ様!」

 

「ゼロ⁉︎」

 

俺はデルタを降ろした後、オーロラカーテンを展開し急いで爆発があった場所に向かう。

 

 

「ッ!?これは…!!」

 

目的地に着くともはや戦場と化した風景が広がっていた。辺りは対応していた生き絶えた騎士達、そしてそこには銃を乱射し破壊活動を行っている機械人形がいた。

 

 

「ガーディアンとカッシーン⁉︎こいつらまでこの世界に!!」

 

カッシーン、元はオーマジオウの従える機械兵士。完全自律型AIを搭載し、与えられた命令を忠実にこなすロボット兵士。

もう片方は機械兵はガーディアン、仮面ライダービルドに出る外部からの操作を必要としない自律型アンドロイドだ。

 

「な、なんだこいつら⁉︎」

 

「くそ!こっちの攻撃が通じない!!」

 

「負傷者を下げてください!!物陰に隠れつつ迎え撃ちます!!」

 

アイリス王女も応戦していたらしいが相手は銃を扱っているので防戦一方の様子。負傷者を優先的に下がらせたり対応はしていたが、奴らがそれをさせるほど甘くはない。

 

そしてこの機械兵はハンドレッドや財団Xでも作られており、ガーディアンの場合は財団X製なら胸にXの文字が刻まれているのだが、今回のガーディアンは刻まれていない…つまり。

 

「今までの件はハンドレットの連中の可能性が高くなったな…」

 

ガーディアンとカッシーンは破壊を繰り返し騎士達を襲う。既に戦闘できる騎士は僅か、この場には騎士達の残骸のみであった。

 

 

「こりゃあ…厄介な事になりそうだ」

 

 

俺は片手にボトルキャップのついたアイテムをある程度振る。癖になる音が鳴り俺は今にも殺されそうな騎士の方に向かい、カッシーンにそのまま右ストレートを叩きつける。

 

「ふんっ!」

 

『ぐあっ⁉︎』

 

カッシーンは吹き飛び、建物の壁に叩きつける。やはり魔力込みでこいつを使うと下手な相手なら変身せずに倒せそうだな。

それに、どうやら一部は間に合わなかったか……魔力痕があるのを見るに、あの頑丈なボディには騎士達では攻撃が通じなかったのだろう。証拠に彼方此方に折れた剣が落ちていた。

 

「お、お前は…さっきの。何しに来た⁉︎」

 

「おい!ここは危険だ。そいつをつれて今すぐ退避しろ!!」

 

「っ!!き、貴様の指示なんぞ誰が…」

 

「そんな事言っている場合か⁉︎状況を考えろ!!あんたの魔力込みの攻撃ですら傷すら与えられなかった相手にどう戦えって言うんだ!!」

 

「くっ……!」

 

事実剣も折れておりもはや丸腰に等しい状態だった。悔しそうにするアイリス王女を尻目にガーディアン達は再度銃を乱射してくる。弾丸の雨が降り注ぐ。俺はスライムスーツで盾を形成し銃弾からアイリス王女達を守るがかなりの威力、魔力を集中させないとスライムスーツすら貫通する勢いだな。俺達はなんとか物陰に移動しアイリス王女に支持を出す。

 

「アイリス王女は負傷した騎士達を下げろ。アイツらの相手は俺がする」

 

「しかし……」

 

「あんたに何かあったらこの国が崩れるんだよ!それに、妹を悲しませるつもりか?」

 

「っ……わかりました。あなたの要求をのみます……総員!撤退準備を!!手の空いている者は負傷者を!!」

 

「「「は、はっ!!」」」

 

俺の言葉を聞き入れたアイリス王女は残った騎士を撤退せる。さて……これで心置きなく戦えるな

 

 

「一つ…よろしいでしょうか?」

 

まだ残っていたアイリス王女が声をかけてきた。

 

「どうした?」

 

「あなたはいったい…何者なのですか?奴らの事を何か知っているのですか?」

 

「……知っているか知らないと言えば、知っている。だが、奴らを知ってるのは現状この世界じゃ俺だけだ…そして」

 

 

俺は手回し式のレバーに円盤型のパーツの付いた機械を取り出しそれを、腰に宛がう。すると、腰に黄色いベルトが自動で巻かれ、その装置を腰に固定する。

 

「それは?」

 

「この際、改めて名乗ろう。俺はシャドウガーデン第零席のゼロ…またの名を…」

 

二本の小さなボトルを取り出し、赤いウサギの柄が入ったボトルと、青い戦車の柄が入ったボトルを握る。

 

「――――仮面ライダーだ」

 

俺はカッシーンとガーディアンの前に出る。俺に気づきこちらに兵が集まってくる。

 

 

『邪魔する者は排除する!』

 

部隊のリーダーらしきカッシーンが支持を出し武器や銃を構えさせる。

 

 

「悪いが…これ以上、お前達にこの世界を好き勝手はさせない」

 

 

 

俺は二つのボトル…ラビットフルボトルとタンクフルボトルを振る。フルボトルはボトルの中にあるトランジェルソリッドを増大、活性化させる。

十分に振り、活性化させた所で、ふたの部分にあたる、シールディングキャップをボトルの正面に固定する。

 

そしてそれを腰についているベルト、『ビルドドライバー』のツインフルボトルスロットに差し込む。

 

 

【ラビット!】【タンク!】

 

 

 

【ベストマッチ!】

 

ベルトから、その様なテンションの高い声が響く。

 

「ら、らびっと?たんく?べすと…まっち?な、なんなのです?」

 

一方のアイリス王女は混乱していた。まぁ、初めて聞く物だし普通の反応だよな。

 

だが、構わず俺はビルドドライバーに取り付けられたレバー、ボルテックレバーを回す。

 

するとドライバーの円盤型パーツボルテックチャージャーが回転、装置内部のニトロダイナモが高速稼働。そして、ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それが俺の周囲を囲う。

その間にも、スナップライドビルダーという高速ファクトリーが展開され、その管を赤と青の液体が流れ、そして俺の前後にそれぞれ、形を形成していく。

 

 

Are You Ready?】(覚悟は出来てるか?)

 

 

実際実験やテストで変身する事はあって聞くことはあったが、実際戦いの中で変身すると本当にその言葉が聞こえてくる。

ビルドのライダー達はこの問いにどんな気持ちで返答していたのか、今なら分かる気がする。

 

それに対する答えは、決まっている。ディアボロス教団や…目の前にいる敵と戦う時から、シャドウガーデンの皆んなが…いつしか武器を取らずに、戦う必要のない…幸せな世界を創造(ビルド)する為に…俺は戦う!!

 

俺はビルドドライバーからの問い掛けに、指でパチン!とフィンガースナップをし自身の姿を変えるあの言葉を口にする。

 

「変身!」

 

そして、その返答にアーマーを形成したスナップライドビルダーが俺を挟む。形成されたアーマーが体に着装される。

 

【鋼のムーンサルト!ラビットタンク!】

 

 

 

【イェーイ!】

 

 

 

『か、仮面ライダービルドだと⁉︎な、何故この世界に仮面ライダーが存在している⁉︎』

 

リーダーのカッシーンは俺を見て驚いていた。それはそうだろう、本来ならこの世界に仮面ライダーなんて存在しない筈なのに目の前に現れたら動揺するのも無理はない。

 

「な、なんですかその姿は?」

 

アイリス王女は同様し、ビルドの姿を見つめた。

 

「仮面ライダービルド。創る・形成するって言う意味の…ビルドだ。覚えておけ」

 

俺はアイリス王女の問いに簡潔に答える。

 

『変身したからなんだと言うのだ!この軍勢にたかが1人で敵うとと思うな!!』

 

カッシーン達はこちらに武があると思っているのか数で押し倒そうとしていたのに対し俺の答えは。

 

 

「多勢に無勢って意味で言ってるかも知れないが、生憎俺は、多勢でも負ける気はしないんでな…」

 

 

こんな状況、シャドウガーデンを結成する前からよくあった。俺は手をポキポキ鳴らしながら答える。

 

 

 

「さぁ……実験を始めようか!!」

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