あれから数年の時が経ち、シャドウガーデンはアルファ達の奮闘のおかげで規模は確実に大きくなっている。そしてこの数年で色々とあった。
『よっしゃー!!完っ成だ!!』
『イェーイ…』
衣服は所々黒焦げで俺たちは完成したアイテムを掲げ声を上げる。俺とイータだが、ほぼ一緒にいる事が多い為様々なライダーに関するアイテムを作った。特に大変なのがビルドのアイテムだった。一応ビルドドライバーやフルボトル、ジーニアスボトル、バザードトリガーは最初からあったのだがその他強化アイテムがなく作るのが大変だった。
ライダーに関する技術は全て頭に入ってる為スクラッシュドライバーもゲネシスドライバー同様ゼロから作り出し後はスパークリングやバザードを制御するフルフルボトルやフルボトルバスターをイーターと共同作業で作り上げた。今後ハザードを使う場面があっても暴走の不安は消えた。
『ここまでほんっと苦労した…イータがいなかったらもっと長っかたもしれない』
『ルインと共同作業…こっちも楽しかったから、気にしない』
『それでもだよ。お前も忙しい中手伝ってくれてありがとうなイータ』
『ルイン…抱き枕…』
そう言うと、イータはいきなり俺を抱きしめそのまま眠りについた。本当はシャワーを浴びて欲しかったが…かなり長い時間付き合わせたからな…無理もない。
『お疲れ様イータ、ゆっくり休んでくれ』
この時は甘んじてイータの抱き枕となり仲良く睡眠をとった。気がついたらもう夜で慌てて家に帰り両親にお叱りを受けたのはここだけの話。
それとゼータことリリムなんだが…
『う…ウーン…なんか身体が固定されてるような…」
とある朝、目が覚め起き、違和感を感じ布団を捲るとそこには…
『zzzz……』
『何故いる?』
俺の上で寝てた。何故かこの時はよく俺の寝ている布団に潜り込む事が多かった。
『んん…おはよールイン』
『ああ、おはよう』
まぁ…これはこの辺りで調べ物をしてる間だったからいいが心臓に悪いんだよな。
後、ゼータが屋敷を出て遠い場所で活動を始めて暫く経った後、変装してバイクで街に1人で出かけた時のこと
『ルイン、見〜っけ』
『リリムか?こんな所で珍しいな、どうしてここに?」
『任務報告…』
『…場所を変えよう。ここだと話しづらいしな』
俺はリリムと近くにある喫茶店に寄って、外のテラス席に座り紅茶を頼む。少し周りに人がいない事を確認し俺は話しを始める。
『それでどんな報告なんだ。まさかと思うがまたあの時の怪物みたいなのが…』
『ごめん…任務報告って言うのはウソ』
『はい?』
『本当はルインの姿が見えたから追いかけて来た』
そう言われ真っ直ぐに俺を見つめてくるリリム。思わず俺は恥ずかしくなるがなんとか冷静さを保つ。だがリリムはさらに追い討ちをかける。
『んー……』
『なんだ、じっとみて…?』
なんかすごいジーッと見てる。俺、何か試されてる?
『やっぱわかんない…』
『いや、何が?』
『何がって?ルインのこと、全部』
俺のことについて全部か……それはそうだろう。互いに信頼しているとはいえ、リリムは俺のことを分かっている部分があるけど全部理解してる訳じゃないと思うのは仕方ないか。でも逆に言うと俺も彼女の知らない所もあるのもまた事実だ。
『ねぇルイン』
『んん?』
俺は一口紅茶を飲むとリリムが何か切り出す。
『この後私とつきあってよ』
『ゴフッ!!!』
思わず吹き出してしまい変な器官に入ってしまい咳払いをし呼吸を整える。
『…大丈夫?』
『すまん、変なところに入った。んっん、付き合ってって……別にいいけどなんで急に……』
『任務でずっと離れてたから……寂しかった。通信で定期報告の時に声を聞く時はあるけど、やっぱりルインといると落ち着くし、ルインの事、もっと知りたいんだ』
『……そうか。特にこの後やる事もないから構わないぞ』
そんな感じでリリムと買い物へ出掛けた。いろんな店を見て回ったり、色々楽しんだ。改めて俺はリリム達が武器を手に取らず幸せな日常で生きていられる世界を創ると心に誓う。
◇
ここまでが数年での出来事で色々とあったが、15の歳になり貴族は15歳になると、王都にあるミドガル魔剣士学園へ通うことになるらしい。俺とシドも例外ではなくこの度実家を出て王都へ行くことになった。
そして俺がシャドウガーデンとして本格的に動くと言う事を意味する。俺は七陰に一通り連絡を入れ王都に向かう事を報告する。
出発の日。駅で家族に見送られた俺達は、王都へと走る列車の中に居た。列車とはいえ蒸気機関車ではあるが…デンライナーが恋しくなる。
…バイクで向かいたかったと言う気持ちもかなりあったが、この世界はバイクは普及していないので目立つ事は避けたかった。基本バイクはシャドウガーデンのゼロとして活動するときかプライベートで正体を隠しながら使うだけだな。
「……いよいよだな」
「そうだねぇ」
俺の隣に座っているのはシド。朝から上機嫌であり、珍しく裏のない笑顔をしている。人の気も知らないで、これからの敵となるであろうディアボロス教団との本格的な戦いが始まることすら知らないのに…
偶に定期連絡や書類を貰い状況を把握してはいるが、リーダーの知らない所で組織が拡大している。何故こいつに報告していないかって?シャドウ様は何も言わなくても全てお見通しらしいとの事です。凄く信用されていますねぇw
「ねぇ…今僕の事貶してたような気がするんだけど?」
「なんだよ急に?それより今回は珍しく機嫌がいいなシド…」
「露骨に話逸らさないでよ。まぁいいや、王都になら絶対居ると思ってね。主人公ポジションとかラスボスとか、けど僕からみたらルインが主人公に見えるんだけど」
「誰か主人公だ!ったく、お前は全くブレないな」
「ふっふっふ、ルインは特待生になってくれたことだし、幸先良いなぁ」
「おい待て、お前特待生じゃないのか?」
こいつの実力なら容易に実力を隠したままでも特待生はいけるはずだが…
「当前だろ?陰の実力者は力を隠しているから陰、普段はどこにでもいるモブ、しかし戦えば実力者!それが良いんじゃないか。特待生なんて目立つ存在は論外だね」
「………」
「ねぇ…いかにも『何言ってるんだこいつ?』みたいな顔やめてくれない?」
モブ道とか意味わからん事を極めるんだとかアホなこと抜かしてる厨二馬鹿を見て、俺は頭痛に襲われる。
「(胃薬…買っておかないとな)」
今後ストレスを貯める事が多くなる事を予測し胃薬を大量に買うとしよう。体質上必要はないかもしれないが念のためだ。あいつらが開いた事業なら胃薬は売ってるはずだし…今度顔出さないと。
取り敢えず、厨二馬鹿のことは忘れて…少し変わった二度目の学園生活を謳歌するとしよう。
「ここからがハイライト……だな」
もちろん、シャドウガーデン第零席・ゼロの活動も怠るつもりはないさ…組織もこの数年でかなり拡大しているみたいだし、気を引き締めていかないと。
魔剣士学園へ入学して早一ヶ月。俺は魔剣士見習いとして平穏な日々を……まぁ…送れてはなかった。
「見て、彼よ」
「特待生のルイン君でしょ?」
「綺麗な白い髪に金色の瞳、本当に物語に出る王子様みたいでカッコ良いなぁ」
「前に剣の指導をお願いしたんだけど凄くわかりやすく教えてくれたんだ!」
「嘘っ⁉︎ルイン君に教えて貰ったの⁉いいなぁ」
「おーいルイン!放課後稽古付き合ってくれよ!」
この学園彼は生徒に気軽に接しており生徒からは圧倒的な人気を誇っている。更には相手にも分け隔てなく接する彼は男女問わず多くの生徒からも慕われていた。
「はぁ……またか」
机の中にはラブレターがあるのは当たり前、一枚一枚読みしっかり断りの言葉を伝え本人に返すの繰り返しだ。後は直接告白されたりとかも普通にあった。先輩方にもされた事もある。
「随分と嫌そうな顔をしてじゃんルイン、やっぱ君って主人公の素質あるよ」
「だから主人公言うな厨二馬鹿!!マジ殴りされたいのかお前?」
「怖っ、流石に君のマジ殴りだけは勘弁願いたいね…」
この通り俺は普通に過ごしていても目立ってしまう。いや、年齢を重ねるにつれ成長し俺の見た目に問題があったのだ。
「(なんでよりによって浮世英寿の神の姿なんだよ!!)」
そう、今更だが俺の見た目は浮世英寿の創世の神の姿だ。違いがあるするなら瞳の色だろう。確かにギーツの力もあるがよりによってなんでこの見た目?この見た目で余計に悪目立ちだわ…
「(今後の活動にも支障が出ないといいが…ゼロの時は少し見た目を変えるか…)」
今後支障がない様ゼロの姿の時は変装を視野に入れよう。エボルトの力を使えば変装も楽だしな。
それから翌日…あの厨二馬鹿はモブザモブと言っていたヒョロとジャカと友達となり何かしらの罰ゲームで国の王族のアレクシア・ミドガルに告白する事になったらしい。
…ってかなんだヒョロとジャガって、前から思ったがこの世界の住人のネーミングセンスはどうなってるんだ?野上良太郎や泊進ノ介よりもひでぇだろ。確かシドの両親の名前も酷かった気がする。
俺は気づかれない場所でその様子を見ている。アレクシア・ミドガルと言えばあいつが剣を1人で振るっている姿を見た事があるが…筋は悪くはなかったけど、何処か気持ちの問題なのか折角の綺麗な太刀筋が崩れていたのを思い出す。
「ア、ア、ア……アレクシア王にょ!!!」
うわぁ気持ち悪ぅ…あの厨二馬鹿の演技力にドン引きだわ。才能の無駄遣いだわ。その演技力があれば俳優や役者でも上手くやれるだろうに。
このまま王女にシドがフラれる。ヒョロもジャガも俺もそう思ってた。いや、一番そう考えていたのはシドの奴だろう。そう思っているとアレクシア王女が返答する。
「分かりました。貴方のような方を待っていたの。よろしくね」
「おお?」
なんかよく分からんけど、告白が成功した。俺も思わず声が出てしまったが、シドのアホ面が見れて爆笑した。こんな純粋に爆笑したのは久々だった。
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