アラサー萌え声バ美肉おじさんの配信 作:さかな
『ギャアアアアア!!!!』
『うわあああああああ!!!!』
画面越しから、化け物の声が響く。それに共鳴する様に、自分もまた叫ぶ。確かに第三者からしてみれば自分も化け物のような物かと思う。多分ギリ一般人では無いと思う。
ああ、どうしてこんな事してるんだろう、あ、親父元気かな?親父も腰痛いって言ったし。
ぐしゃりと言う耳を無意識に塞ぎたくなる様な音が聞こえ、画面が真っ暗になり笑い声だけが聞こえる。
親父、助けて……。
昼間はまだ暑さが厳しく、目を閉じれば額に汗を浮かべて畑仕事をする親父の姿が目に浮かびます。身体に気を付けて、少しでも長生きして下さい。
こっちは仕事辞めて今は、声の仕事をしてるんだ。大変な事ばかりで辞めたいなって思う事も少なくないけど、この世界でちょっとでも頑張ろうと思うから。親父も応援してくれると嬉しい。
《中略》
それじゃあ短いけど、現実逃避と言う名のお手紙は終わりにして俺はそろそろ現実に戻ろうと思う。また実家に帰る時はその時は宜しく。
貴方の一人息子
アラサーロリ声おじさんより
『ただいまクソ現実』
脳みその親父にさよならを告げて、悲しき現実へと舞い戻る。何度でも分かって貰えるまで言うよ、なんでこんな事しなきゃいけないんだ。
《コメント》
・フリーズしたから気絶したのかと思った
・生きてた
・元気そうで良かったです!
じゃ、分かるよね?やれ
・豹変ニキ怖い
催促されるコメントで逃げれそうも無いなと言うのを改めて理解した。そして、先程は化け物に喰われてゲームオーバーになったとコメント欄で教えられ。そんな知りたくなかった現実と共に再びゲームが始まる。
《コメント》
・因みに実況だから、分かるよね?
『幼女だからッ良く分かんな〜い☆』
設定上とは言え、ロリだった事に唯一感謝した瞬間だと思う。これでどうにか通るだろう。通れ、頼む!
《コメント》
・黙れおじさん
・ゲーム実況、実況プレイとはパソコンゲームや携帯用ゲーム機、スマホなどのゲームの操作を動画で撮影し、その場で説明解説する物である。(某サイトからコピペ)
・もう諦めろ
・さっさとやれ
・良いからやれ
『分かりましたよ……やりますよ、やれば良いんでしょ!』
ですよねぇと心の中で返しながら、再びスタートボタンをクリック。そして、再度流れるストーリーを飛ばしながらゲームの説明をする事にした。
『今回やるゲームは、"悪霊の狩人"って言うジャンルとしてはホラーアクションゲームらしいです。声を出して驚きながら、体も動く。代謝が良くなって下手なダイエットよりも効果がありそうなんて言う戯言はさておき』
『今回の目標は何でしたっけ、幼女だから……』
《コメント》
・悪霊のボスの撃破、もしくはストーリーモードのクリアだよ尾路さん
・幼女キャンセル草
・前、前!
『へぇいへぇ?うわっ』
視線はコメント欄一点だけを見つめて、手だけを機械的に動かしていたせいで、始まっていたことにすら気付かなかった。とは言え、このまま喰われてはまたやり直し。無駄にグラフィックの良い、グロくスキップ出来ない映像を見せられる事になる。
それは勘弁願いたいので地に還って貰おう。
『わああああああ、バイバイ!バイバイ!!バイバイッ』
なんて冷静に見えるかもしれないが、そんな訳も無くパニック状態で取り敢えず押せるものは押しとけみたいな感じだった。キーボードを適当に叩くゴリ押しプレイングで奇跡的に悪霊の顔面にコンボが決まり討伐に成功して。
やったぁ……』
少し、ホッとするとコメントが水を差してきた。
《コメント》
・まだチュートリアルも終わってないからな
・満足そうw
・終わらないよ?(威圧)
『も、勿論ですよ』
さり気なく、終わろうとしたのがバレてしまった。悔しい。
こうして、ホラゲー実況が漸く始まったのだが、正直辞めさせて貰えるのなら辞めたいと言う気持ちは依然として変わらない。と言うか辞めさせろ。