カレンブーケドールに幼馴染を奪われるお話(旧題:憎たらしき黄金の花束へ)   作:星組

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プロローグ:こいつら多分将来的にうまぴょいするんだ!

 私の人生を三行で答えよ。ただし、無理。及びそんな薄い人生は歩んでない等の本末転倒な回答や屁理屈は述べないものとする。

 さぁ行ってみよう。

 

 

 十年以上幼馴染に向けた初恋を引きずってます。

 残念な一面はあれど、本人は自他ともに認められるくらいには優秀です。

 今も継続的な脳破壊を受け続けてます。

 

 ……なんだコレは? と言われるだろうか?

 大丈夫だ。その反応は極めて正しい。

 どうしてこうなったか?

 イケメンな幼馴染はウマ娘のトレーナーの道を志し、晴れて合格。

 新人ですが、何か担当を持ってます。……後はわかるな?

 

 勿論全てのトレーナーが担当を持つ度にその子と懇ろになってしまっていたら、今頃URAは人手不足に陥っているだろう。

 でも……そんな関係になりやすいというデータがあるのもまた事実である。

 

 例えば三冠バのミスターシービーの両親はかつてトレーナーとその担当ウマ娘だった。という分かりやすい前例もあるし。

 後はメジロとかメジロとかサトノにメジロがあまりにも有名というか、公表してないだけで明らかに“そう”だろお前ら。と言われがちだ。

 だから私は警戒した。

 彼の初めての担当バを。

 そもそも彼が担当持つ前にちょっと私個人も色々拗らせたりしたが、今はいい。私の安いプライドやそんな黒歴史的な感情は、強大な敵が現れてすぐに捨て去ったのだから。

 つまるところ……女の勘とか嫌な予感ってよく当たるよね。という話に終着するのである。

 

「……正体見たりだわ」

 

 その日、私は彼の部屋で目を覚ました。

 前日にアポ無しで転がり込んだのである。

 外は大雨。なら泊めてくれるよね!? なんて暴論を振りかざして。

 てか、もうそれくらいしか逆転もとい彼に意識してもらうの芽がないのでは? と思った結果走った、苦肉の策であった。

 そもそもその日に彼がいなかったら破綻。タクシー呼ばれても失敗。断られたら多分心に大ダメージを受けるという穴だらけの作戦でもあった。

 結果は……全くもって別の形で分からされることなったのだけれども。

 

 部屋に転がり込んだらさぁ。彼の担当バが明らかにお風呂上がりのホカホカ状態かつ、彼のジャージを着て出てきたら?

 

 はい、詰みです(私の恋が)本当にありがとうございました

 

 因みに、彼曰く断じてそういう関係ではないらしい。じゃあ何でお部屋に泊まってるんですかねぇ? 山より高くて海より深いかもしれない事情がある? 知るか! かもしれないって何だ!

 

 ベッドからムクリと身体を起こし、隣を確認。

 奴はいない。最後に見た時は、隣に横になっていた筈なのに……だ。

 

 私は脳にガスバーナーかナイフを突きつけられたような幻覚を見ながら、ゆっくりと彼の寝室を後にする。

 緊急時だからと貸し与えられたそこに、私と彼の担当バは眠っていた。にもかかわらずこの状況。

 答えはすぐにでた。

 リビングに足を踏み入れる。ソファーを倒した簡易ベッドにて彼とその担当バは寄り添うように眠っていた。

 いや、オブラートに包むのは止めよう。抱き合ってるわコイツら。

 そういう関係でない。とは何だったのか。ただ、彼がそこに連れ込む可能性はほぼありえないだろう。つまり誰が悪い?

 それは今まさに彼にその身体を預けている……。

 

「……んっ……あ……」

 

 奴が薄っすらと目を開けた。彼にくっついてるのを確認したらしい。さぁどう出る? 寝ぼけて私ったら! と顔を赤くして慌てふためくのか。あるいはカチコチに身を強張らせるのか? それによって私の対応も変わるわけだが……。

 

「…………あはっ」

 

 奴は柔らかく微笑みながら、嬉しそうに彼の胸板にスリスリしてまた目を閉じる。尻尾がシュルシュルと彼に絡みつくのもバッチリ目撃してしまった。

 

「……ッスゥ〜……」

 

 気をどうにか落ち着けるため深呼吸。

 これだって多分ウマ娘の耳には届いているだろうに起きる気配はなし。

 はい、確信犯ですね。これで寝ぼけてそこに入っちゃいました♡は、もう通用しません。

 なまじ二人とも顔がいいから絵になってしまうのが超ムカつく。

 ついでに、ここまで親密になった理由は……長い間信じ合い、二人三脚してきたからこそなのだろう。

 彼と彼女の場合は、ほぼ三年と少し。

 抱える問題を解決し、共に勝利を求め、悩み歩んできた。

 そら互いに並々ならぬ感情は抱えても仕方がないと言える……。

 

 訳ないだろうこの野郎!

 

「起きろぉ! この無自覚バカップルがぁ! てか倫理考えろやぁ! 通報すんぞぉ!」

「――うぇ!? うぉお!?」

「……………」

 

 

 嫉妬とか色んな想いを込めて私は叫ぶ。

 彼はビクンと身体を跳ね上げてから、腕の中にすっぽりと収まっている担当バにもう一回衝撃を受けていたが、奴はただ沈黙。ひたすらに沈黙。その反応に私より8つ程歳下だとしても、しっかりと“女”なのだと再認識すると共に。油断ならぬ宿敵に心の中で臨戦態勢を取る。

 ここにくるまでに私の脳はもう破壊に破壊を繰り返され、念入りに焼き焦がされている。

 

 ウマッターとウマスタグラムにおいて彼や彼女……及びその周りからによる、度重なる匂わせやら現行犯な投稿。

 基本優先される担当バとの予定。奪われるクリスマス、正月、バレンタインなどの年間行事。

 やっとの思いで食事の約束を取り付けても、彼が嬉しそうに口にする話題は担当バとのエピソード。

 

 既に我が脳は原型などなく、もはや炭である。

 それでも……まだコイツらは明確に結ばれていないから、私は足掻く。

 限りなく負け戦に近くても、一縷の望みにかけて、今日もこれからも吠えるのだ。

 

「おのれぇ、そこになおれぃ! 卑しいにも程があるだろがぁ! カレンブーケドールゥ!」

 

 

 今から語るのは彼らの物語の断片に過ぎない。

 新人トレーナーと、なかなか勝ちに徹せない、優しすぎるウマ娘の奮闘記……にバカスカと流れ弾を喰らいまくって暴走する、残念美人のメモリアルである。

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